ムンプスウイルスに感染すると、発熱とともに先ず片側の耳下腺や顎下腺が腫れ、追ってもう一方の耳下腺や顎下腺が腫れ、おたふく顔になります。人によっては片側しか腫れないこともあります。
3~4割ほどの人には、感染しても特別な症状が出ない不顕性感染となりますが、症状の出ている人と同様に、他の人に移す感染源にはなります。
ムンプスウイルスは、鼻やのどの粘膜、頚部リンパ節などで増殖して、血液に混じって全身に回ります。このため、頻度は高くないものの合併症や後遺症が残ることもあります。
主な合併症は「無菌性髄膜炎」「難聴」「睾丸炎」「卵巣炎」「乳腺炎」および「膵炎」などです。合併症の発生頻度や症状などを表で示します。
無菌性髄膜炎
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脳と脊髄を覆う髄膜の中のくも膜と硬膜に比較的軽い炎症が起こり、耳下腺が腫れてから1週間ほどして、高熱、頭痛、嘔吐、首の硬直などの症状がでます。解熱鎮痛剤で治療すれば回復します。ごくまれに脳に障害が残ることがあります。
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難聴
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2万人にひとりほどの割りで、視神経に異常が出て、難聴になることがあります。
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睾丸炎
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思春期以降に感染した男性の4人に1人くらいの割合で、強い痛みを伴って睾丸が腫れます。ごくまれに男性不妊症の後遺症が残ることがあります。
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卵巣炎
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思春期以降の女性が感染した場合、20人にひとり程度の割合で卵巣炎となりを下腹部痛起こしますが、不妊症にはなりません。
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膵炎
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思春期以降の人25人にひとりの割りで膵炎を起こし、嘔吐や下痢などの症状がでますが、一週間ほどで治ります。
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乳腺炎
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思春期以降の女性の3割ほどに乳腺炎が発症しますが、対症療法で治ります。
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