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〔皮膚筋炎〕

概要病気症状原因診断
治療予後合併症情報書籍
 
この疾患の概要です

 〔皮膚筋炎(DM)〕とは、自己免疫疾患の一つで、自分自身の細胞や組織に免疫反応を起こしてしまい、全身の横紋筋に炎症を引き起こす病気です。

 横紋筋は、身体を動かすための筋肉で「骨格筋」とも呼ばれます。

 横紋筋には指や腕、首、肩、腰、下肢などの筋肉があり、自らの意思で動かすことのできる随意筋はすべて横紋筋です。



 全身の骨格筋に炎症がおき、皮膚や筋肉が侵されて筋力が衰えます。

 階段の上り下り、しゃがみ立ち、腕の上げ下ろしなどが困難になります。

 皮膚筋炎は、随意筋(横紋筋)にだけ炎症がおき皮膚や筋肉が侵される病気で、不随意筋(平滑筋)には炎症は起こらないのが特徴です。

 内臓の筋肉は「平滑筋」と呼ばれ、自らの意思で動かしたり止めたりすることはできない、不随意筋です。


 横紋筋に炎症が起こる結果、筋力が低下してしまうなど筋肉症状が主体のものが〔多発性筋炎〕と呼ばれます。

 また、左右のまぶたがむくんだり、皮膚に特徴的は発疹が出て、薄紫色の紅斑ががでるなど皮膚症状を伴うものが〔皮膚筋炎〕です。

 両者に症状の違いはありますが、基本的には同じ病気であると考えられています。

 多発性筋炎や皮膚筋炎の患者数は、人口10万人あたり5~8人くらいで、女性が男性の2倍ほどです。

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どんな病気ですか?
〔皮膚筋炎という病気〕

 皮膚筋炎(DM)は、炎症や症状が主に筋肉に現れるものが多発性筋炎であり、主に皮膚症状を伴うものが皮膚筋炎と呼ばれています。

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どんな症状ですか?
〔皮膚筋炎の症状〕

 この病気では、関節が破壊されてしまうことはないのですが、関節の痛みやこわばりが現れることがあります。

 この病気の主な症状を列記すると表のようになります。

皮膚筋炎の症状
筋肉症状  患者に共通する症状として、上腕部や大腿部、首周辺部の筋力が低下し、身体に力が入らなくなり、しゃがみ立ちや階段の上り下り、腕の上げ下ろし、ベッドからの起き上がりなどが困難となります。

 これらの症状はじわじわと進行します。

 喉の食道付近の筋肉には横紋筋(随意筋)があり、ここに炎症が起こると物を飲み込みにくくなる「嚥下障害」が起こることがあります。

 また、言語を発することも難しくなる「構語障害」がでることもあります。多くの人に筋肉痛が起こり、慢性期には筋の萎縮が起こります。

皮膚症状  皮膚筋炎の場合、左右のまぶたに赤紫色の斑紋がでる「ヘリオトロープ疹」がみられます。

 また、手の指関節上部の皮膚に青味のある皮疹「ゴットロン徴候」がみられることもあります。

 ひじや膝、首や肩の周辺の皮膚がかさかさになる「鱗屑性紅斑」が認められたり、首から胸の辺りの日光に晒される部分に皮疹ができる「Vネック型紅斑」が現れることもあります。

 皮膚症状を中心とする患者の場合、悪性腫瘍の併発率が高くなります。

呼吸器症状  肺の細胞と細胞の間の間質に炎症が起こり、間質性肺炎を発症することがあります。咳の発作や呼吸困難などになることもあります。

臓器症状  血行障害によりレイノー現象がみられるようになります。また、心筋が炎症を起こす結果、不整脈や心不全を合併する危険性もあります。


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原因は何ですか?
〔皮膚筋炎の原因〕

 皮膚筋炎は、他の膠原病と同様に、免疫機構が自己抗体を作り出し、自分自身の細胞や組織に対して、攻撃してしまう病気です。

 他にウイルスなどの感染、悪性腫瘍、薬剤の影響、遺伝的基質なども関係しているのではないかといわれています。

 しかし、どうして自己抗体ができるのか、その原因は分かっていません。

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診断はどうやりますか?
〔皮膚筋炎の診断〕

 皮膚筋炎の検査では、主に血液検査と筋電図による検査とが行われます。

 診断方法には、いくつかの基準がありますが、1992年に厚生労働省自己免疫疾患調査研究班が提示した診断基準や、1977年に提示されたボアンとピーターの診断基準が信頼できるものとして用いられます。

厚生労働省による診断基準
1 皮膚症状
(1)ヘリオトロープ疹:両側または片側の目瞼部の紫紅色浮腫性紅斑
(2)ゴッドロン徴候:手指関節背面の角質増殖や皮膚萎縮を伴う紫紅色紅斑
(3)四肢伸側の紅斑:肘、膝関節などの背面の軽度隆起性の紫紅色紅斑
2 上肢または下肢の近位筋の筋力低下
3 筋肉の自発痛または把握痛
4 血清中筋原性酵素(クレアチンキナーゼまたはアルドラーゼ)の上昇
5 筋電図の筋原性変化
6 骨破壊を伴わない関節炎または関節痛
7 全身性炎症所見(発熱、CRP上昇、 または血沈促進)
8 抗Jo-1抗体陽性
9 筋生検で筋炎の病理的所見:筋線維の変性および細胞浸潤

 上記に示す厚生労働省自己免疫疾患調査研究班が提示した診断基準では、多発性筋炎、皮膚筋炎に対応して次の通り診断判定します。

厚生労働省の診断基準による多発性筋炎・皮膚筋炎の診断判定方法
多発性筋炎 診断基準の項目2~項目9の中で4項目以上を満たすなら多発性筋炎と診断される。
皮膚筋炎 診断基準の項目1の皮膚症状のなかで(1)~(3)の1項目以上を満たし、かつ経過中に項目2~項目9の中で4項目以上を満たすと、多発性筋炎と診断します。


ボアンとピーターの診断基準
1 対称性近位筋の筋力低下
2 筋生検による筋炎の存在確認
3 血中筋酵素の上昇
4 筋原性の筋電図変化
5 皮膚筋炎の典型的皮疹

 この表で示す、ボアンとピーターの診断基準では、皮膚筋炎の診断には項目5は必須項目であり、その上で、項目1~4のうちで1項目が認められるなら「この病気の可能性あり」、2項目が該当するなら「この病気の疑いが強い」となり、3~4項目が該当するなら、多発性筋炎・皮膚筋炎と確定されます。

 皮膚筋炎では、筋肉が侵されることから、筋の異常を調べる検査が主体に行われますが、他の膠原病同様に自己抗体の検査も行われます。

 また、具体的な検査方法としては、血液検査と筋電図、筋生検などによって行われ、筋力の低下や皮膚に現れる発疹などの特徴的症状によって、診断されます。

 次の表で検査の概要を説明します。

皮膚筋炎の検査
血液検査  赤血球沈降速度(赤沈)の亢進やCRP陽性があれば筋肉の炎症を示す証拠となります。

 筋炎が起こると筋肉中の酵素が血液中に流出するので、この筋原生酵素の上昇が見られれるなら、筋炎の証拠となります。

 筋原生酵素には、AST(GOT)、LDH、クレアチン、クレアチンキナーゼ、アルドラーゼなどがあります。

筋電図・筋生検  筋炎があれば筋肉の異常を示す特徴的な所見がみられます。

 異常があれば、その筋肉を採取して顕微鏡による筋生検を行います。

 筋繊維の破壊・壊死や炎症細胞組織への浸潤が確認されるなら、多発性筋炎・皮膚筋炎と診断されます。

自己抗体  この病気に特有な抗体として、抗Jo-1抗体が出現するので、この抗体が陽性なら多発性筋炎・皮膚筋炎と診断されます。

画像検査  画像解析技術の進歩により、MRIやPET、CTスキャンなどでの検査が行われることがあります。

 このような画像検査で筋肉の病変をみることができます。

 画像解析技術を使用すると、この病気の診断ばかりでなく、治療効果の評価についても有用な情報が得られます。


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治療はどうやりますか?
〔皮膚筋炎の治療〕

 皮膚筋炎の治療は、筋肉の炎症を抑制する必要があり、基本的にステロイド薬を用いるのが一般的かつ有効な治療法となります。

 通常、ステロイド薬での治療で、筋力低下や脱力感は徐々に改善されます。

 しかし、非ステロイド抗炎症薬では十分な炎症抑制効果は期待できません。

 ステロイド薬の投与は通常1日3回に分けて行いますが、このようなステロイド薬の投与で効果が不十分の場合には、ステロイド薬を一時的・パルス的に大量投与する「ステロイドパルス療法」を試みることがあります。

 基本的にステロイド薬は症状の軽減効果が大きいのですが、副作用が強く、間質性肺炎などが問題となります。

 このような場合には、免疫抑制剤の併用による治療も行われます。

 使用される免疫抑制剤には、メトトレキサートやアザチオプリンなどがあります。

 炎症が強い段階では安静が必要ですが、症状が治まってきたら、筋肉の萎縮や拘縮を防ぐために、リハビリテーションを行うことが重要です。

 皮膚筋炎は、症状が改善し寛解状態となっても、また悪化し再燃することも多く、寛解と再燃を慢性的に繰り返すことが多いので、日常生活には注意が必要です。

 次のような点に気を配らなくてはいけません。

 ・ストレスの軽減と十分な休養
 ・バランスの取れた食事
 ・直射日光に当たらないような紫外線対策の実施
 ・リハビリテーションの継続(ただし、筋炎活動きには禁止)

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