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〔慢性腎炎〕

概要病気症状原因診断
治療予後合併症情報書籍
 
この疾患の概要です

 〔慢性腎炎〕は、大人の腎臓病の中では最も多く、次のような「三大症状」が長期にわたって持続する病気です。

 ・血尿・たんぱく尿
 ・高血圧
 ・むくみ

 全身倦怠などの症状が現れることもあります。

 この病気は、腎臓自体で起こった炎症によるはっきりとした自覚症状がないため、健康診断などで血尿やたんぱく尿が出て発見されることが少なくありません。



 鼻炎や喉頭炎、扁桃炎などの上気道の炎症を起こした後で発症する〔急性腎炎〕なら適切な治療で比較的早期に治癒するのに対して、〔慢性腎炎〕は一度罹るとなかなか治りにくい病気です。

 〔慢性腎炎〕の原因は、免疫反応の異常などによる、糸球体の過剰な濾過などが関係していると考えられていますが、未だよく分かっておりません。

 〔急性腎炎〕の治療がうまくいかずに慢性化してしまう場合があり、〔急性腎炎〕の発症から1年以上も血尿やたんぱく尿が持続していると〔慢性腎炎〕と診断されます。


 自覚症状が少ないので発見が遅れることもありますが、血尿や高血圧、むくみが出たり、健康診断などで〔慢性腎炎〕の疑いが指摘されたら、精密健診を受けることが必要です。

 早期発見が治療の最善策となります。

 〔慢性腎炎〕に関係の深い「クレアチン」や「クレアチニン」「クレアチニン・クリアランス」などの非常に詳しい説明は、「気になる言葉館」の中にある、「クレアチン」および「クレアチニン」で見ることができます。

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どんな病気ですか?
〔慢性腎炎という病気〕

 〔慢性腎炎〕は正式には〔慢性糸球体腎炎〕という病気で、〔急性腎炎〕の症状が軽かったりしたために、適切な治療をしなかった場合など、繰り返し的に〔急性腎炎〕が発症し、やがて慢性化してなります。

 〔急性腎炎〕に罹った後、1年以上にわたって血尿・たんぱく尿が続いたり、顕著な〔急性腎炎〕の症状はなくても、尿の異常が1年以上続く場合、〔慢性腎炎〕と診断されます。

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どんな症状ですか?
〔慢性腎炎の症状〕

 〔慢性腎炎〕の症状は、基本的には〔急性腎炎〕と同じように、次のような三大症状が現れます。

 ・血尿・たんぱく尿
 ・高血圧
 ・むくみ

 このような症状が1年以上にわたって継続的に現れるのが〔慢性腎炎〕ということになります。

 〔慢性腎炎〕の症状は、ほとんど自覚症状がないもの、顕著な高血圧を伴うもの、ネフローゼ症候群が見られるもの、そして腎不全となって最終的に尿毒症になるものなどがあります。

 〔慢性腎炎〕になると、腎臓の糸球体が部分的に損傷されてしまいます。

 その結果、血尿・蛋白尿や高血圧、むくみ、貧血などの主体症状が慢性的に現れる他、手足のしびれ、目のチカチカ、眩しい目、頻尿、青い顔色、にきびや湿疹、鼻血などの症状も出てきます。

 これをそのまま放置すると、糸球体の破壊が更に続き、ついには腎機能がほとんど機能しなくなる腎不全の状態まで進行してしまいます。

 ここまで病状が進行してしまった状態は、〔尿毒症〕という病気で、〔慢性腎炎〕の典型的な三大症状に加えて、次のような多くの症状が現れてきます。

 ・疲労感
 ・食欲減退
 ・動悸
 ・吐き気
 ・嘔吐
 ・歯茎の出血
 ・気力減退
 ・皮膚の痒み
 ・腹水

 症状が、〔尿毒症〕まで進行してしまうと、透析療法や腎臓移植を行わないと命に関わることになります。

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原因は何ですか?
〔慢性腎炎の原因〕

 体内にウイルスや細菌などの抗原が侵入してくると、それに対抗するために、体内で抗体が作られます。

 この抗原とそれに対する「IgA抗体」とからなる免疫複合体が、腎臓の糸球体に沈着すると、それを白血球が攻撃することで腎臓に炎症が起こります。

 これが〔慢性腎炎〕の主な原因と考えられていて〔IgA腎症〕といわれます。〔急性腎炎〕からこのような状態に移行する場合もあります。

 〔IgA腎症〕は、20~30代の人に多く発症し、慢性腎炎患者の30~40%はこれによるといわれます。

 〔IgA腎症〕に次いで多いのが、〔ネフローゼ症候群〕と呼ばれるもので、体内に侵入してきた抗原と抗体との免疫複合体が、腎臓のマルピギー小体の基底膜に沈着して発症するものです。

 特に、小児に多く、40歳代までの発症が認められます。

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診断はどうやりますか?
〔慢性腎炎の診断〕

 〔慢性腎炎〕の検査は「尿検査」「血液検査」および「腎生検」などで行われます。

 一般に、〔慢性腎炎〕を自覚症状から発見することは困難です。従って、健康診断などでの尿検査や血液検査などで、血尿やたんぱく尿がでていないかが最初の検査となります。

 血尿やたんぱく尿は、泌尿器科的な病気でも認められる症状なので、これだけの証拠では診断はされません。

 次に行われるのが、血液検査によるクレアチニンの測定などを行います。腎臓機能が低下するとクレアチニン係数の数値は上昇します。

 このクレアチニン係数は感度が悪く、腎機能低下を的確に検出できないため、クレアチニンクリアランスという方法も用いられます。この係数が小さいほど異常が大きいことを意味します。

 尿検査と血液検査だけでは〔慢性腎炎〕の正確な診断には不十分で、最終的には「腎生検」が行われます。

 腎生検では、背中から腎臓に対して特殊な針を刺し、腎臓組織の一部を採取し、光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察して正確な病理組織診断を行います。

 沈着している免疫複合体の有無なども蛍光抗体法によって確認されます。

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治療はどうやりますか?
〔慢性腎炎の治療方針〕

 〔慢性腎炎〕の治療は、その進行段階や症状によって、次のような療法が選択されます。

 ・食事療法
 ・薬物療法
 ・人工透析
 ・腎移植

慢性腎炎の治療
〔食事療法〕

 安静時の尿検査に異常がなくても、少し運動するとたんぱく尿がでる人は多くいます。

 このような場合であれば、クレアチニンクリアランスの結果で腎機能に問題がないのであれば、特別な治療は不要ですが、定期的な健康診断による推移を観察することは必要です。

 〔慢性腎炎〕では、どのような場合でも食事療法は欠かせません。中でも蛋白質や塩分の摂取量は厳しく管理しなくてはなりません。

食事療法必須事項
〔低たんぱく〕

 腎機能の低下を防ぐ。

〔低塩〕

 腎機能低下、むくみ、高血圧の予防。1日7グラム以下。

〔ビタミン、カルシウム摂取〕

 腎臓、血管の壁を強化したんぱく質の代謝を促す。


〔薬物療法〕

 〔慢性腎炎〕を根治できる特効薬はないので、病状の進行を抑制することが治療の目標となります。また、高血圧のコントロールを行います。

 治療薬には、副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)、抗凝固剤、血圧降下剤のカクテル療法を行うこととなります。

〔人工透析〕

 食事療法や薬物療法によっても治療効果が認められない場合や、効果が少ない場合には、最終的に人工透析による治療が必要です。通常、人工透析は、一度始めたら一生涯にわたって定期的に行う必要があります。

〔腎移植〕

 人工透析が必要な患者で、もしも適切なドナーが見つかるなら、腎移植をすることも可能です。この手術が成功すれば、人工透析なしでの日常生活は可能となります。


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