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身体の病気

尿失禁とは


 〔尿失禁〕とは、簡単にいえば、自分の意思に反して、尿が漏れ出してしまう症状のことです。

 幼児などでの〔夜尿症〕などもその一つですが、〔尿失禁〕というときは、主に成人してから、何らかの身体・精神状態の病気や異常などが原因で、このような尿漏れが起こる状態を指しています。

 昔なら、高齢になると、どうしても〔尿失禁〕は起こるものとされ、歳のせいとされた時代もありました。


 最近では〔尿失禁〕の症状があると、どうしても日常生活に多くの制約が加わることから、生活の質の向上を目指して積極的に治療されるようになっています。

 いろいろな原因による〔尿失禁〕がありますが、それぞれの原因に即した治療方法や治療薬が開発されていますので、〔尿失禁〕は、多くの場合、適切な治療を受ければ治癒あるいは改善が期待できる病気となっています。

 〔急性尿失禁〕の中には6つほどの種類があります。ご覧になっているこのページでは、これら全部の解説をしているのですが、全部の種類が出てくるためにちょっと分かり難くなってしまいました。

 ということで、それぞれの〔尿失禁〕を個別にご説明するページを上記の表のように作りましたので、個別の種類を簡単に知るにはそちらをご覧ください。


どんな病気ですか? ◆「尿失禁」とは、一体どんな病気なのかが分かります。
尿失禁はどんな病気?  自分の意思とは関係なく、尿が漏れてしまうのを尿失禁といいます。くしゃみした拍子に漏れてしまうもの、トイレが間に合わずに漏れてしまうもの、何らかの病気で膀胱に尿がたまり、これが一気に溢れ出るものなどがあります。

 尿失禁には、身体状態や精神状態など多くの原因により起こります。原因に即した適切な治療を受ければ治癒あるいは改善が期待できる病気です。

尿失禁の種類  尿失禁は大きくは、「真性尿失禁」と「仮性尿失禁」とに分けられる病気です。

 真性尿失禁は、尿路異状による尿失禁で「尿道外尿失禁」とも呼ばれます。

真性尿失禁
真性尿失禁  真性尿失禁は、「二分脊椎」「神経因性膀胱」「骨盤骨折」「手術」などの原因により、尿路・尿道の括約筋機能が傷害され、膀胱に尿が蓄えられなくなり、尿道より常に尿が漏れ出る病気です。この場合は、外科的な手術なしでは治すことができません。


 仮性尿失禁は、いくつかの種類がありますが、いずれも尿路そのものには特別な異常は無いものの、尿路周辺の臓器などに異常や精神的な障害などがあって、失禁が起こる場合をいいます。仮性尿失禁には「腹圧性尿失禁」「溢流性尿失禁」「切迫性尿失禁」「反射性尿失禁」「機能性尿失禁」および「夜尿症」などの種類があります。

仮性尿失禁の種類
腹圧性尿失禁  腹圧性尿失禁は、日常生活の中で、くしゃみしたり咳、大笑い、重量物を持ち上げたとき、階段の急な駆け下りなどで、尿道の抵抗よりもお腹の中の圧力が高まってしまって尿がもれてしまう尿失禁です。

溢流性尿失禁  溢流性尿失禁は、「奇異性尿失禁」とも呼ばれる尿失禁です。前立腺肥大などの病気によって尿道が物理的に圧迫されるために、腹圧をかけても排尿ができず、尿が膀胱内に大量に貯まってしまい、入りきらなくなった尿が少量ずつ失禁してくるようになる病気です。失禁したことが本人にも分からない場合が多くあります。

切迫性尿失禁  切迫性尿失禁は、突然激しい尿意を生じて、トイレに行くまで我慢できずに排尿が始まってしまう状態です。

 切迫性尿失禁の原因には、「運動性切迫性尿失禁」と「感覚性切迫性尿失禁」とがあります。前者は、脳出血や脳梗塞などのために大脳の排尿中枢が障害されるなどで起こります。後者は、前立腺肥大症や膀胱炎などの疾患が原因で強い尿意が生じて、膀胱が収縮してしまうために尿が漏れ出す症状です。

反射性尿失禁  反射性尿失禁は、膀胱に尿が貯まっても、脊髄損傷などのによる上位感覚神経の障害があるために、尿意が大脳まで伝達できなくなって生じます。

 膀胱には物理的に十分な尿が貯まっているのに、大脳は尿意を感じません。結果的に、自分の意思とは無関係に、膀胱からの感覚は脊髄反射から直接的に、膀胱括約筋を刺激し反射的に膀胱収縮が起こし、尿が失禁する状態です。

機能性尿失禁  尿路や排尿機能自体は正常であるにもかかわらず、身体精神障害のために、トイレまで行くことができない、トイレに行きたがらない、間に合わないなどで、尿が漏れてしまう症状です。

 一般的には、脳卒中などの後遺症などで、自由に身体を動かせない状態になった場合や、アルルは今ー病などの痴呆などによる精神機能障害の場合に起こります。

夜尿症  夜尿症は、尿路や神経系に特別な障害がなく、目覚めているときは全く正常に排尿できるのに、睡眠中に無意識に尿を漏らしてしまう状態です。

 乳幼児ではよくあることですが、小学校高学年になっても続くようなら、夜尿症と考えられます。一般的に、尿路奇形や神経系の障害がなければ、自然治癒する症状です。





どんな症状ですか? ◆「尿失禁」の症状が分かります。
尿失禁  このページの上部の「尿失禁の種類」の項で既にご説明していますが、尿失禁とは、自分の意思とは関係なく、尿が漏れてしまう状態または病気です。

 症状は不随意に尿が漏れ出すという状態でも、それを引き起こす原因や症状にはいろいろなものがあります。

尿失禁の症状
腹圧性尿失禁  腹圧性尿失禁は、若い女性~中年の女性に多い尿失禁です。腹圧性尿失禁の症状は次のようなときに現れます。

 ・咳やくしゃみ、スポーツなどで腹圧がかかると尿が漏れる。
 ・重いものを持ち上げようとして力んだ瞬間に尿が漏れる。

溢流性尿失禁  溢流性尿失禁の典型的な症状は次のようなものです。

 ・尿意がはっきりしない。
 ・お腹に力を入れないと尿が出ない。
 ・排尿開始までに時間がかかる。
 ・排尿に勢いがなく、チョロチョロとしか出ない。
 ・排尿しても残尿感がある。
 ・夜もトイレが近かったり、漏れることもある。
 ・尿が出にくく、漏れることもある。

切迫性尿失禁  切迫性尿失禁の典型的な症状は次のようなものです。

 ・トイレに行きたいと思っても間に合わず尿が漏れてしまう。
 ・尿意を感じて少しは我慢できるが、下着を降ろしている内に漏れてしまう。
 ・冷たい水を使ったときなどに、急に尿意を感じる。

反射性尿失禁  反射性尿失禁の典型的な症状は次のようなものです。

 ・尿意を感じないのに尿が漏れてしまう。
 ・膀胱に刺激が加わると反射的に尿が漏れてしまう。

機能性尿失禁  高齢者などで「ADL(Activities of Daily Living)」と呼ばれる日常生活動作(食事・更衣・移動・排泄・整容・入浴など)の機能が低下して起こる機能性尿失禁の典型的な症状は次のようなものです。

 ・トイレまで間に合わない。
 ・トイレが汚れて困る。
 ・洋服が汚れる。
 ・転倒の危険があって怖い。
 ・臭い。
 ・夜のおむつ交換が大変になる。
 ・寝たきりだが良いおむつはない。

 また、痴呆が原因で、尿失禁する場合には、次のような症状が出ます。

 ・尿意がはっきりと分からなくなる。
 ・トイレの場所がわからなくなる。
 ・トイレに誘うと怒る。
 ・トイレと違う場所で排泄する。
 ・引き出しや家具などに排尿排便して隠そうとする。
 ・トイレがひどく汚れる。
 ・トイレや体が汚れても、本人は気がつかない。
 ・お漏らしをみとめようとしない。
 ・おむつをしても勝手に取り去ってしまう。
 ・便をこねまわしてしまう。

おねしょ・夜尿症  おねしょ・夜尿症には、「多尿型」「膀胱型」および「混合型」という3つの型があります。その子がどの型の夜尿症なのか知ることができると、必要なら治療することもできます。

 その子の夜尿症・おねしょ型を知る方法は、「夜間尿量」および我慢できる尿の量である「膀胱容量」の測定によります。



 ・多尿型の子はお布団に大きな地図をかく「多ちょん」をします。
 ・膀胱型の子は、膀胱尿量が少ないためにおねしょしてしまいます。
 ・混合型の子は、多尿型と膀胱型の両方の要因でおねしょします。



原因は何ですか? ◆「尿失禁」の原因や発症の仕組みが分かります。
腹圧性尿失禁  腹圧性尿失禁は女性に多く起こるのですが、その原因は女性の身体構造が関係しています。原因には「骨盤底筋群の緩み」「尿道括約筋が弱い」および「子宮・卵巣の異常による圧迫」などがあります。

 男性でも腹圧性尿失禁は起こりますが、この場合は、前立腺手術などで、尿道上部や膀胱頚部が傷ついたことなどが原因となります。

 また、男女共に、肥満はより多くの内臓の加重を膀胱に加えるため、尿失禁の原因となることがあります。

腹圧性尿失禁の原因
骨盤底筋群の緩み  女性の多くは加齢や肥満、妊娠などにより骨盤底筋が緩み、支えられていた膀胱や尿道がお尻の方へ下降します。このため、くしゃみなどでちょっとした腹圧が加わった瞬間に尿道の締りが悪くなり、尿が漏れ出します。

 妊娠中の女性では、退治の重みで同様な状態となり腹圧性尿失禁は顕著になります。しかし、お産が済めば自然に正常な状態にもどります。

尿道括約筋が弱い  女性の出産や骨盤の手術などが原因で尿道の括約筋が弱くなることで尿失禁が起こります。尿道括約筋が弱くなり膀胱や尿道の「締り」が悪くなっている状態です。もともと、女性では、男性の尿道長が20cm程度あるのに対して、女性では4cm程度と短いことや、尿道をしめる前立腺がないため、括約筋が弱いのです。

子宮・卵巣の異常による圧迫  女性の出産や骨盤の手術など以外でも、尿道や子宮・卵巣の位置異常などがあると、尿道括約筋が弱くなり、膀胱が圧迫されて尿失禁が起こります。


溢流性尿失禁  男性の前立腺肥大や前立腺がん、尿道狭窄などの疾病があると、尿が出にくくなる排尿障害が起こります。女性でも、尿道狭窄や糖尿病などによる膀胱の収縮不全による排尿障害が起こることがあります。

 排尿障害があり、満杯の尿が溜まった状態の膀胱に、さらに腎臓から新しい尿が流れ込んでくると、膀胱の許容量を超えた分の尿だけが溢れ出すことになります。膀胱に排尿障害があり膀胱内の圧力が高まり、しかも膀胱の筋肉の収縮力低下があると、尿が少しずつ漏れ出すのです。

切迫性尿失禁  脳や脊髄に異常や障害があると、膀胱の収縮を抑える力が弱くなり、膀胱にある程度尿が蓄積してくると、これを止めることができなくなり、頻尿になったり、膀胱が勝手に収縮してしまい、自分の意思にかかわらず、尿失禁が起こります。

 潜在的な原因としては、急性膀胱炎、慢性膀胱炎、女性ホルモンの低下、尿道や膀胱の炎症などによる知覚神経過敏などがあります。また、高齢者では、加齢によりこのような症状を招くことが多くなります。

反射性尿失禁  交通事故等により脳や脊髄損傷などの上位神経が障害されることが起こる場合があります。このような上位感覚神経の障害があると、尿意が大脳まで伝達できず、大脳が尿道括約筋を制御できなくなります。

 このような下位運動神経の脱抑制状態では、膀胱に刺激が加わると、意思とは関係のない不随意な反射性の膀胱収縮が起こり、尿を失禁します。

機能性尿失禁  膀胱や尿道など泌尿器に特別な異常がないのに、身体や精神上の問題があって起こる尿失禁です。この原因には、「身体運動障害」がある場合と、「老人性痴呆」がある場合などがあります。

機能性尿失禁の原因
身体運動障害  身体の運動障害のために、トイレに行くことができない、あるいは排尿動作に時間がかかり間に合わないなどが起こります。

 このような状態になる原因としては、「脳卒中(脳出血・脳梗塞)」などの後遺症による動作障害や、「関節リウマチ」や「腰椎・大腿骨骨折」などによる身体運動障害などがあります。

老人性痴呆  最も典型的なのは、アルツハイマー型の老人性痴呆です。このような疾患を持つ人は、排尿機能などに特別な異常がなくても、トイレの場所が分からない、別の場所をトイレだと思い込むなどの認知障害のために、トイレ以外で排尿してしまいます。


夜尿症  小さい子どもおねしょは、夜間の睡眠中に体内で作られる尿の量に対して、その尿を溜める膀胱の大きさが不足するために、無意識に膀胱からオシッコが漏れてしまうのが原因です。

 乳児や4歳以下の幼児では、夜の睡眠中におねしょしてしまうのは、成長段階に身体がまだ未発達なためであり何も心配はありません。

 小学校低学年くらいまでは、たまにおねしょを漏らすことがあっても特に問題とはなりまえんが、小学校高学年になって、頻度が多いときは、何か原因となる身体・精神的障害があるかも知れません。専門医と相談するのがよいでしょう。


診断はどうなりますか? ◆「尿失禁」の検査方法や診断方法が分かります。
尿失禁  尿失禁の診断は、「問診」「採尿検査」「腹部超音波検査」および「ウロダイナミクス検査」などにより行われます。

尿失禁の検査
問診  問診で、現在の日常生活や排尿状況、失禁の起こる状態を確認します。問題の原因を見極め、今後の治療方針を定めるために役立てます。

採尿検査  尿を採取し、尿の各成分の成分分析、血球や細菌の有無などを調べて、泌尿器系の病気などを診断します。

 尿失禁の詳細を把握するために、最低3日間の尿失禁状態の記録をとります。排尿回数、時刻、尿失禁の有無、失禁時の漏れ量などを記録します。これにより、尿失禁の型が判定できるようになります。

腹部超音波検査  腹部超音波検査で、肺女御の膀胱内の残尿量を調べます。残尿量が多い場合には、「溢流性尿失禁」の可能性が高まります。また、前立腺障害や腎臓障害などの異常の有無などの判定にも役立ちます。

ウロダイナミクス検査  ウロダイナミクス検査は、「尿流量測定」「膀胱内圧力測定」「リークポイント・プレッシャー測定」「尿道括約筋・筋電図測定」および「プレッシャーフロー・スタディ」など多くの検査があります。

ウロダイナミクス検査
尿流量測定  尿の出はじめから終わりまでの量変化の測定で、グラフから排尿障害の有無を調べます。

膀胱内圧力測定  尿道から膀胱へ測定機器を挿入し、生理食塩水を注入します。膀胱内の溜まりから排尿にいたるまでの膀胱内圧を測定し収縮パターンを解析します。内圧や収縮力から、どの型の尿失禁か判定します。

リークポイント・プレッシャー測定  膀胱に水を満たした状態で腹圧をかけ、尿が漏れ出す瞬間の尿道や括約筋の働きを調べ、腹圧性尿失禁かどうかを判定します。

尿道括約筋・筋電図測定  尿の溜まりはじめから排尿までの、尿道括約筋の筋電図をとり、尿道括約筋の収縮不全が原因の腹圧性尿失禁かどうかを判定します。

プレッシャーフロー・スタディ  尿流量測定と膀胱内圧測定を同時に行い、排尿障害の原因を突き止めます。




治療はどうやりますか? ◆「尿失禁」の治療方法が分かります。
尿失禁の治療方針  尿失禁の治療法は、尿失禁の発症原因により異なります。通常、行われる治療法には「骨盤底筋体操」「薬物療法」「電気刺激療法」および「外科的療法」があります。

 尿失禁の型に応じて、これらの治療法を単独あるいは併用して治療を行うことになります。

骨盤底筋体操  「腹圧性尿失禁」の治療で絶大な効果があるのは、「骨盤底筋体操」と呼ばれる方法です。この体操を始めると、大部分の人に、1~3か月くらいで目に見える効果がでてきます。

 肛門と膣の「締める」→「緩める」→「締める」というパターンを繰り返します。これを行う動作は、椅子に座って、机に手をついて、仰向けにねて、立ち上がっている状態でなど自由ですが、5秒間「締め」たら、次に5~10秒間「緩め」、これを最低でも10回くらい繰り返します。苦しいですが、20回くらい頑張れるなら最高です。

薬物療法  腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁の治療に使われる医薬には、「抗コリン剤」「βアドレナリン受容体刺激薬」および「αアドレナリン受容体刺激薬」などがあります。

 薬物療法は、尿失禁に適した医薬を正しく使用しないと、逆に症状が悪化したり、思わぬ副作用がでることがあるので、医師の指示に厳密に従わなくてはなりません。

電気刺激療法  膀胱のある部分の骨盤表面に電極を貼り付け、電圧と周波数と時間を調整しながら一定のパルスはを送り、これを一回の処方で20~30分くらい続けます。これにより、骨盤底筋群を鍛える効果が生まれます。

 この療法は、切迫性尿失禁や腹圧性尿失禁の治療に効果があります。また、この刺激により膀胱が過敏に収縮するのが抑制できるとの報告もあります。

外科的療法  腹圧性尿失禁に対して、外科的な手術を行う療法です。例えば、開腹して膀胱と尿道の部分を恥骨の裏側に縫い付けて、後ろに落ちないように固定するなどの手術です。このような外科的療法には、「MMK法」「膀胱頚部つりあげ術」「スリング法」および「コラーゲン注入法」があります。

 また、切迫性尿失禁の外科的療法として「膀胱拡大術」があります。膀胱自体を大きく作り直す外科手術ですが、治療効果が確実かどうか疑問も残ります。

 外科的療法では、深刻な合併症が起こるとの情報もあるので、安易には行わない方がよいでしょう。