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大腸憩室症

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 医学用語に「憩室」という言葉があります。憩室とは、消化管壁が外側に向かって袋状に飛び出した状態をいいます。憩室は十二指腸や食道にも発生しますが、最も多く見られるのは大腸です。


 食物やガスの発生で大腸内部の圧力が高まり、大腸の腸管壁が外側に向かって袋状に飛び出したものを「大腸憩室症」と呼びます。日本人では右側の大腸に、欧米人では左側の大腸に多く起こります。

 大腸憩室症は、通常無症状のことが多いですが、袋状に飛び出した憩室の中に炎症を起こして、腹痛が起こったり出血することがあります。また、腹部膨満感が現れることがあります。

 大腸憩室が複数発生すれば大腸憩室症、そこに炎症が発生すれば大腸憩室炎といい、一括して大腸憩室疾患とも呼びます。原因は加齢や食物繊維の摂取量が少ないときなどです。高齢者の増加や食生活の欧米化がこの病気を増加させているといわれ、治療を必要とする合併症の発生が多くなっています。

消化器:大腸憩室症
大腸憩室症とは?  大腸憩室とは、大腸の粘膜の一部が腸管内圧の上昇により袋状に飛び出した状態をいいます。これが多発した場合、大腸憩室症と呼ばれます。大腸憩室症には、真性(先天性)憩室と、仮性(後天性)憩室とがありますが、大部分は、仮性憩室です。発生する年齢層としては、高齢者に比較的多い病気です。

 憩室が盲腸〜上行結腸にあるものを右側型、下行結腸〜S状結腸にあるものを左側型と呼び、日本人には右側結腸に多く70%を占めます。従来、欧米人は左側のS状結腸に多いとされてきましたが、最近では日本人でも食生活の西欧化に伴ってS状結腸の例が増えています。

 憩室そのものは無害で無症状ですが、ときには、下痢・何便・便秘などの便通異常や腹部膨満感、腹痛などの腸運動異常による症状が現れることがあります。多くの場合では、合併症が起きて気がくことが多いです。

 合併症には「大腸憩室炎」「憩室穿孔」および「大腸憩室出血」があります。憩室出血や憩室炎となるのは、10〜20%で、強い腹痛、下痢、発熱、血便などの症状を伴います。憩室炎がもっと進むと、憩室穿孔という状態になります。

大腸憩室炎 大腸内にできた憩室の中に腸の内容物が入ると炎症が発生しますが、通常は特別な症状はありません。しかし、それが悪化し憩室周囲炎となり、いろいろな症状がでてきます。

 ・便秘・下痢またはこれらが交互にくる
 ・下血
 ・腹痛・腹部膨満感・不快感・圧迫感
 ・重苦しい・吐き気・嘔吐
 ・発熱・排尿障害
憩室穿孔 大腸内にできた憩室の炎症が広がっていくと、ついには腸壁に孔が開く穿孔の状態となり、大腸の内容物が腸腔内に溢れ、腸膜炎を引き起こします。穿孔は多くの場合は自然に塞がりますが、悪化すると腹膜炎へと進化してしまいます。

大腸狭窄 炎症により、腸の壁が分厚くなり、狭くなります。食物が通りにくくなります。
大腸憩室出血 憩室内の蓄積物が周囲の血管を圧迫して、傷ができ、出血することがありますが、ほとんどの場合、自然に治癒します。

しかし、潰瘍を形成し、そこから大量の下血をみることがあります。このような合併症が生じたときは、医薬療法や点滴治療が必要となります。また治療しても治癒しない場合は、手術により腸を切除が必要となることもあります。

大腸憩室症の原因  大腸憩室症の原因の第一は、大腸内圧の上昇です。食生活の欧米化もあって、肉食が増え、食物繊維の摂取量が減少するなどで、便秘や腸管のれん縮に起因して腸管内圧が上昇しやすくなるためです。

 第二の原因は、加齢により大腸の筋組織が脆弱化したことがあげられます。このような部分に、強い圧力が加わると、腸の粘膜が飛び出してしまい、憩室をつくります。

大腸憩室症の診断  大腸憩室症の検査は、注腸造影X線検査が確実です。大腸の内視鏡検査でも憩室があれば粘膜面に楕円形などの窪みとして観察されますが、X線検査よりは検出感度は低いです。しかし、合併症による出血などがある場合には、とても有用な検査方法となります。合併症検査では、腹部超音波、CTスキャン、MRIなどの検査も有用です。

大腸憩室症の治療  特別な合併症がなく、無症状なら特別な治療は必要ありませんが、合併症を予防する意味で、できるだけ食物繊維成分の多い食事を摂取し、便通を整えるのが得策です。

 自覚症状があるときは、薬物投与が必要で、何らかの合併症があるなら、入院の上、絶食・輸液・抗生剤の投与が不可欠です。多くの場合、憩室からの出血はこれらの治療で止血できますが、持続性の大量出血がある場合は、血管造影や内視鏡による止血術を受けます。これらの治療で軽快しないような場合や、再発を繰り返す場合には、外科的治療が必要なこともあります。