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胆石症

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 肝臓で作られる胆汁は十二指腸へ送られるのですが、この通り道を胆道といいます。胆汁の成分が胆道内などで固化して石のようになったものを胆石と呼び、胆道の中などにこの胆石ができてしまった状態を胆石症といいます。


 胆石ができる部位によって「胆嚢胆石」「肝内胆石」および「総胆管胆石」とがあります。ある程度の大きさの胆石ができると、右上腹部に疝痛発作と呼ばれる強烈な痛みがでます。みぞおちや背部が痛むこともあります。最近では、人間ドックでの超音波検査で、無症状な胆石が見つかることも多くなっています。

 食物から摂取するコレステロールが過剰になると、胆汁内に溶け切らず結晶化し胆石となります。

 治療法としては「胆石溶解薬法」「体外衝撃波胆石破砕療法(ESWL)」および「内視鏡胆石除去法」とがあります。

 胆石保有率は、年齢とともに増加傾向があり、40〜50歳代で4%前後、70歳代では10〜20%と推定されています。また、女性の方が男性よりも多く2倍くらい高い保有率です。食生活の欧米化に伴って増加しているといわれます。

 胆石の発作の原因となる脂肪食やアルコール、過労などを避けるようにし、発作時には直ちに医療機関での適切な治療が必要です。

消化器:胆石症
胆石症とは?
肝臓・胆嚢・肝管・胆管
 肝臓の肝細胞は毎日約1リットルの胆汁を生成しています。胆汁は、細肝管と呼ばれる管に流れ込み、やがてこの細肝管は合流して左肝管と右肝管とを形成していきます。更に、左右の肝管が合流して総肝管(肝内肝管)を形成します。

 総肝管からは「胆嚢管」とよばれる管が出ていてその先にある「胆嚢」とよばれる臓器に繋がっています。総肝管は、この胆嚢管との接続部から下の部分では「総胆管」という呼称に変わります。胆嚢と胆管を合わせて胆道と呼んでいます。

 総肝管は、十二指腸から小腸への入口部分の直前の部位にある、オディ括約筋の直前で、膵臓からくる膵管と合流しています。
 肝臓で休みなく分泌される胆汁は、左右の肝管を経由して、一旦、胆嚢に蓄えられ濃縮されます。胆汁の成分は胆汁酸、コレステロール、リン脂質、ビリルビン、水などです。食事などの刺激が入ると、胆嚢は収縮し、蓄積していた胆汁が、総胆管を経由して十二指腸に流れ込みます。

 十二指腸・小腸に入った胆汁は、脂肪の消化酵素であるリパーゼの働きを助けて、腸での吸収作用を促進させます。同時に、不要な脂溶性老廃物は、胆汁と共に消化管に送り込まれて、最終的には体外に排泄されます。

 さて、胆石症ですが、これは胆汁の流れ道である胆道(胆嚢や胆管)に石のような結晶ができる病気です。肝臓内部にできた石を「肝内胆石(肝内結石)」、胆嚢内部にできた石を「胆嚢胆石(胆嚢結石)」、総胆管にできた場合を「総胆管胆石(総胆管結石)」と呼びます。

 胆石は、その生成成分の種類によっては「コレステロール系結石」と「色素結石(ビリルビンカルシウム結石)」とに分けられます。日本人の胆石は以前は、色素系結石が主体だったのですが、最近では、脂肪摂取量の増加もあってか、コレステロール系が大部分を占めるようになっています。

 胆石症の発作は、天ぷら、うなぎ、焼肉、中華料理などの脂肪分の多い食事を摂取した後、数時間して現れることが多いといわれます。

 無症状のことも多いですが、発作が起きると、右上腹部からわき腹にかけて疝痛発作と呼ばれる強烈な痛みが出現して、右肩や背中に痛みが広がることもあります。発作が起こると、痛みを緩和しようと、体を海老のように曲げたり、転げまわるようになります。痛みは、数分〜数十分間隔で波状攻撃的に襲ってきます。胆嚢炎を合併すると発熱し痛みも増加します。

 極端な場合、胆管に結石ができたために、胆汁が十二指腸方向に流れなくなり、血液中に蓄積し、全身に黄疸が現れることがあります。高熱や上腹部の激痛に加え、意識障害やショック状態となり、死に至ることもあります。

胆石症の原因
コレステロール系結石 コレステロールは、胆汁成分である胆汁酸とリん脂質からなる小さい粒子の中に溶存していますが、コレステロールの割合が多くなり過ぎると、過飽和状態となり溶解しきれずに結晶として胆石が析出します。

コレステロール系結石は、胆汁中のコレステロールが結晶化してものなので、暴飲暴食や肥満、バランスの悪い食生活、ホルモンや薬の作用、ストレスなどの生活習慣が影響しているといわれています。また、加齢、遺伝的素因(胆石家系)、女性、妊娠、傾向避妊薬が危険因子とされています。
色素結石 色素結石は胆汁の成分であるビリルビンに細菌などが作用してできたもので、大腸菌などの腸内常在菌の逆行性感染があると、その菌が放出するβグルクロニダーゼによって胆汁中のビリルビンが変化してカルシウムと結合しビリルビンカルシウムとして析出し結石となります。

黒色石ができる場合がありますが、複数個のビリルビン分子の結合でできるビリルビンの重合体と考えられていますが、詳細は不明です。高齢、溶血性貧血、肝硬変、胃切除術後、心臓弁置換術後などに出易いとされています。

胆石症の診断
問診 胆石症の診断では、問診から始まる一連の診断を行います。
血液検査 血液検査で肝臓や胆道の酵素上昇や胆道感染、胆道がん(腫瘍マーカー)などをチェックします。
腹部超音波検査 胆石が疑われる時には、お腹にゼリーを塗り超音波を当て、胆石があるかどうか、またその大きさ、胆嚢の壁の状態などを調べます。胆嚢結石の98%はこの検査で診断できます。食事の影響を受けるため、絶食後に検査します。

腹部CT検査 腹部内部のCTスキャンの画像を撮影します。胆石の成分や大きさ、位置、がんの有無、がんが周囲の臓器に広がっていないかなどを調べます。
静脈性胆嚢造影検査 造影剤を注射して胆嚢を撮影します。胆嚢の状態(収縮能)を調べる検査で、胆嚢の石を溶かす治療を決定する時に使用します。
内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP) この検査は、口から挿入した内視鏡(胃カメラ)を十二指腸まで入れて、胆管の出口から造影剤を胆管に流して撮影する検査です。胆管の状態を詳細に調査でき、また胆石を除去できますが、検査後に膵炎を誘起することがあるとされます。
経皮経肝胆道造影(PTC) 皮膚から肝臓に細長い針を刺して、胆嚢や肝臓の中の胆管を造影剤で映し出します。
磁気共鳴膵胆管造影(MRCP) 胆管や膵管の検査を造影剤なしで映し出すことができる検査です。このような設備を備える医療機関は限られていますが、苦痛のない検査方法です。
超音波内視鏡検査(EUS) 超音波を発進するプローブを取り付けた内視鏡を口から十二指腸まで送り込みます。そこから超音波を当てて胆嚢や胆管を調べるます。腸管ガスなどに邪魔されず、精度の高い鮮明な画像が得られますが、胃カメラをのむ苦痛が伴います。


 これらの検査で胆石症は詳細に診断されます。しかし、似たような症状を示す病気も多いので、その区別は慎重に行う必要があります。

 胆石症と同様な上部腹部の痛みを引き起こす病気には、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃腸炎、膵炎、食道ヘルニア、逆流性食道炎、腎結石、虫垂炎、腸閉塞、腹膜炎、虚血性心疾患(狭心症)、悪性腫瘍として胆嚢がん、胆管がんなどがあります。

胆石症の治療  胆石症の治療は、胆石が出来た部位により若干方法が異なることがあります。ここでは、それぞれの部位ごとに治療の概略を説明します。

胆嚢胆石(胆嚢結石)  胆嚢結石の場合では、症状の有無や胆嚢機能の有無により治療法が異なります。症状がある場合には、その状態により「胆嚢温存療法」「体外衝撃波胆石破砕療法(ESWL)」、または「胆嚢摘出療法」が取られます。無症状の胆嚢胆石の場合は、年に1〜2回の腹部超音波検査などで経過を観察することになります。無症状でも、胆嚢に結石が充満していたり、胆嚢壁が肥厚していたりするようであれば、手術を行うこともあります。

<胆石溶解療法(胆嚢温存療法)>
 ・胆嚢の機能が保たれ、コレステロール系の結石で、大きさが10〜15mm以下程度で、しかも石灰化がない場合には、ウルソデオキシコール酸を内服して胆石を溶解する方法が標準的な治療法です。溶解するまでに6か月以上の長期服用が必要です。また、一度溶解しても再発する可能性は25%程度と高いです。

 ・溶解が困難な場合でも、発作などを抑制する効果があるので、高齢者やいろいろな状況で手術不適な場合にも適用されます。

<体外衝撃波胆石破砕療法(ESWL)>
 ・胆嚢の収縮機能が保たれ、コレステロール系の結石で、大きさが20〜30mm以下程度で、3個以内、しかも石灰化がない場合に、体外から胆石に向けて高周波の音波(衝撃波)を当てて、胆石を破砕する方法です。

 ・この方法では、経口胆石溶解療法と併用して、66〜82%の治療効果があり、治療後5年以内に30%の再発率があるとされます。また、設備が非常に高価であることもあり、この治療を受けられる医療機関は限られています。

<胆嚢摘出療法>
 ・胆嚢の機能がない場合や溶解療法などが無効な場合、あるいは長期の服薬が困難な場合に、胆嚢の切除を行うことがあります。

 ・「腹腔鏡下胆嚢摘出術」と呼ばれる方法が標準治療法となっていて、胆嚢および胆石を摘出する根治療法です。具体的には、お腹に小さな4箇所の穴を開け、挿入した腹腔鏡(カメラ)で観察しながら、細長い鉗子(かんし)や電気メスで胆嚢を切除します。傷口が小さく、術後の回復も早い優れた方法です。全身麻酔下で行うので痛みはありません。入院日数もわずかで、退院すればすぐに日常生活ができます。

 ・しかし、著しい癒着や炎症がある場合は、「開腹胆嚢摘出術」が必要なこともあります。

胆管胆石(胆管結石)  胆管結石の治療は、結石は除去するのが原則で、「内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)」や「内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)」と呼ばれる内視鏡的方法が標準的治療法です。これらの方法が適用できない場合は、「手術療法」が必要です。

<内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)>
・内視鏡でバルーンを挿入し、胆管の開口部である十二指腸乳頭部を拡張させて、胆管結石を十二指腸内へ押し出します。乳頭機能が温存される利点があります。

<内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)>
 ・内視鏡で、胆管の開口部である十二指腸乳頭部括約筋を切開して、胆管結石を十二指腸内へ押し出してしまう方法です。胆汁の流れを調整する乳頭機能が損なわれる欠点があります。

<手術療法>
 ・開腹して総胆管を切開し胆管結石を除去する「総胆管切開術」が標準ですが、最近では、腹腔鏡下で行うことも増えてきました。手術は大変ですが、十二指腸との接合部の乳頭機能は温存されます。

肝内胆石(肝内結石)  肝内胆石症の治療は、「経皮経肝的胆道結石破砕術」および「開腹手術」とがあります。

<経皮経肝的胆道結石破砕術>
 ・他の結石と同じ要領で、経皮経肝的に結石を破砕することが出来ます。胆管の狭窄を伴うことが多く、バルーンを挿入して拡張する必要があったり、肝内胆管の小枝にまで結石が存在することもあり、全ての結石の粉砕の実施は複雑で時間もかかります。

<開腹手術>
 ・上記の方法ができない場合は、「肝部分切除術」や「胆管空腸吻合術」などの外科手術を行います。

 胆石症は、石が小さいうちでも、胆汁の流れを妨げることで症状が現れやすいですが、胆嚢結石などの場合は、すぐには症状が出ないこともあります。胆石が大きくなる前に早めに発見するためには、年に一度くらいの定期健診などで、肝臓機能検査、超音波検査、CT検査などを行うのがいいです。