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〔アレルギーマーチ〕


概要アレルギーマーチ情報書籍
 

アレルギーマーチの概要

 生まれながらにしてアトピー性素因を有している人では、乳児期に牛乳や卵などにアレルギー反応が現れ、乳児期、幼児期、学童期、思春期、成人期と成長するにつれて、次々といろいろなアレルギー症状が現れてくることがあります。

 このように、成長に伴ってアレルギーの中心症状が次々と別のアレルギー症状に変化する様子を「アレルギーマーチ(アレルギーの行進)」と呼んでいます。



 これは、同愛記念病院の馬場医師が最初に提唱した言葉です。

 実は、アレルギーマーチは誕生後に始まるのではなく、お母さんのお腹の中にいる胎児期に既にその素因が始まります。

 誕生後は、乳児期、幼児期、学童期、思春期、成人期という風に中心症状が変化しながら現れてくるのです。

アレルギーマーチの様子を示す説明図


 アレルギーマーチを経験することになる人は、基本的に遺伝的にアトピー素因を有している人で、アレルギーを引き起こす抗原物質が、お母さんの胎盤を通して胎児の身体に移行し、妊娠中に感作が成立するのです。

 そして、出生後に、それらの抗原物質を摂取したり、接触すると、いろいろなアレルギー症状が現れてきます。

 乳幼児期に多少のアレルギー症状がある人でも、成人するにつれて自然治癒して、アレルギーが現れなくなるのが普通ですが、最終的に成人しても気管支喘息などが続く人もあります。

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アレルギーマーチ
〔アレルギーマーチとは?〕

 アレルギー素因を有する人の身体に、アレルギーを引き起こす特定の物質が、一回目に侵入すると、その物質を攻撃し排除するための特異的「IgE抗体」が産生されるようになります。

 この抗体は、肥満細胞と結合し、外部からのアレルギー物質が再度侵入してくるのを待ち構える状態となります。これを「感作状態」と呼びます。

 感作状態では、まだ何事も起こりません。しかし、同じ抗原(アレルギー物質)が、二度目に侵入し、肥満細胞上の「IgE抗体」と侵入抗原とが結合すると、肥満細胞からヒスタミンなどの物質が大量に放出されます。

 これらの物質が気管支や皮膚などに作用するとアレルギー症状を引き起こします。これがアレルギー発症の簡単なメカニズムです。

〔アレルギーマーチの現れ方〕

 アレルギーマーチは、ある意味で先天的にそのような遺伝素因を有する人に発症するのですが、症状の現れ方は、誕生から成人になるまでの時期によって異なります。

 赤ちゃんのときに離乳食などでの腹痛や下痢、便秘などの消化器症状や乳児湿疹などから始まり、年齢が大きくなるに従って、いろいろなアレルギー症状が現れてきます。

 通常は、一つの症状がどんどん重度になっていくのではなく、ひとつのアレルギー症状が良くなったら、次のアレルギー症状が現れてくるという風に変化していきます。

 アレルギーマーチの現れ方は人により異なり、いろいろな症状がいろいろな順番で現れます。一例として、各年齢期ごとの典型的な症状パターンを示すと次のようになります。

アレルギーマーチの症状の現れ方
胎児期

 遺伝的にアレルギー素因を有している女性が妊娠すると、胎盤を通して、将来アレルギーを引き起こすことになる抗原物質が、お腹にいる胎児に移行します。

 この状態ではまだ胎児にアレルギー症状は起こりませんが、退治はその抗原物質に対して「感作状態」となり、誕生後、再度その物質が体内に侵入してくれば、アレルギー症状が起こることになるのです。

乳児期

 胎児期に感作状態となった乳児が、離乳食などでアレルギー抗原物質を飲食すると、消化不良からの下痢や腹痛、便秘、乳児湿疹などのアレルギー症状が発症します。

 また、アトピー性皮膚炎などが現れることもあります。

 生後半年ほどして、軽い気管支喘息の前駆症状として、ハウスダストなどの吸入などの影響で、呼吸が苦しくなり喘鳴が現れ、1~2歳ころに気管支喘息を起こすこともあります。

 このような症状は、体力がつくとともに自然に治癒してアレルギーから脱する乳児もいますが、そのまま症状が続く乳児もいます。

幼児期

 幼児期になり、いろいろな食品を摂取するようになると、たとえば卵白や牛乳などが食物などが食餌性抗原となって、幼児湿疹やアトピー性皮膚炎を起こします。

 更に、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などの症状が出現することもあります。

 幼児期のアレルギーも、そのまま継続する幼児もいれば、自然治癒してその後はアレルギーにならない幼児もいます。

学童期

 学童期になると、活動範囲が広がり、活動も活発になることで、家庭内のチリダニや花粉などの吸入性抗原などが原因となって、特異的IgE抗体ができ乳幼児期とは異なるアレルギーを起こすようになります。

 アトピー性皮膚炎なども継続することがありますが、風邪や喘息のような症状を反復的に繰り返し、次第にひどい気管支喘息に移行していくことがあります。

 気管支喘息は7~8歳頃までに治癒することもありますが、大多数は思春期まで持ち越します。

 学童期の半ばから思春期になる頃には、このような症状が自然治癒してその後はアレルギーを示さなくなる子供も多くなりますが、継続的にアレルギーを持ち越す子供もいます。

思春期

 この時期になると、活動範囲が更に広がり、自然界のさまざまな影響を受けるようになるため、スギ花粉などによる花粉症をはじめ、次のような多様なアレルギー症状が起こります。

 ・花粉症
 ・重度のアレルギー性鼻炎
 ・アレルギー性結膜炎
 ・蕁麻疹

 重度の気管支喘息が続く人も多くなります。

 多くの人は、アレルギーは自然治癒しますが、そのまま、成人期に突入する人も少なくありません。

成人期

 最後までアレルギーが自然治癒しない人たちは、花粉症やアレルギー性鼻炎、更に成人型の気管支喘息などの症状を起こすようになります。

 この時期までアレルギーが継続する場合は、かなりの重症となります。



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