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〔ケルズス禿瘡〕


概要病気症状原因診断
治療予後合併症情報書籍
 

この疾患の概要です

 〔ケルズス禿瘡(とくそう)〕は、〔白癬菌脱毛症〕とも呼ばれ、真菌の一種である白癬菌が頭部皮膚深部に侵入して炎症を起こす病気です。

 この白癬菌は、水虫や爪水虫、陰金田虫、しらくも・頭部白癬などの原因菌で、湿気を好み、皮膚のケラチン質を栄養分として繁殖します。

 〔ケルズス禿瘡〕は、人畜共通の感染症で、人間では乳幼児に多く発症します。



 この病気は、〔しらくも〕〔頭部白癬〕が極度に進行したものと考えられています。

 〔ケルズス禿瘡〕になると、頭部に膿をもつ発疹と脱毛を伴う特有の症状が現れます。

 頭部に紅斑が現れるとともに、頭の毛の根元に丘疹やジュクジュクした膿疱が出現します。

 髪の毛が容易に抜けてしまい、早期に治療しないと永久脱毛してしまう瘢痕性脱毛となることがあります。


 放置すれば、炎症や脱毛は広範囲に拡がり、膿の排泄や腫れがでること、圧痛を伴うこともあります。

 ケルズス禿瘡の治療薬については、「水虫治療薬」を参照してください。

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どんな病気ですか?
〔ケルズス禿瘡という病気〕

 ケルズス禿瘡(とくそう)や、水虫、爪水虫、陰金田虫、しらくも・頭部白癬などは、真菌が原因で発症する皮膚感染症です。

 これらの病気の原因は、皮膚糸状菌(多くは白癬菌)という真菌によって起こる病気です。真菌は、簡単にいえば、カビの一種と考えられる細菌です。

ケルズス禿瘡とは
ケルズス禿瘡

 ケルズス禿瘡は、人畜共通の病気で、頭部に生じる白癬菌感染症の一つですが、細菌が皮膚の下部まで侵入してしまい、毛嚢を破壊し、脱毛を生じます。

 紅斑ができ、丘疹、膿疱が頭部に出現し、圧痛を伴うこともあり、髪の毛は容易に抜けて瘢痕性脱毛を残すことがあります。

 ケルズス禿瘡は、人畜共通の病気であり、難治性の病気で、猫や犬をペットとして飼っている人などに多く発症します。人では乳幼児に多くみられます。

水虫

 水虫は、主に足の底に小さな水疱をつくるものや、足の指と指の間に小さな水疱ができ破れて白くふやけてびらん状になるもの、足の裏の角質層が厚くなり硬化してしまうものなどがあります。

 多くの場合、痒みをともないます。

爪水虫

 爪水虫は、真菌が足の爪の内部まで侵入して、爪の角質がぼろぼろになり、白く濁ります。

 ひどくなると、爪が分厚く膨らんだり、爪の形が歪み変形し、反り返ったりする病気です。

陰金田虫

 陰金田虫は、単に「いんきん」ともよばれ、主に陰部周辺にできる慢性湿疹のような赤いブツブツで、黄濁色の粘液を含む膿庖ができる病気です。

しらくも(頭部白癬)

 しらくもは、頭部に生じる白癬菌感染症で、頭部白癬とも呼ばれ、頭部にふけ(鱗屑)が付着した境界のはっきりしたゼニ型の脱毛局面が現れる病気です。


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どんな症状ですか?
〔ケルズス禿瘡の症状〕

 ケルズス禿瘡の典型的な症状は、頭部の髪の毛の根元付近に円形や半円形、楕円形などに隆起した丘疹状の膿を持つ湿疹・腫瘍ができることです。

 膿疱が頭部にできることで頭部が赤く腫れたようになります。膿が流れ出るとともに手で押すと圧通を感じます。

 早期治療しないで放置すると、髪の毛が容易に抜け落ちるようになります。

 深部まで侵入した細菌が毛嚢を破壊し脱毛させるので、瘢痕性脱毛といって、永久に髪の毛が生えてこない永久脱毛状態に陥ります。

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原因は何ですか?
〔ケルズス禿瘡の原因〕

 ケルズス禿瘡は、水虫や陰金田虫、しらくも・頭部白癬などと同様な真菌(白癬菌)の感染が原因で発症する皮膚感染症です。

 白癬菌は高温多湿の環境下で繁殖しやすいので、汗ばんだり濡れたりした皮膚をそのままにしておくと感染し易くなります。

 頭部にできるしらくも・頭部白癬の症状を放置していると、細菌が毛根根元まで侵入してケルズス禿瘡を引き起こすと考えられます。

 ケルズス禿瘡もしらくも・頭部白癬と同様に人畜共通の感染症であり、犬や猫などのペットから感染することがあるので注意が必要です。

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診断はどうやりますか?
〔ケルズス禿瘡の診断〕

 ケルズス禿瘡の検査も通常の水虫やしらくも・頭部白癬、陰金田虫などの検査と同様におこないます。

 頭部にケルズス禿瘡特有な丘疹があり、膿がでていたり、脱毛現象があるとこの病気が疑われます。

 ケルズス禿瘡を確定診断するには、頭部の炎症が出ている部位から皮膚のサンプルを採取し、顕微鏡で見て検査します。

 この顕微鏡検査で白癬菌が見つかるかどうかが、診断の決め手となります。

 最も一般的な白癬菌の検査は、「カセイカリ検査法」です。この方法では、感染している部位から採取した皮膚に少量のカセイカリ液を加え、60~70度Cで2~3分加熱後に顕微鏡観察します。

 白癬菌は、糸状の菌糸が繋がって伸びていて、ところどころに竹の節状の隔壁があります。これが数珠のように連続していて、これらがひとつずつ離れると周囲に飛散してゆきます。

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治療はどうやりますか?
〔ケルズス禿瘡の治療方針〕

 ケルズス禿瘡に限らず、白癬菌による病気には、先ずは抗真菌薬の外用薬を用いて治療します。主に使用される薬には次のようなものがあります。

抗真菌薬の外用薬
薬剤成分 商品名 効能など

塩酸ブテナフィン メンタックス・ボレー・ブテナロック 臨床研究で非常に高い効果が認められています。

ビボナゾール マイコスボール 臨床研究で非常に高い効果が認められています。

ラノコナゾール アスタット 臨床研究は不明ですが、専門家の経験で使用されています。

塩酸テルビナフィン ラミシール 臨床研究で非常に高い効果が認められています。

硝酸ミコナゾール フロリードD 臨床研究で非常に高い効果が認められています。

クロトリマゾール エンペシド 臨床研究で非常に高い効果が認められています。

 しかし、ケルズス禿瘡のように白癬菌が皮膚深部にまで侵入して炎症を起こしている場合には、外用薬(塗り薬)だけでは効果が出ないこともあります。

 この場合には、外用薬と同時に内服薬も併用して、原因細菌を身体の内と外から挟み撃ちにして治療します。

 内服薬での治療にはそれなりの治療期間が必要となり、とても根気の要る治療となります。

 内服薬を長期間使用することで肝臓障害などの副作用を伴うことがあるので、定期的な肝機能検査なども必要です。

抗真菌薬の内服薬
薬剤成分 商品名 効能など

塩酸テルビナフィン ラミシール 臨床研究で非常に高い効果が認められています。

イトラコナゾール イトリゾール 臨床研究で非常に高い効果が認められています。



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