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〔皮膚筋炎〕 |
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〔皮膚筋炎(DM)〕とは、自己免疫疾患の一つで、自分自身の細胞や組織に免疫反応を起こしてしまい、全身の横紋筋に炎症を引き起こす病気です。 |
全身の骨格筋に炎症がおき、皮膚や筋肉が侵されて筋力が衰えます。 階段の上り下り、しゃがみ立ち、腕の上げ下ろしなどが困難になります。 皮膚筋炎は、随意筋(横紋筋)にだけ炎症がおき皮膚や筋肉が侵される病気で、不随意筋(平滑筋)には炎症は起こらないのが特徴です。 内臓の筋肉は「平滑筋」と呼ばれ、自らの意思で動かしたり止めたりすることはできない、不随意筋です。 |
横紋筋に炎症が起こる結果、筋力が低下してしまうなど筋肉症状が主体のものが〔多発性筋炎〕と呼ばれます。 |
皮膚筋炎(DM)は、炎症や症状が主に筋肉に現れるものが多発性筋炎であり、主に皮膚症状を伴うものが皮膚筋炎と呼ばれています。 |
この病気では、関節が破壊されてしまうことはないのですが、関節の痛みやこわばりが現れることがあります。 この病気の主な症状を列記すると表のようになります。
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皮膚筋炎は、他の膠原病と同様に、免疫機構が自己抗体を作り出し、自分自身の細胞や組織に対して、攻撃してしまう病気です。 他にウイルスなどの感染、悪性腫瘍、薬剤の影響、遺伝的基質なども関係しているのではないかといわれています。 しかし、どうして自己抗体ができるのか、その原因は分かっていません。 |
皮膚筋炎の検査では、主に血液検査と筋電図による検査とが行われます。 診断方法には、いくつかの基準がありますが、1992年に厚生労働省自己免疫疾患調査研究班が提示した診断基準や、1977年に提示されたボアンとピーターの診断基準が信頼できるものとして用いられます。
上記に示す厚生労働省自己免疫疾患調査研究班が提示した診断基準では、多発性筋炎、皮膚筋炎に対応して次の通り診断判定します。
この表で示す、ボアンとピーターの診断基準では、皮膚筋炎の診断には項目5は必須項目であり、その上で、項目1~4のうちで1項目が認められるなら「この病気の可能性あり」、2項目が該当するなら「この病気の疑いが強い」となり、3~4項目が該当するなら、多発性筋炎・皮膚筋炎と確定されます。 皮膚筋炎では、筋肉が侵されることから、筋の異常を調べる検査が主体に行われますが、他の膠原病同様に自己抗体の検査も行われます。 また、具体的な検査方法としては、血液検査と筋電図、筋生検などによって行われ、筋力の低下や皮膚に現れる発疹などの特徴的症状によって、診断されます。 次の表で検査の概要を説明します。
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皮膚筋炎の治療は、筋肉の炎症を抑制する必要があり、基本的にステロイド薬を用いるのが一般的かつ有効な治療法となります。 通常、ステロイド薬での治療で、筋力低下や脱力感は徐々に改善されます。 しかし、非ステロイド抗炎症薬では十分な炎症抑制効果は期待できません。 ステロイド薬の投与は通常1日3回に分けて行いますが、このようなステロイド薬の投与で効果が不十分の場合には、ステロイド薬を一時的・パルス的に大量投与する「ステロイドパルス療法」を試みることがあります。 基本的にステロイド薬は症状の軽減効果が大きいのですが、副作用が強く、間質性肺炎などが問題となります。 このような場合には、免疫抑制剤の併用による治療も行われます。 使用される免疫抑制剤には、メトトレキサートやアザチオプリンなどがあります。 炎症が強い段階では安静が必要ですが、症状が治まってきたら、筋肉の萎縮や拘縮を防ぐために、リハビリテーションを行うことが重要です。 皮膚筋炎は、症状が改善し寛解状態となっても、また悪化し再燃することも多く、寛解と再燃を慢性的に繰り返すことが多いので、日常生活には注意が必要です。 次のような点に気を配らなくてはいけません。
・ストレスの軽減と十分な休養 |