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〔外耳道炎〕

概要病気症状原因診断
治療予後合併症情報書籍
 
この疾患の概要です

 耳にある鼓膜は、外界からの音を振動として捉える非常に大事な器官です。

 下図の「耳の構造」で示すように、この鼓膜を外界からの不用意な攻撃から守るために存在するのが「外耳道」です。

 外耳道は、通常「耳の穴」などと呼ばれています。この外耳道に炎症が起こったものが〔外耳道炎〕です。



 この疾患は、乱暴な耳かきなどで傷ができ、そこに細菌や真菌などが感染したりして起こります。

 また、プールやお風呂で汚れた水が耳に染み込み、腐敗したりしても起こります。

外耳道

 〔外耳道炎〕になると、耳のかゆみや痛みが出る病気で、酷いときは耳だれがでることもあります。

 また、耳たぶを引っ張ったり、押さえたりすると痛みが増すこともあります。


 外耳道には耳垢が溜まりますが、これらは皮膚細胞の廃棄物と汗や皮脂が混ざってできたものです。

 耳垢の種類には、粘土状の「湿性耳垢」とかさぶたのような「乾性耳垢」とがあります。

 通常なら、耳垢は自然に外耳道の入口方向へと排出されるようになっています。

 耳垢が溜まると気持ち悪いので耳垢掃除をしますが、このとき掃除をやりすぎて耳の穴に傷をつけたりすると〔外耳道炎〕の原因となってしまいます。

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どんな病気ですか?
〔外耳道炎という病気〕

 外耳道炎は、外耳道の皮膚に炎症を起こす病気で、痒みや痛み、灼熱間(しゃくねつかん)などの症状を起こす病気です。

 酷くなると耳だれといって耳から膿のような液体が流れ出るようになります。また、耳閉感(耳の詰まった感じ)や耳鳴り、難聴の症状がでることもあります。

 耳の穴、外耳道の手前の部分は軟骨でできた部分で柔らかく、ここに耳垢が溜まります。

 外耳道の奥の部分は骨で出来ていて硬くなっており、触れると痛みを感じ、ここには耳垢は生じません。

 前半部分にできる耳垢は、ある程度の塊になってくると、頭部の振動などで自然に外れて外部にでてくるようになっています。

 しかし、必ずしも自然に除去されないこともあるので時々掃除が必要ですが、基本的に耳垢掃除が必要なのは外耳道の手前半分の部分です。

 耳垢が溜まりすぎてそのまま放置しておくと、耳掃除などで出来たちょっとした傷が原因で細菌が感染・増殖して皮膚に炎症を起こすようになります。

 また、酷くなると皮膚とその下部にある骨との間に膿がたまり耳だれなどを起こすようにもなります。これらの症状が外耳道炎です。

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どんな症状ですか?
〔外耳道炎の症状〕

 外耳道炎には、四つの種類があり症状も異なります。

 ・限局性外耳道炎
 ・び慢性外耳道炎
 ・外耳真菌症
 ・悪性外耳道炎

外耳道炎の種類と症状
限局性外耳道炎

 限局性外耳道炎とは外耳道の外側三分の一の部分に起こる炎症です。

 耳の痛み、耳たぶを引っ張ったときの痛み(耳介牽引痛)、物を噛むときの耳の痛み(咀嚼時耳痛)が出ます。また、開口障害やリンパ節炎、耳周辺部分に腫れが生じることもあります。

び慢性外耳道炎

 び慢性外耳道炎は、外耳道の奥の方の三分の二の部分に起こる炎症です。

 耳の痒み、耳が詰まった感じ(耳閉感・閉塞感)、耳の痛みなどが起こり、時には漿液と呼ばれる透明な分泌液が出ることがあります。

 また、鼓膜に近い部分での炎症なので鼓膜に炎症が及ぶこともあります。

外耳真菌症

 外耳真菌症は、免疫力が低下したときなどに真菌が骨部外耳道に感染し炎症を起こす病気です。

 かゆみや耳の閉塞感、異物感、耳鳴り、軽い難聴などの症状が現れます。

悪性外耳道炎

 細菌感染に対する抵抗力が衰えた高齢者などに緑膿菌(りょくのうきん)が感染して起こる外耳道感染症です。

 耳の痛みや痒み、耳の閉塞感、漿液性液体の分泌、異物感、耳鳴り、軽い難聴などの症状が現れます。

 悪性外耳道炎は、外耳道から発症し、やがて周囲の軟部組織、側頭骨、さらには頭蓋底部まで進行する壊死性・難治性の病気です。

 さまざまな脳神経症状を引き起こし予後は不良です。


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原因は何ですか?
〔外耳道炎の原因〕

 外耳道炎は、基本的には骨部や軟骨部の外耳道の皮膚に細菌感染が起こり、炎症を起こしたりおできが出来たりする病気です。

 このような炎症を起こす原因は、アレルギーや乾癬、湿疹、頭部皮膚炎などのような病気であったり、耳垢を掃除しようとして外耳道に傷を作ったことが元で病原菌が感染することによります。

 また、発汗や海水浴、プールなどでもブドウ球菌などが感染して外耳道炎の原因となることがあります。

 外耳道を長期間にわたり湿潤な状態に置くと、真菌による感染が起こり外耳道真菌症になります。

 更に、お風呂でのシャンプーや毛染め液や整髪料が耳に入ったりしても炎症を起こすことがあります。補聴器や音楽用のレシーバー、耳栓なども清潔にしておかないと感染原因となります。

 糖尿病や免疫疾患などで全身状態がよくない人では、外耳道炎が繰り返し起こることがあります。

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診断はどうやりますか?
〔外耳道炎の診断〕

 外耳道炎は、特別な検査をしなくてもその症状から診断されます。

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治療はどうやりますか?
〔外耳道炎の治療方針〕

 外耳道炎の治療では、先ず耳垢の取り除きと、外耳道の消毒・清潔化を行います。その上で、「薬物療法」により治療します。

 その後は、予防も含め、耳かきや麺棒の使用などを必要以上にやらないことに努めます。

〔外耳道炎の薬物療法〕

 外耳道炎の治療に用いられる医薬には、耳の痒みを抑える「痒み止め薬」や耳の痛み止めである「鎮痛剤」、炎症を抑制する「抗生物質」、そして病原菌を退治する「抗真菌薬」などがあります。

外耳道炎の治療法
消毒

 通常の治療法としては、先ず耳垢を取り去り外耳道内を消毒し、清潔にします。

痛み止め

 耳の痛みがある場合には、鎮痛剤を服用して痛みを抑えます。

炎症の抑制

 炎症が広がったりした場合には、抗生物質やステロイド剤の入った軟膏を塗布します。

 また「点耳薬」といって目薬みたいに耳に液体の薬を指すものもあります。症状により抗生物質やステロイド剤を服用することもあります。

 通常、これらの治療をすれば、一週間ほどで膿が破れて出てきて症状は軽快しますが、症状が完全になくなるまで行わず中途半端で治療を止めてしまうと、炎症が骨の内部にまで及ぶことがあるので注意が必要です。

 軽快した後は、再発防止のためにも耳掻きや綿棒の使用を必要以上にしてはいけません。

 耳をきれいにしようとして執拗に外耳をこすり掃除をすると、逆に外耳道内に傷を作り細菌感染を起こしやすくなります。

 健康状態なら、耳垢は自然に剥がれ落ちるので、耳掃除を頻繁にやる必要はありません。

 なお、次のような難治性の合併症を伴う症状では、慎重な治療が必要となります。

合併症のあるときの治療注意点
外耳道湿疹

 アレルギー体質やシャンプー・化粧品・洗剤などの化学的刺激により外耳道内に湿疹がでる場合、ステロイド軟膏の塗布や抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬の内服が有効です。

 しかし、抗生物質や消毒薬は湿疹を更に悪化させることがあります。

外耳真菌症

 外耳道に水虫と同様な真菌が蔓延るばあい、強い痒みが生じるので、これを掻き毟ると二次感染を起こし更に症状が悪くなります。

 抗真菌薬や抗生物質、ステロイド剤の混合軟膏で症状は改善しますが、症状が改善したら、抗生物質やステロイド剤の使用は直ちに中止しなくてはいけません。

 これらの医薬は真菌を増殖させる原因となるからです。

悪性外耳道炎

 悪性外耳道炎の発症頻度は低く滅多に起こりませんが、いったん罹ると症状は進行するので注意が必要です。

 多くは、緑膿菌の感染によるもので、外耳道の皮膚や軟骨、骨を破壊してしまいます。


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