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〔舌がん〕 |
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口腔内にもがんは発生します。中でも一番多いのが〔舌がん〕です。 |
初期には舌の違和感やしこり感、舌表面の変化などの感触を伴いながら、刺激物がしみる程度ですが、進行すれば強い痛みを感じるようになります。 |
舌がんは、口腔がんのひとつで、舌の有郭乳頭より前方部である舌前方2/3と舌の下面に発生する悪性腫瘍で、口腔がんの中では最も発生頻度の高いがんとなっています。 このページ上部の図で示すように、舌は「舌根部(舌後方1/3)」と「舌体部(舌前方2/3)」から構成されています。 舌の悪性腫瘍は舌根部にも舌体部にも発生しますが、舌根部は、分類上は「中咽頭」に含まれるため、この部位にできる悪性腫瘍は、〔舌がん〕ではなく〔咽頭がん〕として扱われます。 舌がんのほとんどは、舌の側縁部にでき、舌の中央部や先端部にはそれほど発生しません。発生率は、口腔がん全体の約4割(30~60%)ほどです。 このがんは、通常、直接的に目視できる範囲にできるので、初期段階でも異常には気づきやすいのですが、単なる〔口内炎〕などの類と勘違いされ、放置されることも多いです。 このため、腫瘍が重度に進行してしまってから、医療機関を受診することもあります。 飲酒や喫煙などによる化学的刺激や、噛み合わせの悪い義歯などが舌に接触するなどの物理的刺激がこのがんの発生原因になるとされます。 発生数は、年々増加する傾向にあり、30年前の3倍近くになっています。 舌がんの好発年齢は50~70歳代で、男性に多く発症し、日本における舌がんでの死者数は毎年1000名以上となっています。 |
舌がんは、舌の側面部や先端部など直接的に目で見える範囲にできるので、比較的早い段階で異常には気づきやすいといえます。 しかし、初期にはよくある口内炎と同様な症状でもあるため、口内炎と区別しにくい面があります。 見た目の初期症状は、びらんや潰瘍状のものができ、普通の口内炎と同様に刺激物を食べると舌に沁みるようになります。 やがて、舌の違和感だけでなく、しこりが感じられるようになったり、舌表面がカリフラワーのような顆粒状を呈したり、白斑や紅斑が見られるようにもなります。 異常には気づいても、初期症状が、単なる口内炎と勘違いされやすいことから、専門の医療機関を受診することもなく、そのまま放置されることが多いです。 病状がかなり進行して、潰瘍形成や深部浸潤をきたすようになり強い痛みがでたり、口内炎のようなものが1~1か月も治ることなく続くようになります。 更に病状が進行すれば、痛みのために舌を動かすことが苦痛となり、言葉がしっかり話せない構音障害や、食物が食べられない摂食障害を呈するようになります。 深刻な状態を認識すると、医療機関に駆け込むことになるのですが、その間にも腫瘍は進行し、病状はかなり悪化してしまうかも知れません。 舌がんでは、比較的初期の段階から頚部リンパ節などへの転移が起こりやすく、30%以上の患者において、初診時に既に転移しているとされます。 |
現時点では、舌がんの真の原因は解明されていませんが、患者の日常の生活習慣の中に誘発原因があると指摘されています。 舌がんを誘発する可能性の高い生活習慣には「慢性的な刺激」や「不適切な口腔管理」「その他加齢など」などがあります。
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何の病気でも同じことながら、舌がんでも初期段階で発見されれば治癒する可能性が高くなり、5年後生存率など予後も良くなる期待が持てます。 異常に気づいたら、できるだけ早期に検査・診断を受けることが重要です。 初期の段階で検査・診断を受ければ、簡単な治療で治癒できる可能性が高くなります。 他の部位に転移し進行がんになってしまってからでは、治療も難しく予後も思わしくありません。 このため、早期の検査・診断が是非必要です。 舌がんの診断は、先ずは視診と触診により行われます。続いて細胞組織の一部を採取して生検を行います。 生検で悪性腫瘍であることが明確になれば、CTやMRI、超音波検査法などによる画像診断を行います。
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一般に、悪性腫瘍の病期分類には「TNM分類」が用いられます。 TNM分類は、「UICC(国際対がん連合)」によって定められた、癌の国際的分類法です。 TNMでは、身体の28部位における「がん」について、3つの要素から、悪性腫瘍の進展度を詳細に分類しています。 舌がんにおけるTNM分類は次のようになっています。
TNM分類を指標として、舌がんの病期は、次のように、I期~Ⅳ期に分類されます。
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舌がん治療の基本方針は、がんの除去をできるだけ完全に行うことにあります。 舌には、摂食ばかりでなく、嚥下や発語など重要な機能があるため、これらの機能をできるだけ温存できるような処置が必要とされます。 舌がんの治療に用いられる治療法には、外科的療法や放射線療法、化学療法があり、これらが単独であるいは組み合わせた形で行われます。 るが、 通常は、外科的切除と放射線療法とが併用されて行われます。 リンパ節転移の場合には、治療後に再発するリスクが高く、外科的療法の前後で放射線療法や化学療法も併用して行うこともあります。 舌がんの治療は、それが初期段階での治療か、ある程度進行がんになった段階での治療かにより、異なります。
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他のがんと同様に、舌がんの治療法は、外科的手術療法と放射線療法、化学療法が組み合わされた形で行われます。 それぞれの療法の特徴などを整理しておきますが、基本は如何にがんを退治し、しかも舌の機能を最大限温存できるかにより選択されます。
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舌がんの5年生存率は、初期症状で発見され治療開始すれば、かなり高い率も期待されますが、発見が遅れれば予後不良となります。 統計的には、舌がんの5年生存率は約53~82%となっていますが、治療開始時のがんの進行度によって生存率や予後は大きく異なります。 一般論として、舌がんの予後に影響する因子には次のようなものがあるとされます。
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