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健康用語

〔Y染色体異常〕

 

 全ての生物は、遺伝子を持っています。
 雌雄がある生物では、その雌雄を決定する「性染色体」と、それ以外の雌雄に共通する「常染色体」とがあります。

 雌雄をもつ全ての生物と同様に、ヒトにも性を決定する染色体として「性染色体」が存在します。

 ヒトの染色体には、22種類の「常染色体」と「X」と「Y」という二種類の「性染色体」とがあります。


 核を持たない赤血球を除く体細胞は、2倍体であり、同じ種類の常染色体を2本ずつと、性染色体を2本の合計46本の染色体を持っています。

 ヒトの性染色体には「X」と「Y」の2種類があるのですが、この持ち方により男女の性が決まります。

 Y染色体に異常があると、男性の身長を高くしたり、知的障害がより発症しやすくなる、あるいは免疫機能に問題が起こり感染しやすいなどの問題があります。

 Y染色体は、男性にしか存在しませんので、Y染色体異常による遺伝的な障害は男性にだけ現れます。


性染色体による男女の違い
男性・女性区分 常染色体の本数 性染色体の種類と本数
男性 22種類*2本 XY
女性 22種類*2本 XX


どんな病気ですか? ◆〔Y染色体異常〕とは、一体どんな病気なのかご説明します。
どんな病気ですか?  ヒトの染色体には、染色体番号が1~22番の「常染色体」と、「X染色体」および「Y染色体」という24種類があり、それぞれの染色体に含まれる遺伝子の数や塩基対の数も染色体の種類によって異なります。

 先に述べたように、ヒトの染色体数は、常染色体22種類*2本=44本と、性染色体2本の合計46本から成り立っています。常染色体は男女で同じですが、性染色体は男女で異なり、男性は「XY」の組み合わせであり、女性は同じ染色体「XX」から成ります。

 ここから分かるように、Y染色体の存在が「男性」か「女性」かを決定しているわけです。精子には「X型精子」と「Y型精子」とがあり、X型精子が受精すれば子供は「女性」となり、Y型精子が受精すれば子供は「男性」となります。このように、子供の性別を決定するのは父親の方になります。

 子供が生まれるとき、Y染色体は男の子に存在し、女の子には存在しないので、父親のY染色体に何らかの異常があっても、その影響は男の子が生まれてくるときにだけ現れることになります。


どんな症状ですか? ◆〔Y染色体異常〕の症状をご説明します。
Y染色体異常の症状  科学雑誌「NEWTON」(2006年2月号)によると、X染色体とY染色体の機能の違いがある程度解明されているとのことです。このため、X染色体、Y染色体に異常があると、どんな影響が現れることになるのか少し分かるようになりました。

 ・X染色体とY染色体は生涯を通じて男女の特徴を支配する。
 ・Y染色体は、男性の平均身長を高くする。
 ・男性ホルモンがはたらくには、X染色体の遺伝子が必要である。
 ・脳のネットワークづくりはX染色体が主役であり、男性はX染色体が1本しかないために、男性の方に知的障害がより発症しやすい。
 ・X染色体には、免疫機能に不可欠な遺伝子が多く、女性より男性の方が感染しやすい。

 男性のY染色体の「無精子症因子(AZF)領域」に「Y染色体微小欠失」という異常がある場合、身体への異常は現れませんが、男性が精子を作る「造精機能」だけが侵されることが分かっています。


原因は何ですか? ◆〔Y染色体異常〕の原因や発症の仕組みをご説明します。
Y染色体異常の原因  常染色体であっても、性染色体であっても、非常に多くの遺伝子を含んでいるため、外部環境などの影響も含めて、傷つくことがあります。これらが子孫に伝わるとき、子孫もその影響を受けることになるのです。


診断はどうなりますか? ◆〔Y染色体異常〕の検査方法や診断方法をご説明します。
Y染色体異常の診断  現在では、遺伝子診断技術が進歩してきたために、多くの染色体に含まれる遺伝子の異常を発見できるようになりました。特に、子供を生みたいというときの診断などが可能となっています。

 Y染色体の数や形の異常など大きな染色体異常がある場合は、普通の染色体検査で検出可能です。

 また、近年の検査技術の進歩により、通常の染色体検査では分からなくても、遺伝子診断技術を用いると、Y染色体微小欠失のような、Y染色体異常も突き止めることができるようになってきました。


治療はどうやりますか? ◆〔Y染色体異常〕の治療方法をご説明します。
Y染色体異常の治療  遺伝子自体の治療は非常に困難と考えられますが、正常な女性とY染色体に異常がある男性との間で子供を生みたいとき、男女の生み分けによって子孫へ異常を伝達させない方法があります。

 先に述べた、「Y染色体微小欠失」による無精子症の場合、精子形成能が障害されるわけですが、これが無精子症や重症の乏精子症の人の約10%程度を占めているといわれています。

 男性がこのような問題をもつ夫婦の場合、人工授精では困難ですが、顕微鏡下で受精させる「顕微授精」を用いれば、奥さんは妊娠し子供を持つことができます。

 しかし、問題は、子供が男の子である場合は、父親と同じY染色体を受け継ぐために、微小欠失が遺伝することになり、その子もまた、乏精子症や無精子症になる可能性があることになることです。

 女の子が生まれた場合には、何も問題はありません。倫理的にはいろいろ問題もあるものの、生まれる子供の遺伝子診断により女の子を産み分けることは可能となります。