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リンパ浮腫

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 リンパ系には二つの機能があり、一つ目が体の中に存在する蛋白などを回収する働き、二つ目がリンパ球などを介して細菌、ウイルス、腫瘍の転移を防ぐ防御機能です。体液の回収機能に問題が起こり、組織の中に血漿蛋白や水分が停滞してしまった状態がリンパ浮腫です。リンパ浮腫になると、手足のこわばり、筋力低下、痛みなどの症状が出ます。


 リンパ浮腫は、リンパ管の発育不全などの先天的な原因で発症する原発性リンパ浮腫もありますが、乳がんや子宮がんなどの外科手術を行った後に後遺障害として発症する続発性リンパ浮腫とがあります。がんの治療などでは、がんの転移巣を除去するために周囲のリンパ節を切除することが多いからです。

 欧米では原発性リンパ浮腫が多いのですが、日本では続発性リンパ浮腫が圧倒的に多い状態です。

心臓・血管・血液:リンパ浮腫
リンパ浮腫とは?  リンパ管は血管と同様に全身に張り巡らされている組織で、組織で使われた不要な蛋白質や水分を回収する働きを持っています。全身に張り巡らされたこの組織は血管とはまったく別のネットワークとなっています。

 リンパ管にはとことどころにリンパ節と呼ばれるものがあり、細菌や不要な物質を血液循環系に入れないような防御作用をしています。

 リンパ浮腫は、リンパのもつ体液の回収機構に問題が発生し、組織の中に血漿タンパクや水分が停滞してしまう病気です。リンパ浮腫は手足のこわばり、腫れなどの症状がでて、筋力の低下、痛みを感じます。赤く腫れることもあります。リンパ浮腫があると、小さな傷などでも感染してリンパ管炎などを発症することもあります。

 リンパ浮腫による症状は、重症度に応じて I〜III 期の三つがあります。

I 期 指で押すと指の跡が残る。横になって休むと浮腫が和らぐ。
II 期 指で圧迫しても跡ができなくなるが、横になっても浮腫が消えない。
III 期 皮膚が角質増殖が進行して象皮病となる。

リンパ浮腫の原因  リンパ浮腫にはリンパ管の発育不全などが原因の原発性リンパ浮腫と、乳がんや子宮がんなどの手術後によくみられる続発性リンパ浮腫とがあります。

 原発性リンパ浮腫は、リンパ管の数が少ないために全てのリンパ液を処理しきれなくなって生じます。この場合のリンパ浮腫は主に脚に起こりますが、腕に起こることもあります。女性の方が男性よりもはるかに多く発症します。

 続発性リンパ浮腫の主な原因は乳がんや子宮がんの手術後に見られるのが典型的です。乳がんや子宮がんの手術の際に、がん転移の可能性があるわきの下や脚の付け根にあるリンパ節を切除する場合があります。また、放射線照射治療によりリンパ管が細くなりリンパ液が流れにくくなることがあります。リンパ液が流れにくくなったり途切れたりするとリンパ液は皮下に溜まってしまい肥大します。この状態がリンパ浮腫です。

リンパ浮腫の診断  リンパ浮腫は医師による視診や触診などで容易に診断できますが、リンパシンチグラフィーという少量の放射性物質(ラジオアイソトープ)を用いた方法が最も確実で有効な診断方法です。

リンパ浮腫の治療  リンパ浮腫を完治させる有効な方法はありませんが、日常生活に支障ないほどに軽減する治療法はあります。通常、リンパ浮腫の治療は症状などに応じて、リンパ誘導マッサージ法、弾性ストッキング圧迫法、保存的治療、利尿剤使用、外科手術などの方法がとられます。これらの方法を組み合わせて用いるのが有効ですが、安易に外科手術を行うべきではありません。

リンパ誘導マッサージ法  皮膚や皮下に網目状に存在するリンパ管をマッサージすることで、リンパ管の運動を活発にし、リンパ液の流れが不足している深部リンパ部分などに誘導します。表在性リンパが深部のリンパ管に通じているのは、鎖骨上窩(鎖骨の上)、腋窩(わきの下)、鼠径部(腹部と脚の境目)などですから、この部分のリンパ節を刺激し、リンパを深部に誘導します。

 次に、リンパでむくんだ下肢をマッサージしますが、体の中央に近い部位からはじめ、次第に手や足の末梢をマッサージします。マッサージの方向は常に中枢に向けた方向で行うのが重要です。

 むくみのある手足の末端までマッサージしたら、最後に体全体のマッサージもできるだけ行います。マッサージは長時間すればするほど効果がありますが、リンパ浮腫のある脚(下肢)を1日1回、1時間程度すればよいでしょう。

弾性ストッキング圧迫法  軽症のリンパ浮腫であれば、弾性包帯や弾性ストッキングなどの圧迫包帯を使用すればリンパ浮腫を軽減できます。やや重症のリンパ浮腫の場合には、圧迫力を空気圧で調整する特殊なストッキングを使用する方法もあります。この場合、むくみが軽くなってきたら、起床時から就寝時までのあいだ弾性ストッキングを着用します。

保存的治療  リンパ浮腫が慢性化している場合、弾性ストッキングなどでの圧迫法を行いながら、適度な運動をすることで浮腫は軽減します。外部から圧迫した状態で筋肉の運動すると内部からのマッサージと同様な効果を生みます。

 また、皮膚の壊死などの原因がいろいろな感染によることが多いので、女性が自分の顔を手入れするのと同様に、腫れた手足を常に清潔に保ち、細菌やカビによる感染症を防止します。

利尿剤使用  利尿剤はむくみをとる効果がありますが、がんの合併症などの治療をするなどの特別な場合を除いては、浮腫に対しての利尿剤の使用はむしろ有害なので使用してはいけません。

外科手術  保存的治療法などがどうしてもうまくいかない強い症状があるごく限られた患者に対してのみ外科手術が行われますが、確実な効果があるかどうかはっきりしません。


 日常生活において、表在性のリンパ液の流れを抑制するような圧迫は避けるようにします。具体的には、きつい下着の着用、時計バンド、窮屈な靴、患肢での血圧測定などを避け、重いものを持ったり、正座や長時間の立位もしてはいけません。その他にも次のような点に注意して日常生活を過ごしましょう。

 ・衣類は柔らかい素材で、体をしめつきすぎない。
 ・バランスのとれた食事
 ・適度な運動は必要だが過度の運動は避ける。
 ・汗をかいたらしっかりとふき取り肌を清潔に保つ。
 ・飛行機では、弾性ストッキングを着用し、体も動かす。
 ・仕事などでの長時間の同じ姿勢は避ける。
 ・乳がんなど手術した側での採血や点滴はしない。