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〔トリコモナス膣炎〕


概要病気症状原因診断
治療予後合併症情報書籍
 

この疾患の概要です

 〔トリコモナス膣炎〕は、トリコモナス原虫が膣内に感染して起こる性感染症の病気です。

 性的接触をはじめとして、公共施設の脱衣場、お風呂の椅子、便器、タオルなどを通じて感染します。

 数日~1か月の潜伏期を経て炎症が発症します。


 女性ではトリコモナス原虫に感染すると、悪臭の強い白~黄色の膿を含んだ泡状のおりものが見られ、外陰部に痒みを伴います。

 また、この病気にかかると、膣の自浄作用能力が弱くなり、他の感染症にも感染しやすくなります。

 トリコモナス原虫には、男性も同様に感染しますが、男性では特別な症状は見られないのが普通です。


 トリコモナス原虫への感染は、主に性的接触によって起こるので、治療に当たってはパートナーと同時に治療を受けないと完治することはできません。

 一方だけが治療してもポンピング感染といって、お互いに病気の移しあいとなってしまい治療の効果がでません。

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どんな病気ですか?
〔トリコモナス膣炎という病気〕

 トリコモナス膣炎は、トリコモナス原虫という微生物が膣に感染・寄生・繁殖して起こる比較的発症頻度の高い感染症です。

 トリコモナス原虫は膣に限らず、尿道や膀胱にも感染し尿道炎や膀胱炎、外陰炎などを合併することもあります。

 トリコモナス膣炎は、性的接触の機会のある性的成熟期の女性に多く発症し、高齢者にはそれほど多くはみられません。

 一般に症状は軽いために見過ごされることも多い病気です。

 主な症状は、白~黄色の膿状で泡の混じったようなおりものの増加で、外陰部や膣のかゆみや熱感、痛みなどを伴います。

 炎症が激しくなると、外陰部や膣入口周辺ばかりでなく、膣内部まで赤く腫れます。

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どんな症状ですか?
〔トリコモナス膣炎の症状〕

 トリコモナス膣炎は、トリコモナス原虫が膣に感染・寄生して発症します。性的接触などで感染し、数日~1か月ほどの潜伏期間後に症状が現れる性感染症です。

 症状を訴えるのは女性が大半で、男性は感染してもほとんど症状が現れません。

 女性での主な症状は、牛乳のような白色~黄色~緑色っぽいおりものの増加と、外陰部や膣の入口部の痒みや灼熱感です。

 とても強い悪臭のある膿性で、泡のような帯下(たいげ:おりもの)が増加し、刺激感もあります。

 外陰部がただれたり、膣の粘膜が赤く腫れ出血したり、子宮頚部に点状の出血斑が認められることもあります。

 このような場合には、性交時に膣に痛みを感じたり少量の出血を起こします。

 病気が進行して尿道炎や膀胱炎、外陰炎を起こすと、排尿時や歩行時にも痛むようになります。

 また、排尿後に不快感も感じます。更に、感染が卵管にまでおよぶと不妊症の原因にもなります。

 自覚症状をまとめると、帯下(たんげ・おりもの)の増加が主症状ですが、次のような多くの症状が伴います。

 ・外陰部に激しい痒みや灼熱感を感じる。

 ・黄色っぽい~緑がかったおりものが増える。

 ・悪臭の強い泡状のおりものが増加する。

 ・外陰部が赤くただれ腫れる。

 ・感染が進行すると尿道炎や膀胱炎、外陰炎を起こす。

 ・感染が卵管までおよぶと不妊症の原因ともなる。

 ・男性のほとんどは症状はでない。

  (女性でもほとんど症状の出ない人もいます。)

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原因は何ですか?
〔トリコモナス膣炎の原因〕

 トリコモナス膣炎は、トリコモナス原虫が膣に感染し寄生することで起こる性感染症です。

 トリコモナス原虫は、ゾウリムシやミドリムシなどと同じ原虫と呼ばれる微生物です。

 この病気は成熟女性では感染経験者の多い病気で、主な感染源は性的接触ですが、稀には風呂、下着、便座、衣類、タオル、浴槽縁などを介して感染することもあるとされています。

 非常に稀な例としては、分娩時に母体からの産道感染もあるとされています。

 主に性的接触で感染するので、パートナーの一方が感染した場合、両者が同時に治療しないと、いつまで経っても完治できない状況となります。

 一方だけ治療しても、パートナー間でピンポン感染してしまうからです。

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診断はどうやりますか?
〔トリコモナス膣炎の診断〕

 トリコモナス膣炎の検査は、膣分泌物や尿沈渣(ちんさ)を高倍率の顕微鏡で直接観察して行います。

 拡大率を上げると鞭毛を動かしながら運動するトリコモナス原虫を確認できます。

 トリコモナス原虫の存在が確認されれば確定診断となります。

 直接観察でトリコモナス原虫を確認できない場合でも、トリコモナス培地を用いて培養し、トリコモナス原虫の増殖を確認すれば確定診断となります。

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治療はどうやりますか?
〔トリコモナス膣炎の治療方針〕

 トリコモナス膣炎は薬物療法で容易に完治できますが、治療に当たっては絶対に注意すべき点がいくつかあります。

 注意点を守って早期治療に努めましょう。

 適切な治療をすれば、通常は2週間以内に軽快するのが普通です。

〔トリコモナス膣炎の薬物療法〕

 トリコモナス膣炎の治療法は、「膣剤」と「内服薬」とを併用して行います。

 トリコモナス原虫が、膣の他に、尿路などに侵入・潜伏している可能性があるため、膣錠だけでなく、内服薬の同時治療が必要なのです。

 通常、使用される医薬としては「メトロニダゾール(フラジールなど)」や「チニダゾール(ハイシジン)」を内服しながら、同じ薬剤の膣剤を併用するのが一般的です。

 通常はどちらか一方の医薬が使用されますが、二つの医薬を併用することもあります。

 膣剤は、治療している1~2週間、毎日、膣の奥に挿入します。女性では内服薬と膣剤との併用が不可欠ですが、男性の場合は、内服薬の服用のみとなります。

 治療には2週間ほどかかりますが、確実に完治します。

 この病気の治療に当たっては、性的接触のパートナーが同時に治療しなくては効果がありません。

 パートナーも感染しているのが普通ですから、一方だけが治療しても、再び容易にピンポン感染し再発してしまいます。

 治療終了してから数日後に、もう一度検査を受けて、トリコモナス原虫が退治できたことを確かめます。

〔治療上の注意点〕

 治療に当たって最も重要なことは、セックスパートナーと同時に治療を受けることです。このことは、再発を防止するために不可欠です。

 治療期間中の性的接触は出来るだけ慎み、どうしても行う場合にはピンポン感染防止のために必ずコンドームを使用します。

 トリコモナス原虫を駆除するための医薬は、アルコール分解を阻害するため、ときに悪酔いやアルコール中毒を引き起こすことがあるので、治療期間中の飲酒は禁忌です。

 アルコールは絶対に飲んではいけません。

 メトロニダゾールやチニダゾールの内服薬は、妊娠12週以内は、禁忌とされています。

 妊娠初期にこれらの医薬を内服すると、その医薬が胎児へ移行してしまい「胎児奇形」を起こす危険性があるためです。妊娠初期の治療では膣錠のみで行わなくてはなりません。

 また、薬剤が母乳中へも移行するため、治療期間中の授乳も中止しなければなりません。

 妊婦がトリコモナス原虫に感染しても、それ自体で胎児に影響することはありませんし、出産時に新生児に移ることもありませんが、一般に妊婦の治療では、経口薬の服用は避け、腟剤挿入のみでの治療が行われます。

 尚、一般論として、公共施設で脱衣するときにも下着類はビニール袋に入れるなどの注意をしないと、感染の可能性があります。

 また、下着でじかに床面に座るなども危険です。温泉の風呂場などで、大浴場の縁などに裸でじかに座るのも危ないです。


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