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〔急性前立腺炎〕


概要病気症状原因診断
治療予後合併症情報書籍
 

この疾患の概要です

 男性生殖器は、睾丸(精巣)、副睾丸(精巣上体)、精管、精のう腺、陰茎、前立腺からなりたっています。

 前立腺は、膀胱の出口で尿道を取り巻くように存在していて、精液の一部となる前立腺液を分泌しています。

 よく知られる前立腺の病気には、加齢によるホルモン分泌量の変化などによる、〔前立腺肥大症〕があります。


 また、大腸菌などの細菌感染によって前立腺に炎症が起こるのが〔急性前立腺炎〕です。

 〔急性前立腺炎〕になると、発熱、悪寒、頻尿、排尿痛などの症状が現れます。原因となる細菌は、大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌などです。

 前立腺に細菌などが感染する経路には、尿道から細菌が経路を逆行して前立腺に侵入する「逆行性感染」と、血管やリンパ管経由で細菌が前立腺に侵入する「経脈管性感染」とがあります。


男性生殖器の図

 この病気については 〔男性特有のがん〕 の項目でご説明しておりますので、そちらを参照してください。

 このページでは、特に重要な男性特有の病気について概説しています。


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どんな病気ですか?
〔急性前立腺炎という病気〕

 通常、尿道から侵入した細菌が尿の流れとは逆行して、その上流にある前立腺に侵入し感染した病気が急性前立腺炎と呼ばれます。

 細菌の侵入経路には、この他にも血流やリンパ流に乗って前立腺に至って感染する場合もあります。ともに急性前立腺炎と呼ばれます。

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どんな症状ですか?
〔急性前立腺炎の症状〕

 急性前立腺炎になると、38~40度Cの高熱や悪寒とともに前立腺が大きく腫脹し、排尿困難になったり、排尿痛や頻尿などの排尿障害を生じます。

 更に症状が進行すると、前立腺が腫れて尿道を強く圧迫して排尿困難から尿閉(閉尿)と呼ばれる尿がまったく出なくなってしまうことがあります。

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原因は何ですか?
〔急性前立腺炎の原因〕

 急性前立腺炎は前立腺への細菌感染が直接の原因です。急性前立腺を引き起こす原因となる細菌類は、主に大腸菌に代表されるグラム陰性桿菌ですが、これ以外にもブドウ球菌や連鎖球菌などが原因となります。

 また、性感染症を引き起こす淋菌、クラミジア・トリコマティス、膣トリコモナスなどの菌類も原因となります。

 原因細菌類の感染経路には「逆行性感染経路」と「経脈管性感染経路」の二つの経路があります。

 その他の感染経路として、他の病気の合併症として起こるものと、特殊な原因経路として、前立腺がんの検査などが誘因となることもあります。

急性前立腺炎の細菌感染経路
逆行性感染経路  逆行性感染は、尿道から侵入してきた細菌が、尿路を逆流してさかのぼり、前立腺の管腔内に侵入して感染し炎症を引き起こす経路です。

経脈管性感染経路  経脈管性感染は、細菌が血管やリンパ管を経由して前立腺内に侵入し感染する経路です。また、尿道や膀胱、副睾丸の細菌感染が前立腺にまで侵入してくる場合もあります。

 また、痔疾患の患者では、肛門から経脈管性感染も起こりえます。

その他の感染経路  その他の感染経路としては、他の疾患が原因となって前立腺に細菌が侵入し感染するもので、多くのケースが起こりえます。

 結石や前立腺肥大症、尿道狭窄、糖尿病などの合併症として、急性前立腺炎が発症することがあります。

 原因あるいは誘因となる基礎疾患がはっきりしていることもありますが、感染経路がはっきりしないで発症することもあります。

 前立腺がんの検査や診断のために行う尿道膀胱鏡検査や尿量測定用のカテーテル操作、前立腺生検などの検査や処置が誘因となることもあります。


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診断はどうやりますか?
〔急性前立腺炎の診断〕

 細菌感染により急性前立腺炎を発症すると、激しい炎症のために、自然排尿した尿の中に原因となる細菌と、炎症に対抗してできる白血球とが認められるようになるので、尿検査で診断されます。

 また、医師が肛門から指を入れて前立腺を触診すると、患者は圧迫通を感じます。

 ただし、この時点で誤って前立腺をマッサージすると、細菌を血液中に散布してしまうので、マッサージは禁止・禁忌とされています。

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治療はどうやりますか?
〔急性前立腺炎の治療〕

 急性前立腺炎は、基本的には細菌感染による炎症なので、尿検査から原因となっている細菌の種類を調べて、その細菌に対して有効な抗生物質を投与して治療します。

 通常、抗生物質は急性炎症を起こした前立腺には到達しやすいので、数日~1週間くらいで症状は快方に向かいます。

 重症となり、尿閉を起こしている場合には、下腹部恥骨の上に穿刺(針を刺し)して、尿を体外に導くように管を取り付けるか、あるいは尿道留置カテーテルを用いて尿の排泄ができるようにします。

 高熱がある場合や重症の場合には、敗血症に進行すると生命の危険もあるので、入院します。十分な水分を補給するための点滴注射を行い安静にします。


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