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〔ドライアイ〕


概要病気症状原因診断
治療予後合併症情報書籍
 

この疾患の概要です

 通常、目の表面は涙液によって潤いをもち、外界から侵入してくる細菌や異物から守られています。

 涙は、涙腺で作られ目の表面に分泌されますが、目の表面を潤し守るだけではなく、栄養や酸素を運ぶ重要な役目も担っています。



 ところが、何らかの原因で涙液が減少してしまうと眼球表面が乾燥してしまい、結膜が充血したり、角膜に傷がつきやすくなります。

目の表面を潤す涙液

 これが〔ドライアイ〕という疾患で、正式名は〔角膜乾燥症〕と呼ばれています。

 〔ドライアイ〕では、涙の量が減少するだけでなく、涙の成分が変化することもあります。

 目の表面の涙が減少する結果、角膜や結膜が乾燥し、傷つき、目の疲れや痛み、不快感などの症状が現れます。

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どんな病気ですか?
〔ドライアイという病気〕

 ドライアイは、正式名を「角膜乾燥症」と呼ぶように、目の表面が乾燥する疾患です。

 何らかの理由により、涙液が不足し目の表面に行きわたらなくなったり、涙液の質が変化したりして、目の乾燥、違和感、結膜の充血、角膜表面の傷発生などさまざまな状態になります。

 症状の出方は、ほとんど自覚症状がない軽度なものから、痛くて目を開けていられないほどの重症までさまざまです。

 通常、瞬きによって眼の表面は涙が行きわたり潤されていますが、何らかの理由で涙の量が減少してくると、角膜表面には部分的に液体で濡れていない乾燥したドライスポットが出現します。

 ドライスポットができてしまうと、眼が正常に機能するのに必要な水分、栄養、酸素が供給されなくなる他、細菌や異物から眼を守る機能が低下してしまいます。

 更に、重症になれば、乾燥した目の表面に異物があるまま瞬きすることなどで、角膜表面に無数の傷がついてしまい、さまざまなトラブルが起こるのです。

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どんな症状ですか?
〔ドライアイの症状〕

 ドライアイの典型的な症状は、次に示すようなものです。軽度なものは我慢もできますが、重症になると目を開けていられなくなるほど痛むことがあります。

ドライアイの症状
目の症状

・目が乾く。
・光がまぶしい。
・目が重たくなる。
・目がゴロゴロする。
・目が痛い。
・10秒間以上目をあけていられない。
・眼に違和感がでる。
・風や光が眼にしみる。

目疾患の危険

・結膜炎など、目の感染症にかかりやすくなる。
・眼精疲労・アレルギー性結膜炎・慢性結膜炎に類似した症状がでる。
・眼が疲れる。
・眼がかゆい。
・眼が充血しやすい。
・めやにが出る。

視力への影響

・視界がかすむ。
・視力が低下する。


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原因は何ですか?
〔ドライアイの原因〕

 ドライアイは基本的には、角膜上での涙液の存在量が減少することで起こります。

 角膜での涙液の存在量が減少する原因の主なものは、何らかの原因で瞬きの回数が減少する場合です。

 また、角膜からの涙液の蒸発量が多くなっても起こりますし、涙腺からの涙液の分泌量が減少しても起こります。

 角膜上の涙液の存在量を減少させる具体的な例を示します。

角膜上の涙の存在量の減少原因
瞬き回数の減少

 通常、瞬きの回数は1分間に20~30回くらいあり、これにより涙液を角膜の上に安定して供給しています。

 涙腺から分泌された涙液は、角膜上で役割を終えると、涙点から流れ出てゆきます。

 ところが、パソコンや読書などに集中すると瞬きの回数が減少して、涙液の供給量が減少してしまうのです。このような事例は数多くあります。

・パソコン
・長時間のゲーム
・読書
・テレビ
・車の運転

コンタクトレンズ

 現在では多くの人が利用するコンタクトレンズですが、いくつかの理由で実質的な涙の量が減少してドライアイになることがあるとされます。

・涙がレンズに吸い取られる。
・涙が蒸発しやすくなる。
・レンズで覆わて角膜が酸欠となり傷つきやすい。

涙液の量や質の変化

 不規則な生活を続けたり、生活習慣の乱れ、ストレスの多い環境などで、涙の量や質の低下が起こることがあるとされます。

 また、病気の治療のために服用する薬剤の影響で涙の質や量が低下することもあるとされます。

・不規則な生活
・生活習慣の乱れ
・ストレス
・医薬(降圧剤、精神安定剤、緑内障治療点眼薬など)
・加齢による涙の分泌量減少

涙液の蒸発

 快適な職場環境をつくったり、電車などでは過剰なまでの冷暖房が行われることがあります。

 冷暖房では必然的に空気の流れができるために、そのような環境内で長時間すごすとどうしても涙の蒸発量が増え目が乾燥してしまいます。

・オフィスや自宅でのエアコン
・電車内の過剰な空調
・飛行機内の空調
・ギョロ目の人、眼が大きい人(これは治せませんが)

加齢や病気の影響

 加齢や病気などで涙液の分泌量や質が低下することが知られています。また、レーシックなどの屈折矯正手術などでもそのようなことが起こります。

・シェーグレン症候群
・スチーブンス・ジョンソン症候群
・加齢
・屈折矯正手術
・アレルギー性結膜炎
・花粉症
・紫外線


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診断はどうやりますか?
〔ドライアイの診断〕

 ドライアイの検査や診断では「問診」「視力検査」および「涙液量検査」の手順で行います。

 涙液量検査はドライアイの検査で重要な検査で、いくつかの検査方法がありますが、最もよく使用されるのは「シルマー検査」という方法です。

ドライアイの検査・診断
問診

 問診では、どのような状況下でドライアイの症状がでるか、どの程度の状況かなどの病状・病歴を訊かれます。

・目の疲れ・異物感・違和感などの有無
・典型的なドライアイ症状の出現状況
・家庭や職場環境
・目以外の症状(口腔乾燥の有無)
・目以外の疾患(自己免疫疾患、糖尿病、高血圧などの有無)

視力検査

 通常の視力検査と同時に、角膜や結膜に傷がないか、その他の目の疾患がないか調べます。

涙の量の検査

 涙の量を調べる検査には、いくつかありますが、最もよく使われるのはシルマー検査です。

涙の量の検査方法
〔シルマー検査〕

 リトマス試験紙のような検査専用の試験紙を下まぶたのふちに挿入して5分間待ち、涙で試験紙が濡れた長さで涙の量を測ります。

 ドライアイの人では、試験紙の濡れる長さが短くなります。

〔BUT検査〕

 目を開いてから目の表面の涙のまくが破壊されるまでの時間を測る方法です。

〔顕微鏡検査〕

 フルオレセイン(黄緑色の試薬)を点眼すると、角膜の障害された部分が染色されるので、その状態により障害の程度を判断します。



 近年、ドライアイの自動診断装置(TSAS)というものが実用化されています。

 従来より存在した、角膜の形状を測定する装置を改良して、角膜上に広がる涙の層が薄く拡散する状態を測定します。

 これを解析して10秒ほどの迅速さでドライアイの診断をします。

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治療はどうやりますか?
〔ドライアイの治療方針〕

 ドライアイ治療の基本は点眼薬です。

 涙は、涙腺から分泌され、目の表面を覆った後に、涙点から鼻に抜けて行きます。

 このため、涙腺に栓(涙腺プラグ)をして、涙ができるだけ目の中に留まるようにする方法もあります。

〔ドライアイの点眼薬での治療〕

 点眼薬がドライアイ治療の基本です。眼科医からの処方薬だけでなく、市販薬にもドライアイ用のものが多数あり、症状がよほどひどくなければこれで十分に治療可能です。

 市販の目薬も非常に多くの種類がありのですが、中でも人間の涙に近い「人工涙液タイプ」の目薬がお勧めです。

 点眼薬には、防腐剤などの添加物が入っているものもあります。ドライアイの人は、涙の量が不足するために防腐剤などをうまく洗い流せず目の表面に残って傷をつける副作用があるので、防腐剤の入っていない目薬を選ばなくてはなりません。

 目薬の中で、角結膜上皮障害治療剤と呼ばれるヒアルロン酸を主成分とするものがあります。人工涙液の目薬は、基本的に水分補給をするだけですが、ヒアルロン酸系の目薬には粘性があり、涙や目薬の成分を目の尿面にしばらく留めてくれます。この作用により、目薬の薬効成分とあいまって目の表面の傷も修復されます。

 目薬には、その成分や形状などの特徴もありますので、自分の症状に合うものを選定するとよいです。ここに、これらを要約しておきます。

1

・人の涙に近い人工涙液タイプの目薬がお勧め。

2

・防腐剤などの添加物入り目薬はドライアイには向かない。

3

・ヒアルロン酸を主成分とする目薬は特にお勧め。

4

・コンタクトレンズには、コンタクト用目薬がある。

5

・容器入りよりも1回使いきりの目薬の方が清潔でよい。


〔ドライアイ用メガネ〕

 ドライアイ用メガネというのがあり、涙の蒸発量を減らしてくれる効果があります。長時間のパソコン操作などをする人にはお勧めです。

〔涙点プラグの装着〕

 涙はしばらく目の表面に留まり役目を終えると、涙点から鼻に抜け出てゆきます。涙点から鼻に抜ける量を抑えるために涙点に栓をしてしまうのが「涙点プラグ」です。

 シリコン製の小さなプラグを目の端にある涙点に症着して涙の量を調整します。

 涙点プラグの使用を開始すると1週間ほどで目の傷が改善されるなど効果が現れてきます。使用法も簡単で効果もありますが、涙点プラグの脱落などの問題もあります。

〔涙点閉鎖術〕

 涙点を縫い合わせてしまう「涙点閉鎖術」があります。この方法は涙点を閉じてしまい涙の流出を抑え留めるることでドライアイを鎮めます。

〔ドライアイの治療方針〕

ドライアイの予防  ドライアイの治療だけでなく、ドライアイにならないような予防も大切です。人には誰にも仕方なく続けているような悪い習慣などもあります。

 ここでは、日常生活の中で、少しでもドライアイの予防になるような方法を示してみましたので参考になればと思います。

1

・OA機器にフィルター装着

2

・長時間のデスクワークには適度な休憩

3

・加湿器で十分な湿度を

4

・目に濡れタオル

5

・ときどき遠方を眺める

6

・意識的に瞬きをくりかえす。

7

・エアコンの直接風を避ける。

8

・タバコの煙を避ける。

9

・リラックスする。

10

・適度にヒアルロン酸配合の目薬をさす。



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