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医薬品

〔特殊用途薬〕

 

 風邪など軽度な病気や怪我の治療であれば、市販薬による自分自身での治療も可能ですが、それより重篤な病気の治療であれば、医師が患者を診察・診断して、その結果をもとに処方箋を発行します。

 処方箋により、患者はいわゆる〔処方薬〕と呼ばれる薬を入手することができます。

 この処方薬は、患者の症状に丁度合うように配合・調合される薬なので、その患者にピンポイントで確実に効果が出るの特徴があります。


 このような医師が処方箋を発行して患者が入手することのできる処方薬の中には、非常に多くの内服薬や外用薬があります

 一方で、それら以外にも、広範囲に使用されるもののその使用法に極めて厳しい条件がつく医薬、限られた用途で使用される医薬などもあります。これらの医薬は内服薬とは限らず外用薬もありますが、ここではこれらを〔特殊用途薬〕と呼んでいます。

 このような特殊用途薬の典型的なものは、次のようなものなどです。

 ・抗生物質
 ・抗菌薬
 ・抗結核薬
 ・抗がん薬・抗がん剤


特殊用途薬 ◆〔特殊用途薬〕についてその名称や役割などをご説明します。
特殊用途薬  医薬品の中で、その投与の仕方などがひとつには限らないもの、あるいは非常に特別な使用法であるもの、特定目的に特化されたものなどがあり、ここではそれらを〔特殊用途薬〕と呼んでいます。

 たとえば、〔抗生物質〕などは多くの病気に対して汎用的に使用されますし、その使い方にも非常に重要な守るべき注意点があります。

 また、〔抗菌剤〕〔抗結核薬〕〔抗がん剤〕などは特定の目的に特化した医薬です。それぞれの使用法には多くの守るべき制限があります。

抗生物質  抗生物質とは、青カビなどの微生物が産生し、ほかの微生物の増殖を抑制する物質の総称です。

 初期には、抗生物質といえば微生物が産生し、他の微生物の増殖を抑制する物質を意味していましたが、その後必ずしも微生物ではないウイルスや悪性新生物の化学療法剤も抗生物質に含まれるようになっています。

 抗生物質の現在的な定義は、「微生物の産生物に由来する化学療法剤」となっています。抗生物質は、微生物の産生物由来の抗菌剤や抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗腫瘍剤などでありほとんどは抗菌剤です。

 現在、抗生物質には非常に多くの種類があり、その名称を示します。

抗生物質の種類
β-ラクタム系 ペニシリン系 (PCs)
βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系
セフェム系 (Ceph)
βラクタマーゼ阻害剤配合セフェム系
カルバペネム系
モノバクタム系
アミノグリコシド系
テトラサイクリン系
クロラムフェニコール系
マクロライド系 14員環マクロライド
含窒素15員環マクロライド
16員環マクロライド
ケトライド系 マクロライドに類似
ポリエンマクロライド系 真菌に対して使用
グリコペプチド系 抗MRSA薬。グラム陽性球菌のみに有効。
核酸系
ポリミキシン系
キノロン系 正しくは合成抗菌剤であり純粋は抗生物質ではない
サルファ剤 正しくは合成抗菌剤であり純粋は抗生物質ではない

 抗生物質は、抗菌薬として極めて強力な効果を発揮しますが、菌によっては特定の抗生物質には耐性を持つものもあります。この場合、抗生物質を変更しないと効果を得ることはできません。抗生物質は使用上で次のような点に注意が必要です。

抗生物質使用上の注意点
1  抗生物質は、使い始めたら、定められた数量を使いきります。症状が治まったからといって中途半端で投与を中止すると、耐性菌が出現する可能性があります。

2  抗生物質を投与開始したら、一定時間後に生体内でその菌が再度増殖し始めるタイミングで再投与する必要があります。現実的には、4~6時間ごとの投与が効果的です。

3  ひとつの抗生物質を投与して、効果が得られないとき、別の抗生物質を上乗せで併用投与してはなりません。切り替えて、別の抗生物質を単独で投与しなくてはなりません。


抗菌剤  抗菌剤は、細菌を殺したり活性を弱めることで、細菌による感染症の治療に使用される医薬品をいいますが、明確な定義はありません。

 抗菌剤には、大きく分けて〔無機系抗菌剤〕と〔有機系抗菌剤〕の二種類があります。また、医薬品としての抗菌剤には、〔抗生物質〕や多数の〔蛋白質合成阻害薬〕〔合成抗菌薬(核酸合成阻害)〕などがあります。

抗菌剤の種類
無機系抗菌剤  無機系抗菌剤は、銀や銅、亜鉛化合物など、金属イオンの静菌作用を利用した物質です。銀イオン系は特に効果が高く、主流となっています。

有機系抗菌剤  有機系抗菌剤には、〔合成系抗菌剤〕と〔天然系抗菌剤〕とがあります。


抗結核薬  抗結核薬とは、病原体である結核菌の発育を阻止、または殺菌して本症を治癒に導く広義の化学物質(合成剤または抗生物質)の総称です。

 結核菌には、自然耐性菌があるので、作用機序の異なる抗結核剤を併用して治療します。初回化学治療の標準療法としては、6か月短期化学療法という治療法が推奨されています。

 標準療法では、最初の2か月間は、〔INH〕〔RFP〕〔PZA〕および〔EB〕か〔SM〕のどちらかを合わせた、4剤を同時併用して投与します。その後の4か月間は、〔INH〕と〔RFP〕の2剤だけ併用する治療法です。

 再治療では、それまでに未使用の抗結核薬を3剤以上を使用して行います。

 同時に複数の抗結核薬を使用するのは、これらの抗結核薬に対する耐性菌が出現するのを防止するためです。一旦、耐性菌が出現してしまうと、薬が効かなくなってしまい、結核が治らなくなってしまいます。

 通常、〔INH〕と〔RFP〕の二つの薬剤が効かなくなる結核を多剤耐性結核と呼んでいます。

抗結核薬
INH イソニコチン酸ヒドラジドおよびその誘導体
RFP リファンピシン
PZA ピラジナミド
EB エタンブトール
SM 硫酸ストレプトマイシン
KM カナマイシン
TH エチオナミドおよびプロチオナミド
EVM エンビオマイシン
PAS パラアミノサリチル酸塩
CS サイクロセリン
Tb1 チオアセタゾン
SF サルファ剤
VM バイオマイシン
CM カプレオマイシン

抗がん薬・抗がん剤  抗がん剤、あるいは抗がん薬とは、悪性腫瘍(がん、癌)の化学療法に用いられる医薬の総称です。

 抗がん剤は、主にがんが細胞が分裂する過程に作用し、がん細胞の増殖を阻止したり、抑制したりして、がん細胞の死滅させようとします。

 がんの治療では、手術によりがん病巣を除去するのが一般的ですが、同時に抗がん剤も投与して、完全に病巣を破壊することも目指します。

 抗がん剤には、完全にがんを死滅させられなくても、その増殖を抑制したり、病巣を縮小させたり、手術後の転移や再発を防止させたりする効果もあります。

 また、白血病や悪性リンパ腫などのがんでは、手術という方法はとれないので、抗がん剤が決定的に重要な治療法となります。

 近年、がんの治療法の新技術として、重粒子線治療が登場しました。形を持つがんには極めて有効な手段ですが、これとて、血液のがんなど形を持たないがんには適用することはできず、抗がん剤以外の治療法はないのです。

 注意すべきは、抗がん剤でがんが縮小したり、消失したり、あるいは寛解状態になったとしても、がん腫瘍が再度増殖したり、再発することがあるので、継続的な監視は必要な点です。

 抗がん剤は、がん細胞の分裂、増殖過程を攻撃します。しかし、細胞分裂するのはがん細胞だけでなく、正常細胞も同様なので、正常細胞も抗がん剤の攻撃に晒されます。その結果、多くの副作用が起こり、特に脱毛や白血球の減少などが起こり、患者自身が苦しめられます。

 ここで、現在、実用されている抗がん剤の種類を示します。

抗がん剤の種類
代謝拮抗剤 葉酸代謝拮抗薬
ピリミジン代謝阻害薬
プリン代謝阻害薬
リボヌクレオチドレダクターゼ阻害薬
ヌクレオチドアナログ
その他の代謝拮抗薬
アルキル化剤
トポイソメラーゼ阻害薬
微小管重合阻害薬
微小管脱重合阻害薬
分子標的薬
ホルモン療法