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〔胃潰瘍〕

概要病気症状原因診断
治療予後合併症情報書籍
 
この疾患の概要です

 〔胃潰瘍〕は、臓器自体が分泌する塩酸やペプシンなどの胃液により消化されて傷つき潰瘍となってしまう病気です。

 空腹時にお腹が痛むのが胃潰瘍の特徴で、特に空腹時にみぞおち辺りが痛みます。

 痛みは、ズキズキするもの、鈍い痛み、焼け付くような痛みなどさまざまです。



 胃潰瘍の主な原因はストレスで、几帳面な人が罹りやすいです。

 食物を食べると、食べ物は口から肛門までの消化管と呼ばれる器官を通りながら消化され吸収されていきます。

 消化管の内側は粘膜で覆われ、その壁は、その粘膜の下層にある粘膜筋板、粘膜下層、筋層、漿膜(しょうまく)と呼ばれる層で構成されています。

 胃潰瘍は、このような消化管の壁が何らかの原因で損傷をうけた状態をいいます。


消化管内壁の図

 一般的に、粘膜の傷が粘膜下層まで達していない状態を「びらん」といい、粘膜下層より深くまで達した状態が「潰瘍」と呼ばれます。

 潰瘍は、上図に示すように更に細かく分類されていて浅い潰瘍から深い潰瘍まであります。胃潰瘍は、それらの部位に潰瘍ができた状態をいいます。

 胃潰瘍の患者は40~50代に多く見られ、女性より男性に多い病気です。近年、生活様式の欧米化により、患者数も増加しているともいわれます。

 しかし、最近の研究では、胃の粘膜内で生息するヘリコバクター・ピロリ菌という細菌がつくりだす、さまざまな毒素により粘膜が刺激され炎症を起こすことが分かってきました。根本治療としては、ピロリ菌を退治することが大切です。

 胃潰瘍の治療薬の開発はとても進化して治療ができるようになりましたが、生活習慣などによっては再発しやすい病気です。何度も再発していると、潰瘍からがんに進展してしまう恐れもあるので、再発防止には細心の注意が必要な病気です。

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どんな病気ですか?
〔胃潰瘍という病気〕

 胃の中では、口から摂取した食物を消化するために強力な酸が含まれています。

 この強力な酸から胃壁粘膜を守るために、胃は粘液を分泌していて、通常はこれらがバランスして平衡状態になっています。

 しかし、何らかの原因で、胃液と粘液との均衡が破れると、胃酸によって胃壁が侵される胃潰瘍と呼ばれる状態になります。

胃潰瘍の図

 胃潰瘍では、粘膜を構成する内壁にびらんができる軽度のものから、筋層や漿膜に到るような深い潰瘍があります。

 胃潰瘍には、上図に示すように潰瘍ができ易い部位があります。

 重症な潰瘍では、胃壁に孔が開いて内容物が漏れだしてしまい、腹膜炎を起こすこともあります。

 このような重度の潰瘍は「穿孔性潰瘍」と呼ばれ、生命の危険に関わってきます。

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どんな症状ですか?
〔胃潰瘍の症状〕

 胃潰瘍の典型的な症状は、「みぞおちの痛み」です。

 この痛みは空腹時や夜間に起こり易く、食事をすると一旦治まりますが、しばらくしてまた起こるようになります。

 その他の症状として、吐き気や上腹部の不快感、悪心、嘔吐、食欲低下、背部痛などが現れることもあります。

 深い潰瘍になって、血管が表面に晒されるようになると、出血し、吐血したり、黒い便が出るようになります。

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原因は何ですか?
〔胃潰瘍の原因〕

 潰瘍の起こる基本原因は、何らかの原因で胃酸と粘液の平衡状態が崩れ、胃酸の効果が勝るために起こります。

 胃はデリケートな臓器であり、心身のストレスやアスピリンなどの医薬品の服用、刺激性の食物、アルコールの過剰飲用などによって、バランスが崩れることがあります。

 季節の変わり目や仕事や家庭環境の変化などが原因となることもあります。

 ストレスなどで、胃酸やペプシンなどの消化液の分泌が過剰になる場合や、胃の粘膜の血液循環が悪化し粘液の分泌が減少したり、作用が低下してバランスが崩れるのです。

 また、最近の研究によれば、胃の粘液中に生息するヘリコバクター・ピロリ菌がつくりだす物質によって、粘膜が刺激され炎症を起こしやすくなることが分かってきました。

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診断はどうやりますか?
〔胃潰瘍の診断〕

 潰瘍は自覚症状だけでの診断は難しいので、検査による診断が必要です。

 診断には、レントゲン検査や胃カメラによる直接観察検査などがあります。

 胃カメラによる直接検査では、潰瘍部位の組織サンプルを採取できるので、確定診断に役立ちます。

 また、ピロリ菌の存在も検査できます。

〔ピロリ菌の粘膜組織検査〕

 胃カメラによって、胃の粘膜組織を採取し、そこにピロリ菌が存在するかどうか検査しますが、検査方法には、ウレアーゼ試験法、組織診、培養検査の三つがあります。

ピロリ菌の粘膜組織検査方法
〔ウレアーゼ試験法〕

 尿素とpH指示薬の入った試験溶液の中に、採取した粘膜組織を入れて、色の変化を観察します。

 ピロリ菌が存在すれば、菌の出すウレアーゼによって、アンモニアが発生し、溶液がアルカリ性になるので試験液の色が変化します。

〔組織診〕

 採取した胃粘膜組織を顕微鏡で観察し、ピロリ菌の存在自体をを直接敵に観察します。

〔培養検査〕

 採取した胃粘膜組織をピロリ菌が繁殖しやすい環境で培養してから顕微鏡観察によりピロリ菌の存在を確認します。

 他の病気と同じように、胃潰瘍や十二指腸潰瘍は軽度のものほど治りも早いので、胸やけや上腹部不快感など潰瘍特有の症状が現れたら、早めに消化器内科を受診することが大切です。


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治療はどうやりますか?
〔胃潰瘍の治療方針〕

 胃潰瘍の本格的な治療法を行う前に、まず必要なのは、悪い生活習慣の改善です。その上で、対症療法、根本治療を行うことになります。

胃潰瘍の治療法
〔生活習慣改善〕

 悪い生活習慣を改め、規則正しい生活を行うことで、症状を緩和することができると期待されます。

 食事療法は、それだけで病状を完治させるようなものではありませんが、バランスのとれた、十分なカロリーのある食事を規則正しくとることは重要です。

 次のようなことに気をつけましょう。

・毎日三度の食事を決まった時間に食べる。

・納豆などの植物性蛋白質、牛乳や卵などの動物性蛋白質を摂る。

・野菜の摂取に気を配り、食物繊維を多めに摂る。

・油分の多い揚げ物はできるだけ控える

・香辛料、強いアルコール、炭酸飲料などの刺激性食品を避ける。

・禁煙する。

・医薬は用法容量を正しく守って服用する。

〔対症療法〕

 胃のもたれ感、不快感などの症状には、胃の運動を改善する薬剤や、胃粘膜を保護する目的で、胃酸分泌抑制薬、胃粘膜保護薬、運動機能改善薬を服用します。

 胃炎の症状が強いときは、制酸剤やH2ブロッカーなどが投与されます。

 平成になってから、「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」と呼ばれる医薬が開発され、潰瘍は治療しやすい病気になりつつあります。

 治療薬は服用を始めると直ぐに痛みなどの症状が改善されますが、潰瘍が完治するまでにはかなりの期間が必要なので、処方された薬はきちんと服用を続ける必要があります。

 最近、開発された上記のPPIを使用すると、胃潰瘍は約8週間、十二指腸潰瘍は約6週間で治ります。

 しかし、これからが大事で、その後の再発を防止するためには、「維持療法」と呼ばれる期間が必要です。

 医師の指示に従うことが重要で、場合によっては一生のみ続けることになります。


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