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〔赤血球性疾患〕 |
血液の成分は赤血球、白血球、血小板から成っています。 |
赤血球性の病気は、赤血球の産生過程に問題があったり、赤血球の量が不足した場合に発症します。 赤血球の数が少なくなりすぎると〔貧血〕が起こり、逆に多すぎれば〔多血症〕といって血管が詰まりやすくなり、血液の流れも悪くなります。 このように、赤血球数の異常や、赤血球の形態や性状に異常が出るのが、〔赤血球性疾患〕です。 一般にこのような異常は、骨髄での赤血球の成熟過程に異常が生じた場合と、成熟後に何らかの影響を受けて異常になる場合とがあります。 |
主な赤血球系疾患には次のものなどがあります。
・鉄欠乏性貧血 |
体内の鉄分不足により十分な赤血球が産生できないことによる貧血です。 赤血球細胞内に含有されている血色素(ヘモグロビン)は、体内で酸素運搬の役目を果たしていますが、血色素の主要成分は鉄から構成されています。 体内の鉄分が不足すると、十分な血色素が産生できなくなり、貧血が起こります。 生殖年齢の女性では、月経により出血で鉄分が失われるため、鉄欠乏性貧血になりやすいです。 その他、悪性腫瘍や胃潰瘍などで慢性的な出血があると鉄欠乏せい貧血を生じやすいです。 |
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ビタミンB12や葉酸は、造血幹細胞が分化しいろいろな血液細胞に成熟するのに必要不可欠な成分です。 造血幹細胞が分化して赤血球が造られる前には、赤芽球という未熟な細胞ができるのですが、ビタミンB12や葉酸が欠乏すると、赤芽球から赤血球への細胞分裂がうまくゆかなくなります。 その結果、骨髄に巨赤芽球と呼ばれる特異な大球性の赤芽球が出現するようになります。 一部の巨赤芽球からは大型の赤血球ができますが、巨赤芽球の多くは「無効造血」と呼ばれ、正常な赤血球に成熟することなく崩壊してしまいます。 この結果、貧血が起こります。この巨赤芽球性貧血は、悪性貧血とも呼ばれます。 |
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赤血球には通常120日程度の寿命がありますが、何らかの原因により赤血球が破壊されて寿命が異常に短縮してしまう現象を溶血と呼んでいます。 赤血球が破壊され赤血球寿命が多少短くなっても、骨髄には通常状態に対して、最大6~8倍の赤血球産生能力があるので、溶血の程度が軽度であれば、すぐには問題は顕在化しません。 しかし、血液の破壊がその限度を超え寿命が15~20日程度にまで進行してしまうと、赤血球不足による貧血症状を呈し、これを溶血性貧血といいます。 |
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再生不良性貧血は、骨髄中の造血幹細胞の減少により造血能力が低下し、末梢血中の全ての血球が不足する疾患です。 血球が不足する結果、貧血症状や感染による発熱、出血などが起こります。原因には、先天性と後天性の両方があります。 再生不良性貧血では、初期の段階では自覚症状はほとんどなく、ある程度病状が進行してくると息切れや動悸、眩暈、出血傾向、顔面蒼白、皮下出血、眼底出血などの症状が現れます。 |
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続発性貧血とは、何らかの疾患に引き続いて起こる貧血です。悪性腫瘍や腎臓病、肝臓病、リウマチ性疾患、甲状腺機能低下症、骨髄炎、膠原病などによる栄養不足や出血などで起こります。 続発性貧血では、倦怠感、動悸、息切れなどの症状がでます。 続発性貧血には急性と慢性のものがあり、急性続発性貧血は、手術や大怪我により一時的に大量出血して起こる貧血です。 慢性のものは、さまさまな病気のために長時間にわたり少しずつ継続的な出血があって起こる貧血です。 |
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出血性貧血は、急性あるいは慢性の出血により血液が失われ、これに対して骨髄での赤血球の産生が追いつかない場合に生じる貧血です。 貧血の中では鉄欠乏症貧血が最も多く、出血性貧血がそれに次いで多く見られます。 大怪我や喀血、吐血、下血などでの大量出血では急性出血性貧血となり、胃や十二指腸潰瘍、胃がん、大腸がんなどで継続的な出血があると慢性出血性貧血となります。 女性では、毎月の月経や出産時の出血でも出血性貧血の症状がでてきます。 貧血が起こると、赤血球による酸素運搬能力が低下するので、これを代償するために動悸や息切れの症状が出ます。 更に、全身倦怠感や食欲不振にもなります。症状が進行すると、爪が反り返るようになったり、物を飲み込めなくなる嚥下障害が出ることもあります。 |
〔サラセミア〕 |