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痔ろう・あな痔

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肛門  消化器官の最終部分は大腸ですが、大腸は盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸、そして最後に肛門へと繋がっています。

 肛門の「肛」は、お尻の穴を意味し、「門」は、出入り口を意味します。体内で消化・吸収された食物の残りかすを排泄するデリケートな器官です。

 肛門にかかわる重要な病気に「痔」がありますが、痔には「痔核」「裂肛」および「痔ろう」という三つの症状があります。ほとんどの痔核や裂肛は生活習慣を改善すると症状が軽減されるのですが、



 「痔瘻」は「あな痔」とも呼ばれ、肛門が化膿して膿が流れ出てくる、あるいは膿が滲み出てくる状態の痔で、痔としては最も治療困難な病気です。

 ほとんどの「痔核・いぼ痔」や「裂肛・切れ痔」は、生活習慣の改善で症状を軽減することも可能ですが、痔ろうだけは手術しないと完治は難しい病気です。

 しかし、早期の段階で、熟練した医師の手術を受ければ問題なく完治できるので大丈夫です。ためらわず手術を決心することが重要です。

どんな病気ですか? ▼「痔ろう・あな痔」とは、一体どんな病気なのかご説明します。▼
肛門とは  消化器官の最終部分にある器官です。肛門はデリケートな器官で、長さは約3cmあります。肛門の周囲は、「内肛門括約筋」と「外肛門括約筋」という二つの筋肉が取り囲んでいます。これらは排便時以外は閉じていて、肛門から便が漏れ出ることはありません。

 肛門粘膜の近くにある内肛門括約筋は、不随意筋で、自律神経によって支配されていて、本人の意思とは関係なく肛門を一定の力で締め付けていて、眠っているときでも便が漏れたりはしません。

 一方、外肛門括約筋は、随意筋で、脊髄神経に支配されていて、本人の意思で緩めたり、締めたりすることができます。急に便意をもよおしても我慢できるのは、この筋肉のお陰です。

 直前の結腸で水分を吸収された便が直腸へ降りてきて、直腸が拡げられると、自律神経の反射作用で便意が起こります。本人が排便したいと思うと、外肛門括約筋が緩んで、排便できるようになります。

 直腸と肛門部の接合部は、肛門のふちより約1.5cm奥の方にあり、歯のようにギザギザ状なので歯状線とよばれています。この歯状線の奥側は自律神経の支配下にあり、異常があってもほとんど痛みは感じません。歯状線より、お尻に近い外側部分は、皮膚と同様に脊髄神経(体性神経)の支配下にあるので、異常があれば敏感に痛みを感じます。

痔ろう・あな痔とは
痔ろう・あな痔  痔は肛門部および、肛門付近にできる病態であり、二つの異なる神経系の支配下にあるために、痔の発症部位によって、痛みの症状は異なります。痔の種類には、このページでご説明している「痔ろう(あな痔)」の他にも「痔核(いぼ痔)」および「裂肛(切れ痔)」という三種類があります。

 何かの原因で肛門の内側や外側で炎症が起こり、その部位から化膿して膿が発生し、それが外に流れ出たり滲み出るような状態が痔ろうです。

 痔ろうになると、肛門内部から膿が流れでるための「ろう管」と呼ばれる穴ができ、その穴がいつまでも治らず、膿が出続けるような状態となります。

 この原因となる肛門周囲に膿が蓄積した状態は「肛門周囲膿瘍」といい、肛門周囲の腫れと発熱、激痛を伴います。放置すると、やがて肛門がんに進行することもあります。

 なお、痔ろうの発症は男性の方が圧倒的に多く約80%を占めています。男性の方が女性よりも肛門括約筋の力が強く、肛門陰窩に細菌が押し込まれやすいのではないかとされています。

痔ろう・あな痔の分類  痔ろうは、病巣の発生部位が浅いか深いか、ろう管の通り道などによりT型〜W型に分類されています。

 通常、患部が比較的浅いI型とII型は「浅部痔ろう」と呼ばれ、III型とIV型は「深部痔ろう」と呼ばれています。

 I型が最も軽症、II型とIII型が中等症、IV型が重症です。

痔ろう・あな痔の分類
ろう管区分 特徴
I型 皮下痔ろう  肛門の皮膚と内括約筋との間を下に降りてくるもの
粘膜下痔ろう  肛門の皮膚と内括約筋との間を上にいくもの
II型 内外括約筋痔ろう 低位筋間痔ろう  内括約筋と外括約筋の間を下に降りてくるもの。
高位筋間痔ろう  内括約筋と外括約筋の間を上にいくもの。
III型 坐骨直腸窩(肛門挙筋下)痔ろう  外括約筋の外側を通るもの。
IV型 骨盤直腸窩(肛門挙筋上)痔ろう  肛門挙筋上を通るもの。

 痔ろう・あな痔は、その型により重症度が異なるだけでなく、重症度が増すにつれて手術の難易度も高くなります。ごく軽症の痔ろう・あな痔は自然治癒の可能性もなしとはしませんが、多くの場合に自然治癒は期待できず、一般に手術は不可欠です。

 特に、IV型に対しては、がんに進行する可能性が高くなります。



どんな症状ですか? ▼「痔ろう・あな痔」の症状をご説明します。▼
痔ろう・あな痔の症状  痔ろうはごく初期の段階ではたまに膿が滲みでるだけで痛みはないですが、ある程度進行して「肛門周囲膿瘍」と呼ばれる段階まで至ると、痔ろうの典型的症状として、肛門部からの膿の流れ出しや滲み出しがいつまでの止まらないことと、それにともなう発熱や激痛が走るようになります。

 痔ろうでは、肛門から膿の混じった分泌液が出たり、肛門周辺部の皮膚に痒みや不快感を伴う、湿疹や皮膚炎などの症状が現れることもあります。

 早期治療を躊躇していると、やがて肛門がんに進行してしまう危険性が高いです。


原因は何ですか? ▼「痔ろう・あな痔」の原因や発症の仕組みをご説明します。▼
痔ろう・あな痔の原因  痔核・いぼ痔や裂肛・切れ痔の原因は、便秘や下痢などで頻繁に力んだり、頻繁にトイレに通ったりして肛門に負担を掛けることで起こります。また、妊娠後期で子宮が左右の腸骨静脈を圧迫して分娩時に力むと内痔核になることがあります。

 また、長時間、座ったままの人、立ったままの人など同じ姿勢が続くと、肛門がうっ血して痔核の原因となります。ウエイトリフティング、トランペットなどの趣味でお腹に圧力をかける運動も痔核の原因となります。

 唐辛子などの香辛料は、ほとんど体内で吸収されないで便として排泄されます。そのため、便の中に残っている刺激成分が肛門を刺激し、炎症の原因となり、裂肛・切れ痔や痔ろう・あな痔の原因になることがあります。

 痔ろうは、しばしば大腸菌や結核菌による肛門部の感染、クローン病や潰瘍性大腸炎などが原因で起こります。歯状線直上に開く肛門小窩から肛門線側に細菌が侵入して潰瘍を作り肛門周囲膿瘍になって痔ろう・あな痔を引き起こします。


診断はどうなりますか? ▼「痔ろう・あな痔」の検査方法や診断方法をご説明します。▼
痔ろう・あな痔の診断  通常、すべての痔の検査は「触診」と「観察」で行われます。患者は、横向きに寝て、膝を曲げ、医師に対してお尻を突き出した格好をします。医師は薄手の手袋をして、肛門に指を入れてグリグリして肛門内部の様子を探ります。

 これで大体のことは分かります。全裸になるわけではないので恥ずかしくもありません。

 痔ろう・あな痔の場合には、肛門内部から肛門外部に通じる穴があるので目視観察でも分かります。痔ろうの症状や範囲を確認し、さらに手術の方法を検討するために、必要に応じて内視鏡検査が行われます。


治療はどうやりますか? ▼「痔ろう・あな痔」の治療方法をご説明します。▼
痔ろう・あな痔の治療方針  痔ろうの治療方針ははっきりしています。痔ろうが発症している場合には肛門内部で激しい炎症が起こっているために、ろう穴がいつになっても塞がることなく、膿が滲みだしつづけます。

 痔ろうの治療法はとても厄介です。痔ろうは、単に悪い生活習慣を改善するだけでは、治療法としての効果はほとんど期待できません。痔ろうの治療法は決定的に「手術療法」しかありません。外科手術が痔ろうを完治させる唯一の方法です。

 手術を恐れてためらっていたり、診察が遅れて症状が進行してしまうと、極端な場合には、手術自体が困難になってしまい、最終的に「肛門管がん」や「痔ろうがん」に発展してしまう危険性があります。また、痔ろうの場合、他の痔の症状とは異なり、お尻を温めるのは逆効果です。

痔ろう・あな痔の手術療法  痔ろうの手術法には「ろう管切開開放術」と「括約筋温存術」という二つの方法があります。

痔ろう・あな痔の手術療法
ろう管切開開放術  痔ろうでの膿の通り道に沿って、膿の出口から入口までを切開し、そのまま開放する手術法で、主にT型とU型について行われる手術法です。

 医師の経験によって失敗例も多くありますので、経験豊富な医師の手で手術してもらうことが大切です。失敗例では、肛門括約筋が傷つき、便がもれやすくなるなどです。

括約筋温存術  この方法では、膿の出入り口部分を取り去り、入口のみを縫い合わせる手術法で、主にV型とW型の痔ろうについて行われる手術法です。肛門括約筋には手をつけませんので、安心です。