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体の病気操作指示膠原病の病気  

〔膠原病の発病〕

この疾患の概要です

 〔膠原病〕は、普通の病気のように細菌感染したとか、毎日の生活習慣が不適切であったとかいう単独あるいは簡単な原因でなるような病気ではありません。

 〔膠原病〕の発症原因は、明快には分からないのが現状です。



 それでも、三つの要因が強く関係していることが分かっています。

 三つの推定要因とは次の三つです。

 ・免疫反応の異常
 ・遺伝や体質
 ・環境因子


 これらの推定要因単独ですぐに膠原病が発現するわけではなく、それら三つの要因が重なったとき発症すると考えられています。

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膠原病発症のしくみ
〔免疫反応の異常〕

 膠原病は医学的な分類上は「自己免疫疾患」と呼ばれる病気に属し、本来なら外敵に対して抵抗する免疫反応が、自分の身体の組織や成分を外敵・異物とみなして攻撃します。

 自分の身体を攻撃するための自己抗体や自己反応性リンパ球がつくられてしまい、それらが作られ続け、体内に存在し続けるのです。

 身体内に異物・外敵が侵入してくると、白血球の中のマクロファージや好中球がこれを発見し、自ら飲み込むと同時に、白血球の中のTリンパ球に対して、この異物を攻撃するための抗体を作るように命令します。

 このTリンパ球は自らは抗体を作る能力はないのですが、抗体を生産できるBリンパ球に対して情報を伝達し、自らはリンパ球の増産を始めます。

 Bリンパ球が抗体を作ると、この抗体が外敵である細菌や異物を撃退するのです。

 異物が消滅すれば、Tリンパ球は、これ以上の抗体は必要ないとして、Bリンパ球に伝え、事態は収まります。

 ところが、膠原病では、免疫システムの最初の段階で、自分自身の組織や成分を外敵とみなしてしまう勘違いをしてしまうのです。

 本来なら、Tリンパ球は自分を攻撃するような抗体の生産を命令しないのですが、膠原病ではここに異常があって、Tリンパ球が自分を攻撃する抗体をつくるような指令を出してしまいます。

 自己抗体は自分の身体を攻撃し、組織に炎症を起こします。

 しかも、この自己抗体は自己抗原(外敵を勘違いした自分の身体の成分)と結合して、免疫複合体に変化し、これが血管や臓器、皮膚などに沈着して、継続的に炎症反応を起こしてしまうことになるのです。

〔遺伝や体質〕

 膠原病は単一の遺伝子の異常で発症する病気ではありません。

 膠原病は通常の遺伝病とはことなり、「病気になる遺伝子」が直接受け継がれるのではなく、「何らかのきっかけがあると膠原病になりやすい遺伝子」が受け継がれると考えられています。

 しかもそのような遺伝子は複数あると想定され、「多因子遺伝」と呼ばれています。

 膠原病を有する親から生まれた子供が、同じ膠原病になる確率は必ずしも高くはないのですが、同一の遺伝子を有する一卵性双生児の片方が膠原病を発病した場合、もう一人が発病する確率は非常に高く、24~69%との報告があります。

 遺伝は重要な因子ではあるが、遺伝子があれば必ず発病するわけではなく、発病にはその他の環境因子などが関与していると考えられます。

〔環境因子〕

 膠原病を発病する遺伝的な素質があり、免疫反応の異常が起こると膠原病は発病しやすくなりますが、それを誘起する可能性が高いのが、環境因子です。

 この病気の素因を有する人が、ある種の環境因子に遭遇すると、身体の組織や成分に変化を来たし、異常な免疫反応を引き起こしてしまうのです。

 このような原因となる環境因子には「薬物」「外傷・外科手術」「感染症」「妊娠・出産」「日光の紫外線」および「美容整形手術」などがあります。

 薬物では、抗精神薬や抗不整脈薬、抗痙攣薬などの継続使用は自己免疫を出現させる可能性があります。

 外傷や外科手術で破壊された身体の一部を異物と認識してしまい抗体をつくることがあります。Bリンパ球を活発にするようなウイルス感染があると、それをきっかけに発病することもあります。

 女性の身体は妊娠中は、間違えて胎児を異物とみなしたりしないように免疫力が低下しています。

 一方、出産すると、今度は急激に免疫力が活発となり、自己免疫が起きやすくなります。これが、膠原病には女性の患者が多い理由と考えられています。

 日光による日焼けは、一種の火傷であり、これがきっかけで皮膚や皮下組織が異物とみなされ抗体が生成されることがあります。

 その他、乳房などの美容整形でシリコンなどを身体内に挿入すると、それが異物とみなされ、抗体ができることがあります。


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