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〔ベーチェット病〕


概要病気症状原因診断
治療予後合併症情報書籍
 

この疾患の概要です

 〔ベーチェット病(BD)〕は、別名〔ベーチェット症候群(BS)〕とも呼ばれる疾患で、次の四大特徴を有し、全身にわたって症状が起きる病気です。

 ・口腔粘膜症状
 ・皮膚症状
 ・外陰部症状
 ・眼症状

 初期段階では、口内炎や皮膚にしこりのある紅斑が繰り返し現れ、痛みを伴います。



 目の痛み、まぶしくて目が開けていられない症状や目がかすむなどの症状がでます。

 この病気の発生原因は不明で、遺伝的なものや免疫異常、ウイルスなどが複雑にかかわっているものと考えられています。

 〔ベーチェット病〕では、四つの主症状の他に、副症状としてさまざまな症状が現れます。

 それらは〔特殊型ベーチェット病〕とされ、下の表に示すような種類があります。


 これらの発症頻度は低いですが、発症する場合は生命の危険が大きくなります。

 日本では1000人ほどのベーチェット病患者がいて、特定疾患に指定されています。

特殊型ベーチェット病
血管型
ベーチェット病

 血管に炎症がみられるもの

腸管型
ベーチェット病

 腸管(回腸)に潰瘍がみられるもの

神経型
ベーチェット病

 中枢神経が侵され、脳症状が起こるもの


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どんな病気ですか?
〔ベーチェット病という病気〕

 ベーチェット病(BD:Behcet's Disease)は、トルコの眼科医ベーチェット(Behcet)が発見した病気で、ベーチェット症候群(BS:Behcet's Syndrome)とも呼ばれます。

 ベーチェット病には、全身に亘って現われる四つの主症状と呼ばれる特徴的な症状が現われます。次の四つです。

 ・口腔粘膜症状
 ・皮膚症状
 ・外陰部症状
 ・眼症状

 この病気は、寛解と再発を繰り返す自己免疫型の慢性疾患で原因不明です。古典的な膠原病には含まれないものの、膠原病の類縁疾患のひとつとされています。

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どんな症状ですか?
〔ベーチェット病の症状〕

 この病気には多くの症状がありますが、次の表で示すように、この病気特有の典型的な四大主症状があります。

ベーチェット病の四大症状
皮膚症状  ベーチェット病による皮膚症状には、主に足にできる痛みを伴う紅い斑点状のしこりとなる「結節性紅斑」、皮下結節血管に沿って赤く腫れる「血栓性静脈炎」、ニキビ様の「毛膿炎様皮疹」があります。また、注射針を刺した跡が化膿して赤く腫れたり、かみそり負けをしやすいなどの症状がみられます。

 これらの症状は、よくなってもまた悪くなるという寛解と再発を繰り返す特徴があります。結節性紅斑はこの病勢と一致してよくなったり悪くなったりします。

口腔粘膜症状  口の中に痛みを伴う潰瘍「アフタ」ができます。いわゆる口内炎で、一般的にできるアフタ性口内炎との区別はつきにくいです。

外陰部症状  外陰部である、男性の陰茎や陰嚢、女性の大陰唇などに特徴的な痛みを伴う潰瘍が出きます。

眼症状  眼の中の「ぶどう膜」という部位に炎症がおこり、「ブドウ膜炎」を起こします。この症状は寛解と再発を繰り返しやすく、多くの場合、突然の視力低下、眼の痛みが起こり、ときに失明することがあります。

 ベーチェット病の副症状として「関節症状」「副睾丸炎」「消化器病変」「血管病変」および「神経病変」などの病変が起こることがあります。

 四大主症状の全部を含むものは「完全型ベーチェット病」と呼ばれ、それ以外でも「主症状3つ」、または「主症状2つ+副症状2つ」のような組み合わせは「不全型ベーチェット病」などと呼ばれます。

 副症状の内で、強い腸症状、強い血管炎症状、強い神経症状を示すものは〔特殊ベーチェット病〕とされ、それぞれ〔腸管ベーチェット病〕〔血管ベーチェット病〕〔神経ベーチェット病〕と呼ばれます。これらは、ときに重症化し生命の危険も招く恐れのある病気です。こららは、予後が悪い事が知られています。

特殊型ベーチェット病
血管ベーチェット病  血管に炎症がみられるもので、大動脈炎をおこしたり、肺動脈炎から大量喀血や血管病変に伴う脳血管障害や心筋梗塞などが起こることがあります。

腸管ベーチェット病  腸管に潰瘍がみられるもので、血便、大腸潰瘍が起こり、主に回盲部に病変が現れます。

神経ベーチェット病  中枢神経が侵され、脳症状が起こるもので、脳神経の巣症状、髄膜炎による精神症状、末梢神経障害、脳血管障害による麻痺や感覚障害が起こることがあります。


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原因は何ですか?
〔ベーチェット病の原因〕

 この病気の原因は不明です。

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診断はどうやりますか?
〔ベーチェット病の診断〕

 ベーチェット病の診断は、厚生労働省研究班による診断基準が使用されます。

 四つの主症状が出揃うなら「完全型」として診断されますが、症状が不完全な場合には、その程度によって「不全型」か「疑い」として診断されます。

ベーチェット病の診断基準
完全型  経過中に4主症状の出現したもの

不全型 a.経過中に3主症状(あるいは2主症状と2副症状)が出現したもの

b.経過中に定期的眼症状とその他の1主症状(あるいは2副症状)が出現したもの

疑い  主症状の一部が出没するが不全型の条件を満たさないもの、および定期的な副症状が反復あるいは憎悪するもの

 ベーチェット病の検査は、皮膚の針反応として、皮膚に太い針(22~18G針)を刺したときベーチェット病に特徴的な皮膚反応が陽性か陰性か確認します。

 その他、血液検査で炎症反応として、赤沈の亢進、血清CRPの高値、末梢白血球数の増加などを調べます。

 膠原病のHLA抗原検査で、HLA-B51が陽性か調べます。

 通常、ベーチェット病患者の半数はHLA-B51抗原が陽性であるとされています。


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治療はどうやりますか?
〔ベーチェット病の治療〕

 ベーチェット病の治療は、主に「生活指導」と「薬物療法」の二つで行われます。

ベーチェット病の治療方法
生活指導  全身の休養と保温。バランスのとれた食事内容。ストレスの軽減などを指導されます。

 全身の休養と保温。バランスのとれた食事内容。ストレスの軽減。

薬物療法  ベーチェット病の治療は、症状(病態の重症度・後遺症が残る可能性など)とタイプに合わせて、ステロイド薬、免疫抑制剤、およびその他の薬剤が用いられます。

 生命の危険を伴う可能性が高かったり、重度の後遺症が残る可能性のある特殊型ベーチェット病の場合には、大容量の副腎皮質ステロイドの投与による治療が行われます。

 ステロイドで病状がよくなり寛解しても、病状の進行を抑制したり、進行を遅延させる目的で、継続的に投与する必要があります。

 また、特殊型ベーチェット病の腸管型や血管型では、救命のため外科手術が必要となることもあります。

 重大な後遺症を残す眼症状(特に眼底型病変)には、コルヒチンなどの免疫抑制剤での治療が行われます。

 軽度の症状で、日常生活に支障もない程度の粘膜皮膚病変や、関節病変については、内服薬などによる局所療法が施されます。

 コルヒチンやアゼラスチンなどの好中球機能抑制作用薬や非ステロイド性抗炎症剤などが使用されます。



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