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身体の病気

五類感染症とは


 〔感染症〕は、寄生虫、細菌、真菌、ウイルス、異常プリオンなどの病原体が体内に侵入し、増殖して、一定の病的症状を発症した状態のことをいいます。

 厚生労働省が管理する〔感染症〕に関して「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」があり、〔感染症〕は次の5種類に区分されています。

 ・〔一類感染症〕
 ・〔二類感染症〕
 ・〔三類感染症〕
 ・〔四類感染症〕
 ・〔五類感染症〕


 〔五類感染症〕の患者を診察した「基幹定点医療機関」の医師は、最寄りの保健所長を経由して知事に届け出が必要です。

 このページは、〔五類感染症〕に関するナビゲートページです。下記に〔五類感染症〕の各病気に関して概説していますので、病名をクリックして下されば直ちに詳細ページに移動できます。


こんな病気があります ◆〔五類感染症〕には、こんな病気があります。
アメーバ赤痢  アメーバ赤痢は、原虫の赤痢アメーバの経口感染により起こる消化器伝染病です。

 原虫は、赤痢アメ-バシスト(嚢子)に汚染された飲食物などを経口摂取することにより感染します。摂取されるとシストは胃経由で小腸に達し、そこで脱シストして栄養型となり、分裂増殖を繰り返し、大腸に到達します。

 赤痢アメーバの潜伏期間は、2~3週間から数か月で、排便時の下腹部痛、粘血便、下痢、テネスムスなどの症状を発症します。下痢症状は比較的緩やかで、粘血混じりの便が1日に2~3回程度のものから、テネスムスを伴い粘血便が1日に20回以上も出るものまであります。

ウイルス性肝炎  ウイルス性肝炎にはA型~E型などの疾患があり、五類感染症としてB型、C型肝炎があります。B型肝炎やC型肝炎は、血液や体液を介して感染します。

 ウイルスが肝臓細胞に居つくために、生体の免疫機構がこれを細胞もろとも攻撃して肝臓が炎症を起こします。長期、放置すると肝硬変から肝がんへと進行します。

急性脳炎  急性脳炎は、様々な病原体による脳組織の炎症に起因する疾患の総称です。

 急性脳炎を引き起こす病原体には、単純ヘルペスウイルス、エコーウイルス、コクサッキーウイルスA・Bなどのエンテロウイルス、ムンプスウイルス、アルボウイルス、狂犬病ウイルス、アデノウイルス、麻疹ウイルスなどがあります。

 急性脳炎の潜伏期間は病原体ごとにことなりますが、ウイルス感染などにより、脳内に炎症やむくみが起こります。頭蓋内圧が上昇するために、急性の発熱、髄膜刺激症状、痙攣や意識障害、精神障害などの症状が現れてきます。

クリプトスポリジウム症  クリプトスポリジウム症は、胞子虫類に属する病原性原虫であるクリプトスポリジウムによる感染症です。

 牛馬や豚、イヌ、ネコ、ネズミなどに寄生しているクリプトスポリジウム原虫が、嚢包体(オーシスト)となってヒトに感染します。また、患者から排出された嚢包体が飲食物や手指を経由して経口摂取により感染します。

 クリプトスポリジウムの潜伏期間は3~10日です。健常者での感染部位は小腸付近に限定され、水様性下痢、腹痛、倦怠感、食欲低下、悪心などの症状が現れ、軽度の発熱を伴うこともあります。数日~2、3週間で自然治癒します。しかし、エイズ患者ではより重症化します。

クロイツフェルト・ヤコブ病  クロイツフェルト・ヤコプ病(CJD)は、全身の不随意運動と急速に進行する認知症を主徴とする中枢神経の変性疾患です。

 CJDの原因は、異常プリオンたんぱく質が中枢神経に沈着することで起こる疾患です。病原体は異常プリオン蛋白を含む食肉などであり、これを経口的に大量摂取した場合に発症するとされます。

 CJDの潜伏期間は2~30年ほどとされ、発症すると、急速に進行する認知症とミオクローヌスと呼ばれる短時間の不随意的な筋収縮が起こります。痴呆や妄想、失行などの症状が進行し、やがて独立歩行不能などを経て死にいたります。

劇症型溶血性レンサ球菌感染症  劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、β溶血を示すレンサ球菌を原因とし、突発的に発症して急激に多臓器不全に進行する敗血症性ショック病態です。

 劇症型溶血性レンサ球菌感染症の潜伏期間は2~5日とされ、感染すると細菌が脚などの筋肉にとりつき、急速に腫れあがり、数時間~数日間で腐敗していきます。妊婦がこの病気に感染すると急速な進行のために治療が間に合わず、多くは発症から1日以内に死亡します。

 通常、初発症状として、38度C以上の突然の発熱、咽頭痛、リンパ節の腫れ、食欲不振や吐き気、嘔吐、下痢などの消化管症状、全身倦怠感、低血圧などの敗血症症状、筋肉痛などが現れます。

後天性免疫不全症候群  後天性免疫不全症候群(HIV)は、ヒト免疫不全ウイルスが、様々な感染経路で人体に入り、免疫細胞の機能を損なわせて免疫不全状態にするいわゆるエイズと呼ばれる病気です。

 エイズの病原体は、HIVと呼ばれるレトロウイルスに属するウイルスで、本来、HIVウイルス自体の感染力は非常に弱く、一般に空気感染などはしません。現実に感染する機会は「血液による感染」「性交渉による感染」および「母子感染」などに限られています。

 潜伏期間は10年ほどで、最初は風邪症候群のような症状ではじまり、原因不明の発熱、体重減少、寝汗、倦怠感などがあり、リンパ節が腫れあがります。エイズ治療は最近の10~20年間で急速な進歩をとげ、感染者に大きな福音をもたらしていますので、やがて完全に制御できる日がくるものと期待されます。

ジアルジア症  ジアルジア症は、ジアルジアランブリアという原虫の感染による下痢性疾患です。

 ジアルジア症の感染経路は、いわゆる糞口感染であり、人同士の接触や、食品を介しての小規模集団感染と、飲料水などを介した大規模集団感染とがあります。

 ジアルジア症の潜伏期間は5~25日間程度です。感染しても症状のでない無症候性感染者も多いですが、発症する場合の主な症状は、下痢、衰弱感、体重減少、腹痛、悪心や脂肪便などですが通常、発熱はありません。

髄膜炎菌性髄膜炎  髄膜炎菌性髄膜炎(流行性脳脊髄膜炎)は、化膿性髄膜炎の中で髄膜炎菌を原因菌として起こる感染症です。髄膜炎を引き起こす病原性細菌はいくつか存在しますが、髄膜炎菌が最も大規模な流行を引き起こすので「流行性髄膜炎」とも呼ばれます。

 髄膜炎菌は、患者のくしゃみなどによる飛沫感染で伝播し、気道を介して血中に侵入し、血中から髄液にまで移動して敗血症や髄膜炎を起こします。こうして、人から人へは飛沫感染で感染し流行します。

 2~5日間の潜伏期間後には、菌血症(敗血症)を起こして高熱や皮膚、粘膜における出血斑、関節炎等の症状で発症します。多くの場合は、菌血症で症状が回復し、一過性の発熱や髄膜刺激症状など、ごく軽度の髄膜炎症状の後に自然治癒します。

先天性風しん症候群  先天性風しん症候群(CRS)は、風疹ウイルスに対する免疫を持たない妊婦が妊娠初期に風疹にかかることにより胎児に感染し、子どもに多様な奇形や障害を生じる先天異常症の症候群です。

 妊娠2~16週の間に風疹に感染するとCRSになるリスクが高くなります。中でも妊娠の初期、特に妊娠3か月以内に感染し、ある量以上のウィルス増殖が有れば、高い確率でCRSが発症するとされています。

梅毒  梅毒は、スピロヘータの一種である梅毒トレポネーマによる感染症です。

 梅毒の主な感染経路は性交渉やオーラルセックス、アナルセックスなどの性行為であり、そのために性病・性感染症のひとつとして知られています。

 梅毒の症状は感染後3~14週間してはじまり、第1期~第4期に分けて段階的に進行します。治療しない場合、心臓や脳の障害を引き起こし、死に至ることもありますが、現実には抗生物質により治癒可能です。症状は、菌が侵入した部位に硬性下疳と呼ばれる無痛性の塊ができて始まります。

破傷風  破傷風は、破傷風菌を病原体とする人獣共通感染症です。破傷風は、土壌中に棲息する破傷風菌が、傷口から体内に侵入することで感染します。

 破傷風菌に感染すると菌が産生する神経毒素(破傷風毒素)により、いわゆる強直性痙攣をひき起こします。口唇や手足のしびれや口が開けにくいなどの神経症状を引き起こし、治療が遅れると全身痙攣を起こして死に至ります。

バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症  バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症は、獲得型バンコマイシン耐性遺伝子を保有し、バンコマイシン耐性を示す黄色ブドウ球菌による感染症です。

 病原体であるバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)は、抗生物質のバンコマイシンに対して耐性を獲得した黄色ブドウ球菌です。

 VRSAによる感染症は、手術後の患者や高齢者、糖尿病患者などで感染防御機能の低下した人では、重篤な肺炎、腸炎、敗血症などの感染症症状を呈するようになります。

バンコマイシン耐性腸球菌感染症  バンコマイシン耐性腸球菌感染症は、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)により引き起こされれる感染症です。

 もともと、腸球菌属は、健常者の回腸や口腔、外陰部などに常在するグラム陽性球菌であり、病原性は非常に弱い菌類です。バイコマイシン耐性腸球菌(VRE)とは、バイコマイシン(VCM)に耐性を獲得した腸球菌をいいます。

 バンコマイシン耐性腸球菌感染症は、健常者では発症することはありませんが、体力が衰え免疫力が低下している人が感染すると、患部の発赤などの炎症、発熱など一般的な細菌感染症の症状を呈します。また、腹膜炎、尿路炎、心内膜炎、肺血症、髄膜炎、胆道感染症、敗血症などを起こすようになります。

麻しん  麻疹は俗称「はしか」と呼ばれる病気で、はしかウイルスの感染により起こります。このウイルスの潜伏期間は10日ほどです。

 麻疹・はしかは、伝染力が非常に強いことと、日本においては未だ制圧されていないために、日本人は一生の内に一度は麻疹・はしかに罹ります。

 発病すると、38~39度の発熱を伴いながら咳、鼻汁、目やに、結膜炎、紅斑などの症状が現れます。また、口内の頬側粘膜に発赤をともなう小さな発疹ができるのが特徴です。 2~3日で熱が下がり、体中のいたる部位に次々と発疹ができます。熱が下がると発疹は出現した順序で消えてゆき治癒します。

風しん  風疹は、風疹ウイルスによる感染症です。

 比較的小さなバラ色の発疹ができ、微熱をともないながらリンパ節が腫れる症状がでます。風疹は顔面、耳後部から現れ全身に広がってゆきます。症状がはしかの症状と似ていて、通常3日くらいで治るので、三日はしかとも呼ばれています。

 風疹に対して免疫のない女性が妊娠初期に風疹に罹ると、風疹ウイルスがお腹の胎児に感染してしまい、出生児に「先天性風疹症候群(CRS)」と総称される重大な障害を引き起こすことがあります。

RSウイルス感染症  RSウイルス感染症は、乳幼児の代表的な呼吸器感染症です。病原体は「RSウイルス(RSV)」です。

 この病気は、呼吸器飛沫と呼吸器からの分泌物に汚染された手指や物品の接触により感染します。毎年、冬季を中心に流行し、乳児の半数以上が1歳までに感染します。2歳までにはほぼ100%の乳幼児が感染し、その後も一生にわたって再感染を繰り返します。

 RSウイルス感染症の潜伏期間は2~8日であり、発熱を伴う咳や鼻水などの上気道症状で発症します。3割ほどの患者では炎症が下気道にまで達して、気管支炎や細気管支炎を発症し、強い咳、ゼーゼーする喘鳴、多呼吸などの症状が現れてきます。

咽頭結膜熱  咽頭結膜熱は、アデノウイルスによる感染症です。いわゆる夏風邪のひとつで、プールを介して感染し流行しやすいことから「プール熱」とも呼ばれます。

 アデノウイルスは感染力が非常に強力であり、口や鼻、喉、目の結膜などから容易に体内に侵入し感染します。主な感染経路は保育園や幼稚園、学校などのプールでの感染ですが、感染患者のくしゃみを吸引することによる空気感染、感染者の使用したタオル、食器などに触れることによる接触感染などがあります。

 咽頭結膜熱、プール熱の潜伏期間は4~7日間です。その後、38~40度Cの突然の発熱で頭痛、寒気、食欲不振、咳、鼻水、リンパ腺の腫れ、全身倦怠感を伴いながら発症します。さらに咽頭炎や結膜炎などの諸症状がでてきます。乳幼児では嘔吐や下痢などの症状がでることもありますが、全部の症状が揃わないこともあります。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎  A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、A群溶血性レンサ球菌の感染による急性咽頭炎です。原因菌のA群溶血性レンサ球菌は、咽頭炎だけでなく,しょう紅熱、中耳炎、肺炎、化膿性関節炎、髄膜炎など、上気道炎や化膿性皮膚感染症など多様な疾患を引き起こす病原菌です。

 この病気は、感染患者の唾液や鼻汁、くしゃみなどの飛沫を吸い込むことによる飛沫感染・経気道感染や、菌が付着した飲食物などの摂取による経口感染、および患者との接触感染などで感染します。

 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の潜伏期間は2~5日ほどで、38~39度Cの突然の発熱と全身倦怠感、喉の痛みによって発症し、しばしば悪心や嘔吐、腹痛を伴います。咽頭壁や扁桃粘膜に発赤が見られ、軟口蓋の小点状出血、舌にイチゴのような赤いブツブツができる苺舌がみられます。

感染性胃腸炎  感染性胃腸炎は、多種多様な原因による胃腸炎を起こす感染症症候群の総称です。

 原因病原体には、細菌やウイルス、寄生虫など非常に多くのものがあります。典型的な症状は発熱や下痢、悪心、嘔吐、腹痛などです。この病気は年間を通して発症していますが、細菌性のものは夏場に集中し、ウイルス性のものは秋から冬にかけて流行します。

 感染性胃腸炎の感染様式はほとんどの場合、感染患者からの糞口感染、病原体に汚染された水、食品を介して経口感染です。

 冬季の胃腸炎の主な病原体はノロウイルスで、感染すると嘔吐や下痢を引き起こします。食中毒のようにノロウイルスに汚染された飲食物の摂取で経口感染しますが、風邪のようにヒトからヒトへの感染もあります。

水痘  水痘は、ヘルペスウイルス科の水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の感染により起こる病気で、一般的には「水疱瘡(みずぼうそう)」として知られた病気です。

 この病気の感染経路は、主に空気感染や飛沫感染で感染します。また、かさぶたになっていない皮膚症状からの接触感染もありえます。感染力が非常に強く、病院などで感染患者と同一フロアにいるだけで軽度の接触とみなすほどです。

 水疱瘡は一旦治癒しても、水痘帯状疱疹ウイルスは終生そのまま体内の脊髄後根神経節に潜伏感染し、成人後、免疫力の低下した時点で再燃し、帯状疱疹として発症します。

 水痘の潜伏期間は10~21日間程度で発熱、倦怠感を伴いながら、躯幹から赤い点状の小丘疹が出現します。発疹は一斉に出現するのではなく、数日掛けて続々と出現し顔面や四肢に広がってゆきます。発疹は、鼻咽頭、気道、膣などの粘膜にも出現することがあります。

手足口病  手足口病は、乳幼児を中心に初夏から初秋にかけて流行する急性ウイルス感染症で、保育園や幼稚園などにおいて、夏季に流行のピークをむかえますが、秋から冬にかけても発生することがあります。

 この手足口病は、口の中、手のひら、指、ひじ、膝、足の裏、お尻に突然、伝染性の水泡性発疹ができ、軽い発熱や痛みを伴います。原因は、エンテロウイルスによる感染症で、通常は一週間ほどで自然治癒します。

 症状は軽い発熱と食欲不振や不快感から始まり、口内に小さな赤い斑点が現れ、しばしば喉も痛みも伴いながら1~2日くらい口内が痛みます。通常、口内の小さな紅斑(口内炎)は舌や歯茎、頬の内側にでき、水泡性発疹となります。

伝染性紅斑  伝染性紅斑は、両頬に特徴的な紅斑が出現することから、「第5病」「りんご病」「ほっぺ病」とも呼ばれる感染症です。

 この病気の原因病原体は、ヒトパルボウイルスB19で、主に空気感染により感染しますが、感染力はそれほど強くありません。

 伝染性紅斑は、小児を中心に幼稚園や小学校で流行する発疹性疾患であり両頬に特徴的な蝶翼状の紅斑が出現します。ほっぺたが赤くなりますが、普通どおり登園・登校してもかまわない感染症です。

突発性発しん  突発性発疹は、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)または、7型(HHV-7)の初感染による感染症で、突発疹・突発性発疹症などとも呼ばれる病気です。

 この病気は乳児期に感染することが多く、突発的な高熱と解熱前後に発生する発疹を特徴としますが、一般に予後は良好です。

 突発性発疹の潜伏期間は5~15日です。38~40度Cの突然の発熱で発症します。発熱は3~4日ほど持続しますが、比較的急激に解熱します。この病気に罹って発熱しても、赤ちゃんは機嫌が悪くならないことが多いです。

百日咳  百日咳は、百日咳菌、あるいはパラ百日咳菌よる呼吸器感染症で、特有の痙攣性発作を伴う急性気道感染症です。

 百日咳の感染経路は、鼻咽頭や気道からの分泌物の飛沫を吸い込むことによる飛沫感染や患者との直接接触による接触感染です。カタル期と呼ばれる発症初期の段階と咳が出現して2週間以内がもっとも感染力が強くなります。

 百日咳の潜伏期間は6~20日間で、初期のカタル期、中期の痙咳期、および回復期という三段階を経て発症し治癒・回復していきます。

 酷くなると発作性痙攣性の咳(痙咳)となり、コンコンコンという特有な咳が続きます。嘔吐することもあります。

ヘルパンギーナ  ヘルパンギーナは、いわゆる夏風邪の代表的な感染症の病気です。主に夏季に小児を中心に流行する急性ウイルス性咽頭減で、発熱を伴いながら口腔粘膜に特徴的な水疱性発疹が現れます。

 この病気の原因病原体は、主にエンテロウイルス属の多数のウイルスです。エンテロウイルス属ウイルスの宿主はヒトだけであり、感染経路は接触感染と糞口感染、飛沫感染などとなります。ウイルスの種類が多くあるのでヘルパンギーナには何度も感染してしまいます。

 ヘルパンギーナの潜伏期間は2~7日間で、突然38度C以上の発熱で発症し、熱性痙攣、頭痛、筋肉痛、嘔吐、下痢などの症状が出ます。ちょっと遅れて、口腔内咽頭粘膜が発赤し、水疱疹、潰瘍が数個~10個ほど現れます。乳幼児では痛みのために、拒食、哺乳障害、食欲不振、よだれなどで不機嫌となり脱水症状を起こすこともあります。

流行性耳下腺炎  流行性耳下腺炎は、俗称では「おたふくかぜ」とも呼ばれる病気で、パラミクソウイルス科のムンプスウイルスの感染によって起こる感染症です。

 原因病原体のムンプスウイルスは、患者の唾液の飛沫感染や接触により感染します。このため、患者の家族や保育園、幼稚園、小学校などの子供が密接に集団生活をする場で感染することが多い病気です。

 この病気は主に2~12歳の幼児・小児・児童が罹り耳下腺の腫れを起こしますが、これより上の年齢層の人が感染すると、睾丸や中枢神経系、膵臓、前立腺、胸等、他の器官に症状が及ぶこともあります。

インフルエンザ  通常のインフルエンザ、インフルエンザウイルスによる急性感染症です。広義には風邪症候群の一つですが、普通の風邪に比べて症状が非常に激しく、強い流行性があり、「流行性感冒」とか「流感」とも呼ばれます。世界の歴史上でも何度かのパンデミックと呼ばれる大流行が記録されています。

 インフルエンザは、最初は寒気から始まり、高熱を出し、頭痛、咳、くしゃみ、鼻水、のどの痛みなどが出るほか、筋肉痛、関節痛、腹痛、下痢などの症状も現れます。通常は、3~4日で症状が治まり始めます。

 インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型などがあり、適合ワクチンがあれば有効ですが、ワクチンが適合しなければ効果はありません。

急性出血性結膜炎  急性出血性結膜炎(AHC)は、主として二つのエンテロウイルス、エンテロウイルス70(EV70)とコクサッキーウイルスA24変異株(CA24v)よる激しい出血症状を伴う結膜炎です。

 原因病原体である二つのエンテロウイルスは、主に結膜に感染する特徴があります。このウイルスは、ヒトからヒトに直接接触で感染します。

 AHCの潜伏期間は1~3日間で、突然の強い眼の痛み、ゴロゴロ感、眩しさなどの症状で始まり、結膜の充血、まぶたの腫れ、結膜下白目にボツボツとした点状出血が出現し、目やにや流涙が起こります。

流行性角結膜炎  流行性角結膜炎(EKC)は、主にD群のアデノウイルスにより引き起こされる急性の角結膜炎です。このウイルスは伝染力が強く、はやり目とも呼ばれます。

 原因病原体は、主にD群アデノウイルスの中の血清型が8型・19型・37型のウイルスです。稀にはB群アデノウイルスの中の血清型11型、E群の4型も原因となります。

 流行性角結膜炎は、この病気の患者との手を介した接触によって感染します。家庭内や職場、学校、病院など濃密に人が接触する場所が感染元となります。患者が接触したティッシュやタオル、洗面具などに触れることで感染します。

 流行性角結膜炎の潜伏期間は約1~2週間で、急性ろ胞性結膜炎から発症します。結膜の浮腫や充血、眼瞼の浮腫が起こり、激しい涙やめやにの症状がでます。耳前のリンパ節の腫れと圧痛も来たします。

性器クラミジア感染症  クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマティスという微生物の感染により発症する感染症の病気です。

 クラミジア感染症は基本的に性感染症の一つであり、性交渉や性的な接触で感染します。この病気は、適切な抗菌薬で完治しますが、放置して自然に治癒することはありません。治療に当たっては、パートナーと同時に治療しないと、ピンポン感染してしまうので治療の効果がありません。

 クラミジアの潜伏期間は1~3週間で、ほとんどは症状が出ることはなく、5人に1人くらいしか症状を感じません。男性では症状がでるのはまれです。女性では、わずかなおりものが出たり、濃い黄色や緑黄色のおりものが出たり、不正子宮出血や下腹部の痛み、性交痛などの症状がでます。

性器ヘルペスウイルス感染症  性器ヘルペスウイルス感染症は、単純ヘルペスウイルス(HSV)の1型と2型の感染による性感染症(STD)で、性器ヘルペスとも呼ばれます。

 病原体の単純ヘルペスウイルスHSVは、この病気に感染している相手との性交渉によって感染します。HSVが局所粘膜から侵入すると、増殖し局所に病変を形成すると同時に知覚神経を上行して、神経節に入って潜伏状態となります。口腔周辺の感染では三叉神経節に潜伏し、性器周辺の感染では仙髄神経節に潜伏します。

 性器ヘルペスウイルス感染症の潜伏期間は2~21日間です。無症状のことも多いですが、発症すると、女性では外陰部の不快感や掻痒感、発熱、全身倦怠感、所属リンパ節の腫脹、強い疼痛を伴いながら、多発性の浅い潰瘍や小水疱が急激に生じます。男性では包皮、冠状溝、亀頭に病変が現れます。

尖圭コンジローマ  尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)による性感染症で、生殖器とその周辺に発症します。尖圭コンジロームと呼ばれることもあります。

 尖圭コンジローマの主な感染経路は性交渉などの性的接触です。

 尖圭コンジローマの潜伏期間は人により3週間~8か月と広い幅をもっています。潜伏期を過ぎると、性器部分や肛門付近などの陰部に先端が尖ったイボを形成して発症します。イボは、良性で時期がくれば自然治癒します。

淋菌感染症(淋病)  淋菌感染症は、淋菌の感染による性感染症(STD)で、一般に「淋病」と呼ばれます。

 原因病原体の淋菌は、弱い菌であり、患者の粘膜から離れると数時間で感染能力を失います。日光や乾燥、温度の変化、消毒剤などで容易に死滅するので、性交渉やオーラルセックスなどの性交類似行為以外で感染することはまれです。現実的には、感染者との粘膜同士の接触や、精液、膣分泌液を介して感染します。

 淋菌感染症の潜伏期間は約2~9日で、男性では、尿道通、排尿通、亀頭部の発赤、尿道口からの膿性分泌物、勃起時の痛みなどが現れます。女性では一般に男性よりも軽症ですが、膣分泌物の増加などがみられます。

クラミジア肺炎  クラミジア肺炎(オウム病を除く)は、クラミジアという細菌による肺炎です。

 病原体のクラミジア菌には三つの種類がありますが、それらはヒトを宿主として飛沫感染により伝播し、急性呼吸器感染症を起こします。通常は、密接な接触する者の間で小規模に感染が広がります。クラミジア肺炎は、市中肺炎としてよく見られる肺炎です。妊婦がクラミジアに感染していると、新生児が産道感染し、結膜炎や鼻炎、肺炎になることがあります。

 クラミジアの潜伏期間は3~4週間ですが、症状の現れ方は菌の種類により多少異なります。

 クラミジア・トラコマーティスによるクラミジア肺炎では、生後3か月以内の新生児に鼻炎、結膜炎、咳、多呼吸、喘鳴、湿性咳嗽、呼吸困難などの呼吸器症状を呈します。発熱はありません。クラミドフィラ・ニューモニエによる肺炎では、発熱ほとんどなく、咽頭痛、鼻汁、嗄声、呼吸困難などがあっても軽度でですが、咳は長く続くことが特徴です。

細菌性髄膜炎  細菌性髄膜炎は、多くの原因細菌の感染によって引き起こされる中枢神経系の感染症で化膿性髄膜炎とも呼ばれます。細菌性髄膜炎は、人間の脳にある髄膜・脳脊髄液に細菌が侵入し感染して起こります。

 急性髄膜炎は、38~40度Cの発熱、激しい頭痛、悪寒、首の硬直、咽頭痛、嘔吐などの初期症状で発症します。また、項部硬直という髄膜刺激症状がみられます。高熱が続きせん妄や意識障害、脳神経症状も現れます。

ペニシリン耐性肺炎球菌感染症  ペニシリン耐性肺炎球菌感染症は、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)による感染症です。PRSPは、肺炎球菌や化膿連鎖球菌などグラム陽性球菌に有効な抗生物質なペニシリンに対して耐性を獲得した肺炎球菌です。

 この菌は、感染患者からの飛沫により経気道感染を起こします。更に上気道より感染すると、血流に乗って移動し他臓器へも感染します。

 ペニシリン耐性肺炎球菌感染症では、通常の肺炎と同様な症状を呈するほか、副鼻腔炎、心内膜炎、心嚢炎、腹膜炎、関節炎、まれには尿路生殖器感染から菌血症を引き起こすこともあります。

マイコプラズマ肺炎  マイコプラズマ肺炎は、細菌とウイルスの中間に位置するマイコプラズマ・ニューモニエという微生物により起こる肺炎です。

 感染後の潜伏期は10日程度で、通常は発熱をともない急激に発症し、頑固な乾いた咳が長く続きます。咳は早朝や夜間就寝時に強く出ます。

 飛沫感染による感染なので幼稚園などで流行する危険性が大きい病気で、小児や若年成人に比較的多く発症しますが、1歳以下の乳児では少ないです。

無菌性髄膜炎  無菌性髄膜炎は、通常の検査方法では病原体が見つからない髄膜炎です。通常、無菌性髄膜炎といえば、このウイルス性髄膜炎を意味しています。ウイルスが原因で発症する髄膜炎であれば、通常は良好な経過をとりますが、細菌が原因菌となる場合には最悪の終末を迎える可能性があります。

 この病気の感染経路は、通常は保菌者との接触感染、保菌者の唾や鼻汁、くしゃみなどの飛沫感染、原因菌に汚染された食物による経口感染、あるいは媒介動物を介した感染などです。

 無菌性髄膜炎の潜伏期間は、起因病原体により異なりますが、多くは、2~5日程度で、急性の発熱、悪心、吐き気、嘔吐などの症状で発症します。

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症  抗生物質のメチシリンに耐性を獲得した黄色ブドウ球菌をMRSAと呼びますが、この細菌は種々の抗生物質が効かなくなる多耐性の黄色ブドウ球菌です。

 病院内に入院中の患者の中で免疫力が低下した人に日和見的に感染することが多く見られます。院内感染で一旦発症すると、耐薬品性により抗生物質が効かないために治療はとても困難となります。治癒しても後遺症が残ったり、しばしば死にいたることもあります。

 MRSAによる感染症としては肺炎、敗血症、腸炎、髄膜炎、胆管炎などがあります。

薬剤耐性アシネトバクター感染症  「アシネトバクター」は、土壌や河川水など湿潤な自然環境の中でごく普通に生息する環境菌で、健康人の皮膚からも発見されることがある通常は無害の菌です。

 アシネトバクターは、体力の低下した患者や抗菌薬を長期にわたり使用してきた患者に日和見感染し、肺炎を代表とする呼吸器感染症や尿路感染症をはじめ様々な感染症を引き起こします。

 アシネトバクター感染症に罹るのは、医療機関で入院治療中の重症患者などであり、医療機関以外の場に感染することは先ずありません。

 〔薬剤耐性アシネトバクター感染症〕は、通常のアシネトバクター感染症患者の治療に用いる抗菌薬に強い耐性を示し、効かなくなっている菌株への感染症をいいます。薬剤耐性アシネトバクターには、カルバペネム系やフルオロキノロン系、アミノグリコシド系の3種類の抗菌薬の全てに耐性を示す菌株が知られています。

 薬剤耐性アシネトバクター感染症の発見した指定届出機関は、届出が義務付けられています。

薬剤耐性緑膿菌感染症  薬剤耐性緑膿菌感染症は、薬剤耐性を有する緑膿菌による感染症です。

 緑膿菌は、日常の生活環境中に普遍的に常在する菌で、細菌学的には大腸菌や肺炎桿菌と同様なグラム陰性桿菌の仲間で、普段は健常者に対しては病原性を示さない弱毒細菌です。

 多剤薬剤耐性緑膿菌感染症の感染経路は、病院内などで、尿、喀痰、膿、便、浸出液などで汚染された手指や医療器具への接触、病院内などでの患者の唾や咳での飛沫などで感染します。

 薬剤耐性緑膿菌感染症では、手術後の患者などで体力が低下し感染防御機能の低下した人、抗菌薬長期使用中の患者などに対して日和見感染し、敗血症や骨髄、気道、尿路、皮膚、軟部組織、耳、眼などに多彩な感染症を引き起こします。