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身体の病気

子宮内膜症


 女性性器の中で重要な役割を果たす子宮は、その中心部にある「子宮腔」を子宮壁によって取り囲まれています。

 子宮壁は「子宮内膜」「子宮筋層」および薄い腹膜の一種である「漿膜(子宮外膜)」という三層構造から成っています。

 子宮の最内部は子宮腔で、妊娠するとここで胎児が育ちます。


 子宮腔(子宮内腔)に接している「子宮内膜」に受精卵が着床して妊娠します。

 子宮内膜の厚みは女性ホルモンの働きに応じて、1~10ミリ位に変化します。月に一度の頻度で全て剥がれ落ちる月経があり、また新たに生成されます。

 〔子宮内膜症〕は、子宮の最も内側にある子宮内膜という粘膜が、本来あるべき子宮内腔の部分だけでなく、骨盤内にある子宮内外のいろいろな臓器にできてしまい、増殖する病気です。

 〔子宮内膜症〕は、子宮周囲の組織である卵管や卵巣、ダグラス窩、膀胱子宮窩などに最も良く見られます。

子宮の構造



 このように子宮以外の部位にできてしまった粘膜も、子宮外にあるとはいえ本質的には子宮粘膜なので、本来の子宮腔内で起こるのと全く同じように、女性ホルモン(エストロゲン)に依存して生育し、異常に発生した場所において、毎月増殖し、剥離出血を繰り返すことになります。
子宮内膜症の腺腫

 〔子宮内膜症〕で生成される粘膜は良性ではありますが、強い月経痛や腰痛、排便通、性交痛などの症状が現れます。

 〔子宮内膜症〕は、不妊の原因となることもあります。


子宮内膜症はどんな病気ですか? ◆「子宮内膜症」とは、一体どんな病気なのかご説明します。
子宮内膜症は
どんな病気ですか?
 子宮は女性性器として重要な部分で、この内部に子宮腔(子宮内腔)という空間があって、その内部を覆っているのが子宮内膜という粘膜です。本来、子宮内膜は子宮腔内部にだけ存在し、受精により妊娠すると、受精卵が子宮内膜上に着床し、胎児がここで育つことになります。

 このように子宮内膜は、本来は子宮腔の内側だけに存在し、妊娠した場合には受精卵を着床します。しかし、もし妊娠しない場合には、この子宮内膜は剥がれ落ち出血し、月経という現象になって失われ、新たにまた子宮内膜が生成され生育します。次のひと月の間に妊娠しなければ、また剥がれ落ちて月経を起こすサイクルを繰り返します。

 子宮内膜症は、この子宮内膜が、本来生育されるべき子宮腔内ではなく、子宮腔内以外の場所である、卵巣や卵管、ダクラス窩・S状結腸・直腸・仙骨子宮靱帯・腟・外陰部・膀胱・腹壁・へそなどの表面に芽生えてしまい増殖する病気です。

 子宮腔内以外に芽生えた粘膜組織は、その存在する場所が子宮腔内でないにしても、あくまでも子宮内膜組織であることから、子宮腔内の子宮内膜と同様に、女性ホルモン(エストロゲン)の影響を受け、増殖もし剥離・脱落もします。

 月経磁気になると、異常増殖した子宮内膜組織も剥離・脱落・出血しますが、異常増殖した場所が子宮腔内でないために、剥離脱落しても逃げ場を失うために、体外に排出することができず、体内に溜まってしまいます。これがいろいろな子宮内膜症の症状となって現れます。




どんな症状ですか? ◆「子宮内膜症」の症状をご説明します。
子宮内膜症の症状  子宮内膜症では、子宮腔内以外の場所にできた子宮内膜組織が、女性ホルモンの周期に併せて増殖し、月経時には剥離・脱落するために、出血した血液は逃げ場を失い組織間に貯留してしまいます。

  子宮内膜症は、子宮内膜組織が出現した場所や状態により、いくつかの種類に分類され、種類により痛みなどの症状も異なり、その程度には個人差もあります。

子宮内膜症の分類
ブルーベリースポット  ブルーベリースポットは、子宮内膜症の初期段階で現れる症状で、出血した血液が組織間に貯留するためにできた血腫です。腹腔内に赤紫色をした無数の小さな子宮内膜組織ができている状態です。

卵巣チョコレート嚢胞  卵巣内で子宮内膜組織の病巣ができると、出血した血液は卵巣内に貯留し、卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)という組織になります。嚢胞内に溜まった古い血液はチョコレート色に変色していて、症状はからに進行した状態です。

 卵巣チョコレート嚢胞は、病巣が卵巣内にとどまっている限りは痛みなどの強い自覚症状はないことが多いのですが、嚢胞が巨大化し破裂したりすると突然、激痛が起こります。また、他の臓器と癒着する危険性が大きくなり、月経困難症が起こります。

 子宮内膜症の患者の80%に、卵巣チョコレート嚢胞の症状がみられるとされます。

ダグラス窩子宮内膜症  子宮と直腸の間のくぼみであるダグラス窩にできた子宮内膜組織がダグラス窩子宮内膜症です。症状がかなり進行した状態の症状で、子宮と直腸の癒着が起こりやすく、そうなれば、排便痛や性交痛が起こります。


 子宮内膜組織が出現する場所により、現れる現象は上記の通りですが、これらにより引き起こされる症状には多くのものがあります。全体として典型的なな症状は、月経痛と月経困難症です。

 症状は特定のひとつだけが現れるのではなく、いくつかの症状が組み合わさって現れてきます。自覚症状があるようなら、一度受診し診断を受けると安心です。

子宮内膜症の症状
月経困難症  子宮内膜症は、月経困難症をはじめとして、月経に関係する多くの症状を伴います。月経困難症は、初経時には痛みがなく、年月が経つと徐々に悪化する傾向があります。

 ・強い生理痛があり、痛み止めが欲しくなる。
 ・市販の鎮痛剤では痛みが治まらないことが多い。
 ・年月が経つと痛みの程度が増大する。
 ・腹痛の他、悪心や嘔吐を伴うことが多い。
 ・腹痛の他、肛門や膣の奥の方まで痛む。

月経時異常  月経困難症ほどでないものの、月経時に異常がみられます。

 ・月経時に下痢をしやすい。
 ・月経時の血液量が異常に多い。(過多月経)
 ・腰痛、下腹痛、仙骨部への放散痛が起こる。

生理痛以外の腹痛  生理と生理の中間のころの排卵期や生理前に腹痛が起こりやすい。

性交痛  子宮内膜症がダクラス窩にあるときには、しばしば性交時に膣の奥の方が痛むことがあります。

不妊症  子宮内膜症があると、不妊症になることがありますが、すべての人がそうなるわけではありません。



原因は何ですか? ◆「子宮内膜症」の原因や発症の仕組みをご説明します。
子宮内膜症の原因  子宮内膜症の発生原因には多くの仮説があります。現時点では定説として認められたものは存在しませんが、一番有力な仮説とされているのは「子宮内膜逆流説」と呼ばれる説です。

 月経が始まると、子宮内膜が剥がれて子宮から膣へと排出されるのが正常な姿です。このとき、子宮内膜の一部が逆流して卵管を通過して卵巣や腹部臓器にばらまかれ、そこで増殖するという説です。

子宮内膜症の原因諸説  子宮内膜症の原因に対する有力な説はあるものの、現時点では諸説があり真の原因ははっきりしていません。ここではそれぞれの説を簡単にご紹介します。

子宮内膜症の原因諸説
子宮内膜逆流説  月経時に剥がれ落ちた子宮内膜細胞・血液が逆流して、卵巣表面や腹膜に生着するという説です。子宮内膜症の発症が無月経では稀なことであり、月経血の排出が障害されている状態でよく起こることからの推定です。

アレルギー反応説  子宮内膜症では細胞性免疫に異常があること、自己抗体が存在することからアレルギー反応が関係しているのではないかとする説です。典型的なアレルギー病である、気管支喘息などの治療薬である抗アレルギー薬服用者に症状の改善がみられるととの傍証もあります。

体腔上皮化生説  胎児のとき男女ともにに形成されるミューラー管というものがある。生育に伴って、男性ではミューラー管は消滅するが、女性では大きく発達して子宮をはじめとする女性性器となります。

 体腔上皮化生説は、元々はミューラー管と同じく体腔上皮から変化してできた腹腔内の漿膜や卵巣上皮が、ホルモンの影響などで子宮内膜に化生したとする説です。

リンパ行性進展説  肺や大腿部など一部に限られてはいるが、子宮内膜細胞はリンパ液の流れに沿って進行する「リンパ行性移転」が起こるので、同様なことが子宮以外の女性性器にも起こっているのではないかという説です。

血行性進展説  骨盤静脈内に子宮内膜細胞が移動することは確認されていて、同様のことが皮膚や腎、肺などについても起こっているのではないかとする説です。

医原性直接移植  帝王切開後の腹壁や会陰切開創に発生することから、手術によって移植されてしまったのではないかとする説です。

環境ホルモン説  ダイオキシンなど環境汚染物質やその他の環境ホルモン・ホルモンかく乱物質が引き起こしているのではないかとする説です。



診断はどうなりますか? ◆「子宮内膜症」の検査方法や診断方法をご説明します。
子宮内膜症の診断  子宮内膜症の検査は「問診」をはじめとして「内診」「超音波断層法」「CT断層撮影法」「MRI核磁気共鳴法」「血液検査」および「腹腔鏡検査」を組み合わせてで行います。

 後天性月経困難症が見られるようなら子宮内膜症の疑いが強くなります。その場合には、CTやMRIなどの画像診断技術により病巣を確認します。最終的な確定診断は腹腔鏡で行います。

問診  子宮内膜症の疑いがあるかどうかを掴むために、問診を行います。問診の結果、子宮内膜症の疑いが強くなれば、内診などの検査に進むことになります。

内診  子宮内膜症の触診での診断は「双合診」という検査方法で行われます。通常、この方法は産婦人科では「内診」と呼ばれている診断方法です。内診の診断に要する時間はほんの1~2分間程度で、特別な苦痛はありません。

 患者は仰向けになって両脚を大きく開いた姿勢をとります。医師は一方の手に手術用の薄手の手袋を着用し、指を患者の膣内奥深くに挿入し、もう一方の手を患者の下腹壁上において、内臓器を前後左右上下に挟みながら、子宮や卵巣、膣などの各部の腫れや硬さ、弾力性などを、患者と医師とで自覚的、他覚的に診断する方法です。

 内診では、子宮の後方のダグラス窩に硬結(しこり)がないか、圧痛があるか、あるいは卵巣が腫れていないか等が分かります。子宮内膜症がある程度進行した段階であれば、この内診でほぼ診断がつきます。

 必要がある場合には、膣内ではなく肛門から直腸内に手指を挿入して、子宮後部の病巣や卵巣の腫れを確認する方法も行われます。

 問診で確認された症状からすれば、子宮内膜症の疑いが強くても内診では異常の見つからない人も多数います。そのような場合には血液検査やCT、MRIなどの検査により確認していきます。

 尚、膣内に手指を挿入することが好ましくない場合などでは、膣内ではなく、肛門から直腸内に手指を挿入する直腸診のみを行います。

超音波断層法  子宮内膜症が卵巣にでき、チョコレート嚢胞と呼ばれる血液が溜まった状態を診断するのに有効な方法で、卵巣のチョコレート嚢胞や癒着も診断します。

CT断層撮影法  CT断層撮影法も超音波断層法と同様な検査が行えます。全体像をみることができます。

MRI核磁気共鳴法  MRI核磁気共鳴法では、卵巣内にできたチョコレート嚢胞の診断に有効な方法です。

血液検査  超音波断層検査などで原因が分からず、しかし子宮内膜症の自覚症状がある場合は、血液検査により血液中の「CA-125」という腫瘍マーカーの検査を行います。

 CA-125の値が高い場合は、子宮内膜症がある程度進行した段階であり、チョコレート嚢胞の疑いが高くなります。しかし、この値が正常値であったとしても、子宮内膜症を否定しきることはできません。

腹腔鏡検査  腹腔鏡検査は、腹腔鏡と呼ばれる内視鏡を、おへその直下から挿入し骨盤内を直接観察する検査です。

 腹腔鏡検査は、実際に子宮内膜症があるかどうかを調べたり、病巣がある場合にはそれがどの程度の大きさか、拡がり方はどうかなどを観察します。この方法は、子宮内膜症を直接的に観察して診断する方法なので、最も信頼できる方法です。

 腹腔鏡による検査は、骨盤内に腹腔鏡を直接挿入する手術であり、入院の上、全身麻酔で行うため、患者にとって負担の大きい検査方法です。

 通常、子宮内膜症の診断は腹腔鏡以外の方法で確定診断できるので、腹腔鏡による方法は、どうしてもそれが必要な場合に限って行われます。内膜症が相当進行していて、薬物療法などでは十分な治療ができないときなどに行われます。

 腹腔鏡検査では、内視鏡の先端にメスを取り付けて、内膜症を切除するなどのことも出来る点はメリットではあります。


治療はどうやりますか? ◆「子宮内膜症」の治療方法をご説明します。
子宮内膜症の治療  子宮内膜症の治療方法には「待機療法」「薬物療法」および「外科療法」の三種類があります。どの療法を行うかは、ご自分の症状や年齢、将来子供が欲しいかどうかなどによって選択することができます。

子宮内膜症の待機療法  症状が軽度と考えられる子宮内膜症では、病院での定期的な検査を受ける他は特別な治療をすることなく経過観察し、これを待機療法と呼んでいます。

 本来は、定期的な診断時に、触診や超音波診断、血液検査、CT診断などにより子宮内膜症の進行状態を把握して、症状がひどくなるようなら手術も含めて適切な処置をすべきですが、現時点において日本では重症度を判定する明確な診断基準が存在していません。

 これに対してアメリカでは、「改定米国生殖医学分類システム1996」という診断基準があって、これに基づく診断と治療方針が定まっているようです。とても難解な上、表示が画面に収まりきらないという見にくいものですが、英語に堪能な方は、下記を参照して見てください。

 ・改定米国生殖医学会分類システム:1996

 ・判定結果の例示

 米国基準では、子宮内膜症の症状や転移の状態などに応じてポイントが割り当てられ、ポイントの合計により症状ステージを「Stage I:微症」「Stage Ⅱ:軽度」「Stage Ⅲ:中等度」および「Stage Ⅳ:重度」のように割り振ります。

 待機療法が適応されるのは、症状ステージが「I:微症」か「Ⅱ:軽度」に対する患者と考えればよいでしょう。

子宮内膜症の薬物療法  子宮内膜症の症状がある程度進行している患者に対しては薬物療法が必要です。薬物療法では、あくまでも症状を緩和したり、病変の縮退を目的とするもので完全根絶は不可能です。

 症状の緩和には対症療法としての「鎮痛剤」などが使用されます。また、病変の縮退を目的とするものは基本的に「ホルモン療法」となり多くの種類の医薬があります。

薬物療法
鎮痛剤  子宮内膜症により日常生活に支障をきたすような強い生理痛があるときに処方されます。通常使用される医薬には「ボルタレン」内服薬や坐薬、「ロキソニン」内服薬などがあります。

 これらの医薬はあくまでも症状を緩和するためのもので、一時的に痛みを抑えますが、子宮内膜症の進行を抑制したり、治療する効果はありません。

ゲスターゲン療法  ゲスターゲン療法は、人為的に生理を起こさせることで生理サイクルを初期化し、生理の正常化を促すための医薬です。これはいわゆる「ピル」のことで、エストロゲンとプロゲステロンという医薬が使用されます。

 ピルは通常は妊娠を防ぐための避妊療法として使用される医薬ですが、子宮内膜症で月経痛や過多月経などの症状を緩和することができます。

 ピルは長期間服用しても副作用が少な子宮内膜症の進行を抑制できる作用があるのですが、毎月3~4週間は服用しなくてはならないこと、避妊効果があるため、妊娠希望者には使いないなどの特徴があります。

低エストロゲン療法  低エステロゲン療法は、定量ピルを用いて、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの働きによって子宮内膜症の進行を抑制し、症状の軽減を目指します。

 この療法は定量ピルを使用するので、それほど副作用の心配はありませんが、ピルである以上、避妊効果はありますので、不妊女性や妊娠を希望する女性には使用できません。

プロスタグランジン合成阻害剤  月経時の子宮筋の過剰収縮が月経痛をもたらしますが、これにはプロスタグランジンという活性物質が関与しています。プロスタグランジン合成阻害剤は、このプロスタグランジンの活動を抑えることで、子宮内膜症や子宮腺筋症などの月経痛や苦痛を軽減する医薬です。

 プロスタグランジン合成阻害剤は、就学中の学生など性的に未成熟な女性や不妊患者などを対症として処方されます。

擬閉経療法  一般に、閉経すると子宮内膜症は縮退する傾向があるので、擬閉経療法は、人為的に閉経状態をつくりだし、子宮内膜症を抑制しようとする療法です。この目的のために処方される医薬には「ダナゾール」および「GnRHアナログ」などがあります。

 予断ですが、擬閉経療法は、閉経間際の女性に対しては「駆け込み療法」などと呼ばれることもあります。

 人為的に閉経状態をつくるとはいえ、これは更年期をつくることに他なりませんので、副作用としていわゆるほてりやのぼせ、めまいなどの「更年期障害」が生じてきます。出産期の女性が擬似閉経療法を用いると、深刻な副作用が起こる危険性が大きく、不適応となります。

 また、長期間継続して擬似閉経療法による卵胞ホルモンのエストロゲンの抑制をすると、ホルモンバランスが異常となり、骨粗しょう症を発症させたり、精神的に不安定な状態になる危険が増します。このため、この療法を半年以上継続することはできません。

擬似妊娠法  擬妊娠療法も擬似的に見せかけの妊娠状態をつくり、女性ホルモンである卵胞ホルモンのエストロゲンを抑制して子宮内膜症の進行を抑制しようとする医薬です。この療法もあくまでも対症療法であり根治療法ではありません。


子宮内膜症の外科療法  子宮内膜症の外科療法には「腹腔鏡下手術」「卵巣チョコレート嚢胞アルコール固定術」および「卵巣チョコレート嚢胞摘出術」という三つの手術療法があります。

 薬物療法では治療が困難なかなり進行した子宮内膜症は手術療法が適していて、根治療法ともなります。

子宮内膜症の外科療法
腹腔鏡下手術  最近の技術の進歩によって、お腹を切開しなくても腹腔鏡という内視鏡を見ながら処置する手術法が可能となってきました。

 この方法で、卵巣嚢腫の摘出・除去したり、癒着を剥がしたり出きます。また、小さなブルーベリースポットなどの内膜症ならレーザー光により焼灼する処置なども可能となりました。

 腹腔鏡下手術は、患者に負担が少なく開腹も早い優れた方法ですが、一方で手術を担当する医師の技術の習熟には時間もかかるので、この手術が可能な産婦人科医院は限られているのが現状です。

 子宮内膜症を腹腔鏡下手術で治療することが必要となる患者は、症状がかなり進行していて薬物療法では十分な治療ができない人や、内膜症が原因で不妊症になっている人、および卵巣にできたチョコレート嚢腫が破裂する恐れのある人などです。

 尚、腹腔鏡下手術に要する入院日数は3~4日です。

卵巣チョコレート嚢胞アルコール固定術  卵巣チョコレート嚢胞アルコール固定術というのは、腹腔鏡または膣式超音波断層法で影像を見ながら行う手術法です。

 先ず、卵巣にできたチョコレート嚢腫に穿刺針を刺して嚢腫を吸引し、高純度のエチルアルコールを注入して10~15分間留置します。こうすると嚢腫内壁面にある子宮内膜細胞がアルコールで固定されます。アルコールを除去した後、生理食塩水でよく洗浄して手術は終了します。

 この状態で放置すると、嚢腫の部分は自然に退縮し、固定された子宮内膜細胞の増殖はなくなります。この方法は根治療法ではありませんが、子宮内膜症の進行を抑制する効果はあり、未婚者や不妊症の人に対して一時的手段として用いられます。

卵巣チョコレート嚢胞摘出術  子宮内膜症で最も発症の多いのは、卵巣チョコレート嚢胞ですが、子宮内膜症の根治療法として、卵巣チョコレート嚢胞摘出術があります。

 内膜症の進行状況により、嚢胞患部のみを摘出するか卵巣自体を摘出するかに分かれます。チョコレート嚢胞に癒着が発症している場合には、卵巣の全摘出も必要なことが多くなりますが、そうでなければ卵巣の温存に注力されます。卵巣は二つあるので一方が残っていれば、生殖器機能は問題なく残ります。

 一方で、年齢が概ね40歳以上で、将来的に子供を産む希望がないときには、再発防止も含めて卵巣の全摘出を考慮する選択肢もあります。