アレルギー性結膜炎の治療方針
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アレルギー性結膜炎は、多くの場合花粉症が原因です。花粉症の場合には、あらかじめ発症の時期が予測できるので、「予防治療」で効果があります。
また、発症してしまってからの治療としては、「抗アレルギー薬」の点眼などの「薬物療法」が必要となります。
さらに、アレルギー性結膜炎の「根治療法」として、「減感作療法」が用いられることもあり
ます。
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予防治療
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アレルギーが花粉症によるものであれば、あらかじめ発症する季節が予測できるので、痒みなどの自覚症状が出現する前に、自分に合った目薬を点眼し始めるなどで、出現を予防したり、出現時期を遅らせたりできます。これを「予防治療」といいます。
この目的には「抗アレルギー点眼薬」が使われます。スギ花粉の飛散量が増大する2週間くらい前から使用するので、治療というより、花粉症が激しくなるのを見越してちょっと前から治療を開始するという意味合いが強いです。
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対症療法
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アレルギー性結膜炎の薬物療法に使用される薬物には、一般のアレルギー病の治療薬と同様な医薬が使われます。しかし、症状が目に出ることから、第一選択となるのは「抗アレルギー薬」の点眼薬です。多くの場合、これだけで治癒します。
抗アレルギー点眼薬で効果が不十分な場合には、ステロイド点眼薬を併用することもあります。しかし、ステロイド点眼薬には眼圧上昇などの副作用が出やすいので慎重な使用を要します。
抗アレルギー点眼薬 |
アレルギー性結膜炎の対症療法に使用される医薬は、「メディエーター遊離抑制薬」「ヒスタミンH1受容体拮抗薬」および「ステロイド薬」などです。
抗アレルギー点眼薬は、比較的に長期継続使用しても、眼圧上昇や白内障などの副作用が出る可能性が少ない点で優れています。
抗アレルギー点眼薬には、「化学伝達物質遊離抑制剤」である「クロモグリク酸ナトリウム」「アンレキサノクス」「ペミロラストカリウム」および「トラニラスト」があります。また、抗ヒスタミン作用を併せ持つ「ケトチフェン」も使用されます。
なお、点眼薬だけで症状が治まらないときや重症の春季カタルでは、抗アレルギー薬を内服することもあります。
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ステロイド点眼薬薬 |
抗アレルギー点眼薬では効果発現までに長期間必要となる場合などに、短期間で苦痛を緩和する目的、あるいは抗アレルギー点眼薬で不十分なとき、ステロイド点眼薬が用いられます。しかし、ステロイド点眼薬は単独では用いず、抗アレルギー点眼薬と併用します。
ステロイド点眼薬は、効果は大きいものの、眼圧上昇や白内障をきたす副作用があるので慎重に用いなければなりません。
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根治療法
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根治療法は、アレルギー自体を改善する治療法で、「減感作療法」と呼ばれる治療法があります。この方法は、アレルギーの原因物質となるアレルゲンが分かっている場合に適用できる方法です。
減感作療法では、原因となるアレルゲンのごく薄いエキスを皮内注射し、これを数か月~数年繰り返すのですが、アレルギー症状がでる寸前濃度で徐々に濃度を高めていきます。その物質に徐々に慣れさせることでアレルギー症状が起こりにくい体質に変えるのです。
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生活改善
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アレルゲンが花粉であるなら、一番確実で効果があるのは、花粉に接触しないことです。現実には難しい面はありますが、生活のあり方を改善するとそれなりに効果が期待できます。
家庭内 |
家庭内では、花粉などのアレルゲンが入り込まないようにするのが基本です。さらに、よく掃除をすることで、家庭内で発生するダニやカビなどを退治することも大切です。
・掃除は小まめに。高性能フィルターの掃除機使用。
・部屋に空気清浄機を置く。
・エアコンフィルターを小まめに清掃する。
・床にはカーペットは敷かない。フローリングがベスト。
・ぬいぐるみや布製ソファーも避けたい。
・防ダニ寝具がベスト。
・窓を開け通気を図るのがよいが、強風時は開けない。
・花粉飛散シーズンには布団は外に干さない。
・寝具は日光干しがいいが取り込み時はよく払い落とす。
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外出時 |
花粉飛散の激しいときは、外出はできるだけ避けたいものの、どうしても外出するときは、ゴーグル型のメガネ、花粉防止用のマスクを着用します。
・よく晴れた風の強い日の午前中は飛散量が多いので外出を控える。
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帰宅時 |
外出から帰宅後は、花粉などを家庭内に持ち込まないように、衣服や髪などに付着した花粉を払い落とします。家に入ったら、すぐに手洗い、洗顔、うがいをし、できれば洗髪します。
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