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〔アレルギー性結膜炎〕 |
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白目の表面を覆っている半透明の膜で、眼球の表面を守っているものに、「結膜」というものがあります。 |
〔アレルギー性結膜炎〕になると、初期には目や瞼に痒みがあらわれます。 目をこすったりすると次第に痛みも加わり、ゴロゴロ目になります。 |
そのまま放置すると、結膜の充血や涙目となり、ゼリー状の目やにがでてきたり、瞼が腫れるなどの激しい症状を呈するようになります。 |
眼の結膜というのは、上下の瞼の裏側と白目の表面を覆っている半透明の皮膚に似た膜で、ここには無数の細かい血管が走っています。 また、結膜には、免疫反応と関係の深いリンパ組織も存在していて、外部から異物が侵入したり、付着したりすると炎症反応が起こります。 それにより、眼が充血したり、涙目になったり痒みが生じます。 アレルギーというのは、外部から身体内に侵入してくる異物に対して、過剰な免疫反応が起こることで生ずるのですが、常に空気と接している結膜は、そのような危険に常時さらされているといえます。 アレルギー性結膜炎は、このような眼のアレルギー反応による炎症ですが、それを引き起こすアレルゲン(抗原)には、ダニやカビなどの「ハウスダスト」や、杉などに代表される「花粉類」「動物の毛やフケ」などがあります。 |
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アレルギー性結膜炎には、その発症時期などにより〔季節性アレルギー性結膜炎〕〔通年性アレルギー性結膜炎〕および〔偶然性アレルギー性結膜炎〕などの種類があります。
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アレルギー性結膜炎の症状は、花粉症の症状として一般によく知られています。 結膜炎の典型的な症状は「目の三大症状」と呼ばれ「目の痒み」「目の充血」および「涙がとまらない」などです。 多くの場合、鼻にも同時に、いくつかの典型的な症状「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」などが現れます。
結膜炎の症状は上記のようなものですが、症状の現れ方は、季節性、通年性などによって多少、異なります。
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既に述べたように、〔アレルギー性結膜炎〕には、〔季節性アレルギー性結膜炎〕〔通年性アレルギー性結膜炎〕〔偶然性アレルギー性結膜炎〕がありますが、ここに各結膜炎の原因の概略を示します。
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〔アレルギー性結膜炎〕は、目の充血や痒みの症状、結膜の状態を見れば容易に診断できます。 しかし、アレルギー性結膜炎であることを確実に診断するためには、目やにを採取し、これを顕微鏡で調べて、「好酸球」という細胞が存在するかどうかで行われます。 好酸球が見つかるなら、アレルギー性結膜炎と診断されます。 これを引き起こしている真のアレルゲン物質を特定するためには、通常のアレルギー反応の検査と同様に、血液中に特定のアレルゲンに対する「特異的IgE抗体」が存在するかどうかを調べます。 たとえば、スギ花粉が原因となっているのであれば、スギ花粉に対する「特異的IgE抗体」が検出されます。 ダニが原因なら、ダニに対応する「特異的IgE抗体」が検出されるという具合です。現在、検査できるアレルゲンとしてはスギ花粉やダニなど、200種類以上が知られています。 この他にも、皮膚表面に小さな傷をつけて、そこにアレルゲンのエキスを垂らし、注射したりして、皮膚にアレルギー症状が現れないか調べる「スクラッチテスト」や「皮内テスト」などの検査方法もあります。 アレルギー性結膜炎に固有な試験法としては、希釈したアレルゲンエキスを点眼し、かゆみの出現や涙の分泌などを検査することもあります。 |
アレルギー性結膜炎は、多くの場合花粉症が原因です。花粉症の場合には、あらかじめ発症の時期が予測できるので、「予防治療」で効果があります。 また、発症してしまってからの治療としては、「抗アレルギー薬」の点眼などの「薬物療法」が必要となります。 さらに、アレルギー性結膜炎の「根治療法」として、「減感作療法」が用いられることもあります。 |
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アレルギーが花粉症によるものであれば、あらかじめ発症する季節が予測できるので、痒みなどの自覚症状が出現する前に、自分に合った目薬を点眼し始めるなどで、出現を予防したり、出現時期を遅らせたりできます。 これを「予防治療」といいます。 この目的には「抗アレルギー点眼薬」が使われます。 スギ花粉の飛散量が増大する2週間くらい前から使用するので、治療というより、花粉症が激しくなるのを見越してちょっと前から治療を開始するという意味合いが強いです。 |
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アレルギー性結膜炎の薬物療法に使用される薬物には、一般のアレルギー病の治療薬と同様な医薬が使われます。しかし、症状が目に出ることから、第一選択となるのは「抗アレルギー薬」の点眼薬です。多くの場合、これだけで治癒します。 抗アレルギー点眼薬で効果が不十分な場合には、ステロイド点眼薬を併用することもあります。しかし、ステロイド点眼薬には眼圧上昇などの副作用が出やすいので慎重な使用を要します。
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根治療法は、アレルギー自体を改善する治療法で、「減感作療法」と呼ばれる治療法があります。 この方法は、アレルギーの原因物質となるアレルゲンが分かっている場合に適用できる方法です。 減感作療法では、原因となるアレルゲンのごく薄いエキスを皮内注射し、これを数か月~数年繰り返すのですが、アレルギー症状がでる寸前濃度で徐々に濃度を高めていきます。 その物質に徐々に慣れさせることでアレルギー症状が起こりにくい体質に変えるのです。 |
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アレルゲンが花粉であるなら、一番確実で効果があるのは、花粉に接触しないことです。現実には難しい面はありますが、生活のあり方を改善するとそれなりに効果が期待できます。
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