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〔ニパウイルス感染症〕

 

 〔ニパウイルス感染症〕は、感染症法の四類感染症の疾患であり、パラミクソウイルス科へニパウイルス属のニパウイルス(NiV)に感染して起こる感染症です。

 この病気は、1998~1999年にマレーシアなどで初めて発生し、ヒトに致命的な急性脳炎を起こしたり、豚に呼吸器感染症をもたらした新興の人獣共通感染症です。


 ニパウイルスの自然宿主は、ヘンドラウイルス同様にコウモリであると推測され、コウモリからブタを介してヒトに飛沫感染するものとされています。

 ブタを介してヒトや犬、猫などに感染するので、発生地域では養豚農家での発生が多くみられます。

 ニパウイルス感染症のブタにおける主な症状は、過呼吸、中程度~高度の乾湿発咳、気道分泌物の増加、呼吸困難などの呼吸器症状です。犬の鳴き声のような咳をするので「Barking Ill」とも呼ばれます。また、ときに振戦、痙攣、後躯麻痺などの神経症状も示します。


 一方、ニパウイルスがヒトに感染すると、急激な高熱、目眩、頭痛、咽頭痛、嘔吐などのインフルエンザ様の脳炎症状を呈しますが、この病気にだけ特異的な症状ではありません。多くの場合に昏睡状態に陥って死に至ります。回復した場合でも10~20%程度の患者に運動障害の後遺症が残る予後不良の病気です。

 ブタの場合、致死率は低く2~3%程度ですが、ヒトが罹ると致死率は、50%以上になります。バングラデッシュなどでの流行はありますが、日本における過去の直接的な被害報告はありません。