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肺炎

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 肺の中で微生物が繁殖すると、発熱、咳、痰、胸痛、呼吸困難などの症状が現れます。これが肺炎です。肺炎の原因となっている病原菌を培養して特定するには時間がかかるので、待てない場合もあり、最も可能性の高い抗菌薬を使うことになります。高齢者の死亡率の中で肺炎は非常に上位に位置しています。


 国民衛星の動向調査(1999年度版)によれば、日本での肺炎による年間死亡者数は、約8万人で、最近20年間での死因順位は第4位を占めています。


呼吸器:肺炎
肺炎とは?  肺炎は、肺組織の中で病原体である微生物が増殖しておきる炎症性疾患の総称ですが、肺の急性感染症を指す場合が多いです。一般的には、体力が落ちているときや高齢のため免疫力が落ちていると罹りやすくなります。

 肺炎に感染すると、はじめは普通の風邪症状に似た、喉の痛みや、鼻水、鼻づまり、咳、頭痛などの症状からはじまります。やがて、高熱がでて、咳、痰、胸痛(胸の痛み)、呼吸困難(息苦しさ)、浅くて早い頻呼吸と頻脈などの症状がでます。また、重症になると、チアノーゼと呼ばれる、唇や爪が青黒くなる症状も現れるようになり、脱水症状や敗血症をおこすこともあります。

 高齢者の場合には、食欲不振や元気喪失などが前面にでて、表面上はそれほど激しい症状も出ないことも多く、気がついたときにはかなり症状が悪化していることもあります。

 肺炎の分類方法としては、肺炎を引き起こす原因による分類、どこで感染したかによる羅患場所による分類、発生機序による分類、病変の形態による分類などがあります。

原因による分類 感染性肺炎 肺炎を起こす病原体微生物は、細菌、ウイルス、マイコプラズマなどの非定型などで、3つの種類があります。感染性肺炎では、細菌性肺炎がもっとも多く、原因病原体は、肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌など一般細菌です。次いでマイコプラズマ、クラミジアなどによる非定型肺炎が多く発症します。

・細菌(いわゆるバイキン)===> ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは別物)など

・ウイルス===> インフルエンザウイルス、アデノウイルス、はしかウイルス、サイトメガロウイルスなど

・非定型===> マイコプラズマ(細菌とウイルスの中間のような生物)、クラミジア、真菌、原虫、寄生虫など

機械的肺炎 機械的肺炎は嚥下性肺炎、閉塞性肺炎、吸入性肺炎とに分類されます。嚥下性肺炎は、高齢者や術後の人に多く、食物、胃内容物、口腔内常在菌を誤って飲み込んでしまうことで肺炎を誘発したものです。
薬剤性肺炎 薬剤性肺炎は、インターフェロン、抗癌剤、漢方薬などが原因で発症する肺炎です。
症候性肺炎 膠原病性肺炎の主なものは、関節リウマチにおけるリウマチ肺です。
罹患場所による分類 市中肺炎 普通の社会生活のなかで発症する肺炎です。
院内肺炎 病院に入院して、48〜72時間後に発症する肺炎です。病院で治療中の患者や、他の疾患を持つ患者に発症した肺炎が移ることで起こります。患者の背景や基礎疾患、病院の種類などで病原菌は大きくことなります。
病変による分類 肺胞性肺炎 肺の実質である肺胞に炎症の主座がある肺炎です。
間質性肺炎 間質性肺炎は、肺の間質組織を主座として炎症をきたす疾患の総称です。非常に重篤な肺炎で治療困難な難病です。病状が進行して炎症組織が線維化したものは肺線維症と呼ばれます。間質性肺炎の中で特発性間質性肺炎は特定疾患に指定されています。

肺炎の原因  肺炎の原因は多種多様ですが、主体となる細菌やウイルスによる肺炎では、それらの病原体は、呼吸にともない鼻や口から身体に侵入します。

 健康体であれば、病原菌は喉で痰として排除されますが、風邪やインフルエンザなどで体調が悪かったり、免疫力の低下している人などでは、病原菌が素通りして肺胞まで入ってしまいます。そして、病原体が肺に侵入してしまったとき、細菌などの感染力が人の免疫力を上回ると発症します。

 特に、高齢者の場合や糖尿病、心臓病、脳血管障害、腎臓病、肝臓病などの慢性疾患のある人では、免疫力の低下が起こりやすいので、注意が必要です。

 非感染性の肺炎として、エアコン付着のカビや、加湿器内で繁殖した真菌などのアレルギー原因物質(アレルゲン)が肺胞内に入っておこる肺炎もあります。

肺炎の診断  肺炎の診断は、医師による問診からはじまり、気管支状態の聴診、胸部X線検査、血液検査などで行います。最近では、一部の肺炎については迅速診断キットがあり、容易に診断できる場合もあります。肺炎の原因菌を特定するには、痰や血液の検査が必要ですが、判定困難な場合も相当あります。肺炎の検査と診断方法を下表に示します。

胸部X線検査 胸部X線写真のパターンから、病原菌を推定できる場合があります。肺炎の性状、広がりなどを詳細に検査するには、追加してCTスキャンでの検査が必要です。
血液検査 肺炎の炎症が生じているかどうかを血球、好酸球、赤沈、CRPなどから判別します。 細菌性肺炎では白血球増加と核左方向移動に特徴があり、非定型肺炎では白血球増加がみられないことがあります。
病原菌の特定 今後の治療に当たって、どのような薬を用いるのがよいのか判断するために、病原菌の特定を行います。このためには、痰の検査と、血液検査が必要です。

 肺炎に罹っている場合、重症度の判定は重要です。入院での治療が必要か、外来治療で大丈夫かなどの判断のためです。肺炎の検査と診断方法を下表に示します。(日本呼吸器学会「呼吸器感染症に関するガイドライン」より、表現方法変更)

身体所見+胸部X線陰影での判定
(チアノーゼ、意識レベルの低下、ショック状態なら下記と関係なく重症)
判定項目 軽症
5項目中3項目以上該当
重症
5項目中3項目以上該当
胸部X線の陰影の広がり 1側肺の1/3まで 1側肺の2/3まで
体温 37.5度C未満 38.6度C以上
脈拍 毎分100未満 毎分130以上
呼吸数 毎分20回未満 毎分30回以上
脱水 (−) (+)

検査所見での判定
(軽症と重症のいずれにも該当しないものは中等症)
判定項目 軽症
5項目中3項目以上該当
重症
5項目中3項目以上該当
白血球 10000/μL未満 4000/μL未満、あるいは20000/μL以上
CRP 10mg/dL未満 20mg/dL以上
PaO2 70Torrより大 60Torr以下、SpO2が90%以下

肺炎の治療  肺炎の治療では、原因となる病原体に対応して抗生物質を使用します。原因菌の特定には数日間のかかるので、痰を顕微鏡観察するなどで有効な抗菌薬を選定するのが普通です。肺真菌症には抗真菌薬を、ウイルス性肺炎では抗ウイルス薬を用いるなどです。

 症状が軽症〜中等症で、脱水症状がなければ外来での治療が可能です。しかし、重症はもちろん、中等症でも脱水がみられるとき、および65歳以上の高齢者の場合は、入院での治療が必要です。患者の身体への負担軽減のための対症療法として、咳や痰に対する鎮咳薬、去痰薬の治療を行い、発熱に対する解熱薬、消炎薬での治療なども行われます。

 一般的には、免疫力の低下している人や高齢者を除けば、適切な抗菌薬での治療により1〜2週間で治癒します。しかし、免疫力が極度の低下している人や高齢者などでは死亡する場合も起こります。