この病気には多くの症状がありますが、次の表で示すように、この病気特有の典型的な四大主症状があります。
皮膚症状 |
ベーチェット病による皮膚症状には、主に足にできる痛みを伴う紅い斑点状のしこりとなる「結節性紅斑」、皮下結節血管に沿って赤く腫れる「血栓性静脈炎」、ニキビ様の「毛膿炎様皮疹」があります。
また、注射針を刺した跡が化膿して赤く腫れたり、かみそり負けをしやすいなどの症状がみられます。
これらの症状は、よくなってもまた悪くなるという寛解と再発を繰り返す特徴があります。結節性紅斑はこの病勢と一致してよくなったり悪くなったりします。
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口腔粘膜症状 |
口の中に痛みを伴う潰瘍「アフタ」ができます。いわゆる口内炎で、一般的にできるアフタ性口内炎との区別はつきにくいです。
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外陰部症状 |
外陰部である、男性の陰茎や陰嚢、女性の大陰唇などに特徴的な痛みを伴う潰瘍が出きます。
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眼症状 |
眼の中の「ぶどう膜」という部位に炎症がおこり、「ブドウ膜炎」を起こします。この症状は寛解と再発を繰り返しやすく、多くの場合、突然の視力低下、眼の痛みが起こり、ときに失明することがあります。
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ベーチェット病の副症状として、次のような病変が起こることが知られています。
・関節症状
・副睾丸炎
・消化器病変
・血管病変
・神経病変
四大主症状の全部を含むものは「完全型ベーチェット病」と呼ばれ、それ以外でも「主症状3つ」、または「主症状2つ+副症状2つ」のような組み合わせは「不全型ベーチェット病」などと呼ばれます。
副症状の内で、強い腸症状、強い血管炎症状、強い神経症状を示すものは〔特殊ベーチェット病〕とされ、それぞれ〔腸管ベーチェット病〕〔血管ベーチェット病〕〔神経ベーチェット病〕と呼ばれます。これらは、ときに重症化し生命の危険も招く恐れのある病気です。こららは、予後が悪い事が知られています。
血管 ベーチェット病 |
血管に炎症がみられるもので、大動脈炎をおこしたり、肺動脈炎から大量喀血や血管病変に伴う脳血管障害や心筋梗塞などが起こることがあります。
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腸管 ベーチェット病 |
腸管に潰瘍がみられるもので、血便、大腸潰瘍が起こり、主に回盲部に病変が現れます。
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神経 ベーチェット病 |
中枢神経が侵され、脳症状が起こるもので、脳神経の巣症状、髄膜炎による精神症状、末梢神経障害、脳血管障害による麻痺や感覚障害が起こることがあります。
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