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〔混合性結合組織病〕 |
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〔混合性結合組織病(MCTD)〕は、三つの膠原病〔全身性エリテマトーデス〕〔多発性筋炎・皮膚筋炎〕および〔全身性硬化症(強皮症)〕の内の二つ以上の病気の症状を混在して有する疾患です。 |
このため、検査や症状だけからでは、どの膠原病が原因か特定できないこともあります。 これら三つの〔膠原病〕の内の二つ以上の病気が混在する上で、抗核抗体のひとつ、「抗U1-RNP抗体」が陽性であるとこの病気の可能性が高いとされます。 |
この膠原病になると、血管病変や炎症病変、線維症などを引き起こします。
この病気の日本での推定患者数は7000人ほどいて、どの年齢層にも患者はいますが、主に30~40代の女性に圧倒的に多く発症し、男女比では女性が男性の11~15倍も発症します。 |
〔混合性結合組織病(MCTD:Mixed Connective Tissue Disease)〕は、〔全身性エリテマトーデス〕〔多発性筋炎・皮膚筋炎〕および〔全身性強皮症〕の内の二つ以上の病気を思わせる所見があっても、それぞれの膠原病の全ての症状が出揃わないという特徴があります。 混合性結合組織病では、二つ以上の膠原病を思わせる症状が混合して現れますが、どの症状が顕在化するかは人によって異なります。 この病気に共通的に表れる症状は、レイノー現象で、指ないし手背がソーセージのように腫れる現象がみられます。 また、この膠原病特有の自己抗体として「抗U1-RNP抗体」が陽性となります。 レイノー現象というのは、寒冷温に晒されたり、精神的に緊張したときに、手指の皮膚が白くなり、やがて紫色から赤色へと変化する現象です。 |
混合性結合組織病で他の膠原病を思わせるような典型的な症状の現れ方には、次のようなものがあります。
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混合性結合組織病も他の膠原病と同様に免疫機構が自己抗体を産生し、自分自身の細胞や組織を攻撃してしまう病気です。 自己抗体の産生には、遺伝的因子やウイルス感染、環境因子が関与している可能性はあるものの、真の原因は分かっていません。 |
混合性結合組織病の検査では、主に血液検査が行われます。また、診断方法には、厚生労働省の診断基準が有用で信頼すべきものとして使用されます。 下記の表の条件を満たすとき、この病気と診断されます。
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混合性結合組織病は、共通的なレイノー現象の他に、三つの膠原病の症状を異なる比重で併せ持つため、該当する病気ごとの症状に合わせた治療を行うことになります。 全身性エリテマトーデスや多発性筋炎・皮膚筋炎が主体の症状なら、ステロイド薬がよく効きます。 関節症状が主体な症状なら、非ステロイド性抗炎症薬が有効です。 レイノー現象に対しては、血管を拡張して血液の循環を良くするニコチン酸トコフェロールなどの血管拡張薬が用いられます。 この病気の予後は良好ですが、全身性強皮症に合併して出る肺高血圧症には注意が必要です。 肺高血圧症の発症は息切れや動悸からはじまり、発症頻度は約7%ほどですが、死因として第1位となっています。 肺高血圧症は、ステロイド薬、免疫抑制薬、血管拡張薬、抗凝固薬などが用いられます。 |