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〔インフルエンザ〕


概要病気症状原因診断
治療予後合併症情報書籍
 

この疾患の概要です

 〔インフルエンザ〕は、インフルエンザウイルスにより引き起こされる〔急性感染症〕です。

 広義には〔風邪症候群〕の一つですが、普通の風邪に比べて症状が非常に激しく、強い流行性があり、〔流行性感冒〕とか〔流感〕とも呼ばれます。

 世界の歴史上でもパンデミックと呼ばれる大流行が記録されていいます。



 〔インフルエンザ〕は、最初は寒気から始まり、高熱を出し、次のような典型的な症状が出る他、筋肉痛、関節痛、腹痛、下痢などの症状も現れます。

 ・頭痛
 ・咳
 ・くしゃみ
 ・鼻水
 ・のどの痛みなど

 通常は、3~4日で症状がおさまり始めます。

 インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型などがあり、適合ワクチンがあれば有効ですが、ワクチンが適合しなければ効果はありません。


 日本での〔インフルエンザ〕の流行は、毎年12月からはじまり、2月がピークで、3月には相当減少して、4月には終息します。

 最近、〔インフルエンザ〕の特効薬としてタミフルという薬が使用されますが、奇行を引き起こす事件や事故が多発しており、使用に当たっては慎重さが必要です。

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どんな病気ですか?
〔インフルエンザという病気〕

 いわゆるインフルエンザウイルスに感染してなる病気で、通常の風邪症候群に比べて、急激で強い症状が現れます。

 発病すると、38度C以上の高熱が出るほか、筋肉痛などをはじめ風邪と同様な症状が現れ、通常は、3~4日で症状がおさまり始めます。

 インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型とあり、深刻な流行を起こすのは主にA型とB型ウイルスです。

 最近では、新型インフルエンザが大流行の兆候を示し、世界中の人たちが感染しています。

 また、鳥インフルエンザと呼ばれる強力なインフルエンザが流行する可能性も出てきています。

 急性期の患者の吐き出す咳やくしゃみで飛散した飛沫が空気中を漂い、他の人の呼吸器に入り感染します。

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どんな症状ですか?
〔インフルエンザの症状〕

 典型的には、インフルエンザの潜伏期間は1~3日で、突然の高い発熱、頭痛、腰痛、筋痛、全体倦怠感が現れ、それに少し遅れて、鼻汁、咽頭痛、咳などの呼吸器症状がでてきます。

 また、腹痛、嘔吐、下痢といった胃腸症状を伴う場合もあります。

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原因は何ですか?
〔インフルエンザの原因〕

 インフルエンザの原因はもちろんインフルエンザウイルスの感染ということになります。

 インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型がありますが、猛威をふるうのはA型とB型です。

 A型、B型インフルエンザウイルスの表面には、HA(ヘマグルチネン)とNA(ノイラミニダーゼ)と呼ばれるスパイク蛋白があって、ウイルスの感染に強く関連しています。

 A型ウイルスには、HA1~15とNA1~9といういろいろな組み合わせがあり、H1~3型はヒトからヒトへと感染します。

 また、組み合わせにより、ヒトの他、トリやブタにも感染するものがあります。

 B型にはHA、NAとも1種類だけがあります。

 これらHA型とNA型の組み合わせでインフルエンザウイルスは存在し、「H○N○型インフルエンザ」と呼ばれます。

 中に猛威をふるうものが出てきますが、過去に全世界で出現し、パンデミックと呼ばれる大流行したインフルエンザウイルスの名称および型などは次のようなものです。

大流行したインフルエンザウイルス
名称 ウイルス型 出現年 特記事項

スペインかぜ H1N1 1918年 感染者6億人
全世界で死者4,000~5,000万人

アジアかぜ H2N2 1957年 感染者300万人
全世界で死者5,700人

香港かぜ H3N2 1968年 感染者50万人
全世界で死者56,000人以上

ソ連かぜ H1N1 1977年

 A型のH1~3はヒトからヒトに感染しますが、今世紀に入ってから話題になった、鳥インフルエンザは、A型でH5N1というタイプです。

 ヒトへの感染が問題で、もしヒトでの発症があれば大流行の危険性があります。

 しかも、非常に強力で多くの死者がでると予想されています。

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診断はどうやりますか?
〔インフルエンザの診断〕

 インフルエンザは通常の風邪の症状に対して、一般にはるかに強い症状がでます。

 次のような症状があればインフルエンザの疑いが強くなります。

 症状が急激で強ければ、インフルエンザの可能性が大ですが、インフルエンザに感染しているかどうかを即時に判定するキットがあります。

 ほとんどのキットでは、測定時間は15分程度で判定可能です。

 キットはさまざまで、多くのキットではA型とB型の判定ができますが、中にはA型とB型の識別ができないキットもあります。

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治療はどうやりますか?
〔インフルエンザの治療方針〕

 インフルエンザに感染して早期に診断されれば、薬による治療が可能ですが、インフルエンザの症状を無くすような薬はありません。

 現在、使用されている薬は、インフルエンザの激しい症状が続く期間を1日程度短くするくらいの効果しか期待できないのが現状です。

 インフルエンザに罹らないような予防も含めて、インフルエンザの治療方法をまとめてみると下表のようになります。

インフルエンザの治療方法
〔ワクチンによる予防〕

 ワクチンはインフルエンザの予防に有効ですが、毎年流行するインフルエンザの型は変異するので、その年に流行の兆しのあるワクチンでないと効果はありません。

 また、ワクチンは接種後、効果がでるまでに2週間は必要なので、感染の2週間前以前に接種しないと効果はでません。

 ワクチンは、特に60歳以上の高齢者において顕著な効果を発揮しますので、流行の兆しがあれば、高齢者の接種は好ましいことです。

〔抗ウイルス薬〕

 A型インフルエンザに対して、発病後2日以内に塩酸アマンタジンという薬を用いれば、症状のでる期間を約1日短縮する効果があります。

 A型、B型インフルエンザに対して、発病後2日以内にザナミビル水和物、リン酸オセルタミビル(タミフル)という薬を用いれば、症状のでる期間を約1日短縮する効果があります。

 しかし、タミフルを用いると、突然、裸で外に飛び出すとか、ベランダから飛び降りるなど奇行が起こるとの報告が多数あります。

 子供などが服用する場合には、保護者が四六時中にわたって監視するなどの覚悟が必要です。

〔薬による対症療法〕

 インフルエンザにより現れる症状を緩和するために対症療法薬が使用されます。

 対症療法薬には、主に総合感冒薬、消炎鎮痛剤、鎮咳剤などでが使用されます。

 子供に対するインフルエンザ治療薬としての解熱鎮痛薬は、慎重に選定されます。

 解熱剤のアセトアミノフェン(商品名アンヒバ、アルピニー、カロナールなど)は安全性が高い薬で解熱目的に使用されます。

 しかし、非ステロイド抗炎症薬のボンタール、ボルタレン、およびサリチル酸系のアスピリンなどは、解熱目的としては使用しないことになっています。

 これらの薬は急性のインフルエンザ脳症を引き起こす可能性が大きいからです。

〔栄養摂取など〕

 インフルエンザを早く治すためにも体力の維持は必要です。できるだけ消化のよい食べ物で栄養を摂るようにします。また、十分な水分の摂取も欠かせません。

〔家庭内での養生〕

 苦しい症状をともなうときは、できるだけ安静にしていることが絶対的に必要です。室内の空気が乾燥しているなら、加湿器で湿度を調節したり、蒸気吸入をすると症状が緩和されます。

 寒気があるときは、身体を温めます。発熱があり体温が上がったときは着衣や布団を薄めにして熱を逃がすようにします。

 微熱程度でならば、お風呂に入ることはできますが、高熱があるときは控えた方がよいでしょう。

〔外出〕

 他のヒトにインフルエンザを移さないためにも、できるだけ外出しないことがいいのですが、仕方なく外出する場合でも人混みは避けるようにします。

 また、外出から帰ったときは、うがいや手洗いをします。



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