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〔アレルギー性鼻炎〕


概要病気症状原因診断
治療予後合併症情報書籍
 

この疾患の概要です

 〔アレルギー性鼻炎〕は、発作的反復的に連発する、「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」を三大主症状とする鼻粘膜のI型のアレルギーです。

 更に、目や喉の痒みや頭重感、イライラ感などの症状も伴います。



 必ずしも同義語ではないものの、この病気は〔鼻アレルギー〕とか〔鼻過敏症〕などと呼ばれることもあります。

 〔アレルギー性鼻炎〕には〔通年性アレルギー鼻炎〕と〔季節性アレルギー鼻炎〕とがあります。


 季節性の典型的なものは〔花粉症〕と認識されることが多いため、単に〔アレルギー性鼻炎〕と呼ぶときは、通年性のものを指すことが多いです。

 〔通年性アレルギー性鼻炎〕の原因は、ハウスダストやカビなどによるものが少なくありません。

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どんな病気ですか?
〔アレルギー性鼻炎はどんな病気ですか?〕

 一般に「くしゃみ」や「鼻水」「鼻づまり」の三大症状を発作的に繰り返す病気は、アレルギー性の病気と考えられますが、これらの症状を示す病気の中で、アレルギー反応を誘引する原因物質である「アレルゲン(抗原)」がはっきりとしているものは、〔アレルギー性鼻炎〕と呼ばれます。

 〔アレルギー性鼻炎〕の典型的なものは〔花粉症〕ですが、この場合は、花粉がアレルゲンとして作用します。

 花粉症については「花粉症」のページで詳細に説明していますので、そちらを参考にしてください。

 このページでは、アレルギー性鼻炎の中で主に花粉症以外の通年性のアレルギー性鼻炎についてご説明しています。

 尚、花粉症やその他の通年性のアレルギー性鼻炎とは異なり、アレルゲンがはっきりしないものは〔血管運動神経性鼻炎〕とか〔血管神経性鼻炎〕などと呼ばれていますが、これについては、「血管運動神経性鼻炎」を参照して下さい。

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どんな症状ですか?
〔アレルギー性鼻炎の症状〕

 先に述べたとおり、〔アレルギー性鼻炎〕の三大症状は、「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」で、特に朝夕に発作的に起こる特徴があります。

 しかも、これら発作は、特に風邪をひいてもいないのに起こります。また、一般にこの病気は通年性で、症状は一年を通して現れます。

 アレルギー性鼻炎では、特徴的な三大症状が現れますが、熱や咳などの症状は現れません。

 また、鼻水はいわゆる「水鼻」と呼ばれる水っぽい鼻水が出ます。朝夕の温度差が激しい時期やストレスの多い時期に発作症状がでやすい傾向があります。

 アレルギー性鼻炎は、鼻粘膜内の血管に直接的に作用するため、血管を拡張させ循環障害を誘起するので、鼻の粘膜が腫れてむくみや鼻づまりが起こります。

 通常は、三大症状が主体ですが、鼻づまりのために口呼吸になり睡眠を妨げるために不眠症になりがちで、人によっては不機嫌になることもあります。

〔発作が朝夕に起こるわけ〕

 アレルギー性鼻炎の発作は主に朝夕に起こるのですが、どうしてなのか不思議かも知れません。

 この理由は、アレルギー性鼻炎の症状が、二つの自律神経「交感神経」と「副交感神経」の微妙なバランスの上で起こるからと考えられています。

 二つの自律神経は、自動車でいえば「アクセル」と「ブレーキ」のような関係にあり、相互に加速・抑制し合って、身体のバランスを保っています。

 昼間は交感神経が活発となり身体は活動的に機能し、朝夕には副交感神経が優位に作用するために、身体を休めようとします。

 副交感神経は、人間が休養したり眠ったり、精神的に安らぐときに優位になる自律神経で、鼻の入り口から5~6cmほど奥に走っています。

 主に、朝夕などで副交感神経が優位な状態下で、鼻の粘膜に何らかのアレルゲン(抗原)物質の刺激が加わると、アレルギー反応が活発となり「副交感神経反射」として、アレルギー性鼻炎の発作が起こります。

 副交感神経反射というのは、アレルゲンとなる異物を希釈し、体外に排出してしまおうとする治療的反射作用です。

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原因は何ですか?
〔アレルギー性鼻炎の原因〕

 アレルギー性鼻炎がアレルギー反応により発症する以上、アレルゲンとなる物質が存在します。

 アレルギーを誘起するのは、アレルゲンの侵入により、直接的に発作をまねく「特異的直接要因」ですが、その他に、アレルギー反応を促進したり、症状を悪化させるような「非特異的間接要因」も存在します。

〔特異的直接要因〕

 特異的直接要因とは、アレルギー性鼻炎を起こす直接的な原因のことで、鼻粘膜で起こるアレルギー反応です。特異的直接要因  アレルギーを誘起する原因となるアレルゲン(抗原)は、多くの場合、呼吸により体内に侵入してきますが、食物や医薬などの摂取によって血液中に侵入する血行性のものもあります。

 アレルギー性鼻炎のアレルゲン(抗原)となるものは、主にダニやハウスダストなどです。

 花粉も最も重要なアレルゲンですが、花粉によるアレルギー性鼻炎は〔花粉症〕であり、別のページが設定されているので、ここではとりあげません。

 当然なことながら、多くの人ではこれらの物質に対して既に接触した経験があり、免疫機能による「感作状態」が成立しています。

 即ち、もしも、再度これらの物質に接触すれば抗原抗体反応が起こり、アレルギーが起こる準備ができているということになります。

主なアレルゲン(抗原)
ハウスダスト

 家庭内には、30種類以上のダニが生息しているといわれます。

 アレルギーを起こすの主犯は、「チリダニ」と呼ばれるダニで、高温多湿を好み、冬期には多少減少しますが、夏季に最も多く繁殖し、一家屋内には数百億匹は生息していると推測されています。

 ハウスダストの主体であるチリダニは、生きていても、殺虫剤などで死滅しても、あるいはその糞でも、アレルゲンとして作用します。

 死滅させるだけでは、アレルギー性鼻炎は防止できず、完璧に清掃しなくてはなりません。

カビ

 カビもまた、アレルギー性鼻炎のアレルゲンと成る物質です。カビは高温多湿を好み、特に梅雨明けの乾燥期に大繁殖します。 胞子が空中に浮遊し、呼吸によって体内に侵入します。

 主なカビ類には「カンジダ」「アスペルギルス」「ペニシリウム」「アルテルナリア」「クラドスポリウム」などの種類があります。

ペットの毛

 犬や猫、ハムスター、モルモット、兎、小鳥などのペットを室内で飼う場合や、犬や猫が屋外と室内を出入りするような場合、ペット自身がアレルゲン物質を撒き散らしたり、外からのアレルゲン物質を持ち込んだりします。

 ペットの唾液や垢、糞、オシッコなどはダニの餌ともなり、これらとペットの毛や小鳥の羽毛などもアレルゲンとなり、アレルギー性鼻炎の原因となります。


 アレルゲンであるダニなどのハウスダストが二度目以降に侵入してくると、既に感作状態にある肥満細胞が活性化され、抗原と反応する「抗原抗体反応」が起こります。

 その結果、肥満細胞から、大量のヒスタミンやセロトニン、ブラジキニン、ロイトコリエンなどの化学伝達物質を放出するようになります。

 これらの化学伝達物質には強い活性があり、鼻の粘膜の血管を拡張してむくみや鼻汁の分泌が促進され、鼻水や鼻づまりの原因となります。

 また、化学伝達物質の刺激による呼吸反射作用で、くしゃみがでます。

〔非特異的間接要因〕

 非特異的間接要因は、鼻粘膜などに機械的刺激を与える物質や、気象的因子、身体的因子、およびその他の因子であり、間接的ながらアレルギー性鼻炎の発作に影響を与えます。

非特異的間接要因
機械的刺激

 鼻粘膜などに機械的刺激を与えるのは、空気中のチリやほこり、化学物質やその蒸気などです。

気象的因子

 天候や気温、湿度などもアレルギー鼻炎の症状に微妙な影響を与えることがあります。

身体的因子

 身体的要因として、風邪などの感染や、栄養障害、内分泌異常、疲労などもアレルギー性鼻炎の症状を悪化させることがあります。

その他の因子

 その他、喫煙習慣や飲酒癖、職業、精神的なストレスなどの因子も、影響することがあります。


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診断はどうやりますか?
〔アレルギー性鼻炎の診断〕

 アレルギー性鼻炎の検査や診断では、現在の症状が本当にアレルギー性の抗原抗体反応で起こっているのかどうかを調べる検査「アレルギー反応であることの証明」と、アレルギー性反応だとした場合、その原因となっているアレルゲン(抗原)は何かを調べる検査「アレルゲンの特定」とがあります。

 これらの検査の結果と「症状の重症度」に応じて治療が開始されます。

 これらの検査は、花粉症の場合の検査と概ね同様に行われます。

〔アレルギー反応の証明〕

 アレルギー性鼻炎になると、「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」などの特有な症状が現れます。

 しかし、このような症状が出るのは、アレルギー性鼻炎に限らず、風邪や他のアレルギーなど別の病気によることもあるので、これらとの鑑別が必要です。

 アレルギー反応の証明のための検査は、次のものなどがあります。

 ・問診
 ・鼻鏡検査
 ・鼻汁中好酸球検査
 ・血清IgE抗体量測定

アレルギー反応の証明検査
問診

 問診では、似た症状を示す風邪などの病気もあるため、症状を詳しく聴取します。また、患者にアレルギーの既往症があるか、家族にアレルギーの人がいるかなど患者に「アレルギー素因」があるかなども調べます。

鼻鏡検査

 鼻鏡によって鼻内部の粘膜の様子を観察し、アレルギー性鼻炎に典型的な炎症症状があるか確認します。アレルギー性鼻炎に特有な症状があり、しかも年間の季節などにあまり関係なく発症しているなら、アレルギー性鼻炎である可能性が非常に高くなります。

鼻汁中好酸球検査

 アレルギー症状が起こると、白血球の一種である「好酸球」が増加します。そこで、鼻汁を採取し、顕微鏡でこの「好酸球」の数を調べます。好酸球の増加が確認されれば、アレルギー症状が陽性であることが、ほぼ証明されます。

血清IgE抗体量測定

 血液を採取し、「血清抗体検査RAST法」による検査を行います。これにより血液中の「IgE抗体量」を測定します。血液中に「IgE抗体」が存在しているなら、アレルギー反応は陽性となり、アレルギー性鼻炎と診断されます。


〔アレルゲンの特定〕

 アレルギー性鼻炎と診断されると、治療のためには原因となっているアレルゲン(抗原)を知る必要があります。

 この検査には次のものがあります。

 ・皮膚反応テスト
 ・鼻誘発テスト
 ・抗体検査RAST法

 アレルギーの原因となるアレルゲンが特定されても、アレルギー性鼻炎の治療法が特別変わることはないものの、どんな物体が原因かを知っていれば、日常生活上の対策ができるようになります。

 尚、アレルゲンの特定などの詳細については「アレルギーの検査」のページで説明していますので、必要に応じてそちらも参照してください。

アレルゲンの特定検査
皮膚反応テスト

 皮膚反応テストには、原因と考えられる「抗原エキス」を皮膚に注射する「皮内テスト」と、腕の皮膚に針で小さな傷をつけて、そこに「抗原エキス」を垂らして反応を見る「スクラッチテスト」とがあります。

 いろいろな種類の抗原エキスを試して、特に反応の強いものがあれば、その抗原がアレルゲンと確定されます。

 具体的には、テスト後15~20分して、20mm以上の赤い腫れが生じるなら、その抗原がアレルゲンと確定されます。

 この試験法は簡便ですが、テストを行う前の1週間くらいは薬の服用を中止しなくてはならないことや、テスト後の皮膚に痒みや腫れが残ることがあります。

鼻誘発テスト

 特定の抗原エキスを浸み込ませたディスクを鼻の粘膜に接触して置き、アレルギー反応が発症するかを調べます。

 「くしゃみや鼻のかゆみ」「鼻水分泌」「鼻粘膜の蒼白浮腫」の3つの症状のうち2つ以上の症状がでれば、その抗原がアレルゲンと確定します。

 現在、市販されている「テスト用のディスク」には、「ハウスダスト」と「ブタクサ」とがあります。

血液検査

 血液を採取し、「血清抗体検査RAST法」による検査を行います。

 これにより血液中の「IgE抗体」の存在調べます。血液中に「IgE抗体」が存在しているなら、アレルギー反応は陽性となります。

 それぞれの予想される抗原に対する「特異IgE抗体」を測定することで、どのアレルゲンが原因となっているか診断できます。

 この検査は、専門の検査機関で行うため、結果がでるまでに若干の日数と費用がかかります。


〔アレルギー性鼻炎の重症度〕

 鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会による「鼻アレルギー診療ガイドライン」によると、アレルギー性鼻炎症状の重症度は、「くしゃみ、または鼻漏」と「鼻閉」の両者で設定されています。

 (通常「鼻漏」や「鼻閉」とは言わないので、以下の表では「鼻水」や「鼻づまり」と表示します。)

アレルギー性鼻炎の重症度
程度 くしゃみ発作
(回/日)
鼻水
(回/日)
鼻づまり 日常生活支障度

++++ 21回以上 21回以上 1日中完全につまっている まったくできない

+++ 20~11回 20~11回 鼻づまりが非常に強く、口呼吸が1日のうちかなりの時間あり 手につかないほど苦しい

++ 10~6回 10~6回 鼻づまりが強く、口呼吸が1日のうちときどきあり +++と+の中間

+ 5~1回 5~1回 口呼吸は全くないが鼻づまりあり あまり差し支えない

+未満 +未満 +未満 +未満

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治療はどうやりますか?
〔アレルギー性鼻炎の治療〕

 アレルギー性鼻炎の治療は、一般のアレルギー病に対する治療法が適用されます。

 アレルギー性鼻炎に特有な「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」などの症状を抑える目的の治療は「対症療法」であり、アレルギー性鼻炎自体の治癒を目指すものを「根治療法」と呼んでいます。

 現時点では症状を抑制する対症療法が主体であり、完全な根治療法と呼べるものは存在していません。

〔対症療法〕

 アレルギー性鼻炎の症状を抑制する基本的な療法は、「点鼻薬」の他、「抗アレルギー薬」「抗ヒスタミン薬」「副腎皮質ステロイド薬」などによる「医薬療法」となります。

 これらの方法は、あくまでも「くしゃみ」や「鼻水」「鼻づまり」などの症状を抑制する対症療法となります。

 アレルギー性鼻炎や花粉症を含むアレルギー病の治療方法については、「アレルギーの治療」のページで説明していますので、必要に応じてそちらも参照してください。  ここでは、薬品療法に使用される医薬についての説明です。(花粉症治療薬と同一内容です。)

薬物療法に使用される医薬
化学伝達物質遊離抑制薬

 化学伝達物質遊離抑制薬とは、化学伝達物質(ケミカルメディエーター)の遊離を抑える薬です。

 アレルギー反応による粘膜型肥満細胞からの化学伝達物質の遊離を抑制する作用も、炎症を抑制する作用も弱い医薬ですが、継続することで効果がでてきます。

 この医薬は、効果が現れるまでに1~2週間の服用が必要なので、他の薬でとりあえず急性発作を鎮めた後、その状態を維持するために用いられることが多くなっています。

受容体拮抗薬

 受容体拮抗薬とは、遊離された化学伝達物質(ケミカルメディエーター)が作用しにくくする医薬で、いくつかの種類があります。

受容体拮抗薬の種類
〔ヒスタミン拮抗薬(抗ヒスタミン薬:第1世代・第2世代)〕

・抗ヒスタミン薬には「第1世代」と「第2世代」とがあります。

・第1世代はくしゃみと鼻水に効果がありますが、鼻づまりへの効果は弱いために、主に軽症~中等症の花粉症の治療に用いられます。

 また、眠気、胃腸障害、口渇き、めまい、頭痛などの副作用があり、車の運転などには適しません。

・第2世代は、効き方が穏やかで、花粉症全般症状や鼻づまりに効果がありますが、効果を発揮するまでに2週間くらいかかります。継続すると症状の改善率が向上します。

〔トロンボキサンA2拮抗薬(抗トロンボキサンA2薬)〕

 トロンボキサンA2の作用を抑制する医薬で、鼻づまりに対する効果は第1・第2ヒスタミン拮抗薬よりも大きく、くしゃみにも効果があります。

 しかし、効き目が現れるのは緩やかで、4~8週間くらいかかります。

〔ロイコトリエン拮抗薬(抗ロイコトリエン薬)〕

 ロイコトリエンは鼻粘膜のむくみを促進する化学伝達物質ですが、抗ロイコトリエン薬は、そのその働きを抑制する薬で、鼻づまりを改善する効果の他、くしゃみや鼻水にも効果があります。

 服用を始めると1週間くらいで効果が現れます。


II型ヘルパーT細胞サイトカイン阻害薬

 II型ヘルパーT細胞からサイトカインが放出されるのを阻害する医薬で、各種サイトカインの放出を抑制する効果が期待されていますが、その効果があるかどうか明確ではありません。

ステロイド薬

 〔花粉症〕の治療に用いられるステロイド薬は、局所用の「鼻スプレー」と「内服用」とに分類されます。

 鼻スプレー用のステロイド薬は、微量でも局所的効果が強く、ほとんど吸収もされないので、1年間程度の長期間使用しても全身的な副作用は出にくいです。効果は1日程度で現れます。

 内服用のステロイド薬は、花粉症の症状が重症・最重症・難治症などの特別な場合に限ってのみ使用されることがあります。しかし、副作用が非常に強いために、この治療法は好ましいものではありません。

自律神経作用薬

 自律神経作用薬の中で「α交感神経刺激薬」は、うっ血に有効であり、鼻粘膜腫脹が強く鼻づまりがある場合に短期間使用されることがあります。

抗コリン薬

 抗コリン薬は、即効性で鼻水に効果がありますが、くしゃみや鼻づまりには効果はありません。抗コリン薬には全身的な副作用があるので、使用する場合は「点鼻薬」として使われます。


〔症状に応じた医薬の選定〕

 対症療法として用いる医薬の中で、「軽症」「中等症」および「重症」の各症状程度に応じた医薬選定の一例を示します。

 各医薬は同時に二つ以上用いず、表の中の「〇番号」のどれか一つを用いますが、症状によりステロイド薬などを併用します。

症状に応じた医薬選定
軽症

 症状が軽い場合には、どちらか一方を選定します。

①化学伝達物質遊離抑制薬
②第2世代ヒスタミン拮抗薬

中等症

 くしゃみ・鼻水が中心の症状のとき

①化学伝達物質遊離抑制薬(必要に応じ局所ステロイド薬を併用)
②第2世代ヒスタミン拮抗薬(必要に応じ局所ステロイド薬を併用)
③局所ステロイド薬


 鼻づまりが中心の症状のとき

①トロンボキサンA2拮抗薬(必要に応じ局所ステロイド薬を併用)
②ロイコトリエン拮抗薬(必要に応じ局所ステロイド薬を併用)
③局所ステロイド薬

重症

 くしゃみ・鼻水が中心の症状のとき

①第2世代ヒスタミン拮抗薬+局所ステロイド薬併用


 鼻づまりが中心の症状のとき
①トロンボキサンA2拮抗薬+局所ステロイド薬を併用
 更に、必要に応じて治療開始初期5~7日に限り、α交感神経刺激薬を局所に用いる。

②ロイコトリエン拮抗薬+局所ステロイド薬を併用

 更に、必要に応じて治療開始初期5~7日に限り、α交感神経刺激薬を局所に用いる。


〔根治療法〕

 アレルギーは一種の体質に由来する病気なので、体質改善のための治療として、「減感作療法」を行うことがあります。

 この治療法は、ごく微量のアレルゲン物質を注射するなどで体内に入れ、そのアレルゲン物質に身体を慣れさせる(馴染ませる)方法です。

 わざわざアレルギーを起こす物質を体内に導入するわけで、危険な面もありますが、非常に低い濃度のアレルゲンエキスを用いて、長期にわたり治療すれば、効果が期待できます。

 現状、確実な根治療法が存在しない中で、減感作療法が唯一、根治療法に近い治療法といえます。

 減感作療法の詳細については、「アレルギーの治療」のページで説明していますので、必要に応じてそちらも参照してください。

〔日常生活の改善〕

 医療機関でのアレルギー性鼻炎の治療は重要ですが、患者自身の生活改善的な「セルフケア」手法によっても、発症を回避したり、症状を軽く抑えることができます。

 セルフケアによるアレルギー性鼻炎の改善方法は、原因となるダニなどの抗原との接触の回避と、身辺にある抗原の除去ということになります。

 絶対的な決め手となる方法ではありませんが、下記のような点に気を配った生活に心がけましょう。

日常生活の改善
家庭内清掃

 家庭内でのダニの生息環境を最小限にするために、家庭内は綺麗に掃除します。

・家庭内の掃除回数はできるだけ頻度を高める。

・ふとんは定期的に天日乾燥したり、ふとん乾燥機で加熱乾燥してダニを死滅させる。

 ダニは死滅しても、ダニの糞や死骸もアレルゲンとなりアレルギー発症の原因となるので、天日乾燥後の布団類から除去するよう掃除機で丁寧に吸引するなどが必要です。

 (ふとんを叩くと綿の内部にいたダニが出てきて逆効果という説もあるので、掃除機での掃除法が確実です。)

・掃除機は、折角吸引したダニやチリが再飛散して部屋に留まらないように、高性能フィルター(HEPAフィルター)を装着した機種にする。

・できれば、「空気清浄機」を使用し、ダニの繁殖を抑制する。



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