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〔良性腫瘍と悪性腫瘍〕


良性腫瘍と悪性腫瘍

 人や動物の身体組織や細胞の一部が生体の統制を破って生体内の制御に従うことなく、自律的、勝手に増殖して過剰な組織の塊、腫瘤を形成したものを「腫瘍」といいます。

 このような腫瘍は、病理学的には「新生物」や「新生細胞」と呼ばれています。

 新生細胞は、遺伝子レベルの異常により生じてくる細胞で、その変化は不可逆的変化となり、できた細胞が自然に消滅するようなことは決してありません。


 新生物は、発生直後には顕微鏡レベルでの塊を形成するだけで肉眼的には認識できませんが、やがて成長するに従って肉眼的にも十分に識別できる塊へと増大・肥大します。

 腫瘍は身体表面や身体内部に発生し、塊として触れることができたり、色合いが違っている部分があったりします。

 その発生時期が生まれつきのものもあれば、後天的にできたものもあります。

 また、形状的には、平らなものや盛り上がったもの、風船のようにポッコリと飛び出したものなどがあり多様です。

 この腫瘍は、新生細胞群である「腫瘍実質」とそれを支持する組織である「腫瘍間質」とから成ります。

 正常な細胞も腫瘍細胞も細胞分裂を繰り返しますが、正常細胞はある段階までくると細胞分裂をしなくなり本来の役割を果たして死滅します。

 これに対して、腫瘍細胞は、生体の制御に従うことなく無限に増殖し続ける特徴的性質を有しています。

 どのような腫瘍も決して好ましいものではありませんが、腫瘍には、いわゆる「良性腫瘍」と呼ばれるものと「悪性腫瘍」と呼ばれるものとの二種類があります。

 良性腫瘍は、生体の自立性に従わないで増殖はしますが、それが発生した場所でしか増大・肥大することはなく、他の部位に浸潤したり転移したりしません。

 これに対して、悪性腫瘍は、勝手に増殖し増大・肥大するだけでなく、成長するに従って隣接する臓器や身体組織に浸潤したり、あるいは血液やリンパ液の流れにのって、他の身体部位や組織に遠隔転移します。

 そして、放置すれば生命を奪うところまでその増殖を停止することがありません。

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正常細胞と腫瘍・新生物
〔正常細胞〕

 正常な細胞も腫瘍細胞も細胞分裂を繰り返しますが、正常細胞はある段階までくると細胞分裂をしなくなり本来の役割を果たして死滅します。

 これに対して、腫瘍細胞は、生体の制御に従うことなく無限に増殖し続ける特徴的性質を有しています。

 人間の身体を構成する細胞の数は60兆個ほどありますが、これらは一定の期間を過ぎるとアポトーシスと呼ばれる細胞死をし、同時に分裂・増殖して新たな細胞の生成を繰り返すことで新陳代謝しています。

 本来、分裂・成長により生まれる新しい細胞は、老化・死滅・欠損した古い細胞に入れ替わるだけ生成されて置き換わります。

〔腫瘍・新生物〕

 放射線などの影響で、遺伝子に突然変異が生じると、正常細胞の新陳代謝に乱れがでてきます。

 死滅すべき細胞が死滅せず、必要とされていない細胞が細胞分裂し増殖してしまうのです。

 こうして生まれた過剰な細胞は、組織の塊を形成して腫瘍あるいは新生物となります。

 腫瘍にはその広がり方、大きくなり方で二つの種類があります。

 腫瘍自体が大きく成長しても他の身体組織に湿潤したり転移したりしないものは、腫瘍が大きくなることで身体各部に影響が出るとしても、その腫瘍を除去することができれば特に大きな問題とはなりません。

 このような腫瘍を「良性腫瘍」と呼んでいます。

 一方、腫瘍の中で他の組織に湿潤し転移すればそれはがんであり、それはやがて生命を脅かすものとなります。

 このような腫瘍は「悪性腫瘍」と呼ばれ、一般に「がん」「癌」などと呼ばれます。

 がんの発生原因には、外部要因として食生活・喫煙・大気汚染・放射線・紫外線・ウイルスなどがあり、内部要因として年齢・遺伝的要因・免疫異常・ホルモン分泌異常などがあります。

 これらの原因や危険因子を完全に除去することは不可能ですが、悪い生活習慣を改めることで改善することはできます。

〔良性腫瘍〕

 良性腫瘍には、自律的に増殖はするものの、自らが増殖できる環境そのものを作る能力はなく、腫瘍が発生した場所だけで増殖します。

 栄養分の供給が停止されれば増殖は停止します。

 一般に良性腫瘍は、ゆっくりと増殖しますが、一定の大きさになると成長が止まります。

 そして、限られた局所空間内にとどまり、他の生体組織などに浸潤したり、他の臓器などに転移することがありません。

 身体表面にできる「いぼ」や大腸などにできるポリープの内で「良性ポリープ」と呼ばれるものがその典型例で、手術によって完全に切除してしまえば基本的に再発はありません。

〔悪性腫瘍〕

 一般的に悪性腫瘍は、がんや癌などと呼ばれ、発育が早く、周囲に浸潤性に増殖し、また血液の流れやリンパ液の流れに乗って遠隔臓器に転移します。

 悪性腫瘍が出現した身体部位によって、さまざまな〔がん〕が発生したと言われます。

 がんの種類は無数といえるほど多くありますが、例えば消化器に生ずるがんには、次のように多くのがんがあり、それぞれのがんの中でも更に細かく呼ばれる種類があります。

 ・食道がん
 ・胃がん
 ・十二指腸がん
 ・大腸がん
 ・肝臓がん
 ・胆嚢がん
 ・胆管がん
 ・膵臓がん
 ・肛門がん


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