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身体の病気

屈折異常


 無限遠方を見ているとき、人の眼は最もリラックスし、水晶体には何も力が加わらない自然な状態になります。

 このとき、下図で示すように、正常な眼ならちょうど網膜の上に焦点が結ばれます。

 現実の物体はいろいろな距離に存在するので、人が物を見るときには、水晶体の厚さを適度に変えることで光線を屈折させ、網膜の上に鮮明な像を結ばせます。



 人の眼は網膜の上に焦点を結ぶように無意識に調整される機能をもっています。

 水晶体は近くのものを見るときには厚くなり、遠方を見るときには薄くなって、状況に応じて、網膜の上に鮮明な像を映し出すのです。

 ところが、水晶体の調整機能が不十分だったり、水晶体と網膜の距離が正常より長すぎたり、短すぎたりすると、物体からの距離などにより、網膜上に鮮明な像を結ぶことが出来なくなります。

 角膜と水晶体が網膜上に鮮明な像を結べない状態を「屈折異常」と呼んでいて、次の四つの種類があり、これらの屈折異常は、メガネやコンタクトレンズなどで矯正することができます。

 ・〔近視・近眼
 ・〔遠視
 ・〔乱視
 ・〔老視・老眼


正視での光の経路


どんな病気ですか? ◆「屈折異常・調節異常」とは、一体どんな病気なのかご説明します。
どんな病気ですか?  人間の眼には、物を見るとき、その像が網膜上に鮮明に映るようにできています。正常な眼であれば、近くの物を見るときには水晶体が厚さを増して屈折率を高め、遠くの物を見るときには、水晶体は薄くなって屈折率を低めます。

 この水晶体の働きによって、物体の位置がさまざまな距離にあっても網膜の上に正しく像を結び、鮮明に見ることができるのです。

 しかし、何らかの異常により網膜上に鮮明な像を作れない異常な状態が起こることがあります。このような異常には「屈折異常」と「調節異常」という二つの種類があります。

眼の屈折異常と調節異常
屈折異常  角膜や水晶体での屈折能力(屈折率)に異常があったり、水晶体と網膜の距離に異常があると、物体の像が角膜や水晶体を透過する際の屈折率が正しく調整できず、網膜上に鮮明な像を結ぶことができなくなります。

 眼のピントが網膜の手前に合ったり、網膜の後方に合ってしまうのです。これが屈折異常であり、像が網膜上に正しくできず、ピントがずれてしまいます。

 焦点が網膜より手前にできてしまう現象を「近視」と呼びます。逆に、網膜より後方にできてしまう現象を「遠視」と呼びます。

 また、屈折した光が眼の中の一点で焦点を結ばず、2か所以上で焦点を結ぶような異常屈折を「乱視」と呼びます。多くの場合の乱視では、二点で焦点を結ぶことが多く「正乱視」と呼ばれます。

 しかし、何らかの原因で角膜の曲面が不規則変化している場合などでは、焦点がどこにも結べない、あるいは無数に焦点が出来るなどの現象が起こり、これを「不正乱視」と呼びます。

調節異常  本来は正常な視力を持つ人でも、加齢により水晶体の弾性が失われ、眼の調節機能が弱まってきます。

 この場合、遠くのものは問題なく見えますが、水晶体を厚く調節することができなくなるために、30センチ程度以上の近くの物に焦点を合わせることができなくなります。

 これが眼の調節異常であり、「老視」または「老眼」と呼ばれています。

 老視・老眼は、早ければ40代から自覚されるようになり、メガネなしでは新聞が読めないなどの現象となって現れるのが普通です。





どんな症状ですか? ◆「屈折異常・調節異常」の症状をご説明します。
屈折異常・調節異常の症状  眼の屈折異常や調節異常には、その発症原因によって「近視・近眼」「遠視・遠目」「乱視」および「老視・老眼」などの種類があります。この他にも「仮性近視」「弱視」などという症状も現れてきます。

 一般に眼の屈折異常や調節異常があると、物ががぼやけて見えるようになります。その症状の出方は、基本的に見るべき物体と眼との距離によって、症状も異なります。

屈折異常・調節異常による症状
近視・近眼・仮性近視  正常な眼であれば、無限遠方を見るときには、水晶体には何も力がかからずリラックスしている状態になり、焦点が網膜上にできます。しかし、近視・近眼の屈折異常の場合には、光の焦点が網膜より手前に結んでしまいます。

 水晶体はすでにリラックスしている状態なので、これ以上薄くすることが出来ませんから、遠方の物を一生懸命に見ようとしても、鮮明な像を網膜上に映すことができず、物の輪郭がボーっとぼやけたように見えるだけです。

 近視・近眼では、毛様体を緊張させ水晶体を厚くすることは出来るので、近くの物は鮮明に見ることができます。

 一方、仮性近視という現象があるのですが、OA機器やテレビゲーム、読書などを長時間続けているときに、一時的に起こる現象です。OA作業などを長い時間続けていると、ディスプレイなど近くだけを見るために毛様体は緊張し水晶体は厚くなったままの状態となります。

 そのため作業が終了してもしばらくの間は、毛様体の緊張状態は続き水晶体の屈折率は高いままとなってしまいます。このため、一種の近視・近眼状態となり、遠くの物が見えにくくなるのです。この仮性近視は、一時的なものであり「水晶体の調節異常」と呼ばれ、屈折異常とは区別されます。

 強度の近視があると、眼軸長(眼の表面と網膜との距離)が長いために、網膜が引っ張られ剥がれやすく、網膜剥離が起こる危険性があります。

遠視  遠視は、近視とは逆の状態です。正常な眼であれば、無限遠方を見て毛様体・水晶体がリラックスしている状態では、焦点が網膜上にできるのですが、遠視では、光の焦点が網膜より奥側に結んでしまいます。

 遠視の人は、遠くを見るときでも毛様体を少し緊張させなくてはなりませんが、これは可能なので、遠くはよく見えます。しかし、近くを見ようとすると、毛様体をとても強く緊張させ水晶体を厚くしなくてはならず、それはとても困難となります。

 遠視では、遠くはよく見えても、毛様体は常に緊張状態となるので、眼精疲労を招いたりします。また、調整できないほど近くでは、焦点を合わせることが困難で、物がぼやけて見えるようになります。

 幼児期には眼軸長も短く、眼球も小さいので、普通の子供はやや遠視なのですが、遠視の程度が極度に強い場合に放置していると「弱視」になりやすいとされます。

乱視  眼の表面である角膜は、その頂点を中心にして、全方向均一な曲線を描いています。角膜が方向によって異なる曲率の弧を描いていると、光の焦点が二つ出現したり、どこにも明確な焦点が結ばれなくなります。この状態が乱視と呼ばれます。

 乱視には「正乱視」と「不正乱視」という二種類があります。乱視の中では、正乱視と呼ばれるものが大部分です。

 正乱視は、眼の縦方向から入ってくる光が作る焦点と、眼の横方向からの光が作る焦点とが別々の位置になる状態です。普通、焦点が二つあると説明されますが、正しくは、斜め方向からの光は二つの焦点の中間位置に焦点を結びます。ものが二重に見えたり、真の円形が楕円形に見えたりします。正乱視は、メガネやコンタクトレンズで容易に矯正できます。

 不正乱視は、角膜表面の形状が不規則に変化していることで起こります。どこにも正しい焦点が結ばれないために、ものが複数に見えたり、歪んで見えたり、ぼやけて見えたりします。不正乱視は、メガネでは矯正不可能ですが、ハードのコンタクトレンズで矯正可能です。

老視・老眼  遠近を見るときに重要な役割を果たす水晶体は、加齢により徐々に弾力を失い、硬くなってきます。それにより、毛様体の緊張により調節できる水晶体の厚さは徐々に狭まってしまいます。

 近くのものを見ようとしても、水晶体が厚くなれず、光を十分に屈折できなくなります。このため、ものがぼやけてしか見えません。これが老視・老眼です。

 老視・老眼は、水晶体の調節能力が衰えた状態なので、屈折異常とは呼ばず「水晶体の調節異常」と呼ばれます。老眼は、メガネで容易に矯正可能です。



原因は何ですか? ◆「屈折異常・調節異常」の原因や発症の仕組みをご説明します。
屈折異常・調節異常の原因  眼の屈折異常や調節異常が起こる基本的原因は二つあります。一つ目は、毛様体と水晶体による光の屈折が正常にできなくなること、二つ目は眼球の表面から網膜までの長さ(眼軸長)が長すぎたり、短すぎたりする場合です。

 屈折力の状態と眼軸長の状態の組み合わせにより、近視や遠視、乱視、老眼などいろいろな異常症状が出現します。

屈折異常・調節異常の起こる原因
近視・近眼  近視・近眼の原因は二つのケースがあります。一つ目は、眼軸長が通常より長いために、焦点の位置が網膜より前方になってしまう場合です。

 二つ目は、眼軸長は正常でも、毛様体の緊張と水晶体による屈折率の調節がうまくいかなくなり、やはり焦点が網膜の前方になってしまう場合です。

 近視・近眼では、いずれの場合も、光が網膜より前方で焦点を結ぼうとするため、遠くのものが見えにくくなります。

遠視  遠視は、近視とは逆の原因で起こりますが、その原因は二つのケースがあります。一つ目は、眼軸長が通常より短いために、焦点の位置が網膜よりも後方になってしまう場合です。

 二つ目は、眼軸長は正常でも、毛様体の緊張と水晶体による屈折率が弱すぎるために、近い位置のものを見ようとしても、網膜上に焦点が合わせられなくなる場合です。

 遠視では、いずれの場合も、光が網膜より後方で焦点を結ぼうとするため、近くのものが見えにくくなります。

乱視  多くの場合の乱視は正乱視ですが、これは角膜の厚みに滑らかな歪みがあって、縦方向から入射する光が結ぶ焦点と横方向から入射する光が結ぶ焦点の位置が異なる点になることで起こります。

 また、滅多にはないものの、角膜表面に凸凹状の歪みがあると、焦点が無数に出来てしまうか、焦点を結べない状態となり、不正乱視が起こることもあります。

 乱視では距離にかかわらず全体がぼやけて見えます。また、正乱視では、真円が楕円形に見え、不正乱視では、その程度により複雑に歪んで見えたり、複数に見えたりします。

 多くの場合、角膜の歪みの発生は先天的はものが多いですが、成長してからも外傷や目の潰瘍など病気により発生することもあります。

老視・老眼  40代以降の年齢になると、加齢のために、水晶体が徐々に硬化し屈折率が変化しにくくなります。特に、毛様体が緊張しても水晶体を厚くするのが困難となり、近くのものが見えにくくなります。

 もともとは正常であった水晶体の屈折率の調節がうまくできなくなるという意味で、この現象は調節異常と呼ばれます。



診断はどうなりますか? ◆「屈折異常・調節異常」の検査方法や診断方法をご説明します。
屈折異常・調節異常の診断  屈折異常や調節異常の通常の検査は「ランドルト環検査法」で行われます。

 ランドルト環では、大きさの異なる「Cの字型」の環を上下左右ランダムに表示し、C文字の開いている方向を識別することで行います。どこまでの大きさのC文字の開きが識別できるかで、接近する二点を分離して見える最小の視角を測定するのです。

 こうして測定した視力は、分離した二点を識別できる視角を角度の「分」で表示したときの逆数で表示します。視力検査法では、一定距離(通常は5m)から見たときに、視力が0.1~2.0までの範囲に相当する環が描かれています。

 視力が0.1以下の場合には、たとえば、5m用の検査表で3mに近づけば最大のC文字の開きが識別できるなら、視力は 0.1X3/5=0.06 のように計算して定めます。

 検査は両眼同時の検査法と片眼ずつの検査法があります。また、裸眼での検査とメガネなどによる矯正後の視力などを検査することもあります。

 このような視力検査が眼の検査の基本ですが、詳細に検査が必要な場合には、屈折異常や調節異常をはじめ、角膜の形状を調べたり、眼圧を測定したり、眼底を観察したりする多くの検査が行われることもあります。

 最近では、視力検査表による検査ではなく、光学機器により近視や遠視、乱視などの検査を行う方法も普及してきました。


治療はどうやりますか? ◆「屈折異常・調節異常」の治療方法をご説明します。
屈折異常・調節異常の治療  近視・近眼や遠視、老眼の原因は、網膜に対して焦点が前方に来てしまうか後方に来てしまうことによって起こります。また、乱視は角膜の歪みや凸凹などによって起こるので、それぞれの原因に対応して矯正することが可能です。

 ここでは、それぞれの屈折異常や調節異常に対しての矯正方法として、メガネによる方法、コンタクトレンズによる方法、および手術による方法を簡単に示しますが、更に詳細については、個別のページ 「近視・近眼」 「遠視」 「乱視」 「老視・老眼」 および 「レーシック技術」 を用意しましたので、そちらをご覧ください。

屈折異常・調節異常の治療法
メガネ  屈折異常による近視・近眼、および調節異常による老視・老眼の一般的な治療法は眼鏡の使用です。

 近視には凹レンズの眼鏡を使用し、老眼には凸レンズの眼鏡を使用して、焦点が網膜上に結ぶようにします。

 また、正乱視の場合には、円柱レンズという特殊なレンズを使用することで矯正が可能ですが、不正乱視の場合には、眼鏡での矯正はできません。

コンタクトレンズ  近年、コンタクトレンズは非常に進化し、どのタイプの屈折異常、調節異常に対しても矯正可能となっています。

 近視、遠視、老眼に対しては、コンタクトレンズによる矯正は一般的に行われていて、希望すればほとんどの人で使用可能です。

 コンタクトレンズは、正乱視はもちろん、不正乱視に対しても有効です。眼鏡では不正乱視の矯正は不可能ですが、コンタクトレンズではそれが可能となります。一般に不正乱視の原因は角膜の歪みや凹凸ですが、コンタクトレンズを装着すると、レンズと角膜の隙間に涙が充満することで、あたかも角膜の形状が正しく修正されたようになるからです。

 一般に、コンタクトレンズを使用すると、見た目ばかりでなく、運動性もよくなります。しかし、眼鏡に比べると管理が重要で、使用法を間違えると重大な結果を招くこともあるので、管理の煩雑さに耐えられる人以外は使用することができません。

 また、コンタクトレンズのタイプには、ソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズ、使い捨てコンタクトレンズなどいろいろな種類があり、一長一短があるので、ご自分に合ったコンタクトレンズを探すことが重要です。

手術  人の眼の屈折率は、角膜プラス水晶体の合計の屈折率として作用しています。このため、レーザー光線を照射し角膜の形状を変化させることで視力を矯正できる技術(レーシック技術)が急速に実用化されつつあります。

 レーザー光で角膜表面を平坦に近づけると、屈折率は弱くできるので近視の矯正ができます。この技術は実用化されて安全性も高く完全に実用化段階にあります。この手術をすれば最早メガネは必要なくなります。

 最近では、技術は更に進化し、乱視も遠視も治療することができるようになりつつあります。

 しかし、レーシック技術は健康な角膜にレーザー光線を照射して角膜を削るという手術なので、一度行うと元の状態に戻すことはできません。やり直しはできないのです。そのため、眼の発達が安定した高齢者はともかく、自己免疫疾患などの眼の病気を持つ人や若年者はやらない方がよいでしょう。

 視力矯正法としての手術法には、レーシック以外にもいくつかありますが、いずれも一長一短があるので、手術を決心する前には、自分の要求することと、手術によるリスクとがバランスしているかなど医師との話し合いが重要です。