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〔膠原病の治療〕 |
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〔膠原病〕は現段階では本質的な原因がはっきりと掴めていないため、原因に直接的に働きかけて治療することができない病気です。
・炎症反応 |
〔膠原病〕の完治は非常に困難とされ、薬物療法などを主体に行うことで、異常な免疫反応や炎症反応を抑制して、「寛解」状態を保つこととなります。 傷つけられた組織をできるだけ癒し、それ以上の障害が発生しないように保つことが膠原病治療の目標となります。 |
〔膠原病〕の根治療法は存在しませんが、対症療法的ではあっても、医薬療法をはじめとする多くの療法が行われ、病気の進行を抑制したり、炎症を軽くしたりするなどの効果おんを発揮しています。
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先に述べたように、現時点では膠原病の根本原因が解明されていないため、完治は困難で、どうしても対症療法的な面を免れません。 幸い、多くの膠原病では、どのような免疫異常が起こるのかなどの研究が進み、対症療法とはいえ、病気の進行を抑制したり、炎症の程度を軽くしたりする方法が見つかっています。 下の図は現時点で行われる膠原病治療の基本的な考え方を示しています。 膠原病は遺伝や体質なども関係あるので、それらが膠原病発症のきっかけにならないように、先ず、日常生活での環境因子を排除することが大切です。 膠原病が発病してしまったら、薬物による治療が不可欠となります。 治療に使用される薬物には、主に四つ種類があり、病状などに対応してこれらの医薬を単独で使用するか、複数の医薬を組み合わせて使用するかします。 また、副作用や合併症軽減のために処方される医薬もあります。 免疫の異常を抑制する薬や、炎症を抑える薬として、具体的に使用される医薬品は「非ステロイド抗炎症薬」「ステロイド薬」「抗リウマチ薬」および「免疫抑制剤」などです。 その他にも、薬物療法以外の治療法として「体外循環療法」「レーザー療法」「外科的治療」および「リハビリテーション」などが行われます。 体外循環療法というのは、血液中の自己抗体や免疫複合体などの有害成分を除去する方法です。 |
ステロイド薬は正式名は「副腎皮質ステロイドホルモン薬」といい、非常に強い抗炎症作用があり、劇的な効果を示します。 ステロイド薬は、体内で炎症や痛みを増幅させる物質「プロスタグランディン」の生成を抑制し、炎症を悪化させる白血球の作用を抑制します。 ステロイド薬は強力な効果を発揮する反面、代謝やホルモン作用への影響など多くの副作用があるため、必要最小限の使用をします。 効果的な使用法は「パルス療法」と呼ばれる方法で、治療開始時で病気の勢いが強く、激しい免疫反応や炎症を抑えるために、ステロイド薬をパルス的に多めに投与します。 その後、症状の落ち着きに合わせて投与量を徐々に減少させます。 症状が落ち着き、寛解状態になったら、ステロイド薬の投与量をそれ以上減らしたら病気が再燃するかも知れないぎりぎりの範囲内での必要最小量を投与し続けます。 その後、もしも病気が再燃する気配が出たら、投与量を少し増やして対処します。 |
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膠原病の治療に最もよく用いられる薬はプレドニン(プレドニゾロン)という薬ですが、通常、副腎で生産されているステロイド量は、このプレドニゾロンに換算して一日あたり5mgに相当していです。 このため、多々あるステロイド薬の効果を明確にするため、下の表で示すように各ステロイド薬は「プレドニゾロン5mg相当量」という量が定められています。
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ステロイド薬の作用をまとめると、膠原病の治療に効果のある作用の他に、膠原病の治療とは無関係の作用が存在するために、これらの作用が副作用として現れてきます。 薬の作用と膠原病の治療に役立つ部分と副作用になりうる部分を表に示します。
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ステロイド薬による副作用は、使用量と使用期間などにより変わります。 プレドニゾロン換算での投与量が少なければ、副作用も軽度となり、投与量が少し多めになると副作用は中等度に、大目の場合には重度な副作用を伴う可能性が高くなります。 ここに主な副作用を示しておきますが、軽度、中等度、重度の分類・仕分けは一例に過ぎず、副作用の現れ方は多様です。
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炎症を抑える効果のあるステロイド薬は絶大な効果もあり有名ですが、使用法を間違うと強い副作用がでるなどの問題もあります。 ステロイド薬以外で、抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用の効果を有する医薬があり、これを「非ステロイド抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)」といいます。 英語名を略して「NSAIDs」と総称される。 非ステロイド抗炎症薬は、体内で炎症や痛みを増幅させる物質の生成を抑制することで炎症を抑える薬で、炎症をすぐに鎮静化したり、痛みを鎮める効果がありますが、その効果はステロイド薬ほど強くはなく、また免疫反応の抑制効果はありません。 どの膠原病にも炎症による発熱や関節痛、ふしぶしのこわばりなどの症状を伴うので、非ステロイド抗炎症薬はよく使用されます。 非ステロイド抗炎症薬は服用すると即効性があるものの、誰にでも同じように効くわけではありません。 同じ非ステロイド系といっても薬の種類は多々あり、どの薬が自分に合うか、副作用がないかなどによって選定する必要があります。 非ステロイド抗炎症薬による副作用の主なものは胃腸障害で、胃の痛みや、食欲不振、吐き気などが起こります。 また、副作用は、胃腸障害だけに限らず、血液障害、皮膚障害、神経障害、呼吸器障害、腎障害、肝障害と多くの臓器に影響がでます。 |
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関節リウマチの治療薬には、大きな分類としては炎症を抑制することを目的とした「非ステロイド系抗炎症薬」と疾患の活動性を抑制することを目的とした「抗リウマチ薬」とがあります。 抗リウマチ薬は、関節炎の進行を抑制する薬で関節リウマチ治療に使用される薬の総称です。 関節リウマチと診断されると、治療の初期から積極的に抗リウマチ薬を投与し、関節痛や関節の腫れを改善し、同時に関節の破壊の進行を食い止めるようにします。 現在、医療保険の対象になる抗リウマチ薬には「免疫調整薬」「免疫抑制薬」および「生物学的製剤」の三種類があります。
一般に抗リウマチ薬は、免疫異常や滑膜、骨髄などの異常を抑制して効果を発揮するようになるため、効果が出るまでに1~4か月、あるいはそれ以上の期間がかかります。 |
膠原病の誘引となるリンパ球などの細胞に直接作用して、免疫に関わる細胞の増殖や活性化を抑制する薬が免疫抑制剤です。 免疫抑制剤は免疫抑制作用は強いものの抗炎症作用はステロイド薬より弱いので、この両者は併用して使用されるのが普通です。 ステロイド薬で炎症を抑え、その上で状況により免疫抑制剤が使用されます。 免疫抑制剤は、通常の免疫反応にかかわる細胞も抑制するので、それによる副作用が出現する可能性があります。 免疫抑制剤による共通的な副作用としては、皮疹が出たり、感染症に罹り易くなること、赤血球や白血球の減少、脱毛、肝臓障害、生殖機能障害、悪性腫瘍の発生などが起こることがあります。 |
膠原病では、血液中に自己抗体や免疫複合体が生成され、それが体内組織に沈着して関節や内臓に炎症や障害を起こします。 血液中からこれらの有害物質を除去してしまう治療方法が「体外循環療法」です。 この体外循環療法には「血漿交換療法」と「白血球除去療法」とがあります。 血漿交換療法では、血液の一部を抜き取り、先ず血球成分と血漿成分とに分離します。 血球成分というのは、赤血球や白血球、血小板を含む成分で、それら以外が血漿成分で、この血漿成分の中に、膠原病を引き起こす自己抗体や免疫複合体が含まれています。 血漿成分を特殊な装置により処理して、有害成分である自己抗体や免疫複合体を選択的に除去して、正常となった血漿成分と血球成分とを再び体内に戻します。 一回あたりの血液処理量は3~4リットルで、これを定期的に繰り返します。 膠原病の炎症の直接原因である、自己抗体や免疫複合体を除去することで、症状が軽減することが期待されますが、逆に体内での抗体産生が高まってしまう可能性もあるので、この方法は、薬物療法によって十分な効果が出ない場合などに補助的に行われます。 |
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膠原病の誘引となる免疫異常を薬物療法などで治療する方法とは別に、膠原病による関節痛や筋肉の萎縮などを改善する対症療法も行われます。 対症療法としては「レーザー療法」「リハビリテーション」「温熱療法」および「手術療法」などの方法があります。 関節痛や筋肉の萎縮がある部位に、低周波のレーザー照射をすることで、痛みや腫れ、こわばりが低減することがあります。 この方法は炎症を抑制して痛みや腫れを改善できることが多いのですが、人によっては効果がないこともあります。 関節痛などを恐れて、動かさない状態が続くと、関節や筋肉はますます萎縮しその機能が低下してしまいます。 これを防止するためには、関節や筋肉を少しずつ動かすリハビリテーション(運動療法)が欠かせません。 痛みのある関節や筋肉を温めると、血行が促進して痛みが軽減することがあります。 このような療法としては「ホットパック法」「パラフィン浴」および「マイクロ波照射」などの方法があります。 |