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〔水ぼうそう・水疱瘡・水痘〕

概要病気症状原因診断
治療予後合併症情報書籍
 
この疾患の概要です

 〔水ぼうそう〕は〔水疱瘡〕とか〔水痘〕とも呼ばれ、水痘・帯状疱疹ウイルスの感染によっておこる疾患です。

 発熱からはじまり、顔に虫刺されのような小さな水泡丘疹ができ、身体中に広がります。

 咳やくしゃみなどの飛沫感染や接触感染、空気感染で移ります。治った後も、体力が落ちると〔帯状疱疹〕が再発します。



 〔水ぼうそう〕は、集団生活を始めた2~10歳くらいまでの幼児・低学年児童が多く罹る病気で、感染力が強く毎年流行します。

 兄弟のだれか一人が罹ると、他の兄弟にも次々と感染します。

 この病気は生後3か月以内の乳児や成人にはあまり感染しません。

 〔水ぼうそう〕に罹って治癒しても、数十年後になって体力が落ちてくると、体内に潜伏していた水痘・帯状疱疹ウイルスが活性化して〔帯状疱疹〕という非常に痛みの強い病気を発症させることがあります。


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どんな病気ですか?
〔水ぼうそうという病気〕

 水ぼうそうは、とても感染力の強い伝染病で、2~10歳くらいの幼児を中心に毎年流行する病気です。

 水疱ウイルス(帯状疱疹ウイルス)によって起こる病気ですが、主に咳などの飛沫感染で広がります。

 最初、虫刺されのようなプクッとした発疹が幼児の額やお腹、おしり、おちんちんの周りなどにでき、やがてブツブツの水泡をもった発疹に変わります。

 発疹は全身に広がり、髪の毛の間や口の中などにもできます。

 幼児や10歳くらいまでの低学年学童では、それほど高熱はでませんが、37~38度C台の発熱が3~4日続きます。

 この病気に感染したら、幼稚園や学校は休まなくてはいけません。

 通常、水ぼうそうは、一度罹れば、抗体ができるので、再び罹ることはありません。

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どんな症状ですか?
〔水ぼうそうの主な症状〕

 水ぼうそうの症状の特徴は、強いかゆみを伴い全身に広がる「発疹」と「発熱」がおもな症状です。

〔発熱〕

 発熱は、まったくみられないことや39~40度Cの高熱がでることも全くないわけではありませんが、10歳くらいの幼児や学童くらいまでの場合は、それほど高熱が出ることはなく、37~38度Cくらいの熱が3~4日続く程度です。

 通常、発熱に合わせて発疹が現れてきます。

 後ほど述べるように、発疹は次々と出現するのですが、新たな発疹がでなくなる時期になると熱は徐々に下がってきます。

〔発疹〕

 症状のはじまりは、額やお腹、おしり、おちんちんの周り、背中などに、虫刺されのようなプクッとした赤くて小さな盛り上がりがでてきます。

 丘疹の盛り上がりは直径で3~5ミリほどになります。

 半日~1日くらい経過すると、赤い丘疹は内部に水を含んだ小豆粒大の白っぽい水疱・水ぶくれに変わります。

 しばしば、水疱には膿がたまって膿疱へと変化することがあります。。

 発疹は一斉にでるのではなく、時間とともに顔や頭部、腕、足などへと続々と出現し、早ければ半日程度で、遅くても数日の間に全身に広がります。

 発疹はとても痒くなるのでかなり機嫌が悪くなります。また、掻き毟ると、細菌感染したり、後々症状が完全に消えた後に跡が残ることがあります。

 さらに、3~4日すると、水疱や膿疱は乾いて黒っぽい痂皮(かさぶた)に変化します。

 強い痒みを伴うのは水疱・膿疱の段階までで、かさぶたになった部位での痒みは治まります。

 発疹は、口の中の粘膜や頭の毛の間、まぶたや結膜なども含めて、全身のいたるところに出来ます。

 発疹は、発生した順番で水泡・膿疱になり、かさぶたに変化していくので、発疹が出始めてから数日間は、できたての赤い発疹、水泡、膿疱、かさぶたが混在する状態となります。

 かさぶたは、自然に剥がれ落ちていきますが、完全にはがれるまでには3週間くらいかかります。

 かさぶたの後が白く残ることがありますが、半年くらい後にはもとの綺麗な状態に戻ります。

 しかし、掻き毟って傷つけた跡などが残ることはあります。

 このように、発疹は、【「丘疹」→「水疱」→「膿疱」→「痂皮」】の順に変化し、やがて治癒します。

 熱が下がればシャワーは大丈夫ですが、お風呂に入るのは発疹が全てかさぶたになってからがよいです。

〔保育園・幼稚園〕

 水ぼうそうは感染してから発症するまでの潜伏期間は約2週間です。

 うつりやすいのは発疹の出る1~2日前から、発疹がかさぶたになるまでの間ですが、保育園・幼稚園などの集団生活に戻るときは医師の登園許可が必要となります。

〔症状が重くなる人たち〕

 アトピー性皮膚炎の患者は発疹が重症になりやすいといわれています。

 ステロイド療養中の患者、悪性腫瘍を化学療法で治療中の患者、およびエイズなどの免疫不全患者では、重症化しやすくなります。

〔遠い将来への影響〕

 小児では、重症になることはほとんどありませんが、成人の患者では間質性肺炎の合併などに進行する場合があります。

 また、皮膚での発疹も概して重症化します。

 治療完治後も水痘ウイルス・帯状疱疹ウイルスは神経節などに潜伏して生き続け、遠い将来になって、免疫力が低下したときや疲労、ストレスなどが重なったときに、再度活性化して帯状疱疹を発症することがあります。

 通常、水ぼうそうは、一度罹れば二度とは感染しないとされますが、長期間後に抗体が消えれば、再度感染することはあります。

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原因は何ですか?
〔水ぼうそうの原因〕

 水ぼうそう・水疱瘡・水痘は、ヘルペスウイルス科の水痘・帯状疱疹ウイルスの初感染により起こる伝染性の病気です。

 このウイルスは、150~200ナノメートルという微細な大きさを持っています。

 このウイルスは非常に強い感染力を持ち、主に空気感染、飛沫感染、および接触感染により感染します。

 患者が排出するウイルスはチリやホコリとなって室内を飛散し、一定数以上が鼻や喉から吸い込まれれば、直接の接触がなくても感染します。

 また、保育園や幼稚園、小学校などの同じ部屋で過ごすだけでも容易に感染します。

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診断はどうやりますか?
〔水ぼうそうの診断〕

 水ぼうその診断は、通常は臨床的に行われます。特別な場合で病原診断が必要なときは、実験室診断が行われます。

 通常、水痘内容物を採取し患者からウイルスを分離します。

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治療はどうやりますか?
〔水ぼうそうの治療方針〕

 水ぼうそう・水痘は、ウイルス感染症なので、特効的な治療法はありません。

 通常の治療方針は、症状に応じて苦痛を軽減する対症療法として抗ウイルス薬などの薬物療法で対処します。

 現在では有効なワクチンが開発され実用化されているので、本質的は、発症してから治療するよりも、ワクチン接種により予防することに重きが置かれています。

〔水ぼうそうの薬物療法〕

 通常、水ぼうそう・水痘は、特別な治療を施さなくても時間が経過すれば自然治癒する病気です。

 しかし、強い痒みを伴い乳幼児にはつらい病気なので、痒みを抑えるための「抗ヒスタミン剤」や水疱を早く乾燥させるための「軟膏(外用薬)」が投与されます。

 また、細菌感染を予防したり治療するには「抗生物質」が処方されることもあります。

 炎症がはじまって、24時間以内の早い段階に「アシクロビル(商品名:ゾビラックス)」や「ファムシクロビル」などという抗ウイルス薬を投与すると、体内でウイルスが増殖することを抑制できます。

 発疹や水疱の数を減らすことができるので、症状が軽く済み、治癒も早くなります。

 ただし、投与するタイミングを失して遅く投与しても効果は期待できません。

 これらの抗ウイルス薬は妊婦には使用できません。

 家庭でできることとして、発疹のある皮膚に湿布をあてると皮膚の痒みを和らげる効果があり、引っかいて感染を拡げてしまう危険も予防できます。

 細菌感染予防のために、皮膚は石鹸を使ってよく洗い、手指も清潔に保つようにします。

 爪は引っかき傷を作らないために短く切り、磨いておきます。衣類はしっかりと乾燥したものを着用します。

〔水ぼうそうの予防〕

 水ぼうそう・水痘を予防する最善の方法は、事前に水痘ワクチンの接種を受けることです。

 水痘ワクチンによる予防率は必ずしも100%とはいえませんが、大きな効果があります。

 水痘ワクチンには副反応はほとんどなく、安全性の高いワクチンです。

 新生児では母親から受け継いだ抗体が消えるころに受ける必要があり、生後1歳以降に接種を受けられます。費用は自費となります。

 乳児などでは、まだ免疫を作る力がそれほど強くないため、接種を受けても1~2割ほどの乳児は水ぼうそうに罹ってしまうことがありますが、それでも症状は軽く済みます。

 水痘ワクチンは、水ぼうそうの患者と接触してから、3日以内に接種すれば予防効果が期待できます。

 水ぼうそうの患者と接触があり、感染の危険があると分かったらすぐ接種を受ければ症状を軽く済ませることが可能です。

 アトピー性皮膚炎のある子供が水ぼうそう・水痘に罹ると、どうしても皮膚症状が重症化するので、ワクチン接種可能な月齢・年齢になったら、できるだけ早い段階で水痘ワクチンを接種しておくことが大切です。

 ネフローゼや白血病などの治療に副腎皮質ステロイドホルモン剤を使用している乳幼児が水ぼうそう・水痘に罹ると重症化する心配があるので、この場合も、そのような治療を開始する前に水痘ワクチンを接種しておくとよいです。

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合併症はありますか?
〔水ぼうそうの合併症〕

 水ぼうそうは成人してから初感染すると重篤な合併症が発症する危険があるといわれています。

 ごくまれな合併症は「脳炎」「髄膜炎」、および「肺炎」などです。

 発疹が出現してから1週間以内に頭痛や高熱、痙攣などの症状がある場合は脳炎が疑われますが、適切に治療すれば特別な問題もなく完治し、後遺症も残りません。

 妊娠初期(8~20週目)の妊婦が初感染した場合、2%ほどの確率で、生まれてくる胎児に先天性水痘症候群となり多くの症状が現れてきます。

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法的対応はありますか?
〔水ぼうそうの法的対応〕

 2003年11月施行の感染症法改正により、水痘は5類感染症定点把握疾患に定められ、全国にある約3000か所の小児科定点より、次のような基準に基づき毎週報告されています。

 ・全身性の丘疹性水疱疹の突然の出現

新旧種々の段階の発疹(丘疹、水疱、痂皮)が同時に混在すること

これらの基準には満たないが、診断医師の判断により、症状や所見から水痘が疑われ、かつ、病原体診断や血清学的診断によって当該疾患と診断されたもの

 また、学校保健法では第二種の伝染病に属していて、登校基準は次のように定められています。

 ・すべての発疹が痂皮化するまで出席停止とする。

 ただし、病状により伝染のおそれがないと認められたときはこの限りではない。

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