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〔水虫〕


概要病気症状原因診断
治療予後合併症情報書籍
 

この疾患の概要です

 〔水虫〕は主に足の指にできる病気です。

 皮膚糸状菌と呼ばれる真菌(白癬菌)が足の指などの皮膚で繁殖して、足の皮膚に炎症を起こします。

 とても痒くなるので、大変不愉快になります。

 真菌・白癬菌は湿気を好み、皮膚のケラチンを栄養分として繁殖するため、水虫にとって、足の指などは最適な繁殖環境なのです。



 真菌によって生ずる〔水虫〕や〔陰金田虫〕〔しらくも〕などの病気は、通常は皮膚の表面に感染します。

 しかし、真菌が爪組織の内部深くまで侵入する〔爪水虫〕を引き起こすと、塗り薬などでの治療はほとんど不可能となり、長期にわたる内服薬での治療が必要となります。

 治療薬は肝機能に影響を与えることもあるため、慎重な治療が必要になります。

 また、真菌が頭部の毛穴から皮膚内部まで侵入して感染すると、〔ケルズス禿瘡(とくそう)〕と呼ばれる広範囲な脱毛を引き起こすことがあります。


 〔水虫〕の症状では、典型的には足がムズムズと我慢できないほど痒くなることです。ときには、激しい痛みや焼けるような熱さを感じることもあります。

 皮膚症状としては、水泡ができたり、破れたりして、ジュクジュクしたりする、多種多様な症状も出現します。

 統計では、水虫患者は2100万人ほどいるとされています。男女ともに高年齢層に多くなります。

 水虫治療薬については、「水虫治療薬」を参照してください。

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どんな病気ですか?
〔水虫という病気〕

 水虫に代表される真菌が原因で発症する病気は、総称して「白癬」と呼ばれ、皮膚糸状菌によって生じる皮膚感染症のひとつです。

 その発症部位や症状により「水虫」「陰金田虫」「爪水虫」「しらくも(頭部白癬)」および「ケルズス禿瘡(とくそう)」」などがあります。

 これらの病気の原因は、皮膚糸状菌(多くは白癬菌)という真菌によって起こる病気です。真菌は、簡単にいえば、カビの一種と考えられる細菌です。

 水虫は主に足の指にできますが、足全体の皮膚に拡がることも少なくありません。

 また、手の指などにも発症することがあります。このページでは、水虫を詳しくご説明していますが、真菌が原因となる水虫以外の病気についても簡単に触れます。

水虫とは
水虫

 水虫は、主に足の底に小さな水疱をつくるものや、足の指と指の間に小さな水疱ができ破れて白くふやけてびらん状になるもの、足の裏の角質層が厚くなり硬化してしまうものなどがあります。

 また、手の指にできることもあります。これらの水虫は、角質層にできるもの以外では、多くの場合、痒みをともないます。

 夏に向かって気温が上昇してくると、水虫の季節です。特に、毎日、靴を履いて満員電車に揺られて通勤するサラリーマンの40%が水虫で悩んでいるとの統計があります。

爪水虫

 爪水虫は、真菌が足の爪の内部まで侵入して、爪の角質がぼろぼろになり、白く濁ります。ひどくなると、爪が分厚く膨らんだり、爪の形が歪み変形し、反り返ったりする病気です。

陰金田虫

 陰金田虫は、単に「いんきん」ともよばれ、主に陰部周辺にできる慢性湿疹のような赤いブツブツで、黄濁色の粘液を含む膿庖ができる病気です。

しらくも(頭部白癬)

 しらくもは、頭部に生じる白癬菌感染症で、頭部白癬とも呼ばれ、頭部にふけ(鱗屑)が付着した境界のはっきりしたゼニ型の脱毛局面が現れる病気です。

ケルズス禿瘡

 ケルズス禿瘡は、人畜共通の病気で、頭部に生じる白癬菌感染症の一つですが、細菌が皮膚の下部まで侵入してしまい、毛嚢を破壊し、脱毛を生じさせるびょうきです。


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どんな症状ですか?
〔水虫の症状〕

 足の指先などにできる水虫の典型的な症状は、足がむずむずと痒くなることです。

 ただ痒いだけではなく、ときには痛みを感じたり、火がついたように熱く感じることもあります。また、水疱ができ、破れてじゅくじゅくしたり、いろいろな症状が出てきます。

 足にできる水虫の症状には「趾間型」「小水疱型」および「角化型」などのタイプがあります。

水虫の症状
趾間型

 足の指の間(趾間)に白いジュクジュクした気持ち悪いものができ、やがて皮膚がびらん状になり、破れて剥けてきます。

 その周辺部では皮膚が鱗状になり、いわゆる鱗屑となって剥がれます。

 最初のうちは強い痒みが主症状となりますが、ひどくなりびらん状になると痛みも強くなります。

 こうなると周辺部への二次感染の危険が増します。

 また、家庭内でも、風呂場やマット、畳などに皮膚の屑が落ちて、白癬菌が付着し、家族への感染の危険性が極めて大となります。

小水疱型

 足の指間や皮膚上に、軽度の発赤を伴った米粒よりも小さな水疱が密集したり、環状に配列してしゅつげんします。夏場になると多く発症するパターンで痒みも強くなります。

角化型

 角化型の水虫は、足の底の皮膚が硬い部分にできる水虫です。足底全体の皮膚が乾燥状態となり、カサカサになります。

 ほとんど痒みなどの自覚症状がないので気がつかない人も多くいます。

 特徴は、足底の角質が増殖することで、風呂場で足底をこすると角質がボロボロと剥がれ落ちます。夏場に罹りやすいですが、冬でも罹り、根治が難しい水虫です。


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原因は何ですか?
〔水虫の原因〕

 水虫・陰金田虫・白癬などの病気は、いずれも白癬菌と呼ばれる真菌による感染症の病気です。

 白癬菌は高温多湿の環境下で繁殖しやすいので、汗ばんだり濡れたりした皮膚をそのままにしておくと感染し易くなります。

 湿った靴下を長時間履いていると足の水虫に非常に罹り易くなります。

 白癬菌の感染は、多くの場合に、人から移りますが、公衆浴場の椅子や洋式トイレなども感染源になります。

 身体に貼付する湿布薬類も長時間貼ったままにしていると体部白癬になることがあります。

 頭部にできるしらくもは犬や猫などのペットから感染することがあるので注意が必要です。

 また、糖尿病やステロイド薬(副腎皮質ホルモン薬)を内服したり外用している場合には、免疫力の低下を招き、白癬菌に感染しやすくなります。

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診断はどうやりますか?
〔水虫の診断〕

 水虫や爪水虫などの白癬菌による病気の診断は、症状の出ている皮膚を採取して顕微鏡で見て検査します。

 この顕微鏡検査で白癬菌が見つかるかどうかが、診断の決め手で、白癬菌が見つかれば水虫と診断されます。

 最も一般的な水虫の検査は、「カセイカリ検査法」です。この方法では、感染している部位から少量の皮膚を採取し、少量のカセイカリ液を加え、60~70度Cで2~3分加熱後に顕微鏡観察します。

 白癬菌は、糸状の菌糸が繋がって伸びていて、ところどころに竹の節状の隔壁があります。

 これが数珠のように連続していて、これらがひとつずつ離れると周囲に飛散してゆき感染を拡げるのです。

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治療はどうやりますか?
〔水虫の治療方針〕

 白癬菌による水虫などの病気には、抗真菌薬の外用薬を用いて治療します。主に使用される薬には次のようなものがあります。

抗真菌薬の外用薬
薬剤成分 商品名 効能など

塩酸ブテナフィン メンタックス・ボレー・ブテナロック 臨床研究で非常に高い効果が認められています。

ビボナゾール マイコスボール 臨床研究で非常に高い効果が認められています。

ラノコナゾール アスタット 臨床研究は不明ですが、専門家の経験で使用されています。

塩酸テルビナフィン ラミシール 臨床研究で非常に高い効果が認められています。

硝酸ミコナゾール フロリードD 臨床研究で非常に高い効果が認められています。

クロトリマゾール エンペシド 臨床研究で非常に高い効果が認められています。

 足の指の皮膚などにできる通常の水虫では塗り薬で治療することが可能です。

 しかし、水虫のを引き起こす白癬菌は、湿気を好むので、湿った靴下などを長時間履いていると、一度治ってもすぐ再発する可能性があり、根気のいる治療となります。

 特に、一旦、爪水虫に罹ってしまうと、白癬菌は爪の内部深くにまで侵入してしまい、外用薬は届きません。

 この場合には、外用薬と同時に内服薬も併用して、爪水虫を内と外から挟み撃ちにしなくては治療できません。

 水虫を爪水虫まで進行させてしまうと、そこが白癬菌の隠れ家となり、菌を供給し続けるため、足の水虫は一向に完治しません。

 爪水虫を根治しない限り、水虫から逃れる手段はないと覚悟してください。(このあたりの更に詳しいことは「爪水虫」の項を参照してください。)


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