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〔脳・神経の病気〕

パーキンソン病


概要病気症状原因診断
治療予後合併症情報書籍
 
この疾患の概要です

 〔パーキンソン病〕は、脳内のドーパミン不足とアセチルコリンの相対的増加による神経変性疾患のひとつです。

 手足の震え、筋肉のこわばりがあり、動作の開始が困難で、バランスを崩すと姿勢を元の状態に戻せなくなるという4つの特徴的な症状を持つ脳の病気です。

 初期の段階では、手足の震えやこわばりが片側ではじまります。

 進行してくると歩き始めようとしても最初の一歩が踏み出せず、歩きだすと止まれなくなるなどの症状を呈します。



 〔パーキンソン病〕、および〔パーキンソン病〕と類似の症状を呈する病気があり、これらを総称して〔パーキンソン症候群〕といいます。

 〔パーキンソン病〕に伝染性はありません。また、この病気を発症するいくつかの遺伝子が特定されてはいますが、遺伝性での発症は多くはありません。

 従来、この病気は、以前には絶望的な病気であり、「いずれは寝たきりになる病気」と考えられていました。

 しかし、現在では脳深部に電極を挿入する外科手術的療法の進歩や、症状を改善する優れた医薬の開発、薬物療法も進化し、病気と共存しながら生活できるようになっています。


 〔パーキンソン病〕は、身体は不自由になりますが、致死的な病気ではなく、寿命も短くなることはありません。

 日本での〔パーキンソン病〕の患者数は、約15万人ほどいるとされ、20代、30代、40代でも発症しますが、主に50代~60代で多く発症します。

 70代、80代で発症することもあります。

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どんな病気ですか?
〔パーキンソン病という病気〕

 パーキンソン病は、手足が震えたり、筋肉のこわばりが現われ、身体がスムーズに動かせなくなっていく病気です。

 身体が思うように動かせなくなるのですが、原因が筋肉や骨にあるわけではなく、脳の機能にあります。

 脳機能の異常により、脳からの指令がうまく伝達できず、身体がスムーズに動かなくなる病気なのです。

 1817年にイギリスのジェームズ・パーキンソンにより初めて報告された病気で、「安静時の震え」「筋強剛(筋固縮)」「動作緩慢」および「姿勢反射障害」という四大症状を呈することを特徴とする病気です。

 これらの症状の他にも、同時に二つの動作をすることが困難となったり、自由にリズムを作っての行動ができなくなったりもします。

 この病気は、以前には絶望的な病気であり、「いずれは寝たきりになる病気」と考えられていましたが、現在では脳深部に電極を挿入する外科手術的療法の進歩や、症状を改善する優れた医薬の開発、薬物療法も進み、病気と共存しながら生活できる病気になっています。

 日本では、厚生労働省の特定疾患(難病)に指定されている病気で、男女差はなく、どの年代にも発症しますが、患者数は50代から徐々に増加し、70代では人口10万人あたり約400人にもなります。

 40歳以下で発症する場合、若年性パーキンソン病と呼ばれますが、その症状には違いはありません。

 日本での全体での有病率は、人口10万人あたり100~150人程度とされています。

 次に示すような多くの症状が目立つようになった場合には、パーキンソン病の初期段階である可能性がありますので、専門医での検査を受けた方がよいかも知れません。

パーキンソン病の始まりのチェック方法
〔手足の震え〕

 じっとしていると手足が震える。

〔動作の俊敏性〕

 最近、何だか動作が遅くなった、鈍くなった。

〔歩行〕

 歩幅が狭くなり、歩くのも遅くなった。
 歩行中に前のめりになり転びやすくなった。

〔発声〕

 声がうまく出せなくなり、話し方に抑揚がなくなった。

〔文字書き〕

 文字がうまく書けず、文字も小さくなった。

〔顔面〕

 無表情になり、よだれを流すようになった。


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どんな症状ですか?
〔パーキンソン病の症状〕

 パーキンソン病は脳の病気であり典型的な症状として、手足のふるえ、筋肉のこわばり、動作が緩慢になり、一定以上傾くと元に戻れなくなる姿勢保持障害という4つが現れます。

 この他の症状として、排尿障害、便秘、気分の落ち込み、うつ症状などが現れることもあります。

 手足のふるえや筋肉のこわばりは最初は片側からはじまり、進行してくると両側に現れます。

 ふるえは、大体一秒間に4~6回くらいのゆっくりしたものです。

 パーキンソン病のふるえは特有なもので、安静にしているときにはふるえが強くなるが、何かしようとすると止まる性質があります。

 パーキンソン病患者が立ち上がった姿は、ひじと膝がやや曲がった形の特徴的な姿となります。

 病状が進行すると、歩き始めようとしても中々最初の一歩が踏み出せないすくみ足(寡動症)となり、歩幅も小刻みとなります。

 ようやく歩き出すと、今度は前のめりとなり、トットットという感じで転倒するまで止まれないような突進状態となります。

 これらの段階を過ぎて病状が進行すると寝たきり状態になってしまいます。

 パーキンソン病には、下に示すような典型的な四つの運動系の症状があります。

 ほとんどの患者さんはこれらのいくつか、あるいは全部の症状を併せもっているのが普通です。

パーキンソン病の四大症状
〔振戦〕

 振戦とは震えのことですが、パーキンソン病による震えは、静止時振戦といって、静かにじっとしているときに震える特徴があります。

・震えの症状には身体の左右に差が見られ、左右のどちらかの手か足から始まることが多いです。手足だけでなく、顎が震えることもあります。
・震えの周期は比較的ゆっくりで、1秒間に5回くらいのリズムです。
・震えは、何もしないで安静にしているときに起こります。
・身体を動かすと止まりますが、緊張すると酷くなることもあります。
・震えは、睡眠中は治まりますが目覚めるとまた始まります。

〔筋固縮〕

 筋固縮とは、筋肉が硬くこわばることで、筋肉がこわばってしまい、普通の動作がうまくできなくなります。

 握力や手足の筋力に異常はみられません。

・全身の筋肉が硬くこわばって、動きが悪くなります。
・手指や手首、ひじ、足などの曲げ伸ばしがやりにくくなります。
・首や肩をまわす動作ができなくなります。
・力を抜いてリラックスすることが困難になります。
・他の人が、患者の関節を曲げたり伸ばしたりすると、カクカクという抵抗感を示します。

〔動作緩慢〕

 動作緩慢とは、動作がゆっくりになり、動きも小さくなることです。途中で動きがとまったりする寡動症状がでます。

 病気が進行すると、ほとんど動作がなくなり、長い時間全く動かない無動症状を呈するようになります。

・生活上の動き全体がゆっくりとなります。
・歩こうと思っても足が出にくく歩きにくくなる歩行障害がでます。
・顔や口の動き、瞬きも少なく表情に乏しい仮面様顔貌になります。
・話し方に抑揚がなくなります。
・文字を書こうとすると、だんだん小さい文字になってしまいます。

〔姿勢反射障害〕

 姿勢反射とは、身体のバランスが崩れそうになったとき、倒れないようにする反射作用のことをいいます。

 パーキンソン病では、この反射機能が障害され、身体のバランスがとれず転びやすくなります。止まろうと思っても止まれなくなったりします。

・膝を曲げて前かがみに歩くようになります。
・最初の一歩が踏み出しにくくなります。
・小さな歩幅でよちよち歩く歩行障害がでてきます。
・一旦、歩き出すとなかなか止まれなくなります。
・倒れそうになるとそのまま倒れてしまいます。
・方向転換しようとするとき、容易に転倒してしまいます。

 パーキンソン病の症状には、このような運動系の症状だけでなく、自律神経系の症状や精神系の症状も現われます。

パーキンソン病による自律神経系、精神系の症状
〔自律神経系症状〕

 自律神経系の症状として、便秘や脂顔、立ちくらみ、よだれ、排尿障害、発汗障害などの症状がでてきます。

〔精神系症状〕

 精神系症状として、抑うつ、幻覚・妄想、認知障害(痴呆)などが現われることがあります。


 パーキンソン病の進行段階・進行経過は個人差がありますが、一般に進行は緩やかです。

 半数ほどの患者では、発病後10年ほどして多少の介助が必要になるくらいの進行速度です。

 パーキンソン病の進行段階では、ヤールの5段階病期と呼ばれる分類が使われます。

 Ⅲ期以上の段階では、医療費の公費負担制度があります。症状の程度や年収などにより自己負担率が変わりますが、管轄の保健所で申請することができます。

パーキンソン病の進行段階
〔I期(1期)〕

 ごく軽い症状で体の片側のみに現れている。

〔Ⅱ期(2期)〕

 症状が体の両側に及んでいるが、特別な歩行障害はなく、普通の生活が可能。

〔Ⅲ期(3期)〕

 歩行時の方向転換が不安定となり、姿勢反射障害、突進現象歩行障害が現れている。多少の仕事は可能。

〔Ⅳ期(4期)〕

 介助なしでも少しは歩けるが、介助歩行が必要。日常動作では何らかの介助を必要とする状態。

〔Ⅴ期(5期)〕

 日常動作に全面的な介助が必要となり、移動には車椅子が必要で、家庭では寝たきり状態になっている。


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原因は何ですか?
〔パーキンソン病の原因〕

 パーキンソン病の真の原因は完全には分かっていませんが、パーキンソン病が発生する仕組みについては解明されています。

 大脳の下に位置し脊髄へと繋がる脳幹部の最上位に中脳と呼ばれる部分があります。

 パーキンソン病では、この中脳の黒質線条体の神経細胞が変性して、神経伝達物質の一つであるドーパミンの生成量が減少してしまい、神経伝達物質が不足するために起こります。

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診断はどうやりますか?
〔パーキンソン病の診断〕

 パーキンソン病は専門医により診断されます。

 パーキンソン症状のうちの二つ以上があり、症状が片側からはじまっていること、および症状が進行していることから診断されます。

 パーキンソン症状を呈する原因には、パーキンソン病ではないいくつかの病気があるので、これらの病気と区別するために、いろいろな検査も行われます。

 パーキンソン症状を示す病気のうち、80%はパーキンソン病ですが、残り20%は症状は似ていても全く別の病気が原因であるためです。

 パーキンソン病と類似の症状を呈する病気には次のようなものがあります。

症状は似ているがパーキンソン病とは別の病気
〔他の病気の治療薬の副作用〕

 パーキンソン病とは別の病気のために服用している治療薬の副作用によってパーキンソン症状を起こすことがあります。

 この場合には、その薬の服用を止めれば症状も軽快します。

〔脳梗塞や脳内出血〕

 脳梗塞や脳内出血に起因してパーキンソン症状を呈することがあります。

 頭部MRI検査で判別、確認することができます。

 パーキンソン病と他の病気との違いは、パーキンソン病であれば薬が効くことです。

〔神経変性疾患〕

 とても稀なケースですが、神経変性疾患と呼ばれる一群の病気によるものです。

 パーキンソン病もそんな病気の一つですが、脳の障害のある場所が異なり、症状にも多少の違いがあります。

 これに該当する病名には進行性核上性麻痺や皮質基底核変性症、レヴィー小体病、多系統萎縮症などがあります。


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治療はどうやりますか?
〔パーキンソン病の治療方針〕

 パーキンソン病は薬による治療が中心となっていますが、最近では外科的手術が進歩し、脳深部に細い電極を埋め込んで外部から電気的刺激を与えることで、症状を完全に抑えることもできるようになりました。

〔パーキンソン病の薬物療法〕

 パーキンソン病に対する薬物療法には、変性が起きている黒質線状体の部分に作用する仕組みの違いで次に示すように様々なものがあります。

 それぞれに顕著な効果を発揮しますが、これらの治療薬は年齢や症状、病気の進行度に応じて使い分けられます。

 また、これらの薬は、症状を改善したり軽減したりできるが、パーキンソン病を完治させるものではなく、ずっと飲み続ける必要があります。

 パーキンソン病の具体的な治療薬には、次のものなどがあります。

 ・L-ドーパ
 ・ドーパミンアゴニスト
 ・抗コリン薬
 ・アマンタジン
 ・ドロキシドーパ
 ・COMT阻害薬
 ・ゾニサミド

 主に使用される治療薬は、「L-ドーパ」と「ドーパミンアゴニスト」の二つで、それ以外は補助的に使用される医薬です。

 どの薬にも効果・効能と副作用とがあります。

 薬の選択や使用法を間違えると、副作用がでるばかりでなく、思わぬ事故に遭う危険性もありますので、それをよく理解して使用することが重要です。

パーキンソン病の主要な治療薬
〔L-ドーパの特徴〕

 L-ドーパは、不足するドーパミンを外部から補充する医薬です。

 この薬は、パーキンソン病の典型的な四つの症状のいずれにもよく効き、症状を軽減してくれます。

 個人差はありますが、服用を始めると、数日~数週間で効果を実感できるようになります。副作用もありますが、それほど深刻な副作用は少ないとされます。

〔ドーパミンアゴニスト〕



パーキンソン病の機能別治療薬
〔ドーパミンを補う薬〕

 ・レボドパ
  ・マドパー
  ・ネオドパストン
  ・メネシット
  ・ECドパールなど

〔ドーパミン受容体を直接刺激する薬〕

 ・麦角系
  ・パーロデル
  ・ペルマックス
  ・カバサール

 ・非麦角系
  ・ドミン
  ・ビ・シフロール
  ・レキップ

〔ドーパミンを分解する酵素を阻害する薬〕

 ・エフピー錠
 ・エフピーED錠

〔ドーパミンの作用低下で相対的に機能が強まるコリン作動ニューロンの働きを抑制する抗コリン薬〕

 ・アーテン
 ・アキネトン
 ・トリモール

〔ドーパミン放出を促進する薬〕

 ・シンメトレル


〔パーキンソン病の手術療法〕

 薬物療法では十分な効果がなかったり、副作用で薬を続けられないとき、外科手術が必要となることがあります。

 パーキンソン病の外科手術には、高周波温熱度凝固術や脳深部刺激療法(DBS)があります。

 手術の安全性ではDBSの方が高周波温熱度凝固術よりも高いとされています。

パーキンソン病の手術療法
〔高周波温熱度凝固術〕

 外科手術の目的は、運動症状を改善することで、高周波温熱度凝固術破壊はその一つの方法です。

 脳手術は、脳深部にある淡蒼球や視床、視床下核のどれかの部位を、温熱凝固破棄します。

 この手術では確実な効果があると確認されています。

〔脳深部刺激療法〕

 脳深部刺激療法も外科的治療のひとつです。脳手術は、脳深部にある淡蒼球や視床、視床下核のどれかの部位に細い電極を挿入し、外部より電気刺激を与える治療法です。

 刺激装置(パルスジェネレータ)を埋め込む場合、3~5年ごとに電池交換が必要となります。

 この方法は、DBSとも呼ばれる方法で、パーキンソン病の症状を抑制する顕著な効果があります。


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