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身体の病気

アレルギーの治療


 アレルギー体質といわれる人が特定の食品などを摂取すると、アレルギー症状が発症してしまいます。

 アレルギーの検査や診断により、原因となっているアレルゲン(抗原)物質が特定されれば、そのようなものを含有している食品を摂らないようにするなどの方法があります。


 一般的に知られているアレルギーの治療法には、〔生活改善〕や〔食物療法〕〔減感作療法〕〔薬物療法〕のような四つの方法のがあります。

 このページでは、これらの各方法について、その方法や注意点などを整理しています。どの方法にもよい点と気をつけるべき点とがありますので、大切なことは自分に合った治療法を見つけることです。

アレルギーの治療法
生活改善
 家庭で発するダストやダニなどを吸入しないなど、危険因子をなくすこと。

食物療法
 アレルギーの原因となる抗原食物を摂取しない。

減感作療法
 原因となる抗原物質をごく少量から投与して、長時間を掛けて、その物質への感受性を低減させる。

薬物療法
 アレルギー疾患に効果のあるステロイド薬や抗アレルギー薬を投与する。



生活改善療法 ◆生活改善療法によるアレルギー治療法をご説明します。
生活改善療法  アレルギーの多くは日常生活の中で摂取する食品や、家庭で発するダストやダニなどが関係しています。アレルギー症状の発症を防止する最初の段階は、生活改善により、直接的に関係する「原因因子」を除去することから始まるのです。また、直接的な原因因子でなくても、生活環境などにより関わってくる「寄与因子」も考慮しなくてななりません。

原因因子  現実にアレルギー症状が発症する場合には、検査によりどのようなアレルゲン(抗原)物質が関与していることを調べることができますが、アレルギーを誘起する主な原因因子には次のようなものがあります。参考までに、これらの原因因子を回避する要点を示します。

アレルギー発症の原因因子
屋内アレルゲン <室内塵、ダニ、カビ、ペットの毛など>

 家庭塵の中で特に重要なのが、ダニの存在です。家庭内では無数のダニが大繁殖する環境にあるので、小まめな管理が不可欠です。床やたたみ、布団などの徹底した掃除が効果を発揮します。

 ・掃除機には必ず「高性能フィルター」とか「HEPAフィルター」とか呼ばれているフィルターを使用したものがよいです。この方式の掃除機であれば、ダニは通過できないので効果が大となります。

 ・掃除頻度は、畳や床面は最低でも二日に一回以上の頻度で行います。掃除に掛ける時間は、畳一枚当り60秒くらいが必要です。パンくずなどの食品のかけらや、皮膚のかけら、フケなどが落ちていれば、ダニは掃除が終わった瞬間から、もう繁殖を始めるのです。

 ・寝具類は、できるだけ頻繁に日光で干してダニを死滅させることが大切です。また、布団カバーやシーツには、ダニを通過させない高密度繊維のものがあるので、そのようなものを使用します。

 ・ダニはどこでも繁殖するので、日常の掃除だけでなく、半年に一回以上は、本気の大掃除を行います。電気の笠、タンスや本箱の上など普段の掃除では綺麗にしきれない部分も掃除をかけます。

屋外アレルゲン <スギ花粉、ヒノキ花粉など>

 現在の日本ではスギ花粉の飛散を止める方法はありません。花粉アレルギーのある人は自ら花粉を吸い込まないように守りに徹することが要求されます。

 ・花粉情報に敏感にアンテナを張り、飛散の多いときは外出を控える。

 ・外出時は密閉度の高いマスクやメガネを使用する。

 ・帰宅後のうがい、手洗い、顔粗い、鼻穴掃除を行う。

 ・花粉シーズンには洗濯物は屋内で干す。

職業性物質 <食品製造、一般職業など>

 職業性物質の種類は無数に存在するので、どのような物質がアレルゲンとなるのか分かり難いですが、主に粉体を使用する職業に従事する人に影響することがあります。

 ・ソバ粉や小麦粉を使用する職業では、マスクの着用が不可欠です。

 ・一般職業では、プラスティックの粉などを使用する場合はマスクの着用や、作業環境の改善なども必要です。

薬物・食品添加物 <医薬品、食品添加物など>

 気管支喘息の人には、一般の医薬品だけでなく、食品添加物などもアレルゲンとなるので日常的な注意が必要です。


寄与因子  アレルギーを直接的に誘引する物質以外にも、アレルギーの誘起に関わるかも知れない寄与因子として次のようなものもあります。

アレルギーの寄与因子
喫煙  喫煙は、自分から行う人は勿論ですが、周囲の人の受動喫煙もアレルギー症状を誘起する可能性が大きいので、これを避ける必要があります。

大気汚染  大気汚染そのものは、個人ではどうにもできませんが、ディーゼル車から廃棄される微粒子や、化学工場からの排煙などは、気管支喘息を誘起する可能性が高い物質となります。

 また、室内の壁紙などからホルムアルデヒドなどの有害物質などが発生している場合もあるので注意が必要です。

 一つの有効な対策として、最近市販されるようになった、室内除塵機がお奨めです。特に高性能フィルターを使用したものであれば、確実に効果が期待できます。

ウイルス呼吸器感染  風邪やインフルエンザを始めとしたウイルスの呼吸器感染による病気は、喘息発作の引き金となりやすいので注意が必要です。帰宅後には、うがいをするなどの日常的な習慣が効果を発揮します。





食物療法によるアレルギー治療法 ◆食物療法によるアレルギー治療法についてご説明します。
除去食療法  除去食療法はアレルギー疾患に対する食物療法の一つで、簡単にいえば、アレルギー症状の原因となる食品を取り除いた「除去食」を摂取する方法です。

 除去食療法の一つで、妊娠中の女性が、生まれてくる子供のアレルギーを心配するあまり、アレルゲンとなるとされる特定の食品を除去した食品だけを摂取することがあるのですが、これは効果がないといわれています。それどころか、栄養バランスが偏るために、逆効果となることもあるのでお勧めできません。

 また、出産後の乳児に母乳を与える段階で子供にアレルギーがでる場合に、母親が除去食を摂取することがありますが、上記で指摘したような栄養バランスが崩れないかなど、主治医と相談することが必要です。母乳ではうまくいかない場合、市販のミルクを与えることもよいかも知れません。

 生後間もない乳幼児などで卵や牛乳のアレルギーがある子供は、3歳では半数、6歳では8割くらいの人がアレルギー症状がでなくなるとされています。乳幼児期に除去食を長期間続けると、その食品に対してアレルギーの発症が確定してしまい、本来なら成長とともに症状がでなくなるチャンスを失ってしまう恐れもあるので、除去食の継続は3か月ごとに検討するのがよいとされています。

 除去食については、身体的にも精神的にも負担がかかるので、継続は困難なことが多いといわれます。必要最低限の除去食療法を選択するのがよいでしょう。

回転食療法  特定のアレルゲン食品を摂取できないために、毎日、他の食品のみを摂りすぎると、今度はその食品が新たなアレルゲンとなってしまうことがあります。そこで、毎日、同じ素材を摂り続けないように、多品種の食品を少量摂取するようにするのが「回転食療法」です。

 摂取後の体内での滞留時間は、食品によって異なるので、アレルギーの危険があるかも知れない食品の回転はあまり短期間ではなく、同じ食品は一定期間を置いて食べるようにします。

 通常、口から摂取して排泄されるまでにかかる日数は3~5日程度なので、回転周期はそれ以上とするのがよいでしょう。この期間内では、危険性のある同じ食品を二度は摂らないということです。

 抗原性の高い食品は、五大アレルゲンとされる「卵」「牛乳」「小麦」「ソバ」および「落花生」などです。

 本来なら、すべての食品について回転食療法の一回の周期内では、二度は摂らないというのが理想ではあるものの、お米や野菜はそうはいきません。特にアレルゲンとなる可能性の少ないものは毎日食べても問題はないです。従って、穀類、野菜、魚介類、肉類、果物、調味料、飲料などについて可能な限り回転させることがよいでしょう。


減感作療法によるアレルギー治療法 ◆減感作療法によるアレルギー治療法についてご説明します。
減感作療法とは  減感作療法は、アレルギーを発症させるアレルゲン原因物質を、最初はごく少量から徐々に増量して患者に投与・注射することで、そのアレルゲンに対する過敏性・感受性を低減させることを目的とする免疫療法です。

 この方法は、アレルギー性鼻炎やアトピー性喘息などに一定の効果があることが証明されていますが、すべてのアレルギー疾患やすべての患者に有効であるとはいえません。減感作療法が適応となる条件は次のようなものがあります。

減感作療法の適応条件
アレルギー型 ・アレルギー性鼻炎などのような「IgE抗原」を介したアレルギーであること。
・そのアレルギーのアレルゲン(抗原)を回避することが困難であること。

療法 ・薬物療法による効果が不十分であること。
・高力値のアレルゲン抽出液があり、その投与方法が確立されていること。


減感作療法の手順  減感作療法には「治療開始準備」「スタート値の決定」「治療の開始・継続」および「治療の終了」という四つの段階があります。

減感作療法の手順
治療開始準備  当然のことですが、減感作療法を開始するには、先ず、アレルギー症状を発症させるアレルゲン(抗原:原因物質)を確定する検査が必要です。

スタート値の決定  減感作療法では、アレルゲンを身体に注射・投与するので、いきなり高濃度で開始することは出来ません。このため、療法開始時のアレルゲンのスタート値を決定します。

 先ず、いろいろな濃度のアレルゲン液をつくり、皮内テストを行って、陽性となる最低限の濃度を決定します。これを閾値といいます。

 この閾値の十分の一の濃度のアレルゲン液を、減感作療法のスタート液濃度とします。

治療の開始  減感作療法では、上腕伸側の皮下にスタート濃度のアレルゲンを注射します。15分後に皮下反応を確認します。

 その後、週あたり1~2回の割合で皮下注射を行い、アレルゲン濃度を徐々に高めてゆきます。皮膚反応の状態を観察し、発赤の大きさが直径50mmを超えない範囲のアレルゲン濃度を見極めます。この濃度を維持量(維持濃度)といいます。

治療の継続  維持量に到達した後も、最低3~6か月は週あたり一回程度の皮下注射は継続します。それ以降は、注射の頻度を徐々に減らし、2週間に一回、3週間に一回、4週間に一回という風に期間を延ばしていきます。

 最終的に、4週間に一回の頻度として維持量での注射を継続します。

治療の終了  減感作療法をいつ終了することができるかの決定的な考え方はありません。経過をよく観察しながら、完全に安定状態が得られたと考えられた時点で治療の終了となります。

 一般的には、維持量での継続期間が長いほど、その後のアレルギー症状のよりよい寛解状態が得られることが分かっています。


減感作療法の副作用  減感作療法は、安全のために、最初は非常に低濃度のアレルゲン溶液の皮下注射から始めます。しかし、あえてアレルゲン物質を投与することになるので、副作用がでることがあります。副作用には「局所反応」と「全身反応」とがあります。

減感作療法の副作用
局所反応  局所反応として現れる副作用として、注射部位に直径20mmを超えるような大きな発赤や腫脹が出現することがあります。

 副作用の程度により、抗ヒスタミン薬軟膏やステロイド軟膏などで治療します。

全身反応  全身反応としては、蕁麻疹、鼻炎、結膜炎、血管浮腫などがみられることがあります。極端な場合には、気道収縮やアナフィラキシーショック症状が出ることもあります。

 重篤なアナフィラキシーショック症状が発生した場合は、エビネフリン投与やステロイド薬投与、アミノフィリン投与などで治療・対処します。



薬物療法によるアレルギー治療法 ◆薬物療法によるアレルギー治療法についてご説明します。
薬物療法  アレルギー疾患の薬物療法には、アレルギー疾患全般に対して効果のある薬物を用いた治療と、これとは別にアレルギー疾患の個別の病態に効果のある薬物療法とがあります。ここでは、アレルギー疾患に効果のある「ステロイド薬」と「抗アレルギー薬」についてご紹介します。

ステロイド薬  ステロイド薬は「副腎皮質ホルモン薬」のことで、喘息治療に対して最も効果を発揮する薬剤です。ステロイド薬は、発作を起こさないようにするための長期管理薬としても、また強度な発作を抑える発作治療薬としても使用されます。

 ステロイド薬には「全身投与薬」と「局所投与薬」とがあります。ステロイド薬の薬剤型としては「内服薬」「注射薬」「塗り薬」および「吸入ステロイド薬」などがあり、その使用を長期管理薬として使用するのか、発作を抑制するために使用するのかなどの目的によって使い分けられます。

 全身投与薬である内服薬や注射薬は、発作抑制および発作軽減のために使用され効果を発揮しますが、長期にわたり使用を続けると、深刻な副作用が出現する可能性が高いため、極力局所投与を行うべきであり、かつ多くの場合に局所投与で良好な効果も期待できます。

 気道局所薬である吸入ステロイド薬は、気管支喘息の長期療養薬として使用されます。また、ステロイドの塗り薬もありますが、これは、炎症を起こして湿疹ができてしまった部位に塗ると顕著な効果を発揮します。ステロイド薬については、いずれの場合も使用方法について医師による処方箋や指示が必要です。

ステロイド薬の使い分け
気管支喘息 内服薬、注射(発作抑制、発作軽減)
吸入ステロイド薬(長期管理治療薬)

アレルギー性鼻炎 ステロイド点鼻薬

アレルギー性結膜炎 ステロイド点眼薬

アトピー性皮膚炎 ステロイド軟膏・ステロイドクリーム


 ステロイド薬は、効き目の強さで5段階に分類されていて、症状の部位、病態の程度、年齢などに合わせて使い分けられています。当初は強い段階のステロイド薬を使用しても、症状が軽減された場合などには、ランクの低いものに切り替える必要があります。下記に主なステロイド薬のランクを示しておきますので、もしも現在ステロイド治療薬を使用している場合には、ランクを確認してみてください。

主なステロイド薬のランク
ランク 薬の強さ 主な薬品名
I群 最も強い プロピオン酸クロベタゾール・酢酸ジフロラゾン

II群 かなり強い プロピオン酸デキサメタゾン・ジフルプレドナード・ジプロピオン酸ベタメゾン・プテソニド・吉草酸ジフルコルトロン・フルオシノニド・アムノシニド・ハルノシニド・酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン・フランカルボン酸モメタゾン・酪酸プロピオン酸ベタメゾン

III群 強い 吉草酸デキサメタゾン・プロピオン酸デプロドン・吉草酸ベタメゾン・プロピオン酸ベクロメタゾン・吉草酸酢酸プレドニゾロン・フルオキシノロンアセトニド

IV群 弱い プロピオン酸アルクロメタゾン・トリアムシノロンアセトニド・ビバル酸フルメタゾン・酪酸ヒドロコルチゾン・酪酸クロベタゾン・デキサメタゾン配合剤

V群 かなり弱い 酢酸デキサメタゾン・酢酸メチルプレドニゾロン・メチルプレドニゾロン・酢酸ヒドロコルチゾン


 ステロイド薬の特に全身投与を長期にわたり行うと、「副腎皮質機能の低下」「糖尿病」「胃潰瘍」「易感染症」「骨粗しょう症」「白内障」などの深刻な副作用が出ることがあります。また、ステロイド軟膏などでも皮膚の萎縮や皮膚が薄くなり弱くなることがあります。特に顔面では、血管が浮き出て赤ら顔になったりします。

抗アレルギー薬  I型アレルギーの場合には、侵入してきたアレルゲン(抗原)に対して、抗原抗体反応が起こり、結果として肥満細胞から「ヒスタミン」「ロイコトリエン」「トロンポキサン」などの化学伝達物質が遊離して、即時型アレルギー反応を引き起こします。

 また、肥満細胞やT細胞などからの遊走因子やサイトカインにより、好酸球が活性化され、ロイコトリエンなどを放出する結果、遅発型アレルギー反応を招きます。

 これらの各段階での反応を抑制するのが「抗アレルギー薬」であり、多くの種類があります。気管支喘息などの治療においては、抗アレルギー薬とステロイド薬の併用などによりステロイド薬の使用量の軽減などの効果が期待されます。主な抗アレルギー薬を表に示します。

抗アレルギー薬の種類
薬品分類 一般名(商品名)
メディエーター遊離抑制薬 クロモグリク酸ナトリウム(インタール)
トラニラスト(リザベン)
アンレキサノクス(ソルファ)

ヒスタミンH1拮抗薬 フマル酸ケトチフェン(ザジテン)
塩酸アゼラスチン(アゼプチン)
オキサトミド(セルテクト)

トロンポキサン阻害薬 塩酸オザグレル(ベガ、ドメナン)
セラトロダスト(ブロニカ)

ロイコトリエン拮抗薬 プランルカスト水和物(オノン)
ザフィルルカスト(アコレート)
モンテルカスト(シングレア、キプレス)

Th2サイトカイン阻害薬 トシル酸スプラタスト(アイピーディ)


 抗アレルギー薬では、副作用として肝機能障害が出ることがあります。この薬の服用中は定期的な肝機能検査が必要です。また、ヒスタミンH1拮抗薬などでは、服用により眠気や倦怠感が現れることがあるので、車の運転や集中力を必要とする仕事などには問題があります。

 その他、抗アレルギー薬に共通する症状として、腹痛、下痢、嘔吐、吐き気などの消化器症状や、発疹や掻痒、蕁麻疹などの過敏症状がでることもあります。その他にも稀に頭痛や貧血、手のふるえなどの症状が出ることもあるので、異常を感じるときは主治医に診てもらうことが必要です。