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〔アレルギー反応〕 |
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ひとくちにアレルギーといっても、アレルギー反応は一様ではありません。 |
アレルギー反応を起こす物質は、〔I型〕~〔III型〕では体内に産生される「抗体」であり、〔IV型〕では感作されたT細胞である「感作T細胞」が原因となります。 このサイトの「アレルギーと免疫」の項でご説明しているように、外部からの異物に対応して、免疫システムは「抗体」をつくりますが、この抗体は「免疫グロブリン(ImmunoGlobulin)」と呼ばれる蛋白質の一種で、通常「Ig」と書かれます。 |
抗体(免疫グロブリン)には、次のような5種類があります。
・〔IgG〕
「感作T細胞」とは、一度侵入してきたアレルゲンにより活性化されたT細胞のことで、これらの抗体の種類と感作T細胞の関与の仕方によりアレルギーのタイプが定まり、それによるアレルギー症状の出現の仕方が変わります。 |
「I型アレルギー」を発症する原因となる抗体は、「IgE抗体」であり、I型アレルギーは「IgE抗体依存的アレルギー」です。 |
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ハウスダストや花粉などのアレルゲン(抗原)が侵入すると、その抗原に対応した免疫グロブリン「抗原特異的IgE抗体」が産生されます。このIgE抗体は、組織の肥満細胞(マスト細胞)や白血球の一種である好塩基球の表面にある受容体と結合します。この「IgE抗体」は、本来は十二指腸虫などを撃退するための役目をもつ抗体ですが、現在では生体に好ましくない作用をもたらします。 肥満細胞や好塩基球細胞に結合したIgE抗体に、再び同じアレルゲン(抗原)が結合すると、抗原抗体反応が起こり、肥満細胞などから大量のヒスタミンやロイコトリエン、ソロトニンなどの化学伝達物質(ケミカルメディエーター)が放出されます。(I型アレルギーのメカニズムの詳細は「アレルギーと免疫の関係」で詳説しています。) これらの化学伝達物質が、血管の拡張や血管透過性亢進、平滑筋(自分の意思ではコントロールできない不随意筋)の収縮などを起こす結果、浮腫、掻痒などのアレルギー症状が現れます。 血管が拡張すると、血流量が増加して皮膚が赤くなります。血管透過性とは血管内の成分が血管の外に透過して出てくるため、浮腫(むくみ)が起こります。平滑筋が収縮すると、喘息発作などを招き易くなります。 これらの反応は、アレルゲン(抗原)が体内に侵入すると10~30分程度の短時間で生じるため、「即時型過敏症」とか「即時型アレルギー」と呼ばれます。このアレルギーは、抗原と接触すると即時的に症状が現れますが、多くの場合1時間ほどで鎮静します。 I型アレルギーを引き起こすアレルゲン(抗原)物質は、小麦、そば、卵、乳、落花生の5品目です。アレルゲンの詳細については、「アレルゲンの種類」を参照してください。 |
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典型的なI型アレルギー疾患には、日常的に耳にする主なアレルギー疾患である次のような病気が含まれて居ます。
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「II型アレルギー」を発症する原因となる抗体は、「IgG抗体」と「IgM抗体」であり、II型アレルギーは「IgG・IgM抗体依存的アレルギー」です。また、補体の関与があります。 補体とは、免疫反応を媒介する血中タンパク質で、侵入物に対して産生される抗体が、侵入物に結合(感作)すると、活性化されて侵入物を破壊する役割をします。 |
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II型アレルギーは、「細胞毒性型アレルギー」とか「細胞融解型アレルギー」とも呼ばれています。 体内に侵入してきたアレルゲン(抗原)が、赤血球や白血球、血小板などの血液細胞の細胞膜の表面にくっついてしまいます。すると、この「抗原のくっついた細胞膜」に対して、免疫グロブリン「IgG抗体」や「IgM抗体」が産生されます。 IgG抗体やIgM抗体が、抗原にくっつかれてしまった細胞に結合し、感作状態となります。すると、感作状態にされた細胞を抗原とみなして、抗原抗体反応が起こることになります。結局、自分自身の細胞や組織を抗原(外敵)とみなしてしまうことで、細胞膜や組織が破壊され、いろいろな障害や炎症が現れます。 II型アレルギーは、「細胞毒性型アレルギー」または「細胞融解型アレルギー」といわれ、補体により抗原がくっついた標的細胞を溶解させたり、融解されたりして破壊されてしまうアレルギーです。 |
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典型的なII型アレルギー疾患には、日常的にはあまり耳にしないけれど、数多くの重大なアレルギー疾患があります。
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「III型アレルギー」を発症する原因となる抗体は、「II型アレルギー反応」と同様に「IgG抗体」と「IgM抗体」であり、III型アレルギーは「IgG・IgM抗体依存的アレルギー」です。また、補体の関与があります。 補体とは、免疫反応を媒介する血中タンパク質で、侵入物に対して産生される抗体が、侵入物に結合(感作)すると、活性化されて侵入物を破壊する役割をします。好中球細胞も重要な役割をしています。 |
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アレルゲン(抗原)が侵入すると、「IgG抗体」や「IgM抗体」が産生されますが、これらの抗体が身体内で可溶性抗原、補体と結合して、免疫複合体と呼ばれる大きな塊を作ります。 免疫複合体の量が少ないうちは、マクロファージ(大食細胞)が食べてしまうので何事も起こりません。しかし、免疫複合体の量が多くなると、補体系を活性化し、腎臓や肺の血管などに沈着して炎症や組織破壊・障害などを引き起こします。これがIII型アレルギー症状です。 活性化された補体は、細胞膜を破壊するだけでなく、肥満細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質を放出させ血管透過性を高めてしまいます。血漿成分の浸出、白血球の浸潤、血液凝固系の活性化により繊維素が析出し、免疫複合体の沈着した組織に炎症や障害が起こります。 このタイプのアレルギーは、抗原の侵入後2~8時間で発赤や浮腫となって現れます。 |
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典型的なIII型アレルギー疾患には、日常的にはあまり耳にしないけれど、数多くの重大なアレルギー疾患があります。
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「IV型アレルギー」は抗原と感作T細胞と呼ばれるリンパ球が反応して起こるアレルギーです。単球という白血球の一種や大食細胞(マクロファージ)が反応に関わります。 |
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IV型アレルギーは、抗原と特異的に反応する感作T細胞(リンパ球)によっておこります。抗原と反応した感作T細胞からマクロファージを活性化するリンフォカインと総称される物質が産生されます。 これにより活性化されたマクロファージから、いろいろな酵素やモノカインと呼ばれる物質が遊離し、周囲の細胞に炎症や組織障害を起こします。 IV型アレルギーには、ツベルクリン反応や接触性皮膚炎、薬物アレルギー、金属アレルギーなどがあります。IV型アレルギーは、リンパ球の増殖や活性化などに時間がかかるので、「遅延型過敏症」と呼ばれたりします。アレルギーの皮内反応は、24~48時間後に発赤、高結となって現れます。 |
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典型的なIV型アレルギー疾患には、かぶれ・ツベルクリン反応・金属アレルギーなどがあります。また、臓器移植のときに起こる拒絶反応の大部分もIV型アレルギーです。
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V型アレルギーには、抗レセプターが関わります。 |
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自己の細胞に対する抗体が産生され、細胞や組織の機能が異常亢進したり、異常低下するタイプのアレルギーです。 異常亢進するものには「バセドウ病」があります。これは甲状腺の機能が亢進しすぎるために発症する病気です。逆に異常低下するものに「重症筋無力症」があります。 |
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典型的なV型アレルギー疾患には、橋本病とバセドウ病があります。
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