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〔アミロイドーシス〕 |
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〔アミロイドーシス〕という病気は、「アミロイド」と呼ばれる繊維性の異常な蛋白が、全身の臓器に沈着して、個々の臓器にさまざまな機能障害を起こす病気です。 |
また、脳などに限定して起こる〔限局性アミロイドーシス〕というものもあります。 症状は手足のしびれや麻痺などの多発性神経炎症状などのほか、次のような自律神経症状が見られます。
・立ち眩み |
数日周期での激しい下痢と便秘を繰り返すこともあります。 |
アミロイドーシス(Amyloidosis)は、繊維構造を持つ特異な蛋白である「アミロイド物質」が、全身の臓器の細胞外に沈着し増加してしまう病気です。 沈着が減少することはなく、やがて組織を破壊して機能障害を引き起こす難病のひとつで特定疾患に指定されている病気です。 アミロイドは全身のどの組織にでも沈着するので、障害が発症する臓器の機能不全から診断されます。 沈着が多くみられる臓器は、心臓、舌、骨格筋、腸管に多く、その他にも全身臓器の小血管、腱、末梢神経、肺、肝、腎、脾、リンパ節、皮膚、皮下組織、骨髄などです。 |
これらの臓器の機能不全として、不整脈や心不全症状、腎不全などが起こり、それらに付随して、浮腫や下痢、消化吸収障害、巨舌、しわがれ声、リンパ節腫、末梢神経障害、嚥下障害などが起こります。 厚生労働省特定疾患調査研究班によるアミロイドーシス新分類を下記の表で示します。
アミロイドーシスの症状はそれぞれの病型で異なりますが、いずれも徐々に発病して、ほぼ全症型に共通して、全身衰弱や体重減少、貧血、浮腫などの症状を呈しつつ、腎障害、肝脾腫、巨舌、多発性ニューロパチーなどの現象が現れます。 |
アミロイドーシスが、「アミロイド物質」と呼ばれる特異な蛋白が、いろいろな臓器の細胞外に沈着する病気であることは分かっていますが、アミロイドの産生とその組織内への沈着の原因は分かっていません。 |
アミロイドーシスは臨床症状により診断されますが、生検によってアミロイド物質の存在を証明してのみ確定診断が可能となります。 アミロイドーシス診断に有用な生検部位は、歯肉、皮膚、神経、腎臓、および肝臓などです。 これら臓器の組織を採取し、コンゴレッドで染色してから蛍光顕微鏡で調べます。 アミロイドに特徴的な緑色複屈折が観察されれば、アミロイドーシスと診断されます。 初発症状としては、倦怠感、体重減少から起こることが多い病気です。心疾患では、心エコーに特徴的な所見がみられます。 |
アミロイドーシスは難治性の病気で、現時点では根治療法は存在していません。 他の病気が原因で発症する「続発性アミロイドーシス」では、原因となる基礎疾患の治療により改善を期待できますが、そうではない「原発性アミロイドーシス」の場合には、根本的な治療法はなく、治療は対症療法のみに限定されます。 |
アミロイドーシスの予後は、極めて悪く、10年以上生存できる確率は極めて低くなります。 初期段階のアミロイド沈着は可逆性があるとされるので、この段階で治療が成功すれば延命も可能ですが、臓器機能不全が不可逆的になってしまった後では、手遅れになります。 |