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〔夜尿症・おねしょ〕


概要病気症状原因診断
治療予後合併症情報書籍
 

この疾患の概要です

 幼児期は全ての子供が〔おねしょ〕をしますが、学童期に入ると普通はおさまります。

 学童期になっても夜尿が続く場合には〔夜尿症〕といいます。

 夜尿は夜間睡眠中の尿の生産量が膀胱の容量を超えた場合におこります。



 昼間のお漏らしをともなうこともありますが、成長とともに自然に症状はなくなります。

 成人の場合に突然襲う尿意により尿失禁してしまうことがありますが、子供ではそのようなことはあまりありません。

 しかし、夜間睡眠中に〔おねしょ〕をしてしまう子供はとても多くいます。

 通常は学童期に入ると〔おねしょ〕をしなくなるのですが、学童期以降にも〔おねしょ〕してしまう場合は、〔夜尿症〕という病気の可能性もあり、治療が必要になるかも知れません。


 一度、かかりつけの医師に相談することをお勧めします。

 尚、当サイト内にも、 〔夜尿症〕 のページがありますので、気になるときには、そちらも参照してください。

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どんな病気ですか?
〔夜尿症・おねしょという病気〕

 夜尿症は、尿路や神経系に特別な障害がなく、目覚めているときは全く正常に排尿できるのに、睡眠中に無意識に尿を漏らしてしまう状態です。

 このようなことは、乳幼児および小学校低学年の児童ではよくあることですが、小学校高学年になっても続くようなら、夜尿症という病気だと考えられます。

 一般的に、尿路奇形や神経系の障害がなければ、自然治癒する症状です。

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どんな症状ですか?
〔夜尿症・おねしょの症状〕

 夜尿症・おねしょには「多尿型」「膀胱型」および「混合型」という3つの型があります。

 その子がどの型の夜尿症なのか知ることができると、必要なら治療することもできます。

 その子の夜尿症・おねしょ型は「夜間尿量」の測定、および我慢できる尿の量である「膀胱容量」の測定によって知ることができます。

 ・多尿型の子はお布団に大きな地図をかく「多ちょん」をします。

膀胱型の子は、膀胱尿量が少ないためにおねしょをしてしまいます。

混合型の子は、多尿型と膀胱型の両方の要因でおねしょをします。

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原因は何ですか?
〔夜尿症・おねしょの原因〕

 小さい子どもおねしょは、夜間の睡眠中に体内で作られる尿の量に対して、その尿を溜める膀胱の大きさが不足するために、無意識に膀胱からオシッコが漏れてしまうのが原因です。

 乳児や4歳以下の幼児では、夜の睡眠中におねしょしてしまうのは、成長段階に身体がまだ未発達なためであって特別な心配はありません。

 小学校低学年くらいまでは、たまにおねしょを漏らすことがあっても特に問題とはなりませんが、小学校高学年になってもおねしょの頻度が多いときは、何か原因となる身体的障害や精神的障害があるのかも知れません。

 このような場合は、専門医と相談するのがよいでしょう。

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診断はどうやりますか?
〔夜尿症・おねしょの診断〕

 成人の場合の尿失禁では、何らかの問題が潜んでいる場合もあるので、多くの検査を行いますが、小児や低学年児童では、特別な検査は行いません。

 しかし、小学校高学年(11歳以降)になっても毎晩おねしょしたり、おねしょの量がパンツやパジャマばかりかシーツが濡れるほどの多量だったりする場合には、病気としての夜尿症の可能性があります。

 この場合には、成人の尿失禁と同様な検査・診断・治療が必要となるかも知れません。

 参考までに、成人の尿失禁の場合の診断では「問診」「採尿検査」「腹部超音波検査」および「ウロダイナミクス検査」などが行われます。

 以下にそれらの方法などについての説明です。

尿失禁の検査
問診  問診で、現在の日常生活や排尿状況、失禁の起こる状態を確認します。問題の原因を見極め、今後の治療方針を定めるために役立てます。

採尿検査  尿を採取し、尿の各成分の成分分析、血球や細菌の有無などを調べて、泌尿器系の病気などを診断します。

 尿失禁の詳細を把握するために、最低3日間の尿失禁状態の記録をとります。排尿回数、時刻、尿失禁の有無、失禁時の漏れ量などを記録します。これにより、尿失禁の型が判定できるようになります。

腹部超音波検査  腹部超音波検査で、排尿後の膀胱内の残尿量を調べます。残尿量が多い場合には、「溢流性尿失禁」の可能性が高まります。また、前立腺障害や腎臓障害などの異常の有無などの判定にも役立ちます。

ウロダイナミクス検査  ウロダイナミクス検査は、「尿流量測定」「膀胱内圧力測定」「リークポイント・プレッシャー測定」「尿道括約筋・筋電図測定」および「プレッシャーフロー・スタディ」など多くの検査があります。

ウロダイナミクス検査
〔尿流量測定〕

 尿の出はじめから終わりまでの量変化の測定で、グラフから排尿障害の有無を調べます。

〔膀胱内圧力測定〕

 尿道から膀胱へ測定機器を挿入し、生理食塩水を注入します。膀胱内の溜まりから排尿にいたるまでの膀胱内圧を測定し収縮パターンを解析します。

 内圧や収縮力から、どの型の尿失禁か判定します。

〔リークポイント・プレッシャー測定〕

 膀胱に水を満たした状態で腹圧をかけ、尿が漏れ出す瞬間の尿道や括約筋の働きを調べ、腹圧性尿失禁かどうかを判定します。

〔尿道括約筋・筋電図測定〕

 尿の溜まりはじめから排尿までの、尿道括約筋の筋電図をとり、尿道括約筋の収縮不全が原因の腹圧性尿失禁かどうかを判定します。

〔プレッシャーフロー・スタディ〕

 尿流量測定と膀胱内圧測定を同時に行い、排尿障害の原因を突き止めます。



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治療はどうやりますか?
〔夜尿症・おねしょの治療方針〕

 通常の小児がおねしょをすることは普通のことなので、特別な治療法はありませんし、特別に治療する必要もありません。

 おねしょを心配するお母さん方が、夜間、眠っている子供を起こしてトイレに連れていこうとすることがありますが、これはあまりよいことではありません。

 夜間にトイレに行くと、抗利尿ホルモンの分泌量が減少して、夜間の尿量が増加します。

 おねしょの対処では「起こさない」「あせらない」そして「怒らない」が3大原則です。

 しかし、小学校高学年(11歳以降)になっても毎晩おねしょしたり、おねしょの量がパンツやパジャマばかりかシーツが濡れるほどの多量だったりする場合には、夜尿症という病気として、成人の場合の尿失禁と同様な治療をしなければいけないこともあります。

 もしも、夜尿症という病気だったとしても、それが病気なら、適切な治療により必ず治りますので焦らずに治療してください。

 ここでは、参考までに成人の場合の尿失禁の治療法を示しておきます。

 尿失禁の発症原因により異なります。通常、行われる治療法には「骨盤底筋体操」「薬物療法」「電気刺激療法」および「外科的療法」があります。

 尿失禁の型に応じて、これらの治療法を単独あるいは併用して治療を行うことになります。

〔骨盤底筋体操〕

 「腹圧性尿失禁」の治療で絶大な効果があるのは、「骨盤底筋体操」と呼ばれる方法です。

 この体操を始めると、大部分の人に、1~3か月くらいで目に見える効果がでてきます。

 肛門と膣の「締める」→「緩める」→「締める」というパターンを繰り返します。

 これを行う動作は、椅子に座って、机に手をついて、仰向けにねて、立ち上がっている状態でなど自由ですが、5秒間「締め」たら、次に5~10秒間「緩め」、これを最低でも10回くらい繰り返します。

 苦しいですが、20回くらい頑張れるなら最高です。

〔薬物療法〕

 腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁の治療に使われる医薬には、「抗コリン剤」「βアドレナリン受容体刺激薬」および「αアドレナリン受容体刺激薬」などがあります。

 薬物療法は、尿失禁に適した医薬を正しく使用しないと、逆に症状が悪化したり、思わぬ副作用がでることがあるので、医師の指示に厳密に従わなくてはなりません。

〔電気刺激療法〕

 膀胱のある部分の骨盤表面に電極を貼り付け、電圧と周波数と時間を調整しながら一定のパルスはを送り、これを一回の処方で20~30分くらい続けます。

 これにより、骨盤底筋群を鍛える効果が生まれます。

 この療法は、切迫性尿失禁や腹圧性尿失禁の治療に効果があります。

 また、この刺激により膀胱が過敏に収縮するのが抑制できるとの報告もあります。

〔外科的療法〕

 腹圧性尿失禁に対して、外科的な手術を行う療法です。

 例えば、開腹して膀胱と尿道の部分を恥骨の裏側に縫い付けて、後ろに落ちないように固定するなどの手術です。

 このような外科的療法には、「MMK法」「膀胱頚部つりあげ術」「スリング法」および「コラーゲン注入法」があります。

 また、切迫性尿失禁の外科的療法として「膀胱拡大術」があります。膀胱自体を大きく作り直す外科手術ですが、治療効果が確実かどうか疑問も残ります。

 外科的療法では、深刻な合併症が起こるとの情報もあるので、安易には行わない方がよいでしょう。


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