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〔高血圧性脳内出血〕

 

 高血圧状態が長期にわたり続くと脳内の細胞の一部が壊死して微小動脈瘤ができます。

 〔高血圧性脳内出血〕 は、この脳内にできた小さな動脈瘤が、血圧の変化などで破裂して脳内に出血し、脳組織の一部を破壊する病気です。


 このような動脈瘤の破裂による発作が起こると、頭痛、吐き気、嘔吐がはじまり、意識障害が発生したり、破裂の発症部位により左右どちらかの手足が麻痺するなどの症状を起こします。

 〔脳梗塞〕〔脳出血〕〔くも膜下出血〕を三大脳卒中といいます。発作を起こす平均年齢は60歳ですが、その内の約2割が〔高血圧性脳内出血〕となっています。

 発作を起こした人の3割は、厳しいリハビリを経て社会復帰に成功しますが、約4割は介助が必要な後遺症を残しています。残りの約3割の人は、発作を起こした直後に死亡しています。


どんな病気ですか?

◆「高血圧性脳内出血」とは、一体どんな病気なのかの説明です。

どんな病気ですか?

 高血圧が長期間にわたって継続すると、脳の細い動脈に微小な動脈瘤ができ、それが破れて脳内出血します。これが高血圧性脳内出血という病気です。

 出血を起こす部位は、被殻、視床、皮質下、脳幹、小脳などで、発症部位により症状も異なります。出血による脳組織破壊だけでなく、出血した血液のかたまりが圧迫して脳浮腫となり、破壊がますます進行します。


どんな症状ですか?

◆「高血圧性脳内出血」の症状の説明です。

高血圧性脳内出血の症状

 発作は頭痛、吐き気、嘔吐などで始まり、左右どちらかの手足に麻痺が現れます。大脳の右側に出血がおこると体の左半分に症状がでます。逆に大脳の左側に出血がおこると体の右半分に症状がでるほか、言語障害がでる場合もあります。出血の発症部位とそれによる障害の発生には次のような対応があります。

脳内出血の部位と症状
被殻出血

 レンズ核線条体動脈外側枝と呼ばれる部位から出血。大脳の右側に出血があると体の左半分が麻痺するほか「失行」や「失認」という症状が現れます。

 一方、大脳の左側に出血があると体の右半分が麻痺し、失語症、言語障害が起こります。

被殻出血による症状
失行

 失行とは、自分の意思とは異なる行為や行動をしてしまう症状です。

 たとえば、ライターを見せて「これは何ですか?」と質問すると「タバコに火をつける道具です」と答えます。しかし、タバコを吸いなさいと指示してもライターで火をつけることができないのです。

失認

 失認とは、自分から見て左側のものを全て無視してしまうという症状です。たとえば、自分の目の前に、左から右に向かって10人の子供が並んでいるとします。

 これを数えさせると片側無視といって、右側の約半分を数えることができるけれど、左側半分を無視してしまうのです。


視床出血

 後視床穿通動脈および視床膝状体動脈と呼ばれる部位から出血。麻痺よりも感覚障害が強く現れ、強い痛みを感じます。間脳や脳幹の障害により意識障害が起こります。

皮質下出血

 皮質下の部位によっては高次脳機能障害としての認知障害(記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害)を起こすこともありますが、致死的となることは少ないです。

脳幹出血

 急速に昏睡状態となり、四肢麻痺がおこり、瞳孔が縮む症状が見られます。通常、短期間で死亡します。

小脳出血

 小脳の機能は運動機能の調整であり、これが損傷することで、運動や平衡感覚の調節がとれなくなり精密な運動ができなくなります。

 手足の麻痺は起こらないが、酔っているような歩行、酔歩をするようになります。頭痛や悪心、嘔吐、めまいなどの症状も現れます。

 出血の範囲が脳の中心部におよぶような重症では意識障害に陥り昏睡状態となり、突然いびきをかいて昏睡します。意識が回復した後には、片方の手足の運動障害や感覚障害、言語障害が残ることが少なくありません。


原因は何ですか?

◆「高血圧性脳内出血」の原因や発症の仕組みの説明です。

高血圧性脳内出血の原因

 高血圧状態が長期にわたり続くと脳の深い部分の小さな動脈が壊死して微小動脈瘤となりますが、何らかの切欠で血圧が急に上昇するとこの微小動脈瘤が破裂して出血を起こすのです。

 具体的には、強く興奮したとき、強いストレスを受けたときなどが特に危険です。そのほか日常生活の中でも、トイレで息んだりしたときや、入浴後に温かい場所から、急に寒い場所に出たときなどによく発作が起こります。

 高血圧性脳内出血の発作を招く大きな危険因子は、男性であること、アルコール依存性の人、肝機能障害をもつ人の三つです。


診断はどうなりますか? ◆「高血圧性脳内出血」の検査方法や診断方法の説明です。
高血圧性脳内出血の診断

 高血圧性内出血の場合、出血の原因が細い穿通枝の微小動脈瘤の破裂なので、破裂前に診断する方法はありません。どうしても発作がでてからの検査となってしまいます。

 どのような症状がでているかにより、特異的なパターンがあれば、脳内出血の部位が分かります。脳内出血の位置や量を正確に判定するには、頭部CTスキャンや頭部MRIでの検査がなされます。

 出血量や原因を判断する検査として、以下のようなものを調べます。

高血圧性脳内出血の検査項目
血算

 白血球、赤血球、血小板などの血液細胞の数を数え、その容積や数、形態を観察して、診断に役立てる検査をします。

血小板数

 傷を修復する役目を持つ血小板数を調べます。

出血時間

 止血機能を調べるため、皮膚に小さな傷をつけ、実際に自然に血が止まるまでの時間を測定します。

 これにより、血液凝固に関わる血小板の機能がわかります。

プロトロンビン時間

 プロトロンビン時間は、血液の凝固因子に関する指標の一つで、外因系及び共通系の凝固異常を判定する検査として用いられる。

活性化部分トロンボプラスチン時間

 活性化部分トロンボプラスチン時間は、血液凝固能検査のひとつで、内因系及び共通系の凝固異常を判定する検査です。

肝機能検査

 肝臓が健全に機能しているを血液検査で調べます。

 肝機能検査には多くの検査項目があるが、基本の検査はALT(GPT)や、AST(GOT) 、γ-GTPです。

腎機能検査

 腎機能の検査方法には、尿検査、血液検査、画像診断、腎生検があります。

頭部血管造影検査

 頭部血管造影は、頭部内での血管の状態や血液の流れを調べる検査です。

 太ももの付け根または腕の動脈から細い管(カテーテル)を通し、造影剤を目的の血管に流しながらX線撮影します。



治療はどうやりますか? ◆「高血圧性脳内出血」の治療方法の説明です。
高血圧性脳内出血の治療方針

 高血圧性脳内出血の発作が起こってしまってからでは治療により完治することはありえません。従って、治療の目標はあくまでも、救命処置、生命維持のための処置、全身的管理、症状のコントロールとなります。

 症状により、次のような薬物療法、手術療法などの処置がとられますが、決め手となるものはありません。強いて言えば、出来るだけの処置をした後でリハビリテーションを根気よくやることしかないようです。

高血圧性脳内出血の薬物療法

 高血圧性脳内出血の薬物療法には、症状に応じて、抗痙攣薬やカルシウム拮抗剤、頭蓋内圧降下薬、H2ブロッカーなどの薬剤による治療法があります。

高血圧性脳内出血に用いる薬物の種類
抗痙攣薬

 脳内出血の部位により痙攣がある場合は、抗痙攣薬の静脈注射を行う。

カルシウム拮抗剤

 血圧が特に高い過ぎると考えられる場合に限って、カルシウム拮抗剤の静脈注射で血圧を下げます。

 下げすぎると脳への血流量が不足してしまい、大きな問題に発展する可能性もあり慎重を要します。

頭蓋内圧降下薬

 症状が重く、少しでも改善が必要と考えられる場合に限って、脳の腫れをとるために使用します。

H2ブロッカー

 脳内出血直後には、消化性潰瘍を誘発することが多いので、その予防としてH2ブロッカーを静脈注射して、胃酸の分泌を抑えます。


高血圧性脳内出血の手術療法

 高血圧性脳内出血の手術療法には、開頭血腫除去術、定位的血腫吸引術、および脳室ドレナージと呼ばれる方法などがあります。

高血圧性脳内出血の手術療法
開頭血腫除去術

 頭蓋骨の一部を外して脳内の血腫を除去する手術です。手術は麻痺などの改善のためではなく、あくまでも生命を救うのが目的となります。

定位的血腫吸引術

 CT検査で血腫の位置や大きさを特定し、頭蓋骨に開けた小さな穴から針を挿入して血腫を吸引し除去する手術です。

脳室ドレナージ

 脳内で髄液をためておく脳室に血液が流れ込むと、髄液が溜まりすぎて水頭症となる危険があるので、頭蓋骨に開けた小さな穴から髄液を抜き出す手術で、確実な効果があります。


リハビリテーション

 脳組織の損傷や破壊で障害が残った手足は、そのままにしておくと関節が固くなり、関節を動かすことができなくなってしまいます。

 これを防止するために積極的にリハビリテーションを行います。

 リハビリテーションの効果は確実に現れますが、非常に大きな苦痛も伴うので、患者本人の強い決意とたゆまない努力が必要不可欠です。

 途中で挫折すれば寝たきりなどの状態になってしまうのですが、残念ながらリハビリの苦痛に耐えきれず、そのように諦めてしまう人も多い現実があります。