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〔血液の構造〕 |
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免疫のシステムを理解するためには、血液やリンパ液の構造、機能などを知ることが不可欠です。 |
細胞成分は「赤血球」「白血球」および「血小板」とから成り、白血球は「好中球」や「好酸球」「リンパ球」「単球」などからなります。 単球は骨髄で成熟し、約2日間血中に滞在後、血管壁を通り抜け組織内に入るとマクロファージ(貪欲細胞)になります。 リンパ球とマクロファージとは、免疫機能に大きく関係しています。 |
血漿は「水分」「電解質」「糖・脂質・老廃物」「血漿たんぱく」などから成ります。 |
血液成分は、上図に示すように、細胞成分である赤血球、白血球、血小板と、血漿である有機物、無機物からなり、それぞれの成分は更に細かく分類されています。 このように、血液の組成は複雑になっていますが、それぞれの成分には特有な働きがあります。成分個別の機能の概略は次のようになっています。 |
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赤血球の大きさは7~8μmで、せっけ球の個数は、男性で約500万個/mm^(3)、女性で約450万個/mm^(3)で、寿命は約120日程度です。 赤血球は細胞内にヘモグロビンを有することで、酸素と結合し血流に乗って体中に運搬します。わずかながら二酸化炭素も運搬します。 |
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白血球は、血液中の細胞成分の一つで、リンパ球、単球の他、いくつかの顆粒球などを含みます。白血球の大きさは、7~25μmで、白血球の個数は4000~10000個/mm^(3)で、寿命は4~5日程度です。 白血球は、体内に侵入した異物を排除を果たす造血幹細胞由来の細胞で、怪我などにより傷口が化膿したときの膿は、白血球の死骸です。 白血球を構成する物質の概略の作用は次のようになっています。
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血小板は、骨髄中の巨大核細胞という細胞の細胞質がちぎれたもので、核を持たず形も不定形です。血小板の大きさは1~4μmで、血液中に10万~40万個/mm^(3)程度含まれています。寿命は3~10日程度で、死滅すると脾臓で破壊されます。 血管が損傷したときに傷口を塞ぎ、出血を止める役割を果たします。 |
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血漿は、血液中の液体成分で、血液の55%を占めています。その内の91%は水分で、その他に、たんぱく質、脂質、糖類(グルコース)、無機塩類を含んでいます。 血漿は、血液細胞・養分・ホルモン・老廃物の運搬、体内恒常性の維持、血液凝固、免疫機能を持っています。 また、血漿は身体を循環することで、体内組織で発する熱を冷やしたり、逆に熱を運んだりします。また、血漿中に溶けた二酸化炭素を運搬します。 |
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血漿中に溶けているたんぱく質には、アルブミン、グロブリン、フィブリノーゲンの3つがあります。 アルブミンは血漿たんぱく質の3分の2を占め、他の血漿たんぱくに比べて分離量が小さく、血液の浸透圧を維持し、ホルモンや薬などと結合して運搬したり、栄養素の予備として働きます。 グロブリンには「αグロブリン」「βグロブリン」「γグロブリン」の3種類があり、γグロブリンは「免疫グロブリン」と呼ばれ、免疫反応の主役となる物質です。免疫グロブリンは、リンパ球によって産生される「抗体」で、「IgG」「IgM」「IgA」「IgD」および「IgE」の5種類があります。グロブリンは、ウイルス、細菌、真菌、癌(がん)細胞などから体を保護する免疫の役割を果たします。 フィブリノーゲンは、繊維状たんぱく質で血液凝固に関わります。傷などができると、血小板と重合して血球を包み込んで血ぺい(凝結塊・かさぶた)をつくり、出血を止める血液凝固因子として働きます。 |
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血漿中の糖分や脂質は栄養分として各臓器などに運搬されます。また、老廃物は腎臓に運ばれて排泄されます。 |
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電解質は、水に溶け電気を通す塩化ナトリウムのよう電荷を持ったイオンとして解離する物質です。電解質は、酸塩基平衡、水分の保持、細胞膜の電位差などを維持する、生理的に重要な役割をもっています。 代表的な電解質としては、ナトリウム、塩素、カリウム、カルシウム、リンなどがあり、それぞれ、血液中で一定濃度を保ちながら、重要な役割を担っています。 |
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血漿中の水分は、体内の組織に水分が不足すると血液内から補給し、逆に体内の水分が余分になると血液中に吸収される役目を果たします。 |