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身体の病気

舌がん


舌の背面の構造図
 口腔内にもがんは発生します。中でも一番多いのが〔舌がん〕です。

 舌がんは、舌の有郭乳頭(ゆうかくにゅうとう)と呼ばれる前方部に出来たがんをいいます。それより後方に出来たがんは〔舌根がん〕と呼んで区別されます。

 舌がんは舌の縁に潰瘍ができはじめ、徐々に広がってゆき、がん化した部分はカリフラワーのような顆粒状に見えるようになります。

 初期には舌の違和感やしこり感、舌表面の変化などの感触を伴いながら、刺激物がしみる程度ですが、進行すれば強い痛みを感じるようになります。

 舌がんは、好発年齢は50~70歳代で、男性に多く発症します。

 舌がんの好発部位は、舌の側縁から下面で、特に臼歯部に相当する側縁部に発症します。


 舌がんの発生原因は、主に口腔内の不衛生が影響するといわれています。喫煙も重要な誘因であると考えられています。

 舌は、飲食時の咀嚼やものを飲み込むときに重要な役割を果たします。また、日常生活での会話でも声を出すときの構音機能も重要です。そのため、〔舌がん〕を治療後にこれらの障害が残るときには、社会復帰が困難となることもあります。


舌がんはどんな病気ですか? ◆「舌がん」とは、一体どんな病気なのかご説明します。
舌がんは
どんな病気ですか?
 舌がんは、口腔がんのひとつで、舌の有郭乳頭より前方部である舌前方2/3と舌の下面に発生する悪性腫瘍で、口腔がんの中では最も発生頻度の高いがんとなっています。

 このページの上図で示すように、舌は「舌根部(舌後方1/3)」と「舌体部(舌前方2/3)」から構成されています。舌の悪性腫瘍は舌根部にも舌体部にも発生しますが、舌根部は、分類上は「中咽頭」に含まれるため、この部位にできる悪性腫瘍は、〔舌がん〕ではなく〔咽頭がん〕として扱われます。

 舌がんのほとんどは、舌の側縁部にでき、舌の中央部や先端部にはそれほど発生しません。発生率は、口腔がん全体の約4割(30~60%)ほどです。

 このがんは、通常、直接的に目視できる範囲にできるので、初期段階でも異常には気づきやすいのですが、単なる〔口内炎〕などの類と勘違いされ、放置されることも多いです。このため、腫瘍が重度に進行してしまってから、医療機関を受診することもあります。

 飲酒や喫煙などによる化学的刺激や、噛み合わせの悪い義歯などが舌に接触するなどの物理的刺激がこのがんの発生原因になるとされます。

 発生数は、年々増加する傾向にあり、30年前の3倍近くになっています。舌がんの好発年齢は50~70歳代で、男性に多く発症し、日本における舌がんでの死者数は毎年1000名以上となっています。




舌がんはどんな症状ですか? ◆「舌がん」の症状をご説明します。
舌がんの症状  舌がんは、舌の側面部や先端部など直接的に目で見える範囲にできるので、比較的早い段階で異常には気づきやすいといえます。しかし、初期にはよくある口内炎と同様な症状でもあるため、口内炎と区別しにくい面があります。

 見た目の初期症状は、びらんや潰瘍状のものができ、普通の口内炎と同様に刺激物を食べると舌に沁みるようになります。やがて、舌の違和感だけでなく、しこりが感じられるようになったり、舌表面がカリフラワーのような顆粒状を呈したり、白斑や紅斑が見られるようにもなります。

 異常には気づいても、初期症状が、単なる口内炎と勘違いされやすいことから、専門の医療機関を受診することもなく、そのまま放置されることが多いです。

 病状がかなり進行して、潰瘍形成や深部浸潤をきたすようになり強い痛みがでたり、口内炎のようなものが1~2か月も治ることなく続くようになります。更に病状が進行すれば、痛みのために舌を動かすことが苦痛となり、言葉がしっかり話せない構音障害や、食物が食べられない摂食障害を呈するようになります。  深刻な状態を認識すると、医療機関に駆け込むことになるのですが、その間にも腫瘍は進行し、病状はかなり悪化してしまうかも知れません。舌がんでは、比較的初期の段階から頚部リンパ節などへの転移が起こりやすく、30%以上の患者において、初診時に既に転移しているとされます。


舌がんの原因は何ですか? ◆「舌がん」の原因や発症の仕組みをご説明します。
舌がんの原因  現時点では、舌がんの真の原因は解明されていませんが、患者の日常の生活習慣の中に誘発原因があると指摘されています。

 舌がんを誘発する可能性の高い生活習慣には「慢性的な刺激」や「不適切な口腔管理」「その他加齢など」などがあります。

舌がんの誘発原因
慢性的な刺激  舌がんを誘発するかも知れない、口腔への刺激には、「飲酒・喫煙習慣」や「物理的刺激」および「刺激性食物」の三種類があります。

舌がんを誘発する刺激
飲酒・喫煙習慣  飲酒・喫煙習慣が舌がんの決定的原因とは証明されていませんが、喫煙率の高い国などで発生率が高いなどとされるなど、重要な発生原因だと考えられています。

物理的刺激  物理的刺激というのは、たとえば入れ歯などが継続的に舌の一定部位を刺激し続けることをいいます。歯並びが悪くて、舌をいつも刺激したり、舌の同じ部位を歯で噛んだりすることも良くないです。放置された虫歯も原因となるかも知れません。

 また、稀な例として、最近では舌にピアスを嵌めるような若年者もいますが、このような人も舌がんのリスクは高くなります。

刺激性食物  香辛料や高塩分食品を好む人は舌がんのリスクは高いとされます。また、強い酸性食品やアルカリ性食品を好む人もリスクが高くなります。


不適切な口腔管理  歯磨きをはじめ正しい口腔管理をしている人は、舌がんを発症するリスクは少ないと考えられています。

 口腔内を清潔に管理していれば、先ず、舌がんは発症しません。

 口腔粘膜に口内炎がよくできたり、白板症や紅板症などを発症する人では、それらが舌がんに移行する可能性があります。

その他加齢など  その他の原因としては、いろいろな病原菌(ウイルス、細菌類など)が影響する可能性はあります。また、このがんの好発年齢が50歳代以降ということから、加齢も関係しているかも知れません。

 しかし、口腔管理や生活習慣などに問題ない人では、このがんは発生しない傾向があることから、年齢については、加齢というよりもそのような悪い生活習慣などを長く続けた結果と考える方が正しいように思えます。



舌がんの診断はどうなりますか? ◆「舌がん」の検査方法や診断方法をご説明します。
舌がんの診断  何の病気でも同じことながら、舌がんでも初期段階で発見されれば治癒する可能性が高くなり、5年後生存率など予後も良くなる期待が持てます。異常に気づいたら、できるだけ早期に検査・診断を受けることが重要です。

 初期の段階で検査・診断を受ければ、簡単な治療で治癒できる可能性が高くなります。他の部位に転移し進行がんになってしまってからでは、治療も難しく予後も思わしくありません。このため、早期の検査・診断が是非必要です。

 舌がんの診断は、先ずは視診と触診により行われます。続いて細胞組織の一部を採取して生検を行います。

 生検で悪性腫瘍であることが明確になれば、CTやMRI、超音波検査法などによる画像診断を行います。

舌がんの検査・診断方法
舌がんの視診・触診  舌の視診により、表面にびらんがあったり、舌の表面にザラザラ状の潰瘍があったり、白くなり異常に角化した状態があったり、あるいは触診により硬結(しこり)が認められる場合には、舌がんの可能性が高くなります。

 視診や触診と同時に、頚部も触診して、舌がんが頚部リンパ節に転移していないか調べます。

 ごく初期の段階で、目視や触診だけでは、口内炎などの全く別の疾患である可能性もあります。このような場合には、真に舌がんであるか、全く別の疾患であるかの鑑別が必要です。

 初期段階で舌がんと似た症状を示す疾患には、口内炎以外にも外傷性潰瘍や血管腫、乳頭腫、繊維腫、リンパ管腫、白板症などがあります。

舌がんの細胞組織生検  視診で明らかな異常があったり、触診で硬結の存在が確認されるなら、異常部位の細胞を採取し、顕微鏡による細胞診や組織の生検を行います。

舌がんの画像診断  視診や触診、組織細胞の生検などで、舌がんが非常に疑わしかったり、舌がんであると確認された場合には、画像診断技術などにより、舌がんの広がり範囲や進行度などを詳細に把握します。

 画像診断技術においては、腫瘍の原発部位での状況だけでなく、身体各部への転移範囲などや進行度合いを調べる必要があり、超音波検査や胸部X線検査などだけでなく、CTやMRI、PET、US、Gaシンチグラフィ、骨シンチグラフィ、上部消化管内視鏡検査、消化管造影検査などが援用されます。


舌がんのTNM分類  一般に、悪性腫瘍の病期分類には「TNM分類」が用いられます。TNM分類は、「UICC(国際対がん連合)」によって定められた、癌の国際的分類法で、身体の28部位における「がん」について、3つの要素から、悪性腫瘍の進展度を詳細に分類しています。舌がんにおけるTNM分類は次のようになっています。

舌がんのTNM分類

原発巣の大きさと進展度
 原発巣の大きさと進展度を表す。T1~T4までの4段階に分けられる。

  T1:最大径が2cm以下
  T2:最大径が2cmを超えて4cm以下
  T3:最大径が4cmを超えて6cm以下
  T4:舌の周囲やあごの骨にまで広がっている


所属リンパ節の状態
 所属リンパ節への転移状況を表す。N0~N3までの4段階に分けられる。

  N0:頚部リンパ節転移を認めない
  N1:3cm以下の頚部リンパ節転移を1個認める
  N2:それ以上の広がりをもつ頚部リンパ節転移を認める
  N3:それ以上の広がりをもつ頚部リンパ節転移を認める


遠隔転移の有無
 遠隔転移の有無を表す。

  M0:遠隔転移なし
  M1:遠隔転移を認める


 TNM分類を指標として、舌がんの病期は、次のように、Ⅰ期~Ⅳ期に分類されます。病期の表示方法は、例えば「Ⅲ期」の病期のひとつは「T3N1」のように表記されます。

 この意味は、「原発巣の大きさと進展度」がT3(最大径が4cmを超えて6cm以下)であり、「所属リンパ節の状態」がN1(3cm以下の頚部リンパ節転移が1個)ということを意味しています。

舌がんの病期
Ⅰ期  T1N0
Ⅱ期  T2N0
Ⅲ期  T3N0、T1N1、T2N1、T3N1
Ⅳ期  T4N0、T4N1、T4N2、T4N3
 T1N2、T2N2、T3N2
 T1N3、T2N3、T3N3
 M1


舌がんの治療はどうやりますか? ◆「舌がん」の治療方法をご説明します。
舌がん治療の基本方針  舌がん治療の基本方針は、がんの除去をできるだけ完全に行うことにあるが、舌には、摂食ばかりでなく、嚥下や発語など重要な機能があるため、これらの機能をできるだけ温存できるような処置が必要とされる。

 舌がんの治療に用いられる治療法には、外科的療法や放射線療法、化学療法があり、これらが単独であるいは組み合わせた形で行われます。通常は、外科的切除と放射線療法とが併用されて行われます。

 リンパ節転移の場合には、治療後に再発するリスクが高く、外科的療法の前後で放射線療法や化学療法も併用して行うこともあります。

 舌がんの治療は、それが初期段階での治療か、ある程度進行がんになった段階での治療かにより、異なります。
舌がんの治療方針
初期がんの治療  初期の舌がんであれば、組織内照射による放射線治療と切除やレーザー、凍結療法などの外科的療法が用いられます。

進行がんの治療  進行舌がんおよび頸部リンパ節転移が生じている場合には、頸部の処理も必要であり、外科的切除が優先的に行われます。

 この場合には、どうしても切除範囲が広くなるため、舌のもつ重要な機能である摂食や嚥下、発語などが低下するか、極めて困難になるため、医師や歯科医師、言語聴覚士、歯科衛生士、看護師らによるリハビリテーションが必要となります。


舌がんの治療  他のがんと同様に、舌がんの治療法は、外科的手術療法と放射線療法、化学療法が組み合わされた形で行われます。

 それぞれの療法の特徴などを整理しておきますが、基本は如何にがんを退治し、しかも舌の機能を最大限温存できるかにより選択されます。

舌がんの治療方法
放射線療法  放射線治療は、がんの病巣に放射線を照射することでがんを攻撃する療法です。身体外部から照射する「外照射法」と組織内から照射する「組織内照射法」とがあります。基本的に、外照射だけで舌がんを完治させることはできず、組織内照射法も必要となります。

 外照射では、一回あたり数分程度の放射線治療を30回ほどに分けて治療します。口内炎や味覚障害などの軽い副作用がありますが、入院せずに外来で治療できる利点があります。しかし、外照射だけでがんの根治は期待できません。

 組織内照射は、ラジウムやイリジウムの入った細い管を舌に挿入しておき、組織内から放射線を照射する方法です。腫瘍の厚さが10mm以内であれば外科的療法と同等の効果が期待されます。

 組織内照射は、数日ほどで終了しますが、口内炎や潰瘍などの副作用が生じたり、骨壊死や骨髄炎を発症することがあります。

外科的療法  外科療法とは、手術によりがん組織を含む範囲を切除する方法です。

 舌がんの切除範囲は、がんの臨床型や浸潤の深さ、がんの位置、周辺組織への進展度合いなどにより決められます。

 当然、がん周辺を小さく切除すれば、舌の機能温存には好ましいほか、後遺症も少ないですが、がん組織の取り残しが出る危険性があります。

 一般に、切除の範囲は次のように区分されます。

 ・舌部分切除術
 ・舌可動部半側切除術
 ・舌可動部(亜)全摘術
 ・舌半側切除術
 ・舌(亜)全摘術

 外科的療法では、手術による舌の形状変形、味覚の変化、食物が気道に入ってしまう誤嚥が起こったり、発声機能を完全に失うなどの副作用があります。

化学療法  舌がんの治療法では、外科的療法と放射線療法が基本となっていますが、これに抗がん剤を組み合わせて治療を行うこともあります。



舌がんの予後はどうですか? ◆「舌がん」の予後をご説明します。
舌がんの予後  舌がんの5年生存率は、初期症状で発見され治療開始すれば、かなり高い率も期待されますが、発見が遅れれば予後不良となります。

 統計的には、舌がんの5年生存率は約53~82%となっていますが、治療開始時のがんの進行度によって生存率や予後は大きく異なります。

 一般論として、舌がんの予後に影響する因子には次のようなものがあるとされます。

舌がんの予後に影響する因子
年齢層  60歳以上での発生は予後は悪い。

発生部位  舌前部より舌後部で発生したがんの方が予後が悪い。

がんの組織型  がんの組織型では、未分化なものほど予後が悪い。

原発巣の進行様式  周囲組織への浸潤がなく、腫瘍の大きさが2cm以内で、所属リンパ節に転移していないなら予後良好で、それ以外では不良となる。