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バセドウ病とは?
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バセドウ病は、甲状腺の自己抗体によって、甲状腺がびまん性に腫大する自己免疫疾患に属する病気です。グレイヴズ病とも呼ばれます。
甲状腺ホルモンは、身体の新陳代謝を高めるホルモンです。バセドウ病では、自己の体内に甲状腺を刺激する抗体ができてしまい、それがTSHと呼ばれる甲状腺刺激ホルモンの代わりとなり、甲状腺を過剰に刺激します。その結果、甲状腺ホルモンが必要以上に過剰に生成されてしまう状態となります。
甲状腺ホルモンが異常に多くなることで、身体の新陳代謝が異常に活発化し、心身に多様な影響を及ぼすようになります。
この病気の典型的症状は「甲状腺肥大」「眼球突出」および「頻脈」でこれをメルゼブルク (Merseburg) の三徴と言いいます。この他に、全身症状、顔つきの変貌、神経・精神症状、循環器症状、消化器症状、皮膚症状、筋骨症状、女性特有症状、および血液値変化など多数の症状が現れます。
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全身症状
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あらゆる臓器が常に全力で機能する状態となるために大量にエネルギーを必要として、食欲が異常に増進します。しかし、エネルギー消費が異常に大きいために通常は体重が減少します。代謝以上に食欲が増進してしまうと太ることもあります。
暑がり、疲れやすい、だるい、体重減少、または体重増加、微熱
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顔つき変貌
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眼球突出、眼球運動障害(複視、物が二重に見えたりする)、視神経症、首の甲状腺の両側腫大、目つきがきつくなる、まぶたの腫れ、脱毛
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神経・精神症状
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内分泌のバランスが崩れて精神的に不安定になる。
神経質、精神的高揚、いらいら感、落ち着かない、感情的、集中力低下、不眠、落ち込み
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循環器症状
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心臓機能の亢進から収縮期高血圧、時に心房細動を来たす。
動悸、息切れ、頻脈、不整脈、心不全、むくみ
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消化器症状
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異常な食欲亢進、または食欲低下、口の渇き、軟便、排便回数増加、下痢、食べても食べても痩せる
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皮膚症状
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新陳代謝の活発化から発汗過多を来たす。異常に暑い、異常な発汗、脱毛、かゆみ、皮膚の黒変
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筋骨症状
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脱力感、筋力低下、骨粗鬆症、手足のふるえ
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女性特有症状
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生理不順、月経不順、無月経、不妊
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血液値変化
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コレステロール値低下、血糖上昇、血圧上昇、肝障害
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バセドウ病の原因
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甲状腺は、食物中のヨードを材料にして、2種類の甲状腺ホルモンT3(トリヨードサイロニン)とT4(サイロキシン)を合成し、血液中に分泌する臓器です。
甲状腺ホルモンの分泌量は、脳にある脳下垂体から分泌されるTSHと呼ばれる甲状腺刺激ホルモンにより調整されていて、適量の甲状腺ホルモンが血液中に存在して、健康な状態が維持されます。
ところが、何らかの原因で免疫機能の異常が起こり、自分の甲状腺を異物とみなしてしまい、甲状腺の表面にあるTSHレセプター(受容体)に対する自己抗体(TSHレセプター抗体:甲状腺刺激ホルモン受容体刺激抗体)が作られることがあります。左図で示すように、このレセプター抗体はTSHレセプターに結合し、甲状腺を刺激するために、甲状腺ホルモンT3・T4が過剰に生成され続けることになります。
これにより、バセドウ病は心身各部に多大な影響を与えることとなるのです。
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バセドウ病の診断
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バセドウ病は、甲状腺機能の亢進症なので、基本的には、バセドウ病特有の臨床症状がある他に、血液中の甲状腺ホルモン濃度を測定すれば検査できます。通常、TSHは非常に低値となり、TSHレセプター抗体が陽性で、フリーのT3とフリーのT4が高値となります。診断基準は下表のようになります。
何らかの臨床症状がある上で、遊離T3または遊離T4の値が高く、それが3か月以上継続しているなら、バセドウ病の疑いがあります。そして、抗TSH受容体抗体(TRAb, TBII)または刺激抗体(TSAb)の少なくともどちらかが陽性なら、かなり確からしいバセドウ病です。更に、放射線ヨード甲状腺摂取率が高い値であり、シンチグラフィでびまん性が認められるなら、確実なバセドウ病です。
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臨床所見
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バセドウ病の臨床所見として、頻脈、体重減少、手指振戦、発汗増加等の甲状腺中毒症が現れていて、びまん性甲状腺腫大し、かつ眼球突出または特有の眼の症状などが現れていないか確認します。
また、必要なら甲状腺腫大の詳細観察として、超音波検査による、甲状腺の状態を観察し、甲状腺の大きさ、甲状腺の内部に結節(しこり)がないかどうかを検査します。
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甲状腺ホルモン測定
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甲状腺機能を把握するために、血液を採取し、甲状腺ホルモンのフリーT3・T4と甲状腺刺激ホルモンTSHを測定します。バセドウ病では、通常、フリーのT4ホルモンが高い値となり、TSHが測定できないほど低い値となります。
・遊離T3、遊離T4のいずれか一方または両方高値
・TSH低値(0.1μU/mL以下)
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TSH受容体抗体 (TRAb)の測定
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抗TSH受容体抗体(TRAb, TBII)、および刺激抗体(TSAb)を測定します。バセドウ病であれば、少なくともどちらかが陽性となります。
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シンチグラフィ
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放射線ヨード甲状腺摂取率高値、シンチグラフィでびまん性が観察されます。
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バセドウ病の治療
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バセドウ病の治療法には、「投薬療法」「アイソトープ治療(放射線ヨード治療)」および「外科手術」などの方法があります。
通常は、抗甲状腺薬の投与から治療から開始します。薬の効果がない場合や、副作用などのために継続が困難な場合には、アイソトープ治療(放射線ヨード治療)を行います。アイソトープ治療法は、バセドウ病を短期間に確実に治療できると期待されます。
バセドウ病に他の甲状腺腫陽などを合併している場合には、外科手術を行うことがあります。
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投薬療法
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甲状腺ホルモンの合成を抑制する薬として、メチマゾール(メルカゾール)、またはチウラジール(プロバジール))などの抗甲状腺薬を、規則的に服用します。効き目が早く、薬の量も少量で副作用も軽減できるので、メチマゾールの方がより使用されます。
適切な服用量を定めるために、定期的に甲状腺ホルモン量を測定し、血液中の甲状腺ホルモン濃度を正常に保ちます。通常人と同じようは日常生活ができますが、甲状腺刺激抗体が消滅するまで薬の摂取は長期的に必要です。場合によっては、生涯やめることができません。
副作用として、薬による皮膚の発疹が出ることが多々あります。稀には、肝炎、血管炎、SLE様症状(発熱、関節痛、紅斑など)が起こることもあります。また、極めて稀な例としては、白血球の一つである顆粒球がなくなる無顆粒球症がでることもあります。副作用がでて、薬の継続が困難な場合は、直ちに、アイソトープ治療へと移行しなくてはなりません。
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アイソトープ療法
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アイソトープ(放射性ヨード)療法は、ヨードの放射性同位元素を服用して、甲状腺の細胞数を減らす方法です。放射性ヨードの入ったカプセルを一回服用するだけの簡単な方法です。放射性ヨードを服用すると、2〜6か月で甲状腺ホルモン量は減少します。
甲状腺の細胞数が減少することにより、甲状腺ホルモンの分泌量が減少します。一般に、甲状腺は海藻類などから摂取されるヨードから甲状腺ホルモンを生成します。ヨードは甲状腺に集まる性質があるので、放射性ヨードを摂取すると、この物質は甲状腺のみに集まり、そこから出る放射線の作用より、甲状腺細胞の一部が破壊されます。その結果として、甲状腺ホルモンの分泌量が減少するのです。
放射性ヨードの半減期(放射能が半分になる期間)は、約5日で、服用後しばらくすれば、実質上消滅します。
アイソトープ法は、投薬療法より簡単で、効果もあるのですが、時間の経過と共に細胞数が減少しすぎて、逆に甲状腺ホルモン量が不足して、甲状腺機能低下症になる人がいます。この場合は、甲状腺ホルモン剤を服用しなくてはなりません。ホルモン剤による副作用はありませんが、服用は一生続ける必要があります。
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外科手術
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外科治療(甲状腺亜全摘)では、甲状腺の一部を残して、大部分を切除します。入院手術により、バセドウ病は早期に完治します。
しかし、手術後、年数が経つにつれて、甲状腺ホルモンの分泌量が不足する、甲状腺機能低下症になる人がでてきます。この場合は、甲状腺ホルモン剤を服用しなくてはなりません。ホルモン剤による副作用はありませんが、服用は一生続ける必要があります。
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