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急性肝炎


 急性肝炎とは、広義には肝炎ウイルスの感染や薬物、アルコール、肝炎ウイルス以外の種々のウイルス感染によって引き起こされる広範な急性炎症を起こす肝臓障害をいいます。

 狭義の意味での急性肝炎は、肝炎ウイルスによる急性肝炎のみを指していて、通常、急性肝炎といえば、この狭義の意味で呼ばれます。急性肝炎の原因となるウイルスには、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎、およびサイトメガロウイルスやEBウイルス、ヘルペスウイルスなどがあります。


 日本における急性肝炎の年間発生数は全体で約35万人ほどです。A型肝炎10万人、B型肝炎10万人、C型肝炎14万人が主体であり、D型とE型は滅多におりません。サイトメガロウイルス、EBウイルス、ヘルペスウイルスによる肝炎は散発的に発生する程度です。


どんな病気ですか? ◆「急性肝炎」とは、一体どんな病気なのかご説明します。
どんな病気ですか?  主な急性肝炎の種類には、「急性A型肝炎」「急性B型肝炎」「急性C型肝炎」の3つがあります。

 急性肝炎の症状は、肝炎ウイルス自体が肝細胞を破壊して起こるわけではなく、肝細胞内で増殖している肝炎ウイルスに対しての生体の免疫反応が起こり、抗体ができ、その抗体が肝臓もろともウイルスを攻撃することによって、肝臓が障害を受けてしまうことで発症するのです。

 肝臓に炎症が起こると、発熱、黄疸、全身倦怠感などの症状を来たします。




どんな症状ですか? ◆「急性肝炎」の症状をご説明します。
急性肝炎の症状  感染原因が何であっても、肝炎の症状は同じような発症の仕方をします。発症の仕方や症状から、普通は突発的に発症し一過性のものが「急性肝炎」であり、その症状が半年以上も治まらないものが「慢性肝炎」と呼ばれます。また、非常に激しい症状がでて、1週間〜10日ほどで死に至るものが「劇症肝炎」と呼ばれています。

 急性肝炎は肝炎ウイルスに感染してから数週間〜数か月の潜伏期間後に突然発症します。急性肝炎の一般的症状は、全身倦怠感、食欲不振、および黄疸などですが、色の濃い褐色尿が出現します。

 急性肝炎では、安静にしていることが必要で、入院して治療するのがよく、食欲不振の場合には、点滴をして体力維持に努めます。ほとんどの場合、急性肝炎は数か月で症状は治まります。

急性肝炎の症状の経過
潜伏期  何も症状はみられません
前駆期  黄疸が出現する前の段階であり、全身倦怠感、発熱、頭痛、関節痛、悪心、食欲不振、右脇腹痛などの風邪のような症状が現れます。色の濃い褐色尿が出ます。
黄疸期  前駆期症状が軽快してきて、黄疸が見られるようになります。
回復期  ほとんど自覚症状は現れなくなります。

 急性肝炎の共通的な症状は上記のようなものですが、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎それぞれの症状や特徴を更に詳しく示すと下記のようになります。

急性肝炎の症状
急性A型肝炎  A型肝炎ウイルスに経口感染すると、15〜50日の潜伏期間後に、前駆症状として食欲不振、全身倦怠感、吐きけ、嘔吐、胃部不快感で発症します。

 その後39度C前後の発熱があり、5〜6日目に黄疸や濃い褐色尿が出現します。黄疸出現時には、本人の自覚症状は比較的軽快しています。

 急性A型可燃は、腎機能障害を合併し腎不全を起こしたり、劇症肝炎になることもなしとはしませんが、通常は発病後数か月で自然治癒し、慢性化はしません。

急性B型肝炎  B型肝炎ウイルスに感染すると、60〜90日の潜伏期間後に、突然の発熱、全身倦怠感、関節痛、発疹などの風邪様症状が出現します。食欲不振、吐きけ、嘔吐、腹痛などの消化器症状や黄疸や色の濃い褐色尿が出現します。

 急性B型肝炎は、一過性の感染であり劇症肝炎とならない限りは完全に治癒しますが、持続感染として慢性肝炎に移行し、肝硬変、肝臓がんへと進行することもあります。

急性C型肝炎  C型肝炎ウイルスに感染すると、14〜半年の潜伏期間後に、風邪様の症状が出現します。消化器症状、黄疸などを訴える症例は約半数ほどといわれ、A型、B型に比べると自覚症状は比較的軽いです。



原因は何ですか? ◆「急性肝炎」の原因や発症の仕組みをご説明します。
急性肝炎の原因  急性肝炎の感染原因には様々なものがありますが、急性A型肝炎では、飲食物を介してのウイルスの感染、B型とC型は血液感染が主体です。それぞれの更に詳しい感染原因は次のようになります。

急性肝炎の感染原因
急性A型肝炎  A型肝炎は、A型肝炎ウイルス(HAウイルス)を保有する患者からの糞便などに汚染された飲食物を摂取することで経口的に感染します。

 東南アジアや発展途上国では現在でもA型肝炎は常在伝染病として存在しますが、衛生環境の良い日本での発症は減少しています。しかし、海外からの帰国者が発症する例はあります。

 日本人の高齢者では8割ほどの人がA型肝炎の抗体を持っているので、以前には相当蔓延していたことが分かります。

急性B型肝炎  B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBウイルス)のキャリアと呼ばれる人びとの血液を介して感染します。主に、輸血や注射器の使いまわし、性行為などで感染するとされています。

 また、以前にB型肝炎ウイルスに感染し、無症状のままキャリアとなっていた人が、後になって発症することもあります。

 B型肝炎のキャリアになる要因には、HB抗原陽性の母親からの出産時の産道感染や、2歳以下の小児期感染、免疫不全状態での感染などがあります。

急性C型肝炎  C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCウイルス)のキャリアと呼ばれる人びとの血液を介して感染します。主に、輸血や注射器の使いまわし、はり治療、性行為などで感染するとされています。輸血後肝炎の90%以上はC型肝炎となっています。

 C型肝炎は一旦発症すると、C型肝炎ウイルスを持つキャリアに移行する確率が高く、ゆっくりと肝硬変、肝臓がんへと進展する危険があります。治療にも時間がかかり、高い率で慢性化し、慢性肝炎となってから4〜10年で肝硬変に移行し、さらに12〜17年で肝臓がんに進展するとされています。



診断はどうなりますか? ◆「急性肝炎」の検査方法や診断方法をご説明します。
急性肝炎の診断  急性肝炎の共通的な検査としての肝機能検査では、肝細胞の破壊にともなって、血液中濃度が上昇することになる、酵素AST(GOT)やALT(GPT)などの血中濃度を測定します。

 A型肝炎の疑いがあるときの診断には、肝機能の状態と血中の「IgM−HAV」を測定して確認します。このような検査を迅速に行うキットが市販されています。

 B型肝炎の診断には、血液検査によって肝機能の状態とB型肝炎の状態を示すウイルスマーカーを測定します。ウイルスマーカー検査では、B型肝炎ウイルス感染の指標となるHBs抗原や、状態によってIgM−HBc抗体、HBe抗原、HBe抗体、HBc抗体、HBV−DNAなどを測定します。

 C型肝炎の診断では、先ず、血液検査として、IgM型HA抗体、HBs抗原、IgM型HBc抗体、HCV抗体検査を行います。

 ここで、A型肝炎、B型肝炎でないと確認した後、HCV−RNAを検査し、HCV抗体が陰性か低力値であれば、C型急性肝炎と診断されます。HCV抗体が陽性の場合、数か月後に再検査し、抗体値が上昇していれば急性肝炎、そうでなければHCVキャリアの急性憎悪と診断されます。

 HCV抗体検査が陽性の場合、HCV−RNAが陰性なら慢性肝炎ではありません。感染が確定された後の継続的な検査としては、肝硬変や肝がんの早期発見、早期治療の手段として、肝機能を定期的に検査します。

感染後の肝機能定期検査
肝予備能検査 ヘパプラスチンテスト、ICG15分値、PT/aPTT、Alb、ChEなど

肝の線維化 IV型コラーゲン、ヒアルロン酸など

肝癌の検査 AFP、AFP-L3、PIVKA-II、超音波断層走査、造影CT、MRIなど

病理学的検査 肝生検により肝臓の傷害、リンパ球浸潤や線維化などの組織学的評価



治療はどうやりますか? ◆「急性肝炎」の治療方法をご説明します。
急性肝炎の治療  急性A型肝炎、急性B型肝炎、急性C型肝炎ともに、それぞれの特徴や危険性があります。特に、A型、B型肝炎では、風邪症状や消化器症状があっても黄疸がでるまでは肝炎に感染しているかどうかは分かりません。

 症状から風邪や食あたりと思っても、体力の低下している老人や免疫力の低下している人では、安静にし経過を観察します。

 黄疸や、褐色尿が出現したら、直ちに入院可能な病院で受診しなくてはなりません。