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炭疽

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【病態】  炭疽(Anthrax)は「炭疽症」とも呼ばれる疾患で四類感染症のひとつです。炭疽は、元々はヒツジやヤギなどの家畜や野生動物に炭疽菌が感染して起こる病気ですが、ヒトにも感染する人獣共通感染症です。

 ヒトへは感染動物との接触、感染動物の毛皮との接触、芽胞の吸い込み、加熱不十分な汚染肉の摂取などから感染しますが、ヒトからヒトへの感染はありません。

 炭疽によるヒトの病型には、「皮膚炭疽」「腸炭疽」「肺炭疽」および「髄膜炭疽」がありますが、自然感染の95%は皮膚炭疽です。どの病型の炭疽も治療は非常に困難で、極めて高い致死率となります。


【症状】  4つある炭疽の病型のそれぞれにより症状などは異なりますが、いずれも高い致死率を持つ極めて危険な病気です。

炭疽の症状
皮膚炭疽  炭疽の95%以上を占めるのが皮膚炭疽です。炭疽菌が手や首、顔などの皮膚にできた傷から侵入すると、潜伏期間は1〜7日で、虫刺され様の掻痒性または無痛性の丘疹ができて発症します。初期には病変周辺に水疱ができ、丘疹は崩壊し潰瘍となり次第に黒色のかさぶた様になり、高熱がでます。

 およそ80%の患者は7〜10日ほどで治癒しますが、20%では感染がリンパ節、血液へと進展し、菌血症、敗血症となって致命的になります。未治療の場合、皮膚炭疽での致死率は10〜20%となります。

腸炭疽  腸炭疽は、炭疽菌に汚染された飲食物を摂取後、2〜5日で発症します。悪心、嘔吐、食欲不振、発熱の初期症状で発症し、やがて激しい腹痛、腹水貯留、吐血の症状を呈し、膿や血液の混じった下痢が起こります。

 重症化して毒血症・敗血症へと移行すると、ショック、チアノーゼ症状となり、死亡します。腸炭疽の致死率は25〜50%です。

肺炭疽  肺炭疽は、飛散した芽胞を吸入したことで上部気道に感染して起こる炭疽です。肺炭疽は極めてまれですが、初期症状は、インフルエンザなどによるウイルス性呼吸器感染に似たものとなります。

 初期には軽度の発熱、倦怠感、筋肉痛などが起こり、数日すると突然、呼吸困難となり、咳、頭痛、悪寒、脱力、腹部や胸部の疼痛、発汗し、チアノーゼ症状を呈します。この段階に至ると通常24時間以内に死亡します。

 未治療だと90%以上の致死率となります。

髄膜炭疽  上記3つの病型から続発して起こるのが髄膜炭疽です。皮膚炭疽後の約5%、肺炭疽後の70%ほどに起こり、強い髄膜炎症状、髄液圧の上昇、血性髄液から急速な意識障害へと進行します。一旦発症すると、治療法はなく、2〜4日で100%死亡します。

【統計】  炭疽は、全世界で発生している病気です。日本での動物への発生はウシが主体で、農業従事者や獣医師、動物産品処理従事者などは感染の機会が多く注意が必要です。日本では最近の発生例はありません。