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健康・医療館 身体の病気 滲出性中耳炎
身体の病気

滲出性中耳炎


 外界からの音を振動として捉える鼓膜の奥側の部分を中耳といい、鼓膜の振動は三つの耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)の働きにより音を正確に中耳へと伝えます。

 そして、鼓膜から内耳までの中耳と呼ばれる空間を「中耳腔」といい、中耳腔は「耳管」により鼻の奥とつながっています。

 〔滲出性中耳炎〕とは、中耳腔に液体がたまる中耳炎のことです。この液体は、浸出液、あるいは貯留液と呼ばれていて、ネバネバしたものから、サラサラしたものまでいろいろあります。

中耳腔  〔滲出性中耳炎〕は、一般に〔中耳炎〕と呼ばれる一連の疾患の中のひとつで、この仲間には次のような病気があります。

 ・〔急性化膿性中耳炎〕
 ・〔慢性可能性中耳炎〕

 中耳腔に液体が溜まると、鼓膜や耳小骨の動きが悪くなるために、外耳道から入ってきた音の振動が、鼓膜から耳小骨へ、そして耳小骨から内耳へと効率よく伝達できなくなり、軽度の〔難聴〕が起こります。これが〔滲出性中耳炎〕です。

 一般に、〔滲出性中耳炎〕に罹ると、軽い〔難聴〕が起こりますが、耳が痛んだり、膿が出たりすることはありません。


どんな病気ですか? ◆「滲出性中耳炎」とは、一体どんな病気なのかご説明します。
どんな病気ですか?  滲出性中耳炎は、鼓膜の奥にある中耳腔の中に滲出液とか貯留液と呼ばれる液体が溜まる中耳炎の病気です。滲出液は、鼓膜の穴などから侵入するのではなく、中耳内部の炎症によって染み出てきた液体で、サラサラした状態のものや粘っこいものまでいろいろなものがあります。

 中耳腔に滲出液が溜まることで、鼓膜や耳小骨の作用が悪くなります。このために、外界から外耳道を経由して入ってきた音波が、鼓膜から耳小骨へ、耳小骨から内耳へと完璧には伝達できなくなり、軽度な難聴の症状を呈してきます。

 滲出性中耳炎は、3〜10歳くらいの小児や学童、および高齢者に多く見られる病気で最近は増加傾向にあります。子供の難聴の原因で一番多いとされています。

 テレビを見るときやゲームを楽しむ子供が音量を異常に大きくしていたり、会話中に聞き落としが目立つときは、この病気の恐れがあります。放置すると、慢性中耳炎や癒着性中耳炎、真珠腫性中耳炎などの更に重度な疾患の原因ともなるので、注意が必要です。




どんな症状ですか? ◆「滲出性中耳炎」の症状をご説明します。
滲出性中耳炎の症状  滲出性中耳炎の特徴的な症状は、軽度の難聴があるものの、特別に強い耳の痛みや発熱などの症状を伴わないことです。

 一般に滲出性中耳炎の症状は軽微な場合が多いために、発見しにくいのですが、次のようなことや症状があるなら、一応この病気を疑う必要があります。

滲出性中耳炎の発見に結びつく症状など
乳幼児の場合  赤ちゃんがよく耳を触ることがあると、耳に異常がある、あるいは耳が痛いというサインだといわれます。

 赤ちゃんが風邪をひきやすく、不機嫌なことが多いときも、中耳炎の可能性があります。

 硬めの紙をクチャクチャに丸めると特有な音がしますが、赤ちゃんの後ろでこれを行ってみて、赤ちゃんの振り向き方により、もしも左右の耳の聞こえ方に差異があるようなら、聞こえの悪いほうの耳に中耳炎があるかも知れません。

幼児や学童の場合  テレビやゲームを楽しむ年齢にある幼児や学童が、テレビの音を大きくしたり、大きな声で話したり、呼びかけても聞こえが悪く振り向いたり、返事をしない、あるいは電話でお友達とうまく会話ができなくなったなどの症状が出るようになったら、難著の可能性があります。

 幼稚園や小学校で、先生の話す言葉がうまく聞き取れず、お遊びや授業がうまく過ごせない、落ち着きがなく集中できなくなった、あるいは成績が落ちてきたなどのことが目立つなら、やはり難著の可能性があります。

 滲出性中耳炎での難聴は特別な痛みを伴わないのですが、それでも耳の鈍痛や違和感は生じてきます。3歳以上になって自分の気持ちを正しく表現できるようになった子供が、耳の軽い痛みを訴えるときにも、やはり難著の可能性があります。

 以前に急性中耳炎などを患った経験のある子供で、風邪をひいた後に咳や鼻水、鼻づまりが数日以上長引くときも、何らかの中耳炎を再発している可能性があります。滲出性中耳炎は一度罹ると治りにくいので、このようなことが起こります。

大人の場合  ドライブして急速に高地に移動したときなど、誰でも耳が詰まったような違和感を感じます。滲出性中耳炎もこれに似た症状が出現します。

 大人の場合には、耳に何かが詰まったような違和感を感じたり、自分の話す声が耳に響くように感じたり、あるいは耳の中で水の音がしたり、洞窟内に入ったときのような反響音がしたり、軽度の難聴を感じたりすることがあります。このような症状が継続的に現れるなら、滲出性中耳炎の可能性があります。



原因は何ですか? ◆「滲出性中耳炎」の原因や発症の仕組みをご説明します。
滲出性中耳炎の原因  滲出性中耳炎では、鼓膜に穴が開いているわけではないので、プールでの水泳や、お風呂での洗髪などで汚れた水が外耳道経由で中耳にまで入ることはありません。このようなものは滲出性中耳炎の原因にはなりません。

 滲出性中耳炎の滲出液・貯留液は、基本的には中耳の粘膜から染み出た液体です。

 滲出低中耳炎は、しばしば急性中耳炎を患ったことのある子供などにみられます。いったん急性中耳炎を経験した後に、その治療が完全でないと、鼓膜の内側に炎症による膿が滲出液として残る場合があるからです。これが滲出性中耳炎発症の最大原因といわれています。

 また、通常、急性中耳炎の炎症で生じる膿は、中耳の粘膜で吸収されたり、中耳と鼻の奥とを繋いでいる耳管を経由して鼻・喉の方に排出されます。しかし、何らかの原因で耳管の機能が衰えてくると、中耳粘膜から染み出た滲出液がうまく排出されず、中耳腔に貯留するようになります。

 このような耳管機能を低下させる要因となるのは、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの鼻の病気、喉の慢性的炎症、アデノイド肥大などです。

 あくまでも傾向としての話ですが、次のような子供は、滲出性中耳炎に罹りやすいとされています。

滲出性中耳炎に罹りやすい子供
ミルク  乳幼児のミルクで母乳の子より、粉ミルクの子の方が罹りやすい。

風邪などの病気  風邪をひきやすかったり、蓄膿症(慢性副鼻腔炎)やアレルギ−性鼻炎があり、慢性的に鼻汁を流していたり、鼻づまりしたり、咳やくしゃみがある子供に多い。

好き嫌い  食べものの好き嫌いのある子供に多い。

いびき  子供なのに、いびきが大きい子供。しばしば、アデノイド肥大などがいびきの原因となります。



診断はどうなりますか? ◆「滲出性中耳炎」の検査方法や診断方法をご説明します。
滲出性中耳炎の診断  滲出性中耳炎の検査・診断は、手術用の顕微鏡や耳用の内視鏡を用いて「鼓膜観察」により行います。その他にも、「聴力検査」「鼓膜の可動性検査」「耳管機能検査」「耳のX線検査」「耳のCT検査」などを行うこともあります。

 確定診断には「鼓室穿刺」や「鼓膜切開」などを行います。

滲出性中耳炎の検査・診断方法
鼓膜観察  診断は、手術用顕微鏡や内視鏡などで鼓膜を観察すれば容易です。多くの場合、鼓膜は陥没していて、鼓膜を透かして中耳内部の貯留液が認められます。

聴力検査  滲出液が貯留しているため、聴力検査を行うと軽度の難聴を示します。

鼓膜の可動性検査  鼓膜の可動性検査として「ティンパノメトリー検査」という方法があります。この検査法では、特殊な耳栓を耳に挿入して外耳から圧を加えて、鼓膜の動きを検査します。これにより耳小骨の働きや中耳に貯留する液体の有無、滲出液の状態、耳管狭窄の有無などを調べることができます。

耳管機能検査  鼻から耳管入口に金属製のカテーテル(管)をあて中耳に空気を送り込み、その時発する音声により、耳管の腫れ具合や液体貯留の有無を知ることができます。

耳のX線検査  中耳内部にある乳突蜂巣の発育やアデノイド、副鼻腔炎の有無を見ます。特に乳突蜂巣の発育は鼓膜チューブ挿入術の適応を決めるには必要です。

耳のCT検査



治療はどうやりますか? ◆「滲出性中耳炎」の治療方法をご説明します。
滲出性中耳炎の治療方針  滲出性中耳炎の治療は、先ず、中耳に貯留している滲出液を取り去り、聞こえをよくする処置を行います。

 同時に、この病気の原因となっている鼻や喉などの病気があれば、その病気に対する治療を併行して行わなくてはなりません。

 病気の程度が軽度の場合には「薬物療法」や鼻から耳に空気を送る「耳管通気療法」を行います。

 難聴の程度が酷くよく聞こえない場合には、鼓膜の一部を切除し内部に貯留する滲出液を吸い出す「鼓膜切開術」を行います。

 鼓膜切開術を行っても、滲出性中耳炎を繰り返すような場合には、鼓膜に細いチューブを挿入して膿を排泄する「鼓膜チューブ留置術」という手術が適用されます。

薬物療法  薬物療法は、中耳腔に存在する原因病原体(起炎菌)を退治し無菌化することを目的に抗生物質の服用や点耳薬の点耳をします。

 中耳腔内に貯留する滲出液より、起炎菌として肺炎球菌やインフルエンザ菌などが検出されますが、これらの原因菌に抗菌作用のある抗生物質が選定されます。

 抗生物質には、起炎菌の無菌化と同時に、滲出性中耳炎に合併する風邪などの上気道炎を改善する効果があります。

 抗生物質の他にも、症状に応じて、鼻粘膜充血除去剤、うっ血除去薬、抗ヒスタミン薬、粘液調整剤などを投与することもあります。

滲出性中耳炎の治療薬
抗生物質  抗生物質は内服薬、あるいは点耳薬として使用されます。滲出性中耳炎には、多くの場合、マクロライド系の抗生物質が有効です。

 よく使用されるマクロライド系抗生物質には、エリスロマイシン、クラリス、クラリシッド、ルリッド、リカマイシンなどがあります。

鼻粘膜充血除去剤  鼻粘膜充血除去薬には、フェニレフリンがあります。

うっ血除去薬  うっ血除去薬、特に気管支拡張剤には、エフェドリンがあります。

抗ヒスタミン薬  抗ヒスタミン剤は花粉症やアレルギーの諸症状、風邪の諸症状を緩和するために使用される医薬です。

 抗ヒスタミン薬には、第一世代と第二世代とがあります。第二世代は更にI類とII類に分類されています。

 抗ヒスタミン薬には、眠気や口渇き、便秘、排尿困難などの副作用もあるので、使用は医師の指示に従わなくてはなりません。

粘液調整剤  鼻づまりを解消するために用いられる粘液溶解剤には、ムコダインがあります。


 滲出性中耳炎の治療では、聴力の低下がそれほどひどくなければ、薬物療法だけで様子を見る人が多いです。ほとんどの患者では、7〜8歳前後で治ります。

鼻や喉の病気の治療  滲出性中耳炎の原因が、鼻や喉の病気が原因で起こることが多いので、これらの病気と合併している場合には、耳の治療だけでは中耳炎を完治することは出来ず、合併する病気の治療が欠かせません。

 合併しやすい鼻や喉の病気には、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)やアレルギー性鼻炎、咽頭炎、喘息(ぜんそく)などがあります。風をひきやすい子供も注意が必要です。

 これらの病気があると、鼻の奥にある耳管の機能が低下したり、咳などの圧力により原因細菌が耳管を経由して中耳腔に移動しやすくなります。この結果、急性中耳炎や慢性中耳炎、滲出性中耳炎などに罹ってしまいます。

耳管通気療法  症状がそれほど酷くない軽度なものでは、鼻から耳管を通して中耳腔に空気を入れる耳管通気療法を行います。

 耳管通気療法には「ポリツェルゴム球法」と「耳管カテーテル法」とがあります。幼児などではポリツェルゴム球法を行いますが、少し大きくなり聞き分けのよい幼児や小学生以上では耳管カテーテル法も行われます。

 どちらの方法でも、耳管通気を根気よく行い、通気がうまくいけば、かなり聞こえが改善され滲出性中耳炎も軽快していきます。

耳管通気療法の方法
耳管カテーテル法  耳管カテーテルという細い管を鼻の奥まで挿入し、カテーテルの先端部を耳管の開口部である耳管咽頭口に合わせます。そして空気を耳管より中耳に送り込みます。

 小学生以上の子供や聞き分けのよい幼児ならこの方法が使われます。

ポリツェルゴム球法  幼児以下のこどもでは、ポリッツェル球(Politzer ball)と呼ばれるゴム球を鼻に当て、ボールに圧力をかけて中耳に空気を送り込む治療法が使われます。。

 ポリツェル球の先端を鼻腔にあて、小児に「ガッコウ」と声を出してもらいます。このとき「コ」の発声時に合わせて球を押すことで圧力をかけ、空気を中耳に送り込みます。


鼓膜切開術  鼓膜の奥の中耳腔に液体が貯留している場合で症状が激しいときには、鼓膜を小さく切開して内部の滲出液を抜き出します。多くの場合、貯留液はネバネバしているので吸引してやらないと除去できません。

 この療法が鼓膜切開術で、中耳腔内の液体を排除するだけで、耳の聞こえはすぐに回復します。手術直後には鼓膜に穴が残りますが、数日〜2週間くらいで閉じてしまいます。

 この手術では、鼓膜を麻酔した上でメスで鼓膜の一部を切開しますが、成人なら外来でも手術可能です。幼児などでは、手術中に動いたししないように全身麻酔で行い、入院が必要です。

鼓膜チューブ留置術  鼓膜チューブ留置術は「鼓膜チューブ挿入(留置)術」とも呼ばれる療法で、鼓膜切開術を行っても再発を繰り返してしまう場合などに行われる手術療法です。

 鼓膜切開術により鼓膜を切開し、中耳に貯留した液体を抜き出して一時的に症状が改善しても、鼓膜の穴は数日〜2週間程度で塞がってしまいます。その後、再び中耳に液体が溜まってしまう患者では、何度も切開が必要になってしまいます。

 このようなことは継続は出来ないので、鼓膜の切開した場所が塞がってしまわないように、テフロンやシリコン製の直径1ミリほどの小さなチューブを入れ中耳の換気を促します。これが「鼓膜チューブ挿入術」です。

 幼児では手術中の事故を防止するため、入院し全身麻酔で行いますが、手術自体は片耳30分以内くらいで終了します。大きくなった子供や成人では局所麻酔で行い外来でも可能です。

 鼓膜に挿入したチューブは数か月すると自然に脱落し外れてきます。鼓膜にチューブを挿入することで、鼓膜に永久的な穴が残ることはありませんし、耳の聞こえが落ちることもありません。

 しばらくの期間、鼓膜に穴が開いているので、お風呂やプールに入るときなどに、耳に水が入らないように注意しなくてはなりません。

家庭でのケア  滲出性中耳炎の原因の多くが、風邪やインフルエンザ、アデノイド肥大など鼻や喉の炎症などに起因します。そのため、風邪をひいたりしたら咳や鼻水の症状を長引かせないことが大切です。

 どんな病気でもそうですが、滲出性中耳炎の場合も、しっかりした健康管理をし、身体の抵抗力を高めることが重要です。予防するために、家庭でも次のような点には注意し早期発見するようにしましょう。

 ・乳児はできるだけ母乳で育てる。
 ・食物の好き嫌いを無くす。
 ・栄養バランスに気を配る。
 ・風邪をひいたとき、鼻汁を吸い込ませない。
 ・正しい鼻のかみかたを教える。