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〔横紋筋肉腫〕

 

 〔横紋筋肉腫〕とは、将来、自分の意思により身体を動かすときに使う骨格筋(横紋筋)になるはずの未熟な細胞から発生する、悪性腫瘍をいいます。

 身体各部にある骨格筋や平滑筋、脂肪、結合織、骨、あるいは軟骨などの細胞になるべき細胞を「間葉系細胞」と呼びますが、横紋筋肉腫は、この間葉系細胞から発生し、横紋筋への分化を示す肉腫です。


 横紋筋肉腫は、身体中のあらゆる部位に発生しますが、好発部位は、頭頸部や泌尿生殖器および後腹膜、そして上下肢となります。

 特に、眼のまわりや傍髄膜(ぼうずいまく)と呼ばれる脳の表面近くなどの頭頸部に最も多く発生します。膀胱や前立腺などにも比較的多く発生します。


 この肉腫の病理組織学的な大分類としては、次の三種類に分けられます。一般に胞巣型横紋筋肉腫は極めて予後不良です。

 ・胎児型横紋筋肉腫
 ・胞巣型横紋筋肉腫
 ・多形型横紋筋肉腫

横紋筋肉腫の病理組織学的分類
胎児型 ブドウ状亜型  ブドウ状の外観で泌尿生殖器に発生。
紡錘細胞亜型  腫瘍細胞は平滑筋肉腫に似た束状。
退形成亜型  胎児型と胞巣型の両方に見られる亜型。
胞巣型 固形亜型  シート状の円形細胞。
胎児胞巣混合亜型  胎児型と混在。
退形成亜型  胎児型と胞巣型の両方に見られる亜型。
多形型  大型異型の核と好酸性の細胞質。

 それぞれの型は、更にいくつかに詳細分類され、それぞれ遺伝子的背景や罹りやすい年齢、治療成績などが異なります。全体的に、この肉腫は、幼少児に多く発症します。


横紋筋肉腫はどんな病気ですか? ◆「横紋筋肉腫」とは、一体どんな病気なのかの説明です。
どんな病気ですか?

 横紋筋肉腫は、将来、自分の意思によって身体を動かそうとするするときに使われる横紋筋(骨格筋)になる筈の未熟な細胞から発生する肉腫(悪性腫瘍)です。

 この肉腫は、現実的には骨格筋ばかりでなく、身体のあらゆる部位にある平滑筋や脂肪、結合織、骨、あるいは軟骨などからも発生します。

 好発部位は、頭頸部や泌尿生殖器および後腹膜、上下肢です。眼の奥や鼻の中、腹部や胸部のいろいろな内臓、膀胱、前立腺、睾丸、肛門などから発生します。

 横紋筋肉腫の患者は、その約70%が10歳未満の乳幼児や子どもですが、少年期や青年期の若い人でも発生します。稀には成人でも発症することがあります。

横紋筋肉腫の分類

 横紋筋肉腫の病理組織学的な分類は、大きくは胎児型横紋筋肉腫、胞巣型横紋筋肉腫、および多形型横紋筋肉腫の三種類になります。

 それぞれの型の肉腫は、更にいくつかに細分類され、それぞれ遺伝子的背景や罹りやすい年齢、治療成績などが異なります。

横紋筋肉腫の分類
胎児型横紋筋肉腫

 横紋筋肉腫は、10歳未満の子どもに発生することが非常に多いですが、乳幼児の横紋筋肉腫の中で、この胎児型横紋筋肉腫が最も多く60%ほどを占めています。胎児型の半数近くは5歳未満の乳幼児に発症しています。

 腫瘍細胞は小円形または紡錘形で核の多型性は少ないです。好発部位は、頭頸部が約47%、次いで泌尿生殖器が多く、約28%となっています。

 胎児型横紋筋肉腫は、ブドウ状亜型、紡錘細胞亜型、および退形成亜型の三種類に再分類されています。

胎児型横紋筋肉腫の詳細分類
ブドウ状亜型

 ブドウ状亜型は、肉眼的な外観がブドウの房のように見えることからこのような名称となっています。他のタイプ同様に、乳幼児での発生数が多くなっています。

 泌尿生殖器や胆道・消化管、鼻咽頭、結膜、および外耳道に発生します。

 予後は中程度です。

紡錘細胞亜型

 紡錘細胞亜型は、好酸性で細線維状の胞体を有し、腫瘍細胞の形状としては長紡錘形が全体の80%以上を占めています。

 腫瘍細胞は、平滑筋肉腫類似の束状か、花むしろ状の構造を有しています。

 予後は良好です。

退形成亜型

 退形成亜型は、多核巨細胞などの強い異型性や多形性を示します。

 胎児型と胞巣型の両方に出現する亜型です。

 予後は不良です。


胞巣型横紋筋肉腫

 胞巣型横紋筋肉腫では、血管線維性間質からなる胞巣状の隔壁に沿った特有の類円形の腫瘍細胞配列をしています。未分化な小円形の腫瘍細胞が隔壁に吊るした柿状に付着して増殖する状態です。

 四肢に比較的多く発生しますが、体幹や頭頚部にも発生します。

 周囲組織に容易に浸潤拡大し、遠隔転移しやすく、予後は不良です。

胞巣型横紋筋肉腫の詳細分類
固形亜型

 固形亜型では、隔壁のないさまざまな段階の横紋筋分化を持つ円形細胞がシート状に増殖します。

胎児胞巣混合亜型

 胎児胞巣混合亜型は、胎児型と胞巣型が混在する混合型です。

退形成亜型

 退形成亜型は、多核巨細胞などの強い異型性や多形性を示します。

 胎児型と胞巣型の両方に出現する亜型です。

 予後は不良です。


多形型横紋筋肉腫

 多形型では、腫瘍細胞は、大型多形性をしていて束状、あるいは不規則な筋線維状の配列構造を有しています。胎児型および胞巣型の成分がはっきりしない。

 成人の四肢に多く発症し、小児にはまれです。



横紋筋肉腫はどんな症状ですか? ◆「横紋筋肉腫」の症状の説明です。
横紋筋肉腫の症状

 横紋筋肉腫は、通常、初期の段階では痛みや痺れ、麻痺などの自覚症状はほとんど現われません。

 この肉腫は、筋肉の深部に発生し急速に増殖する傾向があり、巨大化して気づくようになると、神経が圧迫されることで痛みの症状が出現します。こうして、異常に気づいた時点では肉腫がかなり大きくなっている場合があります。

 横紋筋肉腫では、大きく成長して腫瘤になって発見されることが多いですが、症状は原発腫瘍の発生部位によって異なります。

 頭頸部や四肢に急速に成長する腫瘤が感じられるようになったら、まず横紋筋肉腫を疑わなければなりません。次のような症状が見られたなら、医療機関での診察が不可避です。

横紋筋肉腫の典型的症状
泌尿生殖器の腫瘍

 泌尿生殖器に発生すると、排尿障害や血尿、黄疸が現われます。更に男性では、陰嚢の精巣近傍に腫瘤ができ、睾丸の腫れが出てきます。女性では、膣の中に腫瘤ができ、膣からの出血が見られたりします。

傍髄膜の腫瘍

 頭蓋底付近傍髄膜に腫瘍ができると、目や耳、鼻などに異常が出現します。顔面での腫瘍は対称にできるわけではないため、顔面が非対称に腫れることがあります。また、頭痛や顔面痛が出現します。

 眼窩(目・眼)に腫瘍が発生すると、眼の周囲が腫れたり、物が二重に見えたりします。耳にできると、耳垂れが生じるほか、片方の耳だけ聞こえが悪くなったり、音質が変化したりします。鼻にできた場合には、片側の鼻孔だけ呼吸困難になったり、膿が出たりします。

四肢の腫瘍

 四肢に腫瘍が生じた場合には、硬い腫瘤が急速に成長するように感じられます。また、足を引きずるような症状が現われてきます。



横紋筋肉腫の原因は何ですか? ◆「横紋筋肉腫」の原因や発症の仕組みの説明です。
横紋筋肉腫の原因

 横紋筋肉腫の発生原因はよく分かっていません。横紋筋肉腫を発生させる明確な原因は分からないものの、次のような疾患とは何らかの関連はあるものと考えられてはいます。

横紋筋肉腫の原因となるかも知れない疾患
神経繊維腫症1型

 神経線維腫症Ⅰ型は、主に皮膚や神経などの器官に神経線維腫などを生じる遺伝性の病気で、別名、レックリングハウゼン病とも呼ばれる疾患です。

 神経線維腫と呼ばれる腫瘍や色素斑など皮膚症状が強く現われます。

ベックウィズ・ヴィーデマン症候群

 ベックウィズ・ヴィーデマン症候群は、巨舌、腹壁欠損(臍帯ヘルニア、腹直筋解離、臍ヘルニア)、および過成長を三主徴とする先天奇形症候群です。

リ・フラウメニ症候群

 リ・フラウメニ症候群は、軟部組織肉腫や骨肉腫、閉経前乳癌、脳腫瘍、副腎皮質癌、その他様々な腫瘍を伴うがん多発症候群です。

心臓・顔・皮膚症候群

 心臓・顔・皮膚症候群は、遺伝子の先天的異常で、成長・発達障害、精神発達遅滞、薄い眉毛や側頭部狭小などの特徴的な顔つき、脆弱でカールした毛髪、湿疹・角化異常・魚麟癬などの皮膚症状、先天性心疾患、肥大型心筋症などが出現する遺伝性疾患です。

コステロ症候群

 コステロ症候群は、ヌーナン症候群類似の先天奇形症候群です。



横紋筋肉腫の診断はどうなりますか? ◆「横紋筋肉腫」の検査方法や診断方法の説明です。
横紋筋肉腫の診断

 横紋筋肉腫の診断のための検査は、出現している症状などによって異なります。検査方法は、X線検査やX線CT検査、超音波検査、およびMRIなどのような画像診断検査を主体に行われます。

 この腫瘍は、肺や骨髄、骨に転移しやすい性質があるので、シンチグラフィーや全身骨X線検査、PET検査、骨髄穿刺、骨髄生検、およびリンパ管造影などの検査が追加されることもあります。

横紋筋肉腫の検査
腫瘍部位の確認

 腫瘍の正確な位置やその範囲、身体の他部位へ浸潤・転移していないかなどの判定のための検査として、MRIなどの画像検査を行います。

生検

 腫瘍の種類を確定するために、腫瘍部位から組織片サンプルを採取し、生検を行います。生検を行う時点で、原発腫瘍の切除をすることもあります。

転移の検査

 腫瘍が他の身体部位に浸潤・転移していないか調べます。転移しやすい部位は、肺や骨髄、骨などです。

 横紋筋肉腫は、他の類似の悪性腫瘍である、神経芽腫やユーイング肉腫、悪性リンパ腫などと識別するための鑑別検査・診断を行います。



横紋筋肉腫の治療はどうやりますか? ◆「横紋筋肉腫」の治療方法の説明です。
横紋筋肉腫の治療

 横紋筋肉腫の治療は、初期の段階、あるいは、手術をしても機能障害が残らないと判断される場合には、まず手術による腫瘍の摘出をします。その後、通常は化学療法と放射線療法を併用して治療します。

 がんの進行度や部位によっては手術が不可能であったり、手術できても重大な後遺症が予想される場合には、化学療法や放射線療法を先行させ、腫瘍が縮小してから摘出手術を行うこともあります。

 通常、手術後であっても、化学療法と放射線療法を併用して治療を継続します。抗がん剤による化学療法では、硫酸ビンクリスチンやアクチノマイシンD、エンドキサンという3剤併用が有効とされています。

横紋筋肉腫の治療方法の選択

 横紋筋肉腫の治療方法としては、可能なら、外科手術により悪性腫瘍を根こそぎ切除して腫瘍細胞を一掃することが理想ですが、この病気の場合、悪い部分を全部除去したと思ってもそうはいかないことが分かっています

 治療の完全を期すために、手術の範囲を広げて切除すればよいのではとの考えもありますが、その場合には組織欠損が激しくなります。体表であれば、顔面の形状などが著しく変形したりしますし、内臓であれば、臓器の機能障害が深刻なものとなります。

 従って、手術は形態温存と機能温存を最優先に行うこととなります。手術での全面的切除を優先するか、化学療法を優先するかの選択は、腫瘍の発生部位により次のようになります。

腫瘍発生部位と治療方法
根治可能なら摘出手術

 頭頸部(表面)、傍脊椎、傍精巣、四肢、胸壁、腹壁、会陰、肛門周辺。

化学療法優先

 頭蓋内(傍髄膜)、眼窩、胸腔内、後腹膜、骨盤、子宮、膣、外陰部、膀胱、前立腺、胆道。



横紋筋肉腫の予後はどうですか? ◆「横紋筋肉腫」の予後の説明です。
横紋筋肉腫の予後

 横紋筋肉腫の予後は、腫瘍の発生部位や腫瘍の組織型、進行度、転移の有無、年齢、手術での腫瘍摘出程度などにより異なります。

 腫瘍が限局的であった場合の予後は、5年生存率で70%以上と良好で、4人に3人が治癒可能ですすが、転移のある場合には治療は非常に困難であり、5年生存率は20%程度にとどまります。

横紋筋肉腫の予後
原発腫瘍の発生部位

 原発腫瘍の発生部位が、眼窩や頭頚部、精巣、および膣などに発生する場合には予後は良好です。

 傍髄膜や泌尿生殖器を含むその他の部位は、全て予後不良です。

腫瘍の進行度

 腫瘍の進行度によって予後は異なります。

腫瘍の組織型

 組織が胎児型の腫瘍の場合には、一般に予後良好です。

年齢

 1歳未満および11歳以上の患児では、予後が不良です。

遠隔転移の有無

 診断時に他の身体部位へ転移している場合、一般に予後不良です。