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〔おたふく風邪〕 |
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〔おたふく風邪〕は、正式名は〔流行性耳下腺炎〕と呼ばれる病気で、〔ムンプス〕と呼ばれることもあります。 |
〔おたふく風邪〕に感染すると、耳下腺部と呼ばれる耳の下や頬の後ろ側、あごの下などが腫れて痛みを伴います。 |
おたふく風邪は、単に「おたふく」とも呼ばれる病気ですが、正式名を「流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん)」と呼ぶウイルス性の病気で、ムンプスウイルスの感染によって罹ります。 以前には小児の間で3~4年周期で流行しましたが、現在ではワクチンの普及により減少しています。 |
おたふく風邪に感染すると、発症から12~24時間以内に耳下腺(唾液腺)が腫れて「おたふく」の様になり、顔に疼痛が起こります。 腫れは最初の1~3日が最もひどくなり、通常1週間から10日ほど続きますが、顎下腺が腫れると2~3週間も腫れが引かないこともあります。 多くの場合、38~39度Cの発熱がありますが、それほど高熱にはなりません。発熱は3~5日ほどで下がります。 腫れや発熱以外の症状として、頭痛や咽頭痛、こめかみや顎の腫れなども現れます。 男性の場合、睾丸や陰嚢が腫れたようになり痛みを感じることもあります。 感染しても特別な症状が出ない人もおりますが、一般に成人してからの感染では、症状が重くなるといわれています。 |
おたふくかぜは、くしゃみや咳で容易に飛沫感染するウイルス感染病です。 唾液腺でウイルスが増殖し、くしゃみなどの飛沫により感染するのです。 唾液腺が腫れている間は他の人に感染させてしまうので、学校や保育園、幼稚園はお休みしなければいけません。 この病気は、幼児に多く感染する流行性の病気で冬から春先にかけて感染者が増加する傾向にあります。 おたふくかぜの感染力はそれほど強力ではないものの、幼稚園などで集団的に感染することもあります。 また、おたふくかぜの患者に兄弟・姉妹がいる場合、60%以上の確率で感染するといわれます。 |
おたふく風邪の診断は身体検査において唾液腺の腫れを確認して行われます。 その時期に小児の間で流行しているかも重要な参考情報となります。 通常、この病気は自然に治癒する病気であり、特別な検査を行うようなこともないのですが、特に必要なときには、血清学的に検査しウイルス遺伝子を検出して行います。 |
おたふくかぜのウイルスに直接的に効果のある薬はありませんので、治療は症状に応じての対症療法になります。 一般的には、消炎鎮痛剤や解熱薬などによる薬物療法を施します。痛みがひどいときに冷湿布も効果があります。 また、症状がひどいときに、医師の判断で抗生物質の注射をすることもありますが、重要なことは、薬は必要最小限にとどめるという点です。 おたふくかぜは、一生に一度罹れば免疫ができるので二度と罹ることはありません。 また、1歳を過ぎれば有料でワクチンを接種することも可能ですが、ワクチンによる予防効果は90%程度です。 10%ほどの人はワクチンを接種してもおたふくかぜに罹る可能性はあります。 おたふく風邪の合併症として、1万人に一人くらいのごく低い確率で、男性の不妊症が起こることがあります。 |